ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Shotstory...。 
日時: 2009/12/27 19:44
名前: らりえもん (ID: qc1RdKQl)

これは暗い感じの話ばかりです。意味がわからないのもあるかも。更新はかなり遅めになるかと思います。
他のシリアス、社会問題系の小説とはかなり?違う感じです。



現在在るショートストーリー。


一話。
『「無」と「あった」』(友達とのお題小説)

二話。
『悲惨にも組み込まれた』(友達とのお題小説)

二、五話。
おまけで『「無力」と「無力」』

三話。
『疑心暗鬼①』

四話。
『デッサン人形』

五話。
『猫』

六話。
『冷たい唇』 (お題小説)

七話。
『ペット』(十二月九日更新)

八話。
『明日』 (未完)

九話。
『死に目』

十話。
『リストカット』

十一話。
『母の愛』

        <お知らせ>
*今週から来週中に八話「血」を更新予定。
若しくは同じく八話、または九話として「明日」を更新する予定です。
前者はおかしい感じ。後者は悲しい感じです。
最近は自分ではあまり納得のいくものが書けてはいません・・・orz。

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Re: Shotstory...。 「明日」 ( No.13 )
日時: 2009/12/10 14:47
名前: らりえもん (ID: qc1RdKQl)

明日を作る。

明日があるさ。

明日を探そう。

こんなフレーズ、どこかで聞いたことがあるよな。

明日を作る、明日があるさ、明日を探そう。

でも、明日なんて誰にでも平等に訪れるはずだ。

時が経つのだって。

世界中の何処へ行こうが、

同じように時間は過ぎるのだから。

大体「今日」という日に、

「明日」を作ることなんてできないだろう?

それは、「昨日」も、「過去」も、同じだ。

明日なんて時が経てばその内来るのだ。

探す必要もない。

「明日」が永遠に来ないなんてことはない。

なんでこんなフレーズがあるんだろうな。

矛盾しているのにな。

っていうか俺、なんでこんなこと考えてんだ?

ガラでもねぇ。

・・・まあ、どうでもいいか。

「おい、何ボーッとしてんだよ。もう酔っちまったのか?」

友達が麦酒缶片手に俺に声をかける。

「あぁ? このぐらいで酔うかよ。
ちょっと考えごとしてたんだよ。」

友達はそれを聞いて、目を丸くすると、笑い出した。

「お前が考え事なんて、
今夜あたりUFOでも来るんじゃねーの? あはは!」

「んなわけねーだろ! やなヤツ〜!」

友達を笑い合って、酒を飲む。

酒が好きな俺は、こういう時間が一番幸せだ。

面白くて、楽しくて、なにより美味い。

そして、俺達は朝まで飲みまくった。





昔のことを思い出していた。

今までの俺の短い人生で一番楽しかった時。

あの友達は、今でも俺を訪ねてきてくれる。




途中です。

Re: Shotstory...。 第九話「死に目」。 ( No.14 )
日時: 2009/12/22 23:08
名前: らりえもん (ID: qc1RdKQl)

トイレから出ると、電話が鳴っていた。

面倒だが、しつこく鳴っているので出るしかない。

「はい、もしもし?」

「明君!? 大変なのよ! 落ち着いて聞いて———・・・。」

従妹だった。何か、緊急の用事みたいだ。なんだろう?

「——明君のお母さんが、危篤状態なのよ!」

・・・なんだって? 母さんが、危篤・・・!?

「なっ、なんだよ、それ! 母さんは今どうしているんだ!?」

「今世田谷病院の三○六号室にいるわ。今夜が峠だって・・・早く行ってあげて!」

俺は世田谷病院へ向かった。

車を、とばす。

信号無視も、スピード違反も、関係あるものか!

母さんが死ぬかも知れないのだから。

母さん・・・生きててくれよ。

俺、母さんのことが大好きなんだから。

生きてくれ。

「そこの世田谷○○! 信号無視、スピード20kmオーバーです! 早く止まりなさい!」

警察だ。ファンファンと、うるさい。

「クソッ・・・黙れ! こっちは急いでいるんだ!」

「早く止まりなさい!」

・・・・・・こうなったら———。

俺は止まり、誘導される方向に車を止めた。

割と、人気のない駐車場。

その途端に、二人の警官がこちらに来る。

「免許証を出しなさい。それからキップを切るので・・・。」

その後の警官の台詞は、叫びだけだった。

いや、呻き声も。ただ、それだけ。

俺は車内に子供のために買って、置き忘れたままだった金属バットを手に、警官めがけて突いた。

警官が、壁に当たる。

俺は、バットを上から振り下ろした。

二回、思い切り振り下ろした。



「・・・手間どらせやがって。無駄な時間だ・・・! 
早く・・・早く行かなきゃ!」

俺は、再び車を走らせた。病院へ。母さんのところへ。



三階・・・三○六号室は、こっちだな!

階下から、激しい足音が聞こえた。

だが、そんなのは気にならなかった。

それどころではないから。

「どうやら峠は越しましたな。いや、良かったです。」

「本当に、良かったわ・・・!」

「まだまだ長生きをしてくれよ。」

「当たり前・・・よ。わたしゃまだまだ元気なんだから・・・。それより、明に会いたいよ・・・。そうするともっと元気になると思うねぇ。」

「もうすぐ、来ると思うわ。そうだ、電話しなくちゃ。」

どうやら、母さんは元気になったみたいだ。

良かった・・・。

早く、顔が見たい。久しぶりに。

足音は、近くなっていた。

「母さん! 大丈夫か!? 俺、本当に心配して———・・・。」

「きゃああああっ!?」

「あ、あき、ら・・・!」

母さんは、こちらを見て驚いた顔をしていた。

こんなに早く来るとは、思っていなかったのだろうか。

なんにせよ、生きててくれて———・・・。

「取り押さえろ! 早くしろ!」

後ろから、腕を掴まれた。

もう少しで、母さんに届きそうなのに。

「大変だ! 心臓が・・・早く心臓マッサージを!」

「はい!」

医師と看護師の、切羽詰まった声。

従妹の、青ざめた顔。

兄の、血の気の引いたような顔。

母さんの、閉じた目。

「母さん!? なんでだよ、俺、今来たばかりじゃないか! もっと話がしたいよ! さっきまで元気そうに話していたじゃないか! なんで———。」

「あ、明君・・・その、血は・・・。」

血? 血なんかどうでも良い! 母さんが・・・。

そのとき、電子音がした。か細く、高い音で。

「・・・お亡くなりになりました。原因は、ショック死かと・・・。」

「なんで———・・・。」

病室には、彼の悲痛な叫びだけが響いていた。



(*解説。彼がバットを使用した時、警官二人の返り血がついたと思われる。その血を見て、母が驚きショック死したと思われる。まだ、体力が戻っていなかったからか。
彼が愛す母は、彼によって殺されたことになるのだろうか。)

Re: Shotstory...。 第十話「リストカット」。 ( No.15 )
日時: 2009/12/24 18:15
名前: らりえもん (ID: qc1RdKQl)

追い詰められたら、結構やる人多いんじゃないかな。

リストカット。

理由なんて、みんな違うけど。

自分が生きている気がしないから、自分を痛めつけて、血を見て、生きているって実感するために。

血を見て、一種の陶酔感を得て現実から目をそらしたいがために。

私はこんなに大変なの、だから助けてって、言いたいのに言えない表れ。

色々、理由があると思う。


死ぬために、手首を切る。

生きるために、手首を切る。

目的は違うけど、やることは同じ。

もう何度も、何度もした。

理由も、目的もわからぬまま、ただ、それが救いのように思えてきて、何度も、何度も・・・。

薬も飲んだ。睡眠薬を大量に飲んだけど、死ななかった。

すぐに、吐いちゃうんだもん。

体中を掻き毟ったり、包丁で手を刺したり。

もう、限界。

そろそろ、お迎えがくるのかな。

彼氏から貰った、ぬいぐるみ。

血で、汚れている。


毎日、毎日、メール。

毎日、毎日、無言電話。

もう嫌だって思ったら、いつの間にか、首を吊ろうとしていた。ただ、衝動的に。

苦しかった。

息が苦しくて、どうにもできなくて、意識が薄れてきて。

下はぐしゃぐしゃになっていて、柔らかい絨毯も汚れちゃって、目玉も出ちゃって。

首には、縄の跡。

真新しい、縄の跡。

部屋には、真新しい、死体が一つ。

その下には、かわいらしい、ぬいぐるみが一つ。



俺があげた、ぬいぐるみが一つ。

カメラと盗聴器が仕込んである、ぬいぐるみが一つ。

まさか、もう死ぬなんて。意外に早かったな。

俺は、カメラの記録をパソコンで、見る。

何度も、何度も、再生する。

彼女が、じわじわと俺に追い詰められて、血を流す。

俺の手で、彼女が死んでいく様。

なんて、楽しいんだろう。

これで、何回目だろう。再生したのは。

これで、何人目だろう。俺が追い詰めたのは。

これで、何本目だろう。俺の自慢のコレクション。

俺は、殺しちゃいない。

ただ、追い詰めただけ。

ただ、仲良くして、大事なものを奪って、振っただけ。

ただ、俺は電話やメールをしただけ。

でも、なんて愉しいのだろう。

何度やっても、飽きない。

俺が人の生き死を、操る感覚は。





(*解説。彼は彼女に近づき、仲良くなると可愛らしいウサギのぬいぐるみをあげました。
その中に、カメラと盗聴器が仕込んであることにも気が付かずに。
彼と彼女は、かなり親密な関係になりました。
その後、彼はいきなり彼女と別れを告げました。
彼女が落ち込んでいると、電話がかかってくるようになりました。知らない番号。悪戯電話。メールも来るようになりました。知らないアドレス。
お前を見ている、と。彼女がすること為すこと全てが書かれており、それは当たっていました。ぬいぐるみに仕込んであるものから、見ているのでしょう。
彼女は怖くなり、段々と、追い詰められていきました。彼女はとうとう自殺をしてしまいました。)

Re: Shotstory...。 (第十一話「母の愛」) ( No.16 )
日時: 2009/12/27 19:44
名前: らりえもん (ID: qc1RdKQl)

「もう、ちーちゃんてば・・・ほら、マフラーと手袋しないと、寒いわよ。」

母が、俺を気遣って、マフラーと手袋を渡す。

確かに、外は寒いだろう。

でも、いらないんだ。

「ありがとう、母さん。でも、大丈夫だよ行ってきます!」

「あっ・・・。」

俺は母の言葉も聞かずに家を飛び出した。

だって、今日は友達との約束があったから。

早く、家を出たかったんだ。

友達と映画に行き、買い物をした。

家に着いたら、母さんが俺を待っていた。

「今日は寒いから、風邪をひかないように温かいお鍋にしたの。美味しいわよ〜。」

「うん、美味しそうだね。」

洗面所に行って、手を洗う。

鏡を、じっと見つめ、俺は複雑な気持ちになった。

俺の顔を映す鏡を、この手で割ってやりたかった。

でも、それはできない。

リビングに戻ると、もう既に夕飯の支度は終わっていた。

「ちゃんと食べてね〜。腕によりをかけたんだから!」

母さんはそう言って微笑む。

本当に、優しい母さん。

自慢ができる、母だと思う。

俺はテレビに視線を向ける。

テレビでは、子供が親に傷づけられて、精神病にかかるだとか、そんな真面目な番組が流れていた。

VTRもスタジオの空気も、少し重そうだった。

「全く、大事な子供を傷つけるだなんて、信じられないわね!」

母が、眉間に皺を寄せて怒っている。



一番その大事な息子を傷づけているのは、お前のくせに。

俺の本当の母親を殺したのは、お前なのに。

ああ、俺の顔は資産家の息子の顔、忌々しい。

ああ、俺とお前の顔は全く似ていない、ああ、それだけが救い。



(*莫大な財産目当てで義母は母を殺したという話。
オチが上手くいかなかった。)

Re: Shotstory...。 『階段』 ( No.17 )
日時: 2010/03/20 22:08
名前: らりえもん (ID: luklZ16E)

俺は今、エスカレーターに乗っている。

楽だ。

周りの奴は、ほとんどが階段で。

大変そうだな、自分であがるなんて。

「馬鹿だな。」

そう呟いた。

相手に聞こえていたみたいだけど、相手は少し眉根を
ひそめただけで、大して気にもしていないようだ。

それどころか、その口元は笑っているようにも見えた。

下の方を見ると、何人かの子供はエスカレーターに乗っていた。

俺の普段の視点では、俺以外の奴は、ほとんどが階段だ。

ひとり、エスカレーターの奴もいるが。

そいつの顔は、階段の奴を嘲笑うどころか、ひどくうかない顔をしていた。

なんでだろう?

まあ、どうでもいいか。

楽だし。

しばらくすると、もうひとりのエスカレーターの奴が、動いた。

どうしたんだ?珍しいな。

そう思った途端に、あいつはエスカレーターから落ちていった。

「あっ・・・!」

そうして、エスカレーターとともに消えていった。

「・・・・・・。」

何も言えなくて、とりあえず冥福を祈っておいた。

また周りの奴を見ると、いつの間にかいなくなっている奴がいたリ、
エスカレーターに変わっていたり、高級そうな身なりになっていたり。

なかなか、見ていて面白さがある。



しばらく経った、ある日。

エスカレーターが、急に止まった。

「あれ? おい・・・動けよ、おいっ!!?」

動かない。いくら地団太を踏んでも。

周りの奴は、また階段を昇っていった。

冗談じゃない、今まで楽をしてきたのに!

今さら、階段に乗り換えるだなんて!!

・・・しばらくしても、やはり動かなかった。

やっぱり、自力で登っていくしかないか。

仕方がない。

そう考えて、階段を登ろうとした。

登れない。

なんでだ!?

くそ!くそッ!!くそおおおぉおッ!!!


・・・そうか、俺、今まで自分で上がったことなんて、なかったっけ。

エスカレーターの下を見ると、両親が倒れていた。

動力源が、もうないから。

動かなくなった。

今まで、それだけに頼って楽をしてきたから。

動けなくなった。

俺は、階段を自ら落ちた。

ああ、そうか。

なんであいつが落ちたのか、わかった気がする。

自分に、絶望したからだ。

なんで、あいつらがなにを言われても笑っているように見えたか、わかった気がする。

俺が、馬鹿だったから。

俺が、自分が笑われる存在だって、どこかでわかっていたからだ。

もうすぐ、エスカレーターの下。

下には、愛しそうな、恨めしそうな、両親の声。

誰か、手を伸ばしてくれ。

誰でも良いから。

誰か・・・・・・。

階段の一人が、笑った。

ひどく醜く、俺を嘲笑っていた。






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