コメディ・ライト小説（新）
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- アオハル・マーチ
- 日時： 2021/11/15 11:28
- 名前： クロムウェル （ID: GU/I8Rhf）
「都華が好きです。僕と、付き合ってくれませんか？」
急に言われた先輩からの一言。言われることを望んでいて、けれど絶対に言われるはずがない言葉。
だけど、一体なぜ…こんな可愛くもない、私を？
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気付けばずっと。その子のことを目で追いかけるようになっていた。僕が所属している吹奏楽部に体験で入ってきた時から気になっていて、眼鏡を掛けて髪が真っ黒で長い女の子。他の子よりも率先的に動く姿。この部活に入ることが目的で中学校に来ましたというような子。最初はそんなことぐらいしかわからなくて、吹部に入ってくれと心から願った。その願いも叶い、入部挨拶の時にその子の姿があった。こんなに心拍数が上がったら死んでしまうのではないかと思うほど胸が高鳴った。
「…よしっ！」
人知れずガッツポーズをし、同じパートに入ってくれと思う。僕は木管で、金管との関わりは少ない。もしもあの子が金管になってしまったら、必然と話す機会が減ってしまう。
「ねぇねぇ、この子入れようかなと思って、打診は先生にしておこうと思うんだけど、どう思う？」
その先輩の名は『海藤 碧』。同級生の先輩たちからは、あおちゃんと呼ばれている。そして、その先輩が手にしていた紙にはあの子の名前らしきものが書いてあった。というのも、僕はまだあの子の名前をしっかりとはわかっていなかった。
「どの子ですか？」
分からないことはすぐに聞く。これは、吹部に入っているなら当然のことだ。
「ほら、あそこに眼鏡掛けた髪の長い女の子いるでしょ？あの子だよ。同じ小学校だったし、なんとなく接しやすい子だからいいかなと思うんだけど…」
碧先輩が指さした子はあの女の子だった。僕が気になっている女の子。
「いいと思います。積極性がある感じだったし、まぁ、音はこれから出せるようになっていけばいいと思うので。本人が希望してくれたらですけどね」
この時ガッツポーズをしなかった僕を誰かに褒めてほしかった。
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「都華さん。ちょっといい？」
先生に呼ばれた。何か悪いことでもしたのかと思うが、まだ入部して3日ほどしか経っていない。
「大丈夫です」
とりあえずついていくと、誰もいない音楽準備室に入れと手招きされた。
「都華さんは、希望している楽器は、打楽器とトランペットとホルンであってるよね？」
「はい」
私が吹奏楽部に入ったのは、6年生の時に見させてもらった中学校の文化祭でドラムがかっこよかったからである。ドラム叩けるようになればなんかカッコいいんじゃないかと思ったからだ。
「実は今先生迷ってて、都華さんのほかにもう一人ドラムがいいんじゃないかと思ってる子がいるから、その子と二人で打楽器にしてもいいと思うの。だけどね？都華さんをパートに欲しいっていう先輩が何人かいて、ユーフォニアムとサックスなんだけど…都華さんはどうしたい？」
この学校の先生は本音を隠すのが少し下手で、打楽器ーパーカッションーじゃない方がいいと思っているのは明らかだった。確かに、ドラムが上手い子が一人いた。絶対に習ってたよねっていうレベルの。けれどドラムをたたくという夢も捨てきれない。
「この後の合奏で聞いて決めてもいいですか？」
この言葉を言うだけで精一杯だった。
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合奏の時間。この時期はまだコンクールの曲は決まっていないから、老人ホームで演奏する予定の曲を練習する。
『お願いします！！』
全員が合わせて挨拶をした後、基礎合奏に入る。基礎はとても重要だ。その次に合奏。今日は一年生も見に来るらしい。自由に見させるから近くに座っても気にしないで吹いてねと先生に言われた。どうか、僕の近くにあの子が座ってくれますように。まだあの子の名前を知らないから、強く念じておく。
「それじゃあ、合奏します。愛美さん、１年生呼んできて」
僕と同じパートの愛美ちゃんが一年生を呼びに行くみたいだ。どうせなら、僕を指名してくれれば良かったのに…
「お願いします！」
今年の一年生は礼儀正しい子が多い。今のところは…
「自分が聞きたい楽器のところに行って聞いていいよ。先輩たちの音をよく聞いてね」
先生の一言で、１年生が動き出す。あの子はどこに行くんだろうと思いながら先生の話を聞いていると、誰かが背後に来た気がした。ちらりと目を向けると、あの子だった。思わずにやけそうになり、水拭き用のタオルで口元を隠す。
「それでは、北酒場からやりますー」
いつもよりも、気合を入れて丁寧にきれいに吹くようにした。
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「お願いします！」
確か先生が言っていた楽器は、ユーフォニアムとサックスだったはず。場所をいちいち移動するのもめんどくさいので、ユーフォニアムとサックスの間に座る。ユーフォニアムの先輩は女の先輩で、サックスの先輩は男の先輩だった。男の先輩の方はちょっとだけカッコよくて、ちょっと得をした気分になった。
―――練習終了後
先輩たちが楽器を片付け始めてすぐに先生のところに話に行った。
「先生、私サックスがいいです！サックスパートにしてください！」
私の希望が通ることは今まであまりなかった。だが、今回こそは希望が通ってもらわないと困る。サックスの音がかっこよかったのだ！ドラムよりも！地の底から響く感じのあの音！はつらつに、軽快に進んでいくサックスたちの音楽！私は一回の全体練習でサックスに魅了されてしまったのだ。
「わかりました。先輩たちにそう言っておくね」
先生は安堵した顔をした。
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「イエーイ！みんな聞いてー！！」
碧先輩がテンション高めにパート練習に来た。
「どうしたんですか？」
愛美ちゃんがちょっと苦笑しながら碧先輩に聞いた。
「１年生なんだけどね？私たちが希望した子たちが来ることになったの！たった今決まったから、発表するね。まず一人！城ヶ崎真彌耶ちゃん！アルトで希望を出した子ね。それからもう一人！長月都華ちゃん！テナーで希望を出した子ね。この子は亮祐くんは相談したからわかるよね。その子たちが来まーす！この後の挨拶で発表するから、まだ内緒にしててね」
声が、出なかった。このままでは顔がやばいことになる。そしてその顔を見られてしまう。
「了解です。ちょっと、リード取って来ますね」
「いってらー！」
楽器を吹くために必要な道具を取りに行くフリをして部屋を出る。
「それはやばい。真面目にヤバイ。嬉しすぎる…そうか、名前、長月都華ちゃんっていうのか。覚えておこう」
同じパートに入ってくれたのが嬉しかった。まぁ、厳密にいえば同じパートではないんだけど。
少し経ってから部屋に戻る。
「お帰りー。リードあった？」
「はい。なかなかいい感じのがなくて…探すのに苦労しました」
その後は練習も滞りなく進み、終わりの挨拶の時間。
「今日もみんなね、いい感じに演奏できてたと思います。1年生も楽器が決まったから、これからたくさん練習しなきゃね！それと―」
先生の話が長い。いつもより長いんじゃないかと思うほどに。
「あっ！ごめんなさい！今日発表する予定だったのに時間がない！明日発表します！」
えーーーーーーーー…僕の希望は儚く散り、僕の存在を認識してもらうにはもう少し時間がかかりそうだ。
- Re: アオハル・マーチ ( No.34 )
- 日時： 2022/01/04 08:37
- 名前： クロムウェル （ID: hDSnh8ad）
「お～とちゃん！帰ろ〜？」
ウキウキ気分のまま、音ちゃんの教室に行くと、音ちゃんではなく汐音と葵依が出てきた。
「都華ーーーー！！！！会いに来てくれたんだね？！」
「汐音！葵依！いや、音ちゃん目当てだけど…音ちゃんは？」
「えー…私に会いに来てくれたんじゃなかったのー？音ちゃんはまだカバンの準備してるよ？」
汐音と葵依はいつも二人で行動している。勢いがちょっと強めの友達。そして、半分コミュ症である。
「音がね、先行っててだって」
のんびりしつつも教えてくれたのは、葵依ちゃん。この子は勢いがあんまりなく、四人で話していると存在がなくなっているのではないかと思うほどしゃべらない。本人曰く、「聞いてて楽しいからいい」らしい…。
「じゃあ、先行ってようか」
クリスマスデートのことを考えながら階段を降りていると汐音が
「都華、なんかいいことあった？こんな機嫌のいい都華初めて」
といってきた。
「失礼な。私機嫌がいいかどうかは結構わかりやすいけど？まぁ、ね。明日いいことあるんだー！」
ニコニコしながら話をしていると、玄関に着く。下駄箱が別々の場所にあるから、靴を履いて合流することにして、自分のクラスの下駄箱に行くと、亮祐先輩がいた。
- Re: アオハル・マーチ ( No.35 )
- 日時： 2022/01/04 21:59
- 名前： クロムウェル （ID: hDSnh8ad）
「亮祐先輩？！どうしたんですか？なんか約束してましたっけ？」
今日は友だちと帰る予定だったから、特に先輩とは約束はしていなかった。
「ううん。ただ、まだ出てきてないかなーって思って。ちょこっと顔見たかったんだけど」
何この人、かわいい…。
「今日は部活がないですもんね。学校でも殆ど会わなかったし」
吹部は、滅多なことがない限り部活が休みになることがない。水曜日を除く、ほぼすべての日に部活が入り、さらには、クラブ活動とういことにして学校の決まりを無視しながら部活を行うほどだ。（私達が通う黎明中学校では、土日は基本的にどちらか一日を完全にオフにしないといけない決まりになっている）
「うん。ホントは今日遊んでも良かったんだけど、明日のほうが長い時間遊べるかなと思ってさ」
照れながら言う先輩に頬を緩ませていると、汐音と葵依が下駄箱に来た。
「都華ー？なんかあったの？遅いよー」
「ごめんごめん。ちょっと先輩と会っちゃって」
ごめんごめんと謝りながら楽しそうに話していると、先輩がジッと私と汐音たちを見ていた。
「あっそうだ！紹介しますね。この二人、私の友達で」
先輩が謎の嫉妬をする前に、友達を紹介しておこうと思い二人を前に出す。
「えっ、えっ？ちょっと、無理。知らない人と話すとか無理！」
ちょっとしたコミュ症である汐音たちは全力で首を振ってきた。いや、いくらなんでも友達の先輩の目の前で知らない人っていうのは、失礼じゃない？
「失礼にも程があるわ。ちょっと向こうで話そうか。先輩は時間あります？」
「いいよ」
特に人が来ているわけでもなかったけれど、狭いところで話すのもどうかと思い、場所を移動する。
「じゃあ、改めて紹介するね？この人は私の部活の先輩で、久米野亮祐先輩。そんでもって、私の彼氏です。先輩、この子達は私の小学校からの友達で、小鳥遊汐音と七瀬葵依です。ちょっと知らない人と話すのが苦手な子たちですけど、仲良くしてあげてください」
「えっ？この人が彼氏？都華が好きそうな人だね！」
「完全に趣味の人だね。二次元キャラとはちょっとちがくない？」
おいおいおい。そんなに人の趣味と比べんな。恥ずかしいんだから。
「はいはい。そーですね。まっ、そういうことだから」
適当に話を切り上げ、先輩にこっそりと話す。
「先輩、明日楽しみにしてますね。お金の心配とかは、全然しなくていいので」
亮祐先輩の方を見ると、耳まで真っ赤にしていた。
「ありがとう。そろそろ帰るね？明日は、８時30分に集合で大丈夫そう？」
「はい！またね！」
手を振りながら先輩を見送る。その後、音ちゃんも含めた３人に明日何をするのかをたくさん聞かれたのはちょっと恥ずかしくて、とても楽しかった。
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亮祐目線
「僕の彼女、めっちゃかわいいわ。なんだよ、あんな不意打ちないだろ…」
耳元で話された感覚がまだ耳に残っている。ちょっとうつむき加減で歩いていると「ゴンッ」とうい音がした。
「痛った！」
帰り道、額を抑えながら歩く僕の顔は、恥ずかしさに耳まで真っ赤になっていた。幸せを味わうことも大事だけれど、目の前には注意して歩かないと、電柱に当たるという天罰が下る。
- Re: アオハル・マーチ ( No.36 )
- 日時： 2022/01/05 15:36
- 名前： クロムウェル （ID: hDSnh8ad）
クリスマス当日ー
「忘れ物ない？携帯は持った？お迎えは駅前にいるからね。時間変更とかあったら連絡するんだよ？」
「はーい。ありがとう、いってきま～す！」
お母さんの確認もそこそこに車から降りた。私の家は、駅から少しだけ遠い。大体40分ぐらいだろうか。送ってもらってから先輩を探す。
「それらしい人が何人もいてわからん…あっ！あの人かなー」
それらしき人を見つけて声をかける。
「おはよー！お待たせしました！」
「おはよう。待ってないよ」
いつもと違う服。私服姿は始めてみたけど、ジーパン似合うな〜…上に来てるダウンもすっごい似合ってる。印象も変わるし、いつもよりカッコイイー！！そして、明らかに長時間外で待っていたであろう顔を赤くした先輩。違う人に声をかけなくてよかったー！と思うのと同時に、自分の顔も赤くなって行くのがわかった。
「じゃっ、じゃあ行こうか！ちょっと遠いとこだけど、大丈夫？」
「うん。ちゃんと軍資金は頂いてきたので。何にも問題はないよ」
お互いにいつもと違う服を意識しつつ改札を通り駅構内へ入る。ちなみに、私の今日の服装はジーパンに黒い服。白いセーターを羽織るという服装。その後間もなく電車が来て、二人で座れる席を探した。隣同士に座るってこんなに緊張するんだなー。
その後の一日はとっても楽しかった。ゲーセンで遊んだり、スタバでまったりしてみたリ。
こんなクリスマス、生まれて初めてだ。
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次回、クラス替えと吹部にやってきた新入部員
- Re: アオハル・マーチ ( No.37 )
- 日時： 2022/01/06 22:04
- 名前： クロムウェル （ID: hDSnh8ad）
「クリスマスデート編」は、亮祐目線と都華目線の両方を書こうと思っているのでちょこっととづつ出します！でもまぁ、書いちゃうとも思います…それでは、どうぞ！あ、地名は適当です。（マップで目瞑ってランダムに決めました）
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クリスマスデート編：都華目線
先輩と電車で揺られること約４０分。松本についた。
「今日は松本で遊ぼうと思って。ほら、茅野のあたりじゃ遊ぶとこないと思ったんだけど…」
「そうですね。一人じゃ松本には来ないから、来れてよかった」
私達の住んでいる長野県茅野市には、遊ぶところが全くない。映画館も電車に乗らないと行けないし、ゲームセンターもスーパーにある小さいところしか見たことがない。とにかく田舎なのである。
「とりあえず、イオンモールに行ってみようか？なんか、ごめんね？デートプランとか、うまく考えられなくて…」
「いいですよ？ちょっと買い物したいものもあるし」
「それじゃあ、行こっか」
それにしても寒いな〜。手袋とか、マフラーとかしてきたほうが良かったかも。手をさすりながらイオンモールまで歩いた。道中、先輩がそわそわしていたけど、なんとなく見なかったことにした。手とか繋いでくんないかなーとか、先輩、寒くないかなとか考えながら歩いたら、寒さなんて関係ないと思えた。
イオンモールについて、どこを見るでもなく二人で歩いた。
「これ可愛くないですか？こういうの久しぶりに見たな〜！亮祐先輩は猫派ですか？犬派ですか？」
「どっちかって言うと、猫派かな。でも、子犬とか見たら犬かわいいって思っちゃう」
「大体の人がそうですよね。動物は可愛いんですよ」
「それな」
他愛もない会話をしながらいろんなお店を見て回った。その間も密かにではあるが、先輩の好きなものを探して回っていた。そう、私の買いたい物（今日の目的）は「先輩へのクリスマスプレゼント」だ。しかし！当日まで何を買ったらいいのか全くわからなかった！ということで、先輩との会話の中で何がいいか考えようと思ったわけだ。
「先輩、最近欲しいものと買ってあります？」
この質問はほぼ博打に等しい。何か期待させてしまうかもしれないし、サプライズにはならなくなる可能性もあるからだ。
「最近？ん〜…そうだなぁ、都華を独り占めできる時間かな」
「はい？！」
この人はっ！急に何を言い出すのかなぁ？！顔を真っ赤にしてアワアワと動揺する私を見て先輩は「ハハハッ！」と笑った。
「ごめんごめん。そんなに動揺するとは思ってなかった。僕が最近欲しいものは、ゲーム機かな。使ってるのが古くなってきちゃって、パフォーマンスが悪くなってきちゃっててさ」
ゲーム機か…流石に高いな…。
「もちろん、都華を独占する時間もほしいけどね」
サラリと言う先輩は余裕綽々だ。ん？いや待てよ？顔真っ赤だぞ？耳まで赤くしちゃって、まぁ…。そんなに勇気を出したんだなと思ってニコニコしながら先輩を見ていると、私の表情に気づいたのかふいっとそっぽを向く先輩にキュンキュンした。
「せんぱ～い。そんなこと言ってくれて、うれしいですね」
先輩をからかうのは結構楽しい。可愛い反応をしてくれるからだ。
「ほら！早く次のとこ行こう？」
照れを隠すようにさっさと歩きだしてしまう。
「も～！待ってくださいっ」
先輩と歩きながら考える。いつもの先輩の格好を思い出したときに、マフラーをしていないことを思い出した。大体は、ちょっとゆるくなってしまったネックウォーマーしかしていなかった。
「うん…これに決まりかな。先輩！ちょっと待っててくださいっ！」
先輩への贈り物をマフラーに決めて気に入っているお店に入る。このお店は、猫好きのためのお店とも呼ばれている場所。七瀬が猫好きなので、よくこのお店を利用していた私は、ここで買い物をすることに決めた。
「いいよ？このお店で買い物するの？」
「はい！ちょっと待っててください」
先輩は優しいから、ここで待っててくれるはず。ササッと行って決めてしまおう。マフラーのコ―ナーに行くと沢山の種類があった。
「うわー…まさかこんなにあるとは思わんかった…。できれば、緑っぽいやつ…」
先輩のテーマカラーは緑だ。ネックウォーマーも緑だったから、似ているヤツのほうがつけやすいと思った。
「これかこれだな…」
緑色のマフラーはたくさんあり、なんとか二種類に絞り込むことができた。
「こっちはかっこいいんだけど、色合いがなぁ…。その分こっちは色合いがいい。あっ！よく見たら、子猫が刺繍されてる！足跡も！ちょこっとしたものだから、つけてても抵抗はなさそうだな…これにしよ」
先輩のプレゼント選びの基準になるかと思って、たっつーに聞いていた。でもそれは、アドバイスとは言えないようなもので
『久米野は、都華が選んだものならなんでも喜んでつける！』
と言う内容だった。そこに関しては否定できなかったので、笑ってごまかしたが、今はその可能性に頼るしかない！
「お待たせしました。ごめんね？一人で待たせちゃって」
お会計を済ませ、先輩のところに戻ると、大丈夫と首を振ってくれた。
「買いたいものは買えた？そろそろ、お昼にしようかなと思ってるんだけど、大丈夫？」
「お昼！いいですね。食べましょう」
プレゼント選びにエネルギーを使った私は先輩の提案にすぐに乗っかった。
- Re: アオハル・マーチ ( No.38 )
- 日時： 2022/01/11 15:36
- 名前： りゅ （ID: B7nGYbP1）
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あと、銅賞受賞もおめでとうございます！！
素晴らしいですね！執筆頑張って下さい！
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