ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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DISSOLVE STORY(七魔将キャラ土属性募集1人限定
日時: 2009/12/26 23:17
名前: はせピン (ID: HnQQx7lG)

書いていた小説が削除されていましたがバックアップ用のがあったので全て追加します。


小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274


キャラクター紹介

名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」

キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)

名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」

ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)

名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」


名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」

名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。



七魔将キャラ

募集スレ>>24
七魔将についてお知らせ>>61
《ネレイド》チャーム>>25(キャラ提案者:haru様)
《名称未定》アリアス>>27(キャラ提案者:のんびり様)
《光を出す死神》ユキ>>37(キャラ提案者:みちる君様)
《神炎》ギリア>>40(キャラ提案者:珠凛様)
《月光の喪壊》ライル(シャロウ・M・ライル)>>50(キャラ提案者:椿薔薇様)

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episode10「聖女救出依頼」 ( No.11 )
日時: 2009/12/06 16:02
名前: はせピン (ID: LTX6Bi5r)

兵士の言葉にギルドにいた者全員顔を向けた。

「誰に攫われたんだ?」
「邪教団だ!奴等は聖女様を誘拐して何かをしようとしている!何をするかは分からないがギルドにも助っ人を頼みたい!!」
「分かった。この依頼のボトルレベルは“ウォッカ”にしておこう。」

マスターは落ち着いた様子でそう言った。

「集合場所は都市入り口前だ。私は聖騎士団(ホーリナイツ)の隊長に報告しに行く!では!!」

兵士がそう言うと酒場を出て行った。
途端にほとんどのギルドの者が立ち上がってマスターに駆け寄った。
キースも立ち上がり、マスターに寄る。

「ねぇ、キース。聖女様を助けるの?」
「目的はそれだけじゃないがな……」

キースの言葉を聞いたファーナは首を傾げる。
そしてキースの番になるとマスターは目を細めた。

「お前さんも聖女救出依頼を受けるなんてお人好しだな。」
「別に人助けじゃない。この依頼の報酬に期待できそうだからな……」

キースの話を聞いたマスターは笑い出した。

「ははは、そうか。だが依頼を引き受けたのは3人だがな。」

マスターの言葉にキースは内心驚いた。
数十人いた筈のギルドの人間が3人しか引き受けない事に……

「まぁ、私はギルドの受付人として付き添えだけどな。それでは行こうじゃないか。」

二人はマスターと一緒に酒場を出て都市の入口の前に向かった。
辿り着くとそこには馬車と兵士、そして隣には金髪で青色の瞳、そして白い鎧を着ている男性がいた。

「ギルドの方ですね。私は聖騎士団(ホーリナイツ)の騎士隊長アルクゥです。」

聖騎士団隊長アルクゥはマスターと握手を交わす。

「それでは今回の依頼について話そう。」

握手を終えてアルクゥは依頼の説明を始めた。

「先程、兵士が言った通り。邪教団に捕らわれた聖女様の救出。」
「だが、どうしてアンタ等騎士団が隊長しか参加しない?」

赤髪で赤い瞳、そして背中に大剣を持った男がそう言った。

「大人数で侵入すれば、犠牲者も多くでる。だが少人数で侵入すれば奴等にバレる確率は少ない。」
「成程な……」
「邪教団のアジトの場所は我等聖騎士団の密偵のお陰で見つかった。後は我々が攻めるだけだ。」

アルクゥはそう言って兵士に顔を向けると兵士は頷いて前に出た。

「以上だ。何か言いたい事はあるか?」

兵士の言葉を聞いて一人の男が手を上げた。
スキンヘッドの大男……

「何故、ガキをこの依頼に引き受けさせるんだ?足手まといだろう?」

大男はキースとファーナの方に指を指しながらそう言った。

「ほぅ、外見だけで判断するとは貴様も大した奴ではないな……」
「何だと!!」

大男は棍棒を片手に持ってキースに振り下ろす。
当たる瞬時にキースはその場を消え、大男の後ろに立った。

「どうした?大きい体をしときながらその程度か?」
「ぐっ、おらあぁぁぁぁ!!!!」

キースの挑発に乗った大男は棍棒を横に振り回すがキースは避ける。
そして大きな隙が出来た途端、右手に小型剣を持って大男の首の前に出した。

「勝負あったな……」
「くっ……」

一歩でも動けば、小型剣で大男の首を取ろうとするキース。
大男は棍棒を床に落として項垂れた。

(デイブを負かすとはあのガキ、相当の実力者だな。)

赤髪の男はキースに顔を向きながらそう心の中で呟いた。

「喧嘩をするのはよくないが勝負は決まった事だ。それでは全員馬車に乗るんだ。」

アルクゥの命令で全員馬車に乗った。
そして兵士が掛け声を出すと馬達は走り出し、進みだした。

「…………」
「どうしたファーナ?」

震えているファーナに声を掛けるキース。

「あ、怖くて……」
「大丈夫だ、どんな事があってもお前を守る。」
「ありがとうキース……」

キースの言葉にファーナは微笑んでそう言った。

「…………」
「どうしたガラハド?」

キースを見ている赤髪の男ガラハドに大男デイブは声を掛けた。

「あのキースって奴が気になってな……どうもあの実力は尋常じゃねぇって思っただけだ。」
「実力は強くとも邪教団のアジトではどうなるかが問題だけどな……」
「甘く見るなよデイブ……もしかすると報酬を横取りされるかもしれねぇからな……」

キースとファーナに聞こえぬ様に会話をする二人。
その時、馬車が止まった。

「着いたぞ!」

兵士が声を出すと馬車の中にいる全員は出た。
そして邪教団のアジトを見る。
大聖堂の様だが廃墟で崩れそうな状態になっていた。

「ここが邪教団のアジトか……」

キースは邪教団のアジトを見てそう呟いた。

「聖女様は必ずこの中にいる筈だ。頼んだぞ!」

兵士がそう言うと全員入る場所を探す。
キースは扉の前を通り過ぎていく。

「キース、どうして入らないの?」

扉を開けて入らないキースに首を傾げて問うファーナ。

「こういう入口が複数ある建物は大抵罠があるからな。」
「わ、罠?」

ファーナの恐る恐るの言葉にキースは頷いた。

「だから、隠された入口を探そうとしているんだ。」
「ほぅ、アンタが俺より年下って言うのにそれほどの警戒心までもあったとはな……」

後ろから声がし、振り返る二人。
そこにはガラハドがいた。
ファーナを庇うように前に立って剣を抜こうとする。

「おいおい、そんなに怖い目をするなよ。俺は知ってるぜ、ここのアジトの隠された入口をな。」
「何だと?」

ガラハドは壁の前に立つと大剣を抜きとり剣の柄で壁を叩くと壁は粉々になり、人が一人入れるような入口が姿を現した。

「ここが奴等にとっての隠しだ。他にもあるようだがそれも罠だと思ったからな……」
「…………」
「そんなに睨むなよ。それより入るのか?」

姿を現した隠された入口の方に指を指しながら尋ねるガラハド。

「俺がそれほど人に頼る奴だと思っているのか?」
「思っちゃいないさ。ただ俺はアンタ等に報酬を横取りされたくないからな……」
「つまり、お前等は俺達を誘って盾にする気だろう?」

冷酷な瞳でガラハドを睨みながらキースはそう言った。
ガラハドは睨みを気にせず……

「行かないならいいぜ、俺はデイブの奴と入るからな……そっちは大変だろう?」

ガラハドは嘲笑するかの様に笑いながら、ファーナに一瞬顔を向けた。
ガラハドの言葉に気付いたキースは睨みを消し……

「分かった。お前等と一緒に行動しよう。」
「流石、話が分かりやすいな……おい、デイブ!」

デイブを呼ぶガラハド。
呼び声に気付いたデイブは三人に駆け寄ったがデイブはキースとファーナを見た途端表情が変わった。

「何故、ガキ二人がいる?」
「共に行動しようと思ってな……」
「何を考えているガラハド!」

否定するかの様な言葉を放つデイブ。
その時、ガラハドは殺気が混じった睨みでデイブを睨む。
デイブはガラハドの睨みに驚く。

「分かった……賛成だ。」
「それじゃあ、行こうじゃねぇか。」

四人は隠された入口へと入って行った。

episode11「邪教団アジト」 ( No.12 )
日時: 2009/12/06 23:09
名前: はせピン (ID: NSVLab2D)

邪教団のアジトに侵入する四人。
しかし、入った途端に物凄い臭いが漂っていた。

「この臭いは血と死臭だな……」
「恐らく、俺達よりも成り行きで来た奴が餌食になったんだろうよ。」

臭いの正体を言う、ガラハドとデイブ。
しかし、二人よりも先にキースの方が早くも分かっていた。
キースはファーナに顔を向けた。
ファーナは慣れない臭いと同時にアジトに充満している為、吐き気がしたのか口元を押さえていた。

「そっちの娘には待ってもらった方がいいんじゃないか?人の死体とかあるかもしれないってのに……」
「い、いい。私は大丈夫だから……」

震える声でガラハドに言うファーナ。

「ま、嫌になったら戻らせてやるさ。」
「ガラハド!俺達はそんな事をしてる暇じゃ……」

怒鳴るデイブ。
しかし、ガラハドの殺気混じった睨みによって大人しくなった。

「あの聖騎士はどうしたんだ?」
「騎士の性格によっちゃあ、ほとんどの奴が正面から通るだろうけれど、あの騎士は只者じゃねぇからな。大方、俺達と同じ隠し入り口でも探してるんだろうよ。」

キースの言葉を聞いたガラハドはアルクゥの事を話す。
邪教団のアジトに着いてからアルクゥとは一度も話していない四人。
着いた途端にアルクゥはアジトの捜索に行ってしまっていたのだ。

「む?鍵が掛かってるぞ……」

デイブが次の部屋に進もうとドアノブ掴んで開けようとするが文字通り鍵が掛けられていて開かなかった。
デイブの話を聞いたガラハドは背中の大剣を取り出した。

「デイブ退け。」

ガラハドがそう言うとデイブは離れる。
ドアの前に立ったガラハドは大剣を片手で縦に振り、ドアを斬った。

「どうせ、鍵は奴等が持ってるんだ。壊せば問題なんてねぇさ。」

そう言って壊れたドアの破片を片付けて次の部屋に向かって行った。

「ファーナ、そう言えばお前に一つ言いたい事がある。」
「何、キース?」
「あの工場でお前が俺の傷を治した力は奴等の前で見せるな。」

ガルディスと戦っていた途中、怪物との戦いで負った傷を治したファーナ。
ガルディスは治した後に“魔導”と言っていたあの力の事だった。

「う、うん。分かった。」

少し戸惑いながらもキースの言う通りにするファーナ。

「よし、あの二人に付いてくぞ。」

キースとファーナは二人の後を付いて行きながら聖女を探す。
鍵が掛けられているドアはさっきの様にガラハドが大剣で斬り壊す。
そしてやっと四人が着いたのは庭園だった。
枯れた草木や、所々にある血痕、そして何よりも見えるのは地面に散らばっている無数の骨だった。

「これは……」

流石に今まで冷静だったデイブは庭園の有様を見て愕然としていた。

「邪教団の奴も容赦ねぇな、しかしこの有様は一体何なんだ?」

ガラハドはそう言いながら噴水に近付いた。
水は出ていないが、その代わり赤黒い水が溜まっていた。

「これは本当に邪教団の仕業なのか……?」

赤黒い水溜りを見たガラハドは邪教団への疑問が出てきた。
二人が調べている時……

「あ、あぁ……」
「どうした、ファーナ?」

体を震わせながら指を指している方をキースは見た。
その先には黒い僧衣の様な物を纏った何かが倒れていた。
ガラハドはその何かに近付き、僧衣の様な服を取ると死体があった。
庭園にある様な骸骨ではなく、はっきりとした人の死体だ。

「邪教団の死体?」
「可笑しい、どうも可笑し過ぎるな。」
「ど、どういうことですか?」

ファーナは恐る恐る死体を調べているキースとガラハドに問う。
ファーナの問いに答えるかの様にガラハドは立ち上がった。

「ここに邪教団の死体が何故あるのかだ。仲間同士でやったのはどう見てもあり得ねぇ事だ。」
「邪教団が住みつき、俺達がここに来る前に誰かが邪教団を殺ったかもしれない。」

ガラハドとキースはファーナにそう答えた。

「それとまだある。」

ガラハドは腕を組んでそう言った。

「まず、何故聖女が誘拐されたかだ……邪教団は邪神を慕う宗教だ。聖女を誘拐するなら、それなりの事がある筈だが奴等は聖女を攫って何をするのか……」

一本指をファーナとキースに見せて言った。
そして話が終えるともう一つ指を上げる。

「二つは邪教団のやり方だ、通行人やそれ以外の人間が通るなら奴等は勧誘する筈だが、この庭園の現状を見れば、断然違う。」
「つまり、この幾つものの骸骨は通行人や旅人だけじゃなくて邪教教団も混じっていると言うことか?」

キースがそう問うとガラハドは無言で頷いた。
その時、ファーナは何かに気付きハッとした。

「キース!あれ!!」
「む?」

噴水の方に振り向くと赤黒い血の水溜りが泡を立て始めた。
泡は次第に大きくなっていき、そして水の柱がうまれ、赤黒い色をし、人間の皮膚を剥がした様な物体が姿を現した。

「何だこれは!?」

謎の物体にデイブは驚いていた。
一方のガラハドは大剣を抜き構えている。

「何だあれは?今まで見たモンスターより違うぞ?」
「ファーナ、下がってろ。」
「う、うん。」

キースの言葉の通りにファーナは戦いの場から逃れようと端へと走った。
ガラハドの隣に出たキースは双剣を手に取る。

「気をつけろ、コイツは普通のモンスターじゃない。」
「ヴオォォォォ!!!!」

謎の物体は咆哮を上げながら三人に襲いかかった。
子供の様な身長でありながらも落ちている石の破片を拾って投げてきた。

「ちっ!」

飛んできた石を舌打ちしながら大剣で斬り落とすガラハド。

「ぬおぉぉぉ!!!」

大声を上げて謎の物体の後ろを突いて棍棒を振り下ろすデイブ。
しかし、謎の物体は瞬時にその場に消え、噴水の上で浮遊していた。

「取った!」

キースがそう言って左手にナイフを持ち出し投げる。
ナイフは謎の物体の腕に刺さる。

「グボオォォォォ!!!!」
「これで終いだぁ!!」

苦しんでいる謎の物体に止めを刺そうと大剣を振り下ろす。
大剣は謎の物体を真っ二つにした。
血飛沫がし、ドサッと言う音を立てて床に落ちる謎の物体。
ガラハドは大剣をしまって謎の物体に顔を向けた。
謎の物体は死んだように動かない。
誰もが倒したと思った時、二つの割れた謎の物体が体をくっ付け、何事もなかったかの様に再生する。

「ちっ、本当に何なんだよコイツは!!!」
「グモオォォォ!!!」

謎の物体は咆哮を上げて両腕を床に叩きつけた。
途端、庭園に強烈な揺れが襲い、床が崩れ始めた。

「きゃあぁぁぁぁ!!」
「ファーナ!!」

ファーナの足場が崩れ、ファーナは落下していった。
キースはファーナを追いかけるように跳びながら進んでいくがもう少しと思った瞬間に足場に穴があき……

「うあぁぁぁ……!」

キースも奈落の底へと落ちていった……

episode12「暗殺者vs賞金稼ぎ」 ( No.13 )
日時: 2009/12/07 23:50
名前: はせピン (ID: eH196KQL)

「くっ……」

庭園から落ちたキースが目覚めた場所は薄暗い部屋だった。
しかし、ここも血と死臭が充満していて床や壁に血に人か獣の骨や血が付着している。

(どうやら着地に失敗して気絶してた様だな。)

自分がどんな状況なのか調べるキース。
周りを見回すと別のフロアに通じる道がある。
しかし、辺りを見回して肝心な事を忘れている事に気づく。
それはファーナの事だった。

「ファーナ!何処にいるんだ!!」

大声を出すが辺りを響くだけで返事は返ってこない。
ファーナの近くに駆け寄ったものの間に合わず、今いる場所に落ちたキース。
キースは何時もの冷静さを消して必死で通路を歩いて探し回っていた。
もし、ファーナが謎の物体に見つかったら“死”と言う末路を向かえるだろう。
危険な目に遭わせない為にキースは通路を走っていた。
走っているとある人物が何モンスターと戦っている姿が見えた。
赤髪に大剣を持った男……ガラハドだった。

「フン!!」

鍔迫り合い状態になっていながらもガラハドは余裕の表情で相手を片足で蹴って怯ませて大剣で斬り伏せた。
モンスターは血を流して倒れて動かなくなった。

「コイツも変わってやがるな……」

そう言って大剣を背中に下げてある鞘に納めようとするが剣の刃が鞘に入る寸前に止まり、振り向いた。

「ほぅ、生きていたのか……」

ガハラドが意外そうな顔をしてそう言った。

「貴様もな……」
「はは、俺はこう見えても賞金稼ぎだからな……あの嬢ちゃんはどうした?」

ファーナの事を尋ねられてキースは何も言えず、顔を下げた。
キースの行動を見て分かったのかガラハドは嘲笑した。

「あの嬢ちゃん可哀想だな……今頃ここにいるモンスターの餌になってるんだろうよ!」
「………!」

嫌な予感を感じていたキースに更なる不安が襲いかかる。
急いでファーナを探そうと走り出そうとした時……

「おっと!そうは行かないぜ。」

ガラハドが突然走りだそうとしたキースの前に立って通せん坊し始めた。

「退け、俺はファーナを探す。」
「そうは行かねぇんだ。せっかく、ここに賞金首が居るんだからよ……なぁ、キース・アンバート?」
「………!?」

名前を言われてキースはガラハドから間合いを取って双剣の柄を握った。

「可笑しいと思ったんだ。デイブは10万Gの賞金首を数人倒しているのにお前にやられてな、思ったんだよ。」

ガラハドは顔を下げて笑いながらキースの正体が分かった事を説明し始める。

「そして何よりも証拠はあの化物との戦いの時、化物の腕の神経をナイフで刺すほどの実力を持ってる奴はお前しかいないって事をな……」
「俺をここで倒すと言うのか?」

冷酷な瞳で睨みながら言うキース。
ガラハドはキースの言葉に答えるかの様に大剣をキースに向けた。

「その通りだ……俺に勝って探しても嬢ちゃんは奴等の餌になる事は変わりねぇけどな!」

そう言って大剣の重量を関係せずに跳び上がり、襲いかかる。

「でやぁ!」
「はっ!」

大剣の一撃を避けるキース。
しかし、大剣の一撃の威力は相当強く、キースがさっきまでいた足場が粉々になっていた。

「せやっ!」

速さで勝負を決めようと一気に攻めるキース。
だが、双剣の攻撃をもガラハドの大剣で受け止められた。

「無駄だぜ、早く終わらせたい気持ちは分かるが俺も必死なんでな!」

そう言って大剣を横に振るう。
キースは避けて双剣で一気に攻めるが弾かれる。
間合いを取って身構えるが同時に作戦を考えていた。

(ガラハドは強い……!今の俺の技では通用しない。)

今まで倒してきた者に通用した技がガラハドには通用しないと感じたキース。
このまま、戦い続ければファーナが危ないと思っていた。
その時、キースは突然ガラハドに向かって走り出した。

「往生際が悪いぜ!これで終わりにしてやるよ!!!」

ガラハドがそう叫んで大剣を縦に振るった。
大剣がキースに当たる寸前、キースはすり抜けるかの様に大剣を避けてガラハドにサマーソルトをした。

「な、に……!?」

サッカーボールの様に上に蹴り上げられるガラハド。
空中で体勢を整えるが目の前には腕をクロスさせたキースがいた。

「瞬影刃……」

技の名を呟いた途端、目の前にいた筈のキースの姿はなかった。
キースがいなかったと同時にガラハドの胸にクロスの斬撃と血飛沫が出た。

「ガハッ……!?」

吐血してガラハドは地面に体を打ちつけた。
キースは双剣を鞘に納めてその場を走り去って行った。

「あの野郎……俺を殺さねぇとはな……」

荒く呼吸をしながら仰向けに倒れていたガラハドは薄暗く汚い天井を見上げた。

「はっ、結局はあの暗殺者も心はあるって訳か……」

自嘲に笑うガラハド。
笑い声は辺りを響いていた。
その時……

(駄目だよ……人間を恨まないなんて……)
「………!?」

少女の声が辺りを木霊してガラハドは上半身を起こした。

(何だ、今のは……物凄ぇ殺気だ……!!)

少女の木霊と同時に体に感じた殺気にガラハドは立ち上がり大剣を片手に持ってキースを追いかけるように走って行った。


(キースとガラハドが戦っている間、ファーナは……)

「うぅ……」

体に走る痛みに目を覚ます。
目覚めた場所を確認する、木の寝床に鉄格子。
まさに自分が今いる場所は地下牢の様な所だった。

両手を鉄格子を掴んでいるとドアが開く音がした。
歩く音がし、モンスターではない事を心から祈るファーナ。
しかし前に現れたのはファーナより僅かに背は低く、腰まである銀髪の長髪に黒いローブを着た少女。

「お目覚めになったかしら、お姉ちゃん……」
(えっ……)

初対面の少女の言葉にファーナは耳を疑った。

「あら、名前を言うの忘れてたわね。私ったら一体何を考えてたのかしら……」

微笑みながら少女はファーナの鉄格子の鍵を開ける。
ファーナは牢の外に出る。
少女はファーナから間合いを取った途端、片膝を地面に付いてお辞儀をした。

「私の名前はミルド・シュトリス。姓は違うけれど妹よ。」

少女ミルドは自分の名を語る。
だが、ファーナはその名を知っても分からず、脳裏に浮かんだ言葉は……

“自分に妹はいない”と言う事だった。

episode13「人間への復讐」 ( No.14 )
日時: 2009/12/09 22:15
名前: はせピン (ID: L6rZBPa0)

ファーナは謎の少女ミルドの後を付いて行く。
そして辿り着いた場所はこの建物の奥だった。
周りには幾つものの棺桶があり、その棺桶の間の先には玉座があった。
ミルドは玉座の前に立ってファーナに顔を向けた。

「ここは私達半機械人が人間に逆襲する為に作った場所……つまり、私達のアジトよ。」
「この棺桶は一体……?」

幾つもある棺桶を見回しながら言うファーナ。

「それはね……」

微笑みを浮かべながらミルドは指を鳴らした。
途端、幾つもある棺桶の三つが開き異形の者が沢山姿を現した。

「この棺桶の中にはね……同胞が眠っているのよ。」
「同胞……?」

クスクスと笑うミルドの説明にファーナは目が点になる。
異形の者の姿はそれぞれ違っている。
一人は人の皮膚を剥がした者、もう一人は灰色の肌に腕が体より大きい者、またもう一人は顔が半分機械で半分が人工皮膚の者がいた。
どれも決して人間ではない事はファーナは出てきた三体を見て分かった。

「あれれ〜?」

驚く姉に無邪気な子供の様に首を傾げるミルド。

「どうして驚くのかな〜?私のお友達なのに〜」
「ミルドちゃんはどうして人間に復讐をしたいの?半機械人を連れて……」
「そんなの決まってるじゃない〜。」

無邪気な笑みを出しながらファーナの前に立つミルド。
そして彼女の口から途轍もない言葉が出た。

「人間が憎いからよ……」

さっきまでの無邪気な笑みが消えて憎悪を纏った瞳をファーナに向ける。

「元々人間だったのに科学者のせいで私達は半機械人にされたわ。それのせいで私達は人間に迫害されて奴隷扱い、または八つ当たりの道具として使われた……」
「………」

憎悪を纏った瞳をしながらミルドは復讐の理由を説明する。
ファーナは何も言わない。
黙ってミルドの話を聞いているだけだった。

「私達は科学者の実験に毎日付き合って頑張ってた。だけど、沢山のお友達が実験中に拒絶反応を起こして死亡、又人間との戦いで破壊される。私はもてる力を全て発揮してお友達を連れてここに逃げたわ……」
「じゃあ、以前いた旅人や邪教団の人達は……」

ファーナが恐る恐る、邪教団らしきアジトの中で捜索して見つけた幾つものの死骸の事を尋ねる。
すると、ミルドはニヤッと唇を動かし……

「確かに中にいた死骸は全部人間よ……でもあの時はスッキリしたわ〜。土下座しながら謝ってくるんだもの……謝ってもコロスのに〜。」

無邪気な笑みを出しながらも邪悪な言葉を放つミルド。
数秒で笑みは消えて三体に顔を向けた。

「聖女を連れてきて……お姉ちゃんに見せたいものがあるから……」

不敵な笑みを浮かべて言葉を放つと一体が頷き、ファーナとミルドが出てきた場所を通っていた。
数分後、鎖の音と共に一体帰ってくる。
その一体の後には首を鎖で繋がれた聖女アンフィー・フォン・コンスタンツが現れた。

「うぅ……」

聖女アンフィーは苦渋な顔をしながら異形の者に鎖を引っ張られ、ミルドの前に放り出される。
聖女アンフィーはミルドの姿を見るとガクガクと体を震わせていた。

「ふふふ、お姉ちゃん。これから面白い物を見せてあげる……」

冷酷な笑みを浮かべながらミルドは片手をアンフィーの前に出しブツブツと何かを言い始めた。

「や、やめてくだ……」

アンフィーは制止の言葉を掛けようとしたものの、突然両腕が広がり、足は揃い浮遊していく。
浮遊が止まるとアンフィーの体に電撃が流れ始めた。

「あぁぁぁぁぁ!!!!」

途轍もない激痛にアンフィーは絶叫する。
その絶叫にファーナは耐えられず耳を塞ぐ。

「ふふふ、苦しみなさい。私達が苦しんでいる分以上ね……」
「あぁぁぁぁぁ!!!!」

止まる事のない絶叫と増していく電撃の強さ。
残酷な笑みを浮かべながら片手をアンフィーに向けるミルド。
その時……

「止めて!!」
「えっ?」

一瞬響くファーナの言葉にミルドの集中が途切れると同時にアンフィーに走っていた電撃は消え、床に体を叩きつかれる。

「あ、ぐぅ……」

電撃による痺れと床に叩きつけられた衝撃の痛みに苦しむアンフィー。
ファーナは駆け寄って両手を前に出す。
途端、ファーナの両手から光が漏れ、魔導が発動される。
呻き声はどんどん小さくなっていき、次第には寝息を立てる。
ファーナの行動にミルドの目は点になっていた。
しかし、それは束の間、姉の行動にミルドはファーナに駆け寄った。

「お姉ちゃん!どうしてそんなことをするの!?人間が憎いんじゃないの!」

怒鳴り声を出すミルド。
治したのかファーナは光を消し、立ち上がってミルドに顔を向ける。

「私は人を憎んでないよ。パパとママを憎む事なんて出来ない。」
「つっ……!」

ファーナの言葉に一歩後ろに引くミルド。
だが、その行動はすぐに止まり、笑い出した。

「そうなんだ……お姉ちゃんはあの変な男と行動してたから人間を憎まないんだ。」
「えっ!?」

笑いながら出た言葉にファーナは驚いた。
驚いたファーナを見るとミルドは笑いながら指を鳴らす。
途端、また棺桶が開く、今度は一つだけ……
その棺桶から出てきたのはキース達が戦っていた庭園のあのモンスターだった。

「この子に教えてもらったの、お姉ちゃんをここに誘う際に男がお姉ちゃんに駆け寄ろうとしてた事をね……」

冷酷な瞳と同時に笑みを浮かべるミルド。

「あの男が死ねば、お姉ちゃんは私達に戻ってくる……だから私はあの男を始末しに行くわ……」

冷酷な笑みを浮かべながらファーナの前を通り、キースを殺そうと向かうミルド。

「そうはさせない!!」

そう叫んでキースの所へと向かおうとするミルドの前に立つファーナ。

「ふふふ、どうしてもあの男が大事なようねぇ……ちょっと手荒だけど……」

ミルドはファーナから距離を取ると自分の周りに黒いオーラを漂わせた。

「しばらく、お姉ちゃんに動かないでもらうわ!」

そう叫んだ途端、ミルドの両目が光る。

(な、何?目が光ってる……!?)
「ふふふ、死なない様に……」

不気味な笑みを浮かべて右手を前に出す。
途端、右手の紅い炎の球が具現される。

「ファイアボール!!」

そう叫んで紅い炎の球を放つ。
火球は二人の中間に落とされ爆発を起こした。

「あぁ!?」

爆発と同時に発生する爆風に吹き飛ばされ、壁に体を打ちつけられる。
ズルズルと床に落ち、そのまま気を失ってしまった。

「この力は私にしか使えない……さて、あの男を始末しに行こうか……」

不敵な笑い声を出しながらファーナはその場を出て行った。
姉の拒否の言葉を出させた男を始末する為に……

Re: DISSOLVE STORY ( No.15 )
日時: 2009/12/10 18:57
名前: 卍樹愛 ◆7Y6rOxghzU (ID: no72hslI)

>>はせピン様

リク・相談で「小さなイラスト屋さん」の樹愛ですが、
分かりますでしょうか?
現在、私はPCの不具合のせいかで、
リク・相談に行くことができません。
なので、注文していただいたイラストを
こちらにUPしてもよろしいでしょうか?
後、サイズの関係によりイラストは全身ではなく、
肩までにさせていただいてもよろしいでしょうか?


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