ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- DISSOLVE STORY(七魔将キャラ土属性募集1人限定
- 日時: 2009/12/26 23:17
- 名前: はせピン (ID: HnQQx7lG)
書いていた小説が削除されていましたがバックアップ用のがあったので全て追加します。
小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274
キャラクター紹介
名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」
キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)
名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」
ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)
名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」
名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」
名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。
七魔将キャラ
募集スレ>>24
七魔将についてお知らせ>>61
《ネレイド》チャーム>>25(キャラ提案者:haru様)
《名称未定》アリアス>>27(キャラ提案者:のんびり様)
《光を出す死神》ユキ>>37(キャラ提案者:みちる君様)
《神炎》ギリア>>40(キャラ提案者:珠凛様)
《月光の喪壊》ライル(シャロウ・M・ライル)>>50(キャラ提案者:椿薔薇様)
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- PROLOGUE ( No.1 )
- 日時: 2009/12/05 22:31
- 名前: はせピン (ID: hZ1VwQsw)
まだ、世界に人や獣が生まれていない頃。
宇宙を作った神々の主《創世神》は果てしない宇宙の空の中、手を開いた。
手中には白く光を放つ玉と黒く光を放つ玉があった。
《創世神》の口が開く。
『デュリエル、ラピス。貴方達二人には大きな使命を与えます。』
両手に納めている二つの色を持つ玉に向かって言った。
二つの玉は突然青い薄い光を出しながら浮かび出した。
『この宇宙の全てにある星に生を与え、神の子を生みだすのです。そして子供達を自分達の意思で導くのです。』
《創世神》の言葉に反応したのか、二つの玉は《創世神》から離れ、自分達が生み出す星を探し始めた。
二つの玉は離れずに自分達、神々の子達に会う星を幾度も探す。
一つの星の周りに光の様な輪がある星。
水色や赤色、そして茶色の星等と言った様々な場所を見つけるが二つの玉《デュリエル》と《ラピス》は通り過ぎて行く。
神々の子達に不十分な場所だと思っているからだ。
しかし、《デュリエル》と《ラピス》は永久なる宇宙の中で一つの星を見つけ止まっていた。
その星は青く、白い何かがあった。
(あの星ならば、我ら神々の子達を作るには十分であろう?)
黒い玉の青いオーラが強まって、男性の声が響き渡る。
(そうですね。あの星ならば、子供達を作れるでしょう……)
白い玉の青いオーラも強まり、女性の声が響き渡った。
二つの玉、否、二人の神が同意すると青き星へと向かい。
一つの場所に大爆発を起こし、神の子達が誕生し、住む場所《大陸》を作った。
神の子達は《人間》と言い、二足で立ち、知能を持っていた。
一方、神の子達と同じく誕生したが穢れた物と言われる《獣》。
四足で立ち上がる獣もいたが、人間を真似ようと二足で立ち上がる獣もいた。
神の子《人間》達は穢れた存在、そして人間を真似て誕生した獣を《獣人》と呼んだ。
それだけではない、人間と獣人は知識が強まる事に新たなる道を作る。
そして人間は恐ろしいものを作り上げてしまった。
それは《機械》と言う《人間》よりも有能な物だった。
人間は自分達の分身を作ろうと《機械》を使いだし、そして数年の時を得て誕生したのは……
《機械人(ヒューマノイド)》と言う、体・体内が機械化した人間が生まれた。
- episode01「機械人」 ( No.2 )
- 日時: 2009/12/05 22:32
- 名前: はせピン (ID: hZ1VwQsw)
二つの神によって誕生した世界《レジヴァール》
幾つものの国が世界を統治している。
ただ、一つの国《アルカトラル帝国》は機械(マシン)を開発し、そして《機械人》を作った。
しかし、《機械人》は奴隷として扱われ、人権等はない。
まして、人権を作ってもらおうとする機械人がいるが人間に破壊される。
ただ、人間の言う事を聞くだけだった。
そんな、アルカトラル帝国の国内で一人の少年はそんな事を考えずに悪さをする人間を殺めていた。
アルカトラル帝国
第三都市ムガル
スラム街と言われている都市から離れた工場の様な施設は戦場と化していた。
数人の男達が体から血を流して倒れていた。
そんな男達の中で小型剣を両手に持った黒髪に琥珀色の瞳をした少年が立っていた。
少年は施設の扉を開けて入る。
大きい施設だが、そんなに広くない。
少年の前には鉄パイプ、拳銃を持った男性達がいた。
「ガキ一人にやられるとはだらしない奴だ。」
先頭にいる散弾銃(ショットガン)を持ったリーダー的な男が言った。
少年は何も言わずに片手に持っている小型剣を男に向けた。
男は少年の行動を見て笑い出した。
「威勢のいいガキだ!お前等やれ!!!」
リーダー的な男の声と共に周りにいた男達は襲いかかった。
数人は鉄パイプを片手に振り上げながら、また数人は拳銃を撃ちだす。
数人の攻撃を少年は瞬間移動をするかの様に避け、両手の小型剣で鉄パイプを持っている男達を次々と急所へと刺す。
刺された男は血を流しながら、地面に倒れて動かなくなる。
少年は襲い来る男達を倒すと今度は拳銃を放つ男達へと変える。
男達の放つ銃弾も瞬間移動かの様に避けて一人ずつ、刺していく。
そしてとうとう、リーダー的な男以外の者を全員倒した。
「ほぅ、あの攻撃を全て避けるとはな……今までの奴は避けれなかったと言うのに……」
自らの仲間が倒されながらも男は余裕そうな顔をしながらも散弾銃(ショットガン)を構えた。
「だが、この攻撃は避けれるかな?」
男がそう言うと物凄い早さで銃弾を放った。
少年は軽々と避けるが服の肩の部分を掠る。
「ははは、流石にこの銃で避けるのは難だろう?そらぁ!」
不気味な笑みを浮かべた男は一瞬止まった少年に止めの銃弾を放った。
しかし、銃弾の一撃は少年の体を貫いたと思いきや、小さい音を立てて床へと落ちた。
男は余裕を失くして、震えた手で少年に指を指した。
「ま、まさかお前……アラートの……」
男が震えて言う中、少年は両手に力を溜めて、両手を広げた時には男の後ろにいた。
少年が男の後ろで剣を広げ数秒の時が経つと、男の体からクロスの字を描いたかの様な斬撃と共に出てくる夥しい血。
男はその場に倒れて、床は血で濡れた。
少年は両手に持っている剣を鞘に納めて、施設を去って行った。
廃墟の様な街を少年はただ駆けていた。
今いる街は重罪で転居された犯罪者、税を払えない国民。
そして人間の奴隷として扱われている《機械人》。
彼等の様な者達は毎日生き抜く為にスリ、強盗を起こしている。
少年はそんな過酷な街を駆け、辿り着いた場所は屋敷だった。
屋敷の中に入った少年は通路を通って、ドアを開けて室内へと入った。
「誰だ?」
そこには白い髪に白い胸までもある髭を生やした老人がいた。
「キースです。例のテロ組織を壊滅させました。」
少年キースは頭を下げながら、老人にそう言った。
「そうか、しかし……」
老人の目に入ったのはキースの服の肩の部分に可笑しな点があった事に気付いた。
「その肩の布はどうしたのだ?」
「テロ組織のボスが持っていた武器に避けきれず。この通りです。」
老人はキースの説明を聞いてドッと言う雰囲気と共に笑い出した。
「ははは、機械人(ヒューマノイド)のお前でさえも攻撃を避けれなかったとはな。いや、それよりも機械人(ヒューマノイド)は銃弾の数発喰らっても大丈夫だと言うのに……」
腹が捩れそうなのか、老人は腹を両手で押さえていた。
キースは何も言わず、ただ黙っていた。
「そうだそうだ……」
老人は笑いを抑えて、机に手を置いた。
「今度は隣国《エスタ》にある。組織を潰して欲しいとの依頼があった。勿論、その組織にあるブツもなるべく回収してほしい。」
「場所は何処ですか?」
「工場都市ピグレットのD−27地区だ。」
「畏まりました。」
キースは頭を下げてそう言うと、その場を消え去った。
屋根を伝いながら、外に出ようとするキース。
第三都市ムガルは云わば、犯罪者と難民の街。
犯罪者や難民は第二都市や外に出る事は出来ない。
抜け出す方法は外へと繋がる壁を壊す事しか方法はない。
キースは屋根を伝って、壁を越えて外に出る。
まさにそれは戦闘能力を特化した機械人にしか出来ない事だった。
屋根を伝い、そして壁を乗り越えて外の世界に出るキース。
夕陽が沈みかけようとしている中でキースは巨大都市を見つめ……
「人間め……俺達《機械人》を奴隷扱いに……覚えてろよ……」
そう言って広大な外の世界を駆け出して行った。
- episode02「潜入」 ( No.3 )
- 日時: 2009/12/05 22:33
- 名前: はせピン (ID: hZ1VwQsw)
エスタ帝国 工場都市ピグレットD−27
アルカトラル帝国よりは面積は小さいが機械の生産率が一番多い国エスタ。
その一つの工場都市ピグレットは機械を生産する都市であり、ヒューマノイドが奴隷として沢山作られている。
主にピグレットは主都よりも遥かに大きく、沢山の地区に分かれている。
D−27地区にある一つの建物にキースは屋根の上で状況を確認していた。
入り口の門の前には2人、そして施設の見張りが数十人。
そして侵入されないようにか、サーチライトで見張っている者が4人。
「サーチライトが厄介だな、下手に見つかると大勢で来る……」
サーチライトの方を見て呟く。
キースはズボンのポケットから緑色の丸い物を取り出した。
手榴弾だ。
距離は遠くとも関係せず、戦闘を特化しているキースにとっては簡単。
軽々とピンを外した手榴弾を投げた。
「ん?何だ?」
サーチライトで空と地を見張っていた男が自分の元に転がってきた物に気付いてサーチライトから手を離した。
自分の足元にある物に気付いた男は驚いて急いで離れようと梯子を降りようとしたが梯子が手に取ったと同時に爆発を起こし、爆風に押されて吹き飛ばされた。
(ウー!ウー!!)
「敵襲!サーチライトがやられた!!」
敵襲のサイレンが鳴ると同時に数人の男達が消火器らしき物を取って、爆心地へと向かい、水を出して火を消そうとする。
一方、キースはサーチライトを破壊したと同時に屋根から飛び降り、施設の門へと向かう。
「な、侵入者だ!!」
「アイツが仲間をやったのか!?」
門番の様な役目をしている男達は拳銃を取り出して撃ち始める。
しかし、キースは持ち前の速さで銃弾よ避け、両手に持った小型剣で急所へと刺した。
「「がはっ……!」」
男達は地面に倒れ動かなくなる。
門に近付くと先程の手榴弾よりも違う物をポケットから取り出し、ピンを外して門の側へと置いて離れた。
数秒経つと爆発を起こし、物凄い轟音。砂煙が立ち込める。
施設の内側に入ると頑丈な門の扉が壊れていて、数人の男達が血を流して倒れていた。
しかし、一人の男が腰を抜かしているのか座りこんでいて体を震わせている。
キースは男に近付いた。
「ひ、お、お前も奴の仲間なのか?」
「奴?何の事だ?」
震える男の言葉を聞いて首を傾げるキース。
「あの工場内に恐ろしい奴等が住みついていてな、特殊隊の奴等が数日前に討伐に向かったんだが帰って来た奴は一人もいなかったんだ……」
「その施設をどうして見張っている?」
「俺達がここに移動する前のアジトが中にいる様な奴に占領されちまったんだ!正直言って、アイツ等は何かを狙ってやがる!!」
男は恐怖に満ちた目と顔をしながら、キースに事を話す。
キースは男の話が終わったと思った同時に片腕を振り上げ、男の胸へと小型剣を突き刺した。
小さい悲鳴を上げて男は倒れる。
キースは小型剣を鞘に納めて、工場施設の中に入ろうとレバーは引く。
入り口のシャッターは嫌な音を立てながら開く。
中は薄暗く、異臭が漂っていた。
「この異臭は血と死臭……あの男の言葉は本当だったようだな。」
血の臭いと死臭を嗅いだキースはそう呟く、男の言葉が本当ならば、“恐ろしい奴”がいると感じ、両手に小型剣を持って通路を進む。
何時“恐ろしい奴”が現れるのかが分からない中、キースが辿り着いた場所は施設の機械を動かす所『コントロール室』。
異臭は漂わず、何もないと思ったキースは椅子に座って電源を入れた。
モニターの電源が入り、様々な情報や工場内の地図が出てくる。
「一体、この工場はどうなっているんだ?否、それより……」
モニターに表示される情報を見ている中、キースはある事を浮かべた。
「アグニムの言っている事が矛盾しているな、ある組織と言えども組織の組員は一人もいないじゃないか。」
キースに命令した老人アグニムの言葉だった。
組織を潰して欲しいと同時にブツを回収しろと。
しかし、目的の工場施設にいたのはならず者達と男が言っていた特別隊と言う謎の隊と“恐ろしい奴”だった。
アグニムの命令に疑問を抱くキース。
考えているとモニターの画面が変わり、何かが映された。
「何だこれは!」
モニターに映っている画面を見てキースは立ち上がった。
映っているのは何かの開発画面の様だが、紅くと黒の獣が映っていた。
血の様に赤黒い獣を見ているとモニターに字が出てくる。
『我々、エスタ調査隊は4月13日にトバス山のならず者のアジトを滅ぼした獣について調査した。』
「エスタ調査隊、つまり、この施設に調べて帰ってこなかったのはコイツ等の事か……」
出てきた字を読み上げながら、認識するキース。
『アジトは既に廃墟と化していた。それだけではない、アジトを壊滅させた獣は鋭利な爪に鋼の様な翼、そして何よりも伝えた所は血の様な赤黒い体だ。』
モニターに出されるメッセージを見て、キースは赤黒い獣の方へと顔を向けた。
『私達調査隊はこの獣を『リ・パー』古代言語で(破滅を呼ぶ獣)と呼ぶ事にした。その後、私達は今いるD−27地区で研究を進めている。
エスタ調査隊リーダー A』
「A?」
エスタ調査隊の名前に首を傾げるキース。
数秒経つとまた新しい画面が表示される。
『5月12日
これは私達エスタ調査隊の最後かもしれない、工場施設内で謎の物体が調査員に襲いかかる。銃で応戦するものの通用せず、次々とやられてる。奴等は血と骨を好み私達人間を喰らう。幸い私は半機械人の娘を実験室のカプセルに収納した。あのカプセルは頑丈で並の攻撃では壊れない。
あぁ、私達の調査はここまで……か……
Mrアルバート』
「アルバート、この調査日記を書いた本人か……どうやら途轍もない奴が住みついている様だな。」
キースはそう呟きながら、電源を切って室内を出る。
モニターの地図を参考にしながら、慎重に進む。
そして、数分後に辿り着いた場所は……
『実験室』
「ここに半機械人って奴が……しかし、半機械人とは一体……」
『半機械人』と言う言葉にキースは疑問を抱いていた。
扉を開いて中へ入った。
「これは……!」
目の前にある物に驚くキース。
そこには人が一人入れる様なカプセルの中に一人の少女が入っていた。
- episode03「半機械人ファーナ」 ( No.4 )
- 日時: 2009/12/05 22:34
- 名前: はせピン (ID: hZ1VwQsw)
「これが半機械人の娘……」
セミロングの茶髪をした少女が人が一人入れるカプセルの中で眠っているのを見たキースは装置の前に立って確かめる。
装置のボタンを一つ押すと小さいモニターに電源が入りカプセルの図と文字が出てくる。
『CAPSULE-24型、保存:ファーナ・クレアス』
「人間用の回復カプセルか、そしてこの中に入っている奴はファーナと言うのか……」
カプセルの図と文字を見ながら、キースはカプセルの中で眠っている少女ファーナを見た。
小さな機械音が室内を響き、次々と小さいモニターに映し出される。
『種族:半機械人(ハーフヒューマノイド)
年齢:14』
「半機械人と言うのは分からんが、エスタ調査隊にとっては大事な奴らしいな……」
『半機械人』と言う言葉に目を細める。
表示されていくモニターを見ていると……
「う、う〜ん……」
「!!!!」
キースが操作している装置のスピーカーら声がし、一瞬剣を抜こうと剣の柄を握る。
「誰だ……?」
「ここ……変な所の……」
スピーカーから少女の声がし、キースはカプセルの方へと顔を向けた。
眠っていた筈の少女ファーナが目を開けて緑色の液体に包まれながらも話を掛けていた。
「誰なの?」
「俺の名はキース。機械人(ヒューマノイド)だ。」
少女ファーナに名を尋ねられ、自分の名を言うキース。
「へぇ〜、キースって機械人なんだ……パパとママはいないの?」
少女ファーナの問いにキースの頭の中は真っ白になる。
(何を言ってるんだ?機械人に両親はいない。アイツは知らないのか?)
「……?」
機械人に親はいない。
機械人は開発者によって作られ、人間の奴隷として生まれた存在。
まともに働かなければ捨てられ、人間に馬鹿にされる。
機械人に“過酷”と言う者は人間に一切いなかった。
だからこそ、機械人は人間を恨むのだ……
「俺は機械人だ、両親はいない。」
「そうなんだ……私ね。パパが借金して売られたんだ……それでね……」
少女ファーナが自分の事をキースに話そうとする。
キースは無視するかの様に装置に寄り、カプセルの扉を開けるレバーを引いた。
途端、カプセルの扉は奇妙な音を立てて開く。
「えっ、あ、キャア!?」
突然の事に少女ファーナは緑色の水と共に外に出る。
回復用の水で服や髪は濡れてなかった。
「お前は外に出たいか?」
「外の世界に?」
少女ファーナはキースの言葉に首を傾げながら問う。
キースは無言で頷く。
「うん!外に出たい!今まで出た事がなかったから!!」
「そうか、所でお前の名前は?」
知っていながらも目の前にいる少女に名前を尋ねるキース。
「私はね、ファーナ・クレアスだよ。」
「そうか、ファーナ。外の世界に行きたければ、俺に付いて来い。」
「うん!!」
満面の笑顔で首を縦に振るファーナ。
二人は室内を出ようと扉を開けると……
(ヴー!ヴー!!)
「わ!何々!綺麗だよ!!」
キースは事態を分かっているが、ファーナは何も分からなかった。
通路や実験室を照らす赤い光と耳に響くサイレン。
その二つが侵入者が入ってきた時になる事を……
(グオォォォ!!!!)
サイレンの音を掻き消す程の獣の様な咆哮が響いた。
咆哮を聞いたファーナはビクッと体を震わせながらキースの後ろに隠れる。
「こ、怖い……」
「安心しろ……」
そう言って慎重に赤く明るい通路を歩く二人。
キースは自分がこの中に入った場所の入り口へと向かう。
急いで中を抜け出そうと走る。
入り口が見えて来て抜け出そうとする寸でに入り口のシャッターが閉まってしまう。
「と、閉じちゃった!どうしよう……」
「こっちだ……!」
慌てるファーナの手を引っ張り、すぐ近くにあるドアを開けて入る。
そこは広間になっているがキースは中に入ったと同時に殺気を感じて剣を構え、殺気が発する方に剣を向けた。
(ガアァァァァ!!!!)
殺気のする方に顔を向く、そこには白目で人が皮膚を剥がした様な体をした怪物が檻の中で鉄格子を掴んでいた。。
「コイツは一体……?」
両手に小型剣二刀持ったキースは謎の怪物に剣を向けてジリジリと距離を詰める。
(ウガアァァァァ!!!!)
謎の怪物は咆哮を上げて鉄格子を壊し、片手に鉄格子を棒の様にして持った。
「なっ……!」
(グオォォォォ!!!!)
謎の怪物は咆哮を上げながら、片手に持っている棒へと化した鉄格子の一本を振り上げてキースに襲いかかった。
(っ……!)
振り下ろされた棒を交わすものの左腕を掠めて血を流すキース。
機械人と言えども人間の様な作りであって血を流す。
一瞬走る痛みに耐えながらもキースは両手にある二刀の小型剣を怪物の脇腹に両刀への一撃を与えた。
(グガアァァァ!!!!!)
怪物は斬られた脇腹から血を流す。
しかし、悲鳴の様な物を上げながらも怪物は片手の棒をキースに振り下ろす。
「フッ……!」
キースは飛び上がって怪物の後ろに着地し、持ち前の速さで怪物に斬撃を与える。
怪物の背中から血が流れるが、それでもキースに棒を振り下ろした。
(コイツは何なんだ……!弱点がないのか?)
怪物の攻撃を避けながら弱点を探すキース。
キースは怪物の顔を見て、何かを思い出した。
(攻撃が聞かないのなら、首を切り落とす。)
怪物の首を斬り落そうと考えたキースは怪物の攻撃を避けて首に左手の小型剣で斬り落そうとした。
その時、銃声が鳴り、怪物の脳天に穴が開くと同時にキースの剣が怪物の首を斬った。
怪物の首は地面に落ち、転がる。
キースは銃声のした方に振り向いた。
「ふぅ、やはり……ここにいましたか……」
医者が手術する時の恰好をしている男性がそう呟いた。
怪しい赤い瞳が煌めいていた。
見えるのは目だけで顔は完全に見えなかった。
「誰だ?」
「あぁ、これは失礼。私はガディウスと言います。エスタ帝国のエンジニアです。」
キースに睨まれて問われながらもガディウスは自分の名を語った。
「いや〜、随分前に探していたんですよ……」
ガディウスは手を頭に回して笑いながらキースに言うが、ファーナに顔を向けるとき、冷酷な瞳をした。
「ファーナ、研究所から抜け出すなと言ったはずだろう?」
「え、あの……その……」
ガディウスに睨まれてオドオドするファーナ。
ファーナの目は恐怖に満ちていた。
「お仕置きは何がいいかな?電流?それとも鞭かな?」
「ご、ごめんなさい!許して!!」
冷酷な瞳で睨まれて更なる言葉を言われ、ファーナは必死に懇願する。
「駄・目……」
ガディウスの言葉は残酷だった。
ファーナに近づこうと歩き出そうとした途端、キースがファーナの前に立った。
「待て、お前に話がある。」
「話ですか?」
キースの言葉にガディウスは首を傾げた。
「あの怪物は何だ?人間と同じ様だが明らかに違う。」
「ほぅ、あれですか……あれは私達《デアボラスタ》が作った機械人(ヒューマノイド)ですよ。」
「ヒューマノイド……あれが?」
ガディウスの話を聞いたキースは驚き始めた。
「えぇ、でもこの機械人は正直言って……」
突然不気味な笑みを浮かべながら、小さい笑い声出すガディウス。
「はっきり言って塵なんですよね。エスタ帝国の皇帝陛下が戦闘特化した機械人を出せとの勅命があったのですがね〜。」
「何だと……?」
ガディウスの言葉にキースは怒り震う。
「拒絶反応を起こしてしまうんですよ〜。それに自動にしたって7割で死んでしまいますし……丁度、いい機械人を見つけましたよ……」
「黙れ……」
「は?」
キースの言葉にガディウスは首を傾げた。
機械人の事を悪く言った事に怒ったキースは両手二刀をガディウスに向けた。
「貴様等人間がいるから、俺達機械人は何時まで経っても幸せが訪れないんだ!!!!」
怒りに満ちた叫びがサイレンを掻き消した。
- episode04「VSガルディス」 ( No.5 )
- 日時: 2009/12/05 22:35
- 名前: はせピン (ID: hZ1VwQsw)
「あまり、暴れないでくださいね。出来れば上出来に仕上げたいので……」
ガディウスは懐から武器代わりにメスを二本両手に持つ。
怪しい動きをしながら、構えるガディウスを警戒しながら二本の小型剣を両手に持ってファーナを庇うように構えるキース。
「き、キース?」
ガディウスに怯えているファーナは恐る恐るキースに声を掛けた。
キースは怯えているファーナに半顔向ける。
「安心しろ、兎に角隠れてろ。」
そう言ってガディウスに顔を向けた途端、途轍もない早さでガディウスに近付く。
(もらった!!)
両手の小型剣を脇腹に突き刺そうとした途端、ガディウスは高く跳び上がり、キースの頭にメスを突き刺すように落下する。
「フンッ!」
キースは真上から襲いかかるガディウスの攻撃を右手の小型剣で薙ぎ払う。
薙ぎ払われたガディウスは体を回転させながら地面へと着地と同時にキースに襲いかかる。
が、キースも攻撃を受け止めて鍔迫り合いとなる。
「人間にしては中々やるようだな……」
「ふふふ、貴方こそ機械人にしては中々じゃないですか……」
不気味な笑みを浮かべるガディウスを無視し、キース両手の剣を薙ぎ払うと同時にガディウスから距離を取り、ファーナの前に立った。
キースの後ろに立っているファーナはキースの肩から流れている血を見て「あっ!」と声を出した。
「キース!血が出てるよ!!」
「掠り傷だ、気にする程度の事じゃない。」
「ちょっと待って、今直すから……」
ファーナは両手をキースの肩の前に出すとファーナの両手から光が溢れ出た。
それを見たキースは驚きを隠せず、ファーナに釘付けだった。
それだけではない、肩を見れば、何事もなかったかの様に傷は無くなっている。
「ふぅ、治ったよ。」
一息吐いたファーナは微笑んでキースに言った。
「ファーナ……」
「あっ……」
ガルディスに名を呼ばれ、ビクッと体を震わすファーナ。
「魔導の力を無断で出すとはね……この方を倒して研究所に帰ったら、廃棄処分させてもらうよ。どうせお前では“あの方”の計画に役立てないと思うし。」
「えっ、そんな……」
「安心しろ、ファーナ。」
キースは構えを解いてファーナに声を掛ける。
「俺はお前を壊させはしない、お前を守って外の世界に行かせる。」
「キース……」
「はあぁぁぁぁ!!!!」
キースは大声を出して腰を横へと回して力を溜めて構える。
構えを解いて腰を戻した時には消えていた。
一方、ガルディスも攻撃を避けた様に違う場所にいた。
「瞬影脚か、だが……」
キースがそう呟くと同時にガルディスの右腕から大量の血が溢れる。
「あがあぁぁぁぁ!?」
突然の激痛と溢れ出る血を抑えるかの様にするガルディス。
「私の腕がぁ!」
「貴様は機械人を馬鹿にした。だから、もう貴様の手から機械人が生み出されない様にした。」
腕を押えているガルディスに冷酷な瞳をしながら言うキース。
「ぐぐぐ、例え片手を壊されても私は機械人を生み出しますよ!覚えてなさい!!」
キースを睨みながら、ガルディスはその場を消え去った。
ガルディスを退けたキースはファーナに駆け寄る。
「凄いよキース!ガルディスさんを倒しちゃうなんて!!」
「大した事はない、だが……(ガルディスが何故、瞬影脚を使えたかがだ。」
尊敬するかの様な瞳で言うファーナに軽くあしらうキースだが心の中でガルディスが自分と同じ技を使えた事に驚いていた。
その後、コントロール室へ行き、サイレンを止め、入り口のシャッターを開ける。
そして入り口に戻ってドアノブに手を出した時……
「待って!」
ファーナが突然大声出してキースの手を止める。
「どうした?」
「久しぶりの外だから……怖いの……」
「大丈夫だ、安心しろ……」
ファーナの手を払ってドアを開ける。
研究所から出る二人を迎えたのは眩しい光だった。
夜空ではなく、青い空と白い雲で眩しい光は太陽の光だった。
「わぁ〜!!」
青空を見たファーナは感激の声を出した。
「久しぶりの空だ。どうだ?」
「うん!物凄いよ!!」
「そうか……」
施設から離れた崖の上で二人は空と太陽を見ていた。
ファーナは喜んでいる時、キースの顔を見た途端、笑みが消えた。
「どうした?」
ファーナの視線に当然気付き、顔を向けるキース。
「今、キース笑ったよね?」
「俺が……笑った?」
微笑んでもない筈の自分に驚きながら、ファーナに問うキース。
ファーナは頷く。
「俺は笑ってないぞ。」
「ううん、一瞬だったけどニコッてしてたよ。」
首を横に振りながら、笑顔で言うファーナ。
「何を言ってる。アルカトラ帝国に戻るぞ。」
「アルカトラ?何それ?」
「付いて行けばわかる。」
首を傾げて問うファーナに曖昧に言うキース。
アルカトラ帝国に戻る中、ファーナに様々な事を聞かれながらキースはアルカトラ帝国へと向かった。
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