ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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-妖狐と魔術の交差点-
日時: 2010/02/09 19:08
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

御挨拶〆
こんばんは、更紗@某さんです。
何故か消えたので、早速復活させました。
やってしまいました、ついにやりたかった妖怪×魔術をやってしまったのです。
九尾を筆頭とし妖怪を始め、天照など日本の神々、魔術や死神も出てきます。
変な作品ですが、どうぞ暖かい目で見守って下さると助かります。

Index〆
第一部 九尾の妖狐
序章 とある少女の逃走劇 >>1
第一章 堕天使は静かに忍び寄る
交差点01 >>2 交差点02 >>3 交差点03 >>4 交差点04 >>5 交差点05 >>6
第二章 魔法名“双翼の闇”
交差点06 >>7 交差点07 >>8 交差点08 >>9 交差点09 >>10 交差点10 >>13 交差点11 >>16
第三章 黒の使者、蠢く
交差点12 >>25 交差点13 >>27 交差点14 >>30 交差点15 >>31

訪問者様〆
イビリ様 (( `o*架凛殿 アド殿 咲夜殿

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Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.12 )
日時: 2010/01/16 22:04
名前: アド ◆0cvnYM3rjE (ID: qrMs7cjz)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=10931

何を詠唱したのでしょうか…?
行方が気になります!

Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.13 )
日時: 2010/01/17 11:24
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

交差点10

 そして次の瞬間——ダルシーの持っているナイフ全てにヒビが入った。ナイフを破壊する為ではなく、ルーン文字だけを狙ったようなヒビの入り方。
 ダルシーは一瞬驚いたような顔をしたが、ヒビを入れられたナイフで銀髪少女の右の肩を切り裂く。
 銀髪少女が出血した部分を手で押さえていると、ダルシーが忌々しげに呟く。

「ガルドル魔術……!」

 『ガルドル魔術』これも神崎の頭に引っ掛かった。ルーン魔術を調べた時、一緒に載っていた魔術の一種。なんでもルーン文字には詠唱、または歌唱する為の特定の音があるらしい。
 ガルドル魔術はルーン文字を何かに刻む代わりに、ルーンを詠唱したり歌唱したりしてルーン魔術を発動させる魔術。
 ダルシーは銀髪少女に訊ねる。

「ガルドル魔術を使って、私のルーン魔術を破壊したのですか」
「ああ、オレは今、お前のルーンの力を破壊する為のルーンを詠唱した」
「……昔ルーン魔術どころか、ルーン文字にさえ縁がなかった貴女が、ね」
「お前の小細工破壊の為に、一応覚えておいた。お前の主力はルーン魔術ではないだろう? 早くアレを出したらどうだ?」

 只でさえルーン魔術とかいうのでも化け物じみているのに、これで小細工か。
 神崎はだんだん恐怖が薄れていった気がする。銀髪少女が割り込んできて、物事を客観的に見れるようになったからかもしれない。
 ダルシーは銀髪少女の問いかけに対し、暫く考え込んだがやがて口を開いた。

「……いいでしょう、貴女が後悔する事を望みます」

 ダルシーはすっと目を瞑る。
 ——そして呟いた。

「“御使の翼”(エル=ダンジュ)」

 神崎は、その光景に息をするのさえ忘れそうになった。
 そこに居たのは——天使。漆黒の翼を持つ、一人の堕天使。
 ダルシーの背中から闇を思わせるような、巨大な黒い翼が生えていた。おそらく彼女の魔法名“双翼の闇”とはこれからきていたのだろう。
 ダルシーは黒い翼で宙へと浮く。その姿に銀髪少女は驚く事もなく、怯える事もなく。只、鋭い視線をダルシーへと向けていた。

「“雷神槌”(ミョルニル)」

 銀髪少女は己の武器を構える。青白い火花を発する槌を。
 ダルシーはその様子を空から眺めると、呟いた。

「——“消えろ”(ディスパレッセ)」

 瞬間、いくつもの黒羽の弾丸が銀髪少女へと飛んで行く。
 銀髪少女はそれに対抗すべく、叫んだ。

「“稲妻”(エクレール)!」

 銀髪少女の雷神槌(ミョルニル)から青白く光る、巨大な雷が槍のように発せられた。黒羽の半分程度は落とす事ができたが、落としきれなかった残りの黒羽の弾丸が銀髪少女を容赦なく貫く。
 銀髪少女が痛みに耐えられなく、思わず片膝をつく。その隙を逃すダルシーではない。

「“闇黒の太陽”(ソレイユ=オプスキュリテ)」

 魔術の名の通り、黒羽がダルシーの頭上へと集まり太陽の如く巨大な球を作る。ダルシーはそれを一気に銀髪少女へと投げかける。
 神崎は「危ない!」と叫んだが、銀髪少女は片膝をつきながらも何とか魔術を発動させる。

「“絶対防御”(アプソリュ=デファンス)」

 銀髪少女を覆うように、緑色に光るドーム型の結界が出現した。
 神崎はこれで何とかなると思ったが、そうもいかない。闇の球体と結界はぶつかりあい、暫くは持ちこたえていた結界だがそれにもヒビが入り始めてきた。
 ダルシーは冷酷にも、銀髪少女に別れを告げる。

「さようなら、“白銀の討ち手”——エルザ=ハイゼンベルク」

Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.14 )
日時: 2010/01/17 14:10
名前: 咲夜 (ID: Y8BZzrzX)

初めまして、咲夜といいます。
凄いですね!すごく上手で、尊敬しますっ!!
私と同じ、妖怪などが出てくるし・・・!
大好きな魔術がいっぱい出てくるので!
続き、楽しみにしてます!

Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.15 )
日時: 2010/01/17 14:21
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

>咲夜殿
こちらこそ初めまして、更紗@某さんです。更紗の方で呼ぶか某さんの方で呼ぶかはお任せします。
俺なんてへっぽこです、話のパターンが同じすぎてへっぽこです←
咲夜殿も魔術が好きですか、勿論俺も大好きです。
というわけで早速ルーン魔術を出してしまった自分がいます← 錬金術だとか出せるだけ魔術出します。
そしたら妖怪が空気化しますがまあそこはry
声援有難いです、咲夜殿も更新頑張って下さい・ω・

Re: -妖狐と魔術の交差点- ( No.16 )
日時: 2010/01/23 16:21
名前: 更紗@某さん ◆h6PkENFbA. (ID: YpJH/4Jm)

交差点11

 ダルシーは“白銀の討ち手”こと、エルザ=ハイゼンベルクに対し勝利を収めようとしている。だがダルシーの顔は相変わらず無表情で、エルザが倒されるのを上空から見下ろしている。
 神崎はとっさにエルザを庇おうと、自身の身体がボロボロなのも忘れて走っていた。
 そしてあと少しでエルザを突き飛ばせるところまできた。だが——。

「あ」

 神崎は目の前で起きた事が衝撃すぎて、間抜けな声を漏らす。
 結界は破れ、銀髪の少女に漆黒の塊が激突し……そこには血塗れになって倒れているエルザ=ハイゼンベルクがいる。目の前で人が殺された。ドラマでもなく漫画でもなく、現実世界で人が殺された。それを目にした——この感情を、何と表せばいいのか分からない。
 つまり今の神崎は、自身の感情の正体さえ分からず何も出来ないでいる。

「この程度でしたか、実にあっけないものです」

 純白の世界に広がっていく紅。少女の力は所詮この程度だったのかと、ダルシーはエルザの死体を見ながら溜め息をつく。
 続けて、こう言った。

「……まあ、よく出来た幻影ではありますが」

 「え?」と神崎が聞き返す前に、何事もなかったかのようにエルザの死体が消えていく。
 神崎が理解する間もなく、後ろには少女がいた。肩につくくらいの銀髪に碧眼、スリットの入ったノースリーブの黒服。いつの間にか、エルザ=ハイゼンベルクがそこにいた。

「どうだ“双翼の闇”。たまには幻術も悪くないだろう」
「私としては殺す回数が増えて面倒なのですが」

 エルザの言葉からして、先程殺されたエルザは偽者という事なのだろう。例え幻でも、自分が殺された事を気にも留めない姿には少し不気味に思える。
 エルザは静かに右手を武器へと変え、構える。ダルシーも無表情のまま翼を広げた時、ダルシーに異変が起きた。頭痛でも起きたかのように、顔を歪めて頭を抱える。
 暫くして頭痛が治まったかと思うと、何か喋り始めた。

「……はい、では宜しいのですね? ……了解しました」

 ダルシーはエルザの方へと向き直る事もなく、違う方向へと羽ばたく。
 それをエルザが呼び止めた。

「……どこへいくつもりだ」
「依頼は破棄との事だそうです。貴女を殺す理由は無くなったので、では」

 それだけ告げると、ダルシーは飛び去っていった。
 神崎はあまりにもの展開の速さに、只眺めている事しか出来なかった。

 ***

「……おい。おーい、そこのツインテール。聞いてんのか」
「聞いていますよ。どうかしましたか? “双翼の闇”への『情報伝達』(テレパス)は終わりましたが」

 西洋館の雰囲気を持つソファにもたれかかり、少女に問いかけるのは黒髪に赤い目の少年。対して少年の問いに答えるのは、長さを同じに切り揃えた長い黒髪をツインテールにし、何故だがメイド服を着用している少女。
 少女が答えると、少年は「そうかよ」と言いガンベルトの装飾銃を放り投げてはキャッチする。
 そんな少年と少女の会話に割り込んできたのは、詩世より少し明るめの栗色髪に黒いドレスを纏った、人形のような顔立ちの少女。

「ハーデスが“双翼の闇”への依頼を破棄する代わりに、私達“十二柱”(オリュポンス)から九尾の妖狐捕獲の為、一人現世に派遣するらしいわ。派遣する人物に関しては好きに選んでいいそうだからオズ、行ってきて頂戴」
「は……っ!? 何で俺なんだよ。そういう事は俺よりベリアルとかロノウェの方が向いてるだろ」
「ベリアルもロノウェも今この場にはいないわ。四の五の言わず早く行ってきて頂戴」
「でもな……っておい、話聞けよヘカテー」

 黒髪の少年オズは、ソファに腰をかけ優雅に紅茶を啜る少女ヘカテーに文句を言うが、栗色髪の少女はまったくもって無視だ。
 オズは大きく溜め息をつくと、装飾銃をガンベルトに仕舞う。そんなオズに、ヘカテーは釘を刺すように言う。

「私達“堕天の一団”(グリゴリ)の名を汚さないようにね」
「っせーな……」

 オズは部屋の扉を開ける間際、小さく呟いた。

「ちっ、メンドくせー……」


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