ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 届かない? そんなの最初から分かってる。 完結
- 日時: 2009/03/06 20:14
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
あたしとあの子はあんたを好きになった。
普通だったら、取り合いが始まるかしら?
でも、あたしはそんな事しない。
あたしは黙って身を退くの。
幸いなことに、あんたもあの子もあたしの気持ちに気付いてない。
何故身を退くかって?
だってあんたは——……
そしてあたしは——……
でもね。最後に意地悪してあげる。
あの子には、ある事を伝えない。
あんたには、この花束を、贈っちゃう。
さあ、いつ、本当のことに気付くかな?
+届かない? そんなの最初から分かってる。+
よろしくお願いします! 最初から悲恋&シリアスまっしぐらなので、苦手な人はUターンお願いします。
- Re: 届かない? そんなの最初から分かってる。 ( No.13 )
- 日時: 2009/02/20 19:39
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
ついに、診断から二週間が経った。鈴は主治医の所へ行こうとすると、空き部屋から主治医と看護婦の話し声が聞こえた。
『えっ!? アレ、嘘だったんですか!?』
『何、気付いてなかったの? 「山代さんの診断が根も葉もない嘘」だって』
鈴の眉が少しつり上がる。
『でも、何でそんなこと言ったんですか?』
すると主治医は、信じられないことを言った。
『だって、ああ言っとけば医療費沢山とれるじゃない』
鈴は扉を蹴破り、主治医と看護婦の驚きの視線を浴びた。
「お前ら……!」
低く唸ると、鈴はどこかへ行ってしまった。
その瞬間から、鈴は行方不明になった。
続く
書いてなかったので補足です。鈴の名字は「山代」です。
- Re: 届かない? そんなの最初から分かってる。 ( No.14 )
- 日時: 2009/02/27 20:25
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
鈴はとある橋の手すりに寄りかかっていた。
「雨降りそー……」
曇天を一瞥し、その一言を洩らした。
「ね、そう思いません?」
鈴は『後ろ』を見た。そこには主治医が立っていた。
「い、いや、その……」
「いいですよ、そこで見てて。どうせ『飛び降りる』なんて思っていないんでしょ?」
そう。
鈴はもう橋の向こう側のわずかな足場に立っていた。その橋から川へと飛び降りる気だろう。
主治医は何も言えないまま、その場に立ち尽くしていた。
ついに雨が降り出し、主治医は傘を差したが、鈴はただ雨に打たれているだけだった。
どのくらいそうしただろうか。鈴の服は肌にはりつき、髪からは雨水が滴っていた。
「鈴!」
「鈴っぺ!」
卓と椿が鈴に向かって叫んでいた。鈴は目を見開いたが、すぐに落ち着きを取り戻し、いつもの笑顔になった。
いつの間にか目の前に二人が来ていた。
「おい、どういっ……!」
卓が何か言おうとしたが、鈴が胸ぐらを掴んだところで途切れた。
鈴は顔を上げ、卓を睨み付ける。その目は、涙に濡れていた。
「あんたなんかっ……!」
——大っ嫌い!!
そう叫びたかったのに、どこかでつかえて出てこない。ずっと黙っているのも何だったので、卓に無理矢理キスをした。
「なっ……!」
今度は、椿の方に近付き、椿にもキスをした。その後、耳元で何かを囁いた。
「えっ……!?」
鈴の体が後ろに傾いた。
バッシャァンッ!!
「……鈴っぺ?」
呼びかけても、反応は返ってこない。
「うわあぁあああぁぁあああぁあ!!」
椿の耳には、鈴が先程言った言葉がこびりついていた。
“ねぇ、椿。実はね、椿が前言ってた『双子の姉』ってあたしのことなんだ。黙っててごめんね”
続く
もうちょっとで最終回です。
- Re: 届かない? そんなの最初から分かってる。 ( No.15 )
- 日時: 2009/03/06 19:59
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
鈴が死んだ日から、数ヶ月が経った。春ということもあり、桜が散っている。
無事に鈴の主治医は捕まった。おかげで、椿と卓もいつも通りに過ごせるようになった。
二人は桜の花びらが舞っている道を歩いていた。
突然、椿が思い出したように鞄を漁り、一冊の本を卓に差し出した。
本には『花言葉』と書いてあり、一本の付箋が見える。
「それね、前に先生が鈴から没収した本なんだよ。その付箋のページ、開いてみて」
卓は言う通りに開く。そのページにはチューリップの花言葉が載っていた。
『黄色…実らぬ恋 紫色…不滅の愛』
その行を呼んだ瞬間、卓の息が詰まった。だが、次の瞬間には、卓は大笑いしていた。
「……ははっ! そういう事か、はははっ……!」
しかし、その笑い声は乾いていた。椿は、泣かないと決めたはずなのに泣いていた。
その瞬間、強い風が吹いた。
それと同時に、
——泣いてくれて、ありがとね——
そんな呟きが聞こえた気がした。
さようなら、愛しき二人よ。
これからしばらくは、会うことも、触れ合うことも出来ないけど、
いつかその瞬間が来るまで、
——あたしはずうっと待ってるよ。
オワリ
応援ありがとうございました。次回は後書きです。
- Re: 届かない? そんなの最初から分かってる。 ( No.16 )
- 日時: 2009/03/06 20:12
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
- 参照: ミジンコは紅ジャケになった後、かむかむレモンになりました。
Thank you very much!!
ここまで読んでくれた皆様、ありがとうございました!
さて、この場を借りてお詫びをしなきゃいけないことがあります。
前々回の一番最後に『もうちょっとで最終回です』と書いてありますが、前回が最終回となっています。
……すみません。間違えて『もうちょっと』と打ってしまいました。
『次回』の間違いです。本当にすみません!
気を取り直して、コメントしてくれた皆様、本当にありがとうございました!
次回作も楽しみにして下さい。
Thank you very much!!
転がるえんぴつ
- Re: 届かない? そんなの最初から分かってる。 ( No.17 )
- 日時: 2009/03/06 20:14
- 名前: 乃愛 (ID: /w7jENjD)
ょみました!!めさ感動ゃwwwwww
この掲示板は過去ログ化されています。