コメディ・ライト小説(新)
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- あやかし町【 第一期 第弍章 】
- 日時: 2021/09/01 03:23
- 名前: 鳴海埜(なるみや) (ID: gF4d7gY7)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=12684
時は平成。ビルが建ち並び、機械化が進む今、これはあやかしという、日本に古くから存在する"人成らざる者達"と"あやかしが見える"珍しい一人の人間との御話__。
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2019年 冬 コメディ・ライト小説部門で銅賞を頂きました。投票して下さった方々誠にありがとうございます。
2020年 冬 コメディ・ライト小説部門で金賞を頂きました。投票して下さった方々誠にありがとうございます。
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【 目 次 】
[ 詳細 >>01-03 ][ プロローグ >>04 ]
* 第 一 期 *
[ 第壱章 >>05-20 ]
第01話 >>05 第02話 >>06
第03話 >>07 第04話 >>08
第05話 >>09 第06話 >>11
第07話 >>12 第08話 >>14
第09話 >>19 第10話 >>20
[ 第弍章 >>21-30 ]
第11話 >>21 第12話 >>22
第13話 >>23 第14話 >>24
第15話 >>25 第16話 >>26
第17話 >>27 第18話 >>28
第19話 >>** 第20話 >>**
[ 番外編 ]
バレンタイン編 >>18
クリスマス編 >>
年越し編 >>
- あやかし町 第一期 #0 ( No.4 )
- 日時: 2020/05/30 12:07
- 名前: 鳴海埜 (ID: VHEhwa99)
【プロローグ】
「咲奈、この世には[あやかし]と言う者達が居るのは知っているね?」
「知ってるわ、お爺様。」
「あやかしの中には[鬼]と言う者が居るんだ。」
「…鬼が…どうしたの?」
「鬼はとても危険なんだ。咲奈…鬼には気を付けるんだぞ…」
「…分かったわ、お爺様…。」
……………………………………………ピピピッ…ピピピッ…ピピ…
「…んん………」
ゆっくりと瞼を開き、起き上がって目覚ましを止めた。
「…とても懐かしい夢を見た気がする…。」
そう呟き、ふと自分の頬が濡れているのに気づき、急いで服の袖で拭った。
時計を見て、慌ててベッドから降り、
大学へ行く支度を始めた。靴を履いて誰もいない家の中に向かって、行ってきます、と小さく呟いた。
- あやかし町 第一期 #1 ( No.5 )
- 日時: 2020/12/13 00:15
- 名前: 鳴海埜 (ID: 0rBrxZqP)
第一期 #1[和菓子]
私は徒歩五分の処にある『私立華ノ幸女子大学』と言う大学に通う一年生の九十九 咲奈。
私が幼い頃に他界した両親の親代わりであった、お爺様が他界して半年。毎日何事もなく、時は過ぎていく。私には今も尚、人成らざる者…あやかし達の姿は見えている。
彼等…あやかし達は、自分達の姿が見える人間の私が珍しい様で、時折寄ってくる。寄ってくるあやかし達は、大体が害を与えようと寄ってくるのではない。ただ稀に、人間を喰らう類のあやかし達が寄ってくる時もある。襲ってくるあやかし達は空腹なのだ。私は成仏したりなどする力は無い為、襲ってきたあやかしには、私が作った飴玉を渡している。どうやら私が作った飴玉には、あやかし達の『空腹を満たす力』と『陽の霊力』が込められているらしい、とお爺様が言っていた。
そんなことを思い出していると、ふといつも通る神社の鳥居の側に誰かが座り込んで居るのを見つけた。だが、人間でないのは明らかに分かる風貌だ。お面を着けており、顔は分からないが、珍しい着物を着ているのだ。とてもぐったりしていて心配になり声を掛けることにした。
「あの…大丈夫…ですか…?」
そう声を掛けると[ソレ]は
「君には…私の姿が見えるのか…」
と小さく呟いたのが聞こえた。やはり人間では無いあやかしだったようだ。
すると[ソレ]はこう言った。
『君が…嶋哉の……』と。
私はソレを聞いて耳を疑った。困惑していた。何故相手はお爺様の名を知っているのだろう、何故私のことも知っているのだろう。そんな事ばかり考えていると、
「咲奈…私に飴玉をくれないか…?咲奈が作った飴玉を食べてみたいんだ…」
私は考えるのを止めて、持っていた飴玉を2,3個相手に手渡した。すると相手は、静かにお面をずらし。個包装から飴玉を取り出すと、それを口にした。
私はそのお面の下から少し見える顔を見て目を見開いた。まさか会うとは思わなかったのだ。まさか…まさか彼に此処で会うなんて……
#1話 終 次回へ続く。
- あやかし町 第一期 #2 ( No.6 )
- 日時: 2020/05/30 12:15
- 名前: 鳴海埜 (ID: VHEhwa99)
第一期 #2[再会]
まさか…こんな処で会うなんて……。
私は目の前にいる彼…あやかしに見覚えがあるのだ…。十年前の事…。
十年前、両親が事故で他界した。私はそのショックで、毎日の様に泣いていた。そんなある日、私は夜家を抜け出して、両親とよく御参りに行った神社へ行った。夏だった為、外はそれほど暗くなく、明かりを持って行かなかった。神社に着き、御参りをして、帰ろうと瞼を開けると、辺りは静まり返っていて、夏とは思えない程真っ暗だった。怖くて、私はその場にしゃがみこんで泣いた。そんな時、一人の若い青年に声を掛けられた。振り向くと其処には、珍しい着物を着て、頭には大きな耳、九本の尻尾が付いている青年…あやかしが居た。
『咲奈…大丈夫…?』そう声を掛けてくれた。その時私は何故彼が自分の名前を知っているのか、等と考えている余裕はなく、ただただ、彼に抱き付いた。彼は私が泣き止むまでずっと頭を撫でてくれて、帰るときに蝋燭を持たせてくれたのを覚えている。今目の前に居る彼は、まさにその時の青年なのだ。少し大人っぽくなっているが、彼なのだ。あの時頭を撫でてくれたあやかし…九尾なのだ。私は無意識だった。気付いたら彼のお面を取っていた。彼は呆然と私の事を見ていた。
自分でも何故そんなことをしたのか分からない。気付いたら取っていた。
「…え…?」
先に沈黙を破ったのは彼だった。
「ご、ごめんなさいっ…」
急いで謝り、お面を彼に返した。
「昔…この神社で会ったあやかしに似ていたので…つい…」
『似てた』ではなく同一人物だろう。
「大きくなったね、咲奈。君に会いに来たんだよ。」
彼はそう言った。私はこれまた無意識に、彼に抱き付いていた。ハッとして急いで離れようとしたが、彼が優しく抱き締め離さない。離れるのを止め、
私も優しく抱き締め返した。
「嶋哉との約束を果たしに来た。」
彼はそう言った。だが私は何の事なのか全く分からず、彼に問いかけた。
「お爺様との約束って…?」
すると彼はとんでもない事を言った。
「花嫁…咲奈を貰いに来たんだよ。」
「……え…?」
第一期 第2話 終
- あやかし町 第一期 #3 ( No.7 )
- 日時: 2020/05/30 12:17
- 名前: 鳴海埜 (ID: VHEhwa99)
第一期 #3 [花嫁]
「花嫁…咲奈を貰いに来たんだよ。」
「……え…?」
私は、彼が放った発言を何度も何度も頭の中で繰り返し読んだが、頭の中には未だに沢山のはてなマークが浮かんでいる。『…私を…貰いに来た…?…と言うか…そもそも花嫁って……』どんなに考えても、彼の発言を理解出来なかった。私は、呆然と彼の顔を見つめていた。沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは彼だった。
「何のことか分からない。と言う顔をしているね。」
そう。私はまさにその通り何のことか分からないのだ。
「約束って?花嫁?お爺様と会ったことがあるの?何時何処でお爺様とその様な約束をしたの?」
私は彼に今思い付くだけの疑問を全て問いかけた。彼は、ちゃんと説明するよ、と言い石段の上に座るよう勧めてきた。私は言われた通りに彼の隣に座り、静かに話を聞くことにした。
「あれは…十年前の事…。」
彼はそう言って、懐かしそうに語り出した。
第一期 第3話 終
- あやかし町 第一期 #4 ( No.8 )
- 日時: 2020/05/30 12:16
- 名前: 鳴海埜 (ID: VHEhwa99)
第一期 #4[約束]
「あれは…十年前の事…。」
僕はあやかし達が住む和国で、のんびりと毎日を過ごしていた。そんなある日、一人の人間が和国にやって来た。和国に人間が来るのは何年ぶりだろう。昔はもっと沢山の人間が、僕達あやかしが見えており、和国を訪れていた。しかし、年月が経つ内に僕達が見える人間が減っていき、和国を訪れる人間が居なくなったのだ。
久しぶりの人間の訪問で、和国の皆はとても喜んだ。その人間は嶋哉と名乗った。僕達は嶋哉を歓迎し、宴を開いた。皆で酒を楽しみ、夜中まで騒いだ。いつの間にか皆その場で飲み潰れ、寝ていた。僕はふと目が覚め、辺りを見回すと、月を眺める嶋哉の姿を見つけ、側へ行った。すると嶋哉は、
「花嫁候補は決まったのか?」
そう僕に聞いてきた。和国の決まりに『上級あやかしは月ノ祭迄に花嫁候補を決める事。』と言うものがある。僕『九尾』は所謂上級あやかしの一種。100年に一度満月が2つ空に浮かぶ日その日を月ノ日と言い、その夜に行う神聖な祭りを月ノ祭と言う。次の月ノ祭は十年後。僕はまだ花嫁候補は決まっていなかった為、決まっていない、と嶋哉に応えた。すると嶋哉は
「ならば十年後、私の孫、咲奈を迎えに来い。約束出来るか?」
と言った。僕は『はい。』と言い、嶋哉と約束した…。説明し終わり、咲奈の顔をチラッと見ると、彼女はうつ向いて呆然としていた。なんて声を掛ければ良いのか分からず、とりあえず
「…って事なんだ。理解出来た…かな…?」
と声を掛けた…。
第一期 第4話 終
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意外にも見てもらえてるみたいで、とても嬉しいです!もし、感想とかあったら、書いて欲しいです!これからも、自分のペースで更新していきます!