ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 包帯戦争。 番外編
- 日時: 2009/12/28 12:44
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
またまた消えました。やっぱりダメな言葉があるからでしょうか。
でも、めげずに頑張ります。
http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=12380
上記からどうぞ。
回想シーンもあります。
- Re: 包帯戦争。 ( No.9 )
- 日時: 2009/12/19 07:59
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
第十二章
真実が扉を叩く時
寒い。生まれつき、寒いところが大嫌いでマフラーも二枚くらい重ねていた。
もうすぐで冬。
秋っていつまで秋なのかよくわからない。
カエルが冬眠してからが冬?雪が降ってから冬?赤い服着た変質者が子供たちに得体の知らない物を送るのが冬?(なんてね)
「春瀬、ご飯できたよ」「うっきゅー!」
あねねがもう一度壊してから、春瀬は無関心無表情からは解き放たれたけど、何だか・・・・・・・意味不明になってしまった。
でも、僕はあねねを責めない。
どうせ壊れてるんだから、これ以上粉々にしたって、文句ないだろうから。
「うーん。おいちー♪」そりゃよかった。
だし巻き卵と味噌汁、白菜の漬物というなんとも庶民的な朝食。
まるで親子みたいに見えるけど、僕の叔母さんに当たる人だから。
ボサボサの長い髪を掻きながら、長い欠伸をしている春瀬を観察してみる。
顔は、やっぱアレだ。あねねに似て超美人。美形多いからなぁ。そういや、あのムカつく少年も美形だけど、お似合いっつーか。そこがムカつく。第一なんだよ、あいつ。絶対最初女だと思っただろ。お前も女みてーな顔だよ、微妙にな。
玄関の方から電話の鳴る音がした。
「でんわじゃー」「待ってて」
こんな早朝から。まだ朝の11時だぜ?なんてね。うーん、あいつの口癖は嫌いじゃ。
「はい、もしもし」
どーせ、あねねだろ?
そしてその勘は、当たっている。
電話を切り、ため息。
まぁ、いいや。あいつが死んだって別に悲しくないし。ん?微妙に、悲しいかな。
「春瀬、何してんの」
台所に戻って、どうして机が赤く染まっているのかに一瞬だけ悩んだ。で、それが春瀬による自傷行為だと気づいた時、
って、ちょいちょいちょい!
何やってんの、マジで。
果物ナイフで指を刺している。
「春瀬っ」「およよよよー」
目を離す気もない。赤く散らばった肉片を床に捨て、ナイフをシンクの上に置く。
「ダメでしょ、春瀬。こんな事したら」
子供に言い聞かせるように注意した。
春瀬は目を合わさず、無邪気な一面で足をプラプラさせている。足の先端が腹部に当たるんですが・・・・。
「春瀬、怒るよ」「酸っぱい、血」
先端がなくなった指を見せ付けてくる。うーん、グロいかなぁ。ハンコみたい。
「消毒するから」「ねぇ」「ん?」「いつも一緒に住んでる、可愛い女の子どこ行ったの?」
もう名称も忘れたのか。
「あねねは・・・・・・・・・・・、うん。出張」な訳ねーだろ。
「あねねちゃんって言うんだ。へー」いや、あんたの娘だから。知ってるか?あんた、あねねの事本気で大切にしてたんだぞ。あと、××ちゃんの事も。あぁ、忘れてた。記憶から除外したい、二つの忌まわしい顔の事も。それで、裏切られて簡単に壊されて、今、あんたは不安定な足で地面を歩いている。
だけどそれでもどうしてか、それはとてもキレイでもある。
「僕、今から出かけてくるけど・・・・一人でいい子に出来る?」「わっかーた!」
何か、レストランの名前みたいな発音で返事された。
頭を撫でて、傷口は何とかなるだろーって感じでスルーして、ジャージを着る。
あ、言い忘れてたけど。
少年は、消えてしまいました。
- Re: 包帯戦争。 ( No.10 )
- 日時: 2009/12/19 19:49
- 名前: 藍羽 (ID: NhY/JZtF)
少年、何回も危ない目にあってますね・・・
本当に大丈夫ですか、少年!!
消えてしまいました?!
- Re: 包帯戦争。 ( No.11 )
- 日時: 2009/12/20 10:02
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
山あり谷ありじゃなくて、山あり山あり。
危険体質なんでしょうねぇ。
- Re: 包帯戦争。 ( No.13 )
- 日時: 2009/12/20 11:04
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
僕はあいつの事を何と呼べばいいんだろう。
少年? 祝詞? ××ちゃん? 最後の名称で呼ぶのは止めよう。本気で嫌がるから。
少年、でいいか。そう呼べって言われてる事だし。
何だか、『そこにいるのにいない』事にされたら、その存在理由が判らなくなって、絶望すると思う。それが、自分にとって大切な人なら、尚更。
あいつは、凄いとは思う。
何か、図太い神経してるなって、思う。
あねねにいない事にされて、自分のすぐ隣で自分を求めていて。でも、現実を告げれば記憶が蘇って発狂して腐って枯れる。
苦しい事だろうって、思うけどもだな。
あねねの事、好きじゃないなら解放してあげてほしい。
「あいつは、これからどーっすのかな」
まぁ、あねねとあいつ次第だけど。
んで、僕は関係ないけど。
そして僕は、最近「変な奴」にからまれていた。
「ナチっていうのかー、犬みたいだねぇ」
公園でブラブラしてたら、話しかけてきたそいつ。同い年みたいだけど、学校には行ってるみたいだ。
初めて会ったのは、公園で。
ブランコをこぎながら、家にあった苺牛乳を飲んでいた。視界にそいつが入ってきて、話しかけてきた。
ただ、それだけ。
でもあれから、見かけるたびに声をかけてくる。
今みたいに。
「ナチって、お座りとかできる?できるー?」
「・・・・・・・・・・・・・やろうと思えばできるけど、やりたくない」
「お手は?」
「はい」
右手と左手を重ねる。冷たかった。
「うっわー、ナチって手ぇちっちゃいね〜。女の子みたい」
「うん、よく言われる。女だろーって」
あー、思い出すだけで腹立たしい。
隣のブランコに乗って、キコキコこぎ出す。肩までつくぐらいの黒髪が風に揺れる。てか、制服なんだな。当たり前か、平日の昼だから。サボりか?
「ナチって学校行ってないの?」
「うん」 行く意味ないし。
「勉強、できないの?」
「読み書きはできるけど」 一年生で思考回路狂ったんで。
「いつも、何してるの?」
「ボーっとしてる」 狂った家族の面倒みてます、はい。
「ナチって、何歳?」
「14歳」 微妙なお年頃ですなぁ。
「あ、私と同じだ♪」
「っぽいね」 あんたのネームにばっちり書いてる。
今までずっと質疑応答してたけど、こっちからも何か聞いてみようか。まずは、
「名前、何て言うわけ?」
ここだ。
いい加減名前を教えてくれ、って思う。
呼ぶ時苦労するし。いや、別に呼ばなくていいんだけどもね。
「私の名前は・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何故そこで止まる。
目を見て、そして息が止まりそうになった。
虚ろな目。あいつと同じだ。
何か、どこか孤独さを感じる奴の目。
誰だって、心の中に寂しさとか妬ましさを持っているけど、時にガタが来てそれが爆発する事がある。
その一歩手前の段階、みたいな。
「・・・・・・・・っ、十夜」「トオヤ?」「うん、そ。十夜っていうんだよ。男みてーな名前ダショ?」
まぁ、そうだね。
そうか、十夜っていうのか。
「まぁ、おにーちゃんの名前だけどね♪」
「・・・・・・・何、偽名使っちゃってるわけ」
「エヘヘ。私の名前は、 」
耳鳴りがした。
鼓膜が破けそうなほど、ガリガリと肉壁を掻き毟る。
え、え、え、え、
今なんて?
何て言った?
やっぱ、いい。言わなくていい。
その名前を繰り返すな。
あー、そうか。そうか。
あいつらの片割れと同じ名前なのか。
あの、汚い、吐き気のする、二つの顔の、
「・・・・・・・・・・・・・ッ、十夜で、いい?」
「へ? うん、いいよ。私、十夜です!」
よかった。これで本名呼んでって言われたら、壊れる所だった。
「ナチは、何で学校行かないの?」
人が、怖いからです 「ベンキョー嫌いだから」
「逆に、さぁ。何で十夜は学校行ってないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今、丁度昼ごはんの時間だけど。何で公園にいるわけ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・まぁ、言えないなら、別にいいけど」
「・・・・・・・・・・ナチは、同じ匂いがする」
匂い? 無臭だと思うけど。
この年で加齢臭でも出てるんだろうか。なんてね。
「へぇ、そう?」
「うん。何か、フツーじゃないみたいな。匂いが」
鼻、いいんだな。ばっちし正解してる。
そうだよ、僕、汚れてるんだ。イケメンのお兄さん達にね、ビデオで撮られたんだよー。
「何かの間違いだと思うけどな」
だから、近づかない方がいい。キミはまだ、外れたルートを元に戻せるだろう?
「僕、フツーだよ。ただの面倒くさがりの不登校生」
「嘘つけ」
うーぬ、やっぱ同類は勘がいいんだろうか。よくわからん。
「私は、人前に出ると吐くし、外にも出たくないし、人の声聞くと叫ぶし、もーどんだけーみたいなね」
人間不信?精神科行ってくれ。
「何で僕は大丈夫なわけ?」
「・・・・・・・なんでだろう、安心するからかな」
立ち上がり、僕の正面に来て、
「・・・・・・・・・・・・ッ」
前から抱きしめてきた。ギュッと。
驚いて、久しぶりに人間と触れ合ったな〜とか思ったり。
「あー、やっぱ安心するねぇ」
「・・・・・・・そう?」
「うん。何かね、あったかい」
「・・・・・・・へぇ」
どうしよう、抱きしめられるって初体験だから、ちょっと困る。しかも、女子から。
えっと、これ以上の事は・・・・、あー、保健習ってねぇから全くわからん。
「あの、ですね」「んー?」「そろそろ、離してくれまいかーと」「・・・・・・やだ」
拒否された。どうすりゃいいのよ。
心臓の鼓動が聞こえてくる。妙に落ち着いている。
「ね、」「はい」「ナチって好きな子いる?」「いない、けど」
嘘です。従姉妹のあねねに欲情してるんです。なんてね。ちげーよ、ただ幸せを願ってるだけ。
「じゃーさ、」「うん」「私を好きな子にしてー」
告白か?
噂に名高い、女子からの割合が多いと言われている告白か?
今まで実は、告白は何回もある。小学生の頃、凄かった。四年生が一番ピークだったかなぁ。
「まー、今すぐにとはいかないけど」
実際、僕は十夜の事嫌いじゃないし。まぁ、どっちかってっと好きの分類に入るけど。
「マジ? オッケーでた?」
「・・・・・・・・・んー、多分」
この感情は、限りなく「恋」としては認められないだろうけど。
抱擁を解いて、十夜が笑った。
「にゃぱー」
・・・・・・変な笑い方。
- Re: 包帯戦争。 ( No.14 )
- 日時: 2009/12/20 12:24
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
突然ですが登場人物紹介
消されていた事もありまして。何かキャラがリンクしすぎてごっちゃになっているだろうと思い、登場人物を連ねてみました。細かいかも。
祝詞
18歳 苗字は「一条」 7年前に起きた児童監禁虐待事件の被害者。 春瀬から「××ちゃん」と呼ばれ、今でもそう呼ばれると拒絶反応が出る。
ヒナトが求めている「祝詞」だが、それを隠し通しており、「少年」として傍にいる。
ヒナト
18歳 苗字は「茅野」 祝詞と同じ事件の被害者でもあり、加害者の妹でもあり、犯罪者でもある。事件の時に犯人を殺害した。ゴスロリを愛用しており、「祝詞」を認識しようとすると混乱する。美人さん。
祝詞からは事件前「ヒナちゃん」と呼ばれていた。金属バッドを愛用している。
小春
24歳 苗字は「泉」 祝詞の親戚で駄菓子屋の店主。元ヤンで、メジロの後輩。何かと祝詞を心配してくる。愛情表現が下手。
月泡メジロ
26歳 精神科の先生。社会人としてどうかと思う人。「先生」と呼ばれるのを嫌う。祝詞の担当医。
天川ナチ
14歳 ヒナトの従弟で、彼女の兄から性的虐待を受けていた。現在はヒナト・春瀬と暮らしている。祝詞に女と間違えられてから苦手になった。
曳詰ヤシロ
15歳 祝詞とは精神科で知り合い、彼に依存する。男だが女装をしており、昔仲良くしてくれた「紅桜ノリト」を永遠にしようと、殺害した過去がある。本人は自覚がなく、同じ名前である祝詞を「ノリト」と認識していた。後にそれが誤りであると祝詞本人から告げられ発狂する。
茅野春瀬
40歳 7年前の事件の生き残りの一人。精神不安定で無気力だったが、母親だと認識できないヒナトに殺されかけ、精神が再びおかしくなる。子供のような言動。自傷行為を無自覚にするため、ナチが目を見張っている。ヒナトの実母。
志乃岡美鶴
17歳 祝詞の事が好き(?)なクラスメイト。独り言が多く、そのためクラスの生徒から煙たがられていた。ある事件の殺人現場を目撃後、軽い錯乱状態になるが、通常に戻った。祝詞とは事件後、小学校で面識がある。
泉宇美
26歳 小春の姉でメジロの元元元カノ。天真爛漫で陽気な人。現在は一緒に暮らしていない。
リツ・リト
享年17歳 ヒナトの双子の兄で7年前の事件の加害者。児童ポルノや殺人映画、また小さい男子に興味を抱くという性癖を持つ。事件の当日、祝詞の家に泊まりに来ていたお互いの家族を監禁し、ヒナト・祝詞に殺人映画の主演をさせ、その人肉を食わせていた。錯乱したヒナトに原型がわからないほど惨殺される。
性癖を隠していれば、礼儀正しく才色兼備な少年だったらしい。
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