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ファンタジー・ワールド!
日時: 2009/10/30 15:35
名前: 魔女 (ID: ZQ92YvOU)

ただいま新型インフルエンザにかかっております、魔女です。

暇なので書いてみようと思ったのですが……。
よければ読んでください♪

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Re: ファンタジー・ワールド! ( No.15 )
日時: 2009/11/02 19:42
名前: 魔女 (ID: ZQ92YvOU)

久々に書きます。
やっとインフルが落ち着いたので……。




 そうやって俺達が話していると、モンスターはさらに怒ったように暴れ始めた。巨大なしっぽを地面に叩きつけると、まるで地震が起きたかのような揺れができた。

「どうすんだよ!?俺じゃ無理だって」

「無理無理って、一回くらいやったらどうなのヘッポコ弱虫!」

 へ、ヘッポコ弱虫……。

「いいよ!やればいいんだろう!」

 俺はとうとう、剣を引きずりながらモンスターに向かった。

 なんとか剣を持ち直し、モンスターに切りかかる。肩から胸までをパックリ切った。

「うわぁ!」

 するとモンスターは、さっきよりさらに暴れた。ゼェゼェと喘ぐ俺を、大きなこぶしでひっかく。瞬間的に剣で防ぐことなどできない俺は、腕をざっくりやられた。それほど深くはないが痛い。

「うぅ……」

 動けなくなった俺は、どうすることもなく、嬉しそうに鳴くモンスターを見上げた。

 これまでか——そう思ったときだ。

「もう大丈夫よ!」

 アリスが遠くから叫んだ。なんだ?と思うと、地面にあの時を同じ、白い線が描かれている。

「魔法陣から出てぇぇぇ!」

 ハッとして、ズリズリと魔法陣から出た。魔法陣の中には、モンスターだけだ。そんなことも気づかず、俺を完璧に捕らえたと思い込んでいるモンスターは、耳まで裂けた口で笑った。

 そして、遠くでアリスが杖で地面を叩いた。線が輝く。アリスが何か唱えていたが、聞こえなかった。すると、その瞬間にモンスターが吹き飛んだ。ドォォンと、あの時と同じ音だ。そして、モンスターの正面にいた俺は、モンスターの血しぶきや肉片をまともに食らった。

 ボーゼンとする俺。あんな巨大なモンスターを、一撃で、倒した。あんな、女の子が。モンスターは、跡形もなく、吹き飛んでしまった。魂も一緒に。

「いやぁ、ゴメンよ〜。かなり派手にやっちまったよ」

 そうやって笑うアリスは、モンスターを殺すときも、なんのためらいもなく殺した。あの時、笑って、と俺が言ったなら、笑顔でモンスターたちを殺すのだろう。

「——大丈夫?爆発で脳みそ吹き飛んだ?」

「吹き飛ぶかよ。腕を少しやられたが、それよりこの気持ち悪い物体どうにかしろよ」

 顔に垂れてきた肉片を睨みながら俺は言った。

「腕は、あとでゆっくりやるよ。まずは、綺麗にしなくちゃね」

 そう言うと、アリスは杖を俺に向けた。こうされるとちょっとビビる。

 杖から強い風が出たかと思うと、ブワッと、紫色の血も、肉片も消し飛んだ。

「言うの忘れてたんだがが——」

 俺は切り出した。

「ありがとよ。助けてくれて。お前がいなかったら、俺は殺されてた」

 アリスはクスッと笑った。

「今さらだね」

 その様に、俺もつられて笑った。二人で笑う。

 コイツが恐ろしい魔女でも、魔女でなかろうとも、どちらでもいいんだ。たしかに魔女は怖い。けど、なにも知らないで恐れるより、少しコイツといたら、なにか変わるかもしれない。

「さぁ、あとは傷——」

「驚いたな」

 うしろから、低く不気味な声が聞こえた。さっ、と身構える。

「まさかとは思い、着てみたが——」

 木の陰から、男が出た。黒いローブを頭から深くかぶっていて、顔が見れない。

「こんにちは、アリス。わが妹よ」

 それと同時にフードを取る。アリスが息を呑む音が聞こえた。

「お兄様——」

「えええぇぇ————っ!!!!」

Re: ファンタジー・ワールド! ( No.16 )
日時: 2009/11/02 20:31
名前: 魔女 (ID: ZQ92YvOU)

 男は、短く切った紙を、緑色に染めていた。顔は傷だらけで、今まで何回も戦った事があるのだろう。すごく不気味だ。

「ほぉ、お前のようなバカ妹も、私のことを覚えておったか……」

「レン、逃げて。あの人は私の兄 クラウスよ」

 アリスが小さく言った。

「な、何言って……」

「いいから、早く!」

「何をボソボソしゃべっておるのだ?」

 クラウスはイライラした様子で言った。

「別に、何もないですわお兄様」

 アリスの言うことを聞こう。そう決め、ゆっくりと俺は下がった。

「こうやって話すのは久々だな、アリスよ。うん?兄と話せて嬉しいか」

「まさか、そんなことあるとお思いなんですの?」

「フフッ」

 他愛ない話だが、かなりさっきが見える。おぉ、怖い。

「貴様、まだあんな寝ぼけた事言っておるのか」

「寝ぼけているのはどちらです?復讐に気をとられ、心を失ったのはお兄様方です。復讐などしてどうなさるおつもりですの?」

 するとクラウスの目が大きく見開き、赤く輝いた。

「黙れ!!お前だって人間に裏切られたのに、なぜそうしていたれる!私が人間を殺すのは、復讐ではない!誇りだ!魔法族の誇りをかけて、人間どもにこのままバカにされるような魔法族ではないのだ!なのに貴様は何だ!?今さら復讐するなと!?この何千年間、魔法族がどんな思いで魂を保っていたと思っておる!貴様は魔法族の恥だ!そこの小僧!!」

 いきなり話がこっちにきたので、俺は飛び上がった。ゆっくりゆっくり下がっていたのに、バレてたか……てか、バレるよな、普通。

「小僧もアリスの仲間だな……二人一緒に殺してやる!!」

 うそぉぉぉ、待って、兄妹だろぉ、仲良くしろよ。なんて俺のツッコミはむなしく、クラウスは襲い掛かってきた。

Re: ファンタジー・ワールド! ( No.17 )
日時: 2009/11/02 22:16
名前: 魔女 (ID: ZQ92YvOU)

コメントが少ないのが悲しいが……頑張ります!



「くっっ……」

 クラウスはアリスの兄ながら、かなり強かった。火を吹く上に、右手を刃に変えて、攻撃してくる。あの剣を持って動くだけでかなり鈍くなるのに、クラウスからの攻撃を避けるのはつらい。こっちから攻撃するのは不可能に近い。

 アリスも必死に抵抗していた。

「水の精霊よ……我を守れ!」

 ザパァンとアリスの前に波の様に水が立てになる。

「冷却!」

 アリスがそう言うと、水は氷になる。そこにクラウスが襲い掛かる。

「守るだけじゃ何もならんぞ!?」

 ブォォ、と息が炎になり、氷を溶かしてしまった。そして刃となった右手で、アリスを切りかかる。

 しかしアリスも、そう簡単には、やられない。さっとしゃがんで避けると、クラウスの足を蹴った。あっと、クラウスがよろける。その瞬間に、アリスが5歩下がった。

「あいかわらず……ですね。お兄様?」

 アリスがゼェゼェ言いながら、言った。

「貴様に兄と呼ばれる筋合いはないぃぃ!」

 大きく刃をアリスへ振る。

「こうしてても埒が明かぬ……」

 クラウスはいきなり俺のほうへ近づいた。力を出し尽くした俺は、逃げる事も出来ず、クラウスを睨む。

「なぜお前はそれほどアリスを恨む!アリスは何もしてないじゃないか!お前と考え方がちがくて何が悪い!お前こそモンスターだ。恨むなら俺を恨め!」

「黙れ黙れ!小ざかしい人間が!」

 そして、なにか唱えると、地面から太いツタが伸びて、俺の体に巻きついた。

「くっ」

「レン!」

 アリスがハッとした。

「彼は関係ないわ!放してあげてよ!」

「貴様が私に命令するなぁ!」

 そうしている間にも、俺の体は高く高く持ち上げられていく。そしてグイグイ体を圧迫された。

「くそぉぉ……」

 俺は何もしてやれない。逃げる事も、戦う事も。
 
 それでも男かよ!情けない!

 下では、アリスがツタを切ろうと頑張っていた。が、ツタはかなり硬い上に、クラウスに弾き飛ばされる。

「ハハハハハ!そこでじっくり小僧の体が引きちぎられ、バラバラになるのを見るがいい!」

「ヤダ!レンは何もしてない!逃がしてよ!」

 その様を、クラウスはさも嬉しそうに笑った。

「さぁ、貴様も終わりだ。そして、人間への復讐がはじまる」

 すると、目にも止まらない早さで、クラウスの刃は振り下ろされた。アリスの肩からザックリと、刃は振り下ろされた。

「うぅ……」

「ア、アリス!」

 アリスはしゃがみこんだ。血だけがアリスの周りを広がっていく。
 
 俺は頭の中が真っ白になった。

 俺は無力だ。

 俺は弱い。

 何も出来ないのか?
 
 誰も守れないのか?

 強くなるんだ。

 守るんだ。
 
 アリスを守るんだ。

 頭の中で、誰かがささやいた。

 《行け。誰かを助けたいと言う気持ちが力になる。それは、なによりも強いはずさ。》

 俺の中で、何かがはじけた。

「うおぉぉぉぉぉ!!」

 俺が力を入れると、ツタは簡単に砕け散った。

「何!?」

「……レン……」

 スタッと地面に立つと、俺は剣を握った。それはいつもの錆びれた剣ではなく美しく輝く大きな剣だった。体中が熱くなる。剣は重たくもない。ブン、と一振りすると、大きな砂埃が出た。

「き、貴様一体なにをした!?」

 戸惑うクラウスに俺は切りかかる。クラウスが右手の刃を出そうとするが、その前に俺はその右腕を肩からザックリ切り落とした。

「うわあぁぁぁ!!」

 驚きと戸惑いと恐怖の顔で、クラウスは叫んだ。

「レン……?」

「大丈夫か、アリス」

 傷は深かった。血が、すごい。

「貴様……よくも……っっ!!」

 腕をなくしたクラウスは、また口から火を吹いた。が、俺は剣を前に出しただけで、火は消えてしまった。

「立ち去れ。俺の前からもう現れるな」

 そして、刃を構え、クラウスにとどめの一発を指した。グッサリと胸元から、しかし、少しずれて、クラウスは残った魔力で消えた。

「終わった——……」

 そう思った瞬間に、俺は目の前が真っ暗になった。

「レン————!!!!」

 アリスが最後に、そう叫んだのが聞こええた。

Re: ファンタジー・ワールド! ( No.18 )
日時: 2009/11/03 08:08
名前: ベアラー (ID: ImGaYTGg)

レンとアリスの会話が面白いですね。

更新頑張ってください。

Re: ファンタジー・ワールド! ( No.19 )
日時: 2009/11/03 19:37
名前: 魔女 (ID: ZQ92YvOU)

ベアラーs、ありがとうございます。
そ、そぅですかねぇ……なはは。



——6章——


「——レン!レェン——!」

 誰かが俺を呼んでいた。

「レンったら、レン!」

 うるさいなぁ。もう少しゆっくり寝かせろよ……。

 そう思ったとき、いきなり顔に激痛が走った。

「!?た、たらい!?」

 俺の顔面に直撃したのは、お笑いでよくあるあの鉄のたらい。

「あ——!レン!生きてる??」

「死んでるって言ったら?」

 叩き起こされて、俺がイライラしながら言ったら、アリスは、

「死んでたら、食う」

と言った。

「!?」

「あはは、ジョークだよ。ジョーク。まぁ、何はともあれ、生きてて良かった」

「ジョークはジョークでもブラックジョークだな。俺はともかく、お前は大丈夫なのかよ」

「はっはっはぁ!魔女はそう簡単には死なないのだ——!」

 半分ガッカリしながら、俺は苦い顔をした。ほぼ、不死身だな。

 俺が立とうとすると、全身に痛みが走った。

「うっ」

 そう言って、また倒れこむ。

「ダメダメェー。全身の筋肉使っちゃったから、力を入れるとキツいよ〜」

「なん…で、全身なんか使って…ねぇのに」

「私が聞きたいわよこのボケナス。いきなり「へーんしーん♪」的な事しちゃって」

「だ、誰が変身なんて!」

 俺が立ち上がろうとすると、また痛みが走った。

「まぁ、助けてくれた事には、お礼を言うよ。強かったじゃない。その剣だって、ホラ」

 剣はあの時のまま、美しく輝いていた。錆びれてなどいなかった。

 軽く握ってみる。重たくない。

「嘘!?」

「本当」

 にっこり笑って、アリスが言った。

「おめでとう。もう、あんたは弱くはない。戦えるんだ」

 そして、一間置いて、

「もう、、ヘッポコ弱虫って呼ばないよ」

 と言った。

 ヘッポコ弱虫……励ましのつもりだろうが、どうも引っかかるなぁ。


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