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- For Emperor Requiem ご感想お願いします
- 日時: 2009/11/21 13:12
- 名前: 神威 琉瑠 (ID: zCJayB0i)
森羅万象のこの世
限りなくゆきわたる
有象無象
嗚呼、つまらぬ
永久に続く命と力があるのに
妾の望みは永久に叶わぬ
嘆かわしいこの世に
今こそ願おう
今こそ欲しよう
妾の望みを
今こそ叶えてみせよ
- Re: For Emperor Requiem ( No.11 )
- 日時: 2009/09/05 21:59
- 名前: 神威 琉瑠 (ID: zCJayB0i)
第八話;嘘吐き魔女
結局、体調が戻らなかったために
礼は早退することになった
「・・・お腹・・・気持ち悪い・・・」
五臓六腑がかき回されているみたい
胃液が逆流してきそうで、
口元が歪む
「早く・・・帰らないと・・・」
でないとマーシャが何をするかわからない
鉛の様な足を引きずって歩く
「ただいま・・・」
いつもなら、マーシャが出迎えてくれるのに、
馬鹿みたいに大笑いしながら、
<おかえり>って言ってくれるのに・・・
今日はなんだか色々おかしかった
いつも見ている空をみて
****を思い出したり、
マーシャがいなかったり・・・
『何か・・・嫌だな・・・』
そう思いながら自室に向かう
扉が開いていた
光が薄暗い階段を照らしている
『・・・マーシャいるじゃない・・・』
ソッと覗いてみる
何をしていたのか気になった
ほんの出来心だった
けれど、その出来心がいけなかった
『?!』
覗いた隙間が狭かったから、
マーシャしか見えなかったけど・・・
ダレカ、モウヒトリ、イル
マーシャの反対側に白い、手が見える
明らかにマーシャの物ではない
『誰・・・、なにしてるの・・・?』
頭の中で葛藤していると、話し声が聞こえた
それは本当に小さなもので、
途切れ途切れにしか聞こえなかった
「・・・で・・・たの?」
「・・・た。・・・やくも・・・・せて・・・」
「・・・・ね。あの・・・・・・るの?」
「さ・・・・?あな・・・・・・・だ」
「ふふ・・・・・・。・・・・・わね」
何を話しているのかわからなかった
けれど、それに安心している自分がいた
だって、なんだか聞いてはいけない気がしたから
・・・・だけど、運命は残酷なもので、
急に澄んだ声が耳に入ってきた
「良かったじゃない、マーシャ。
やっと生贄が見つかって。」
・・・・・・・・・イケニエ?
何、生贄・・・?誰が?・・・・・・誰の?
「そうそう喜んでもいられないさ。
気付かれてしまったら元も子もないからな」
・・・・私、じゃ、ないよね・・・・
だって、言ったもの・・・・・
マーシャは、私の願いを叶えてくれるって・・・
「本当に。貴女の御眼鏡に適うなんて、不運ね。
何て言ったかしら?その生贄の子・・・」
そうよ、マーシャ言ったもの・・・・
私の願いを・・・・
「・・・・・・礼だったかしら?」
かな・・・・え・・・・て、くれるって・・・・・
「そう、皇 礼だ」
かなえて・・・・・・・
「帝を生贄にできるなんて、良かったわね」
「ああ、本当についていた」
かな・・・・・・えて・・・・・・
「でも、気づいて逃げちゃったらどうするの?」
かなえて・・・・・・くれる・・・・って・・・・
「ふっ。そんなの、決まっているではないか」
かなえて・・・・・・
「殺してやるだけよ。ふふ、ふはははははははは!」
っあ・・・・・・・・
ガタン!!
鞄を落とした音がやけに大きく響いた
「あら。子羊ちゃんが帰ってきたみたいよ?」
「そのようだ。では、また会うとしよう。
ごきげんよう、< >?」
風の音が聞こえた後、扉が開いた
「!・・・どうした礼。早かったな」
一瞬だけ、マーシャの瞳が揺らいだ
「・・・・何してたの?
出迎えがなかったから、また悪さしてるのかと
思っちゃった・・・。何してたの?悪戯?」
そっと、囁くように聞いてみた
「・・・・いや?少々昼寝を・・・な」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・そう。よく眠れた?」
「うむ。中々良い寝心地だったぞ?」
自然な会話、自然な笑顔、
・・・・・・・自然な偽り・・・・・・・
嘘吐きな・・・・私の神様・・・・・・・
貴女は・・・・どれだけ私に、嘘を吐いた?
祭壇に祭られた子羊ちゃん
神様に見染められた、哀れな子
嘘吐き神様、貴女を殺す
だって、神様、魔女だから
- Re: For Emperor Requiem ( No.12 )
- 日時: 2009/09/21 20:49
- 名前: 神威 琉瑠 (ID: zCJayB0i)
第九話;疑わしきは人か己か
あれから、マーシャが信じられない
ずっと、嘘を吐いていた
自由にしてくれると、約束したのに
結局は、神の出来損ないなのか
・・・・結局は、魔女なのか
最近、まともに口をきいていない
・・・・視線すら合わせていないかも・・・
日曜の朝、マーシャが起きる前に出掛ける用意をした
最近色々ありすぎて買い物に行けていないのだ
『マーシャが起きる前に行こう・・・』
少し長めのワンピースを着て、買い物袋を持って
出かけようとする
「・・・・・どこへ行くのだ・・・?」
後ろから聞こえた冷たい声
肩がビクリと震える
振り向くとそこには金色の魔女
すべてが闇の中で、金髪が異色を放っている
「・・・すぐそこのスーパーよ。
マーシャには関係ないでしょう?」
そう言って玄関を出ようとすると
右腕を強くつかまれた
「っ!!!」
「関係?有るにきまっているだろう?」
骨が軋むほどの力で握られる
「契約を結んだ時点で、関係をもった。
ならば契約者の行動を知るのも契約範囲内。
・・・・だろう?」
やっと右腕を解放してくれた
・・・・・ズキズキする
「・・・じゃあ、いってきます」
再度玄関の取っ手に手をかける
しかし、またもやマーシャの声に引き留められた
今度は慈しむような、優しい声で、
「・・・・気をつけて行ってこい。
もうすぐ夏が死に逝く。
そして、冷徹な冬が生まれおちる・・・。
礼、そなたは<春>だ。
決して、冬などに没落するでないぞ・・・」
悲哀を交えた瞳で見つめてくる
・・・胸が締め付けられる・・・
「・・・うん」
マーシャの言葉の意味がわからない
確かに今は9月の下旬だ
夏が死ぬ?冬が生まれる?・・・私が春?
取りあえず買い物を済ませて帰路を急ぐ
あの、マーシャの瞳が気になったから
『・・・マーシャ・・・』
人気の無い道に入った
とても薄暗い、狭い道だ
「ねぇねぇ、お姉さん」
薄暗い道で明るい声が響く
声のした方を見ると、女の子がいた
年は12歳くらい・・・だろうか
髪は綺麗な銀髪、悪く言えば白髪
でも・・・・とても綺麗・・・・・・
瞳の色は燃える深紅の薔薇色
かわいい、というより綺麗な子・・・
「お姉さん、少しだけお話しない?」
急な誘いにしばし考えるが、即答する
「ごめんなさい、待ってる人がいるから・・・」
そういうと、その女の子は口元をにやりと歪ませた
「・・・・・魔女でも待ってるの?」
「え・・・・?」
女の子の言ったことを理解するのに時間がかかった
この子は、今何といっただろうか
「お姉さんってさぁ、すごいよね」
今、私に<魔女>と言わなかっただろうか
なぜ、初めて会ったこの子が知っているのか
なぜ、なぜ・・・・?
「帝の名をその身に携えているのに、
それに相反する魔女を契約者にするなんて・・・
ほんと、お姉さんはすごいね」
唇が震える、足が戦慄く
この子は、一体・・・・・・・・
「でも、お姉さんも結構な存在だよね」
「・・・・どういうこと・・・・?」
その問いに、女の子は答える
「お姉さんは<春>だもの。
帝だけじゃなくって、<春>まで。
稀少な存在だよ、お姉さんは」
・・・・・・・また・・・春・・・・・
私の顔を、ただ少女は
歪な笑みを浮かべたまま、見つめていた
春よこい、早く来い
早く来て、早く死に逝け
冬に凍てつけられて
滑稽な姿を晒しながら、
永遠の春を< >に見せろ
- Re: For Emperor Requiem ( No.13 )
- 日時: 2009/09/22 08:56
- 名前: *銀* (ID: ia9Umcvq)
はじめまして!!
なんかもう、すごいですね☆
こういう系大好きです!!!!!
続き頑張ってください^^
- Re: For Emperor Requiem ( No.14 )
- 日時: 2009/09/23 16:19
- 名前: 神威 琉瑠 (ID: zJordqWS)
銀様ありがとうございます
つたない文ですが頑張ります!
- Re: For Emperor Requiem ( No.15 )
- 日時: 2009/09/23 16:30
- 名前: 神威 琉瑠 (ID: zJordqWS)
第十話;虚無の世界
気がつけば、無我夢中で走っていた
私よりも年下の女の子に、
全てを見透かされているようで怖かった
買い物袋を落としてしまったけれど、
そんなこと、気にしていられない
『マーシャ・・・・・!!!!』
急いで家の玄関に手をかける
「マーシャ!!!!」
玄関の扉を勢い良くあける
その先に待っていたのは・・・・・
「・・・・・・え・・・・・・・・?」
暗闇だった
見渡す先は闇、闇、闇
平衡感覚が無い
前後左右がわからない
なにも、みえない
「マーシャ・・・・何処・・・マーシャ・・・?」
辺りを必死に見回す
マーシャがいないことに、とてつもない不安を覚えた
「返事してよ・・・マーシャ!!!」
腹の底から声を張り上げた
「・・・・・・・礼・・・・・・・・」
後ろから声が聞こえた
いや、平衡感覚がないから後ろかさえもわからない
それでも自分の背後から声が聞こえた
「マーシャ!!!!!!」
勢い良く後ろを振り返った
しかし、そこにいたのはマーシャではなく・・・
「・・・・・・・お母さん・・・・・・」
今は亡き、母の姿だった
青い色は嫌い
だって、青色は
あの時のお母さんみたいだもの
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