ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 〜アビリティワールド 最終章〜更新再開♪
- 日時: 2010/05/27 20:47
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
〜第1章 逃亡の果て〜
>>1 『プロローグ』
>>2 『T,N』
>>6 『3度目の脱獄 VSトレバー』
>>10 『テロ集団 ‘ARISU’』
>>13 『新たなる脱獄者』
>>19 『ティム・シャロン』
>>22 『殺し屋‘十戒衆’』
>>24 『ペンタゴン攻撃』
>>29 『バーカス・ファイヤーサーカス団』
>>31 『新たな幕開け』
>>38 『能力者の親』
>>40 『運命の時』
>>43 『闇と光』
>>44 『本当の世界』
>>46 『ヒーローの終わり』
〜第2章 絶望の鎮魂歌〜
>>54 『みんなはどこへ・・・・』
>>61 『最後の歌姫』
>>63 『絶望の鎮魂歌』
>>65 『崩れゆく空 最終決戦へ』
〜最終章前編 人類の運命〜
>>73 『最終決戦その1 VSミラー・モンクトン』
>>74 『最終決戦その2 VSトレバー・ヴァレンティーン』
>>75 『最終決戦その3 トレバーの想い』
>>76 『最終決戦その4 VSギボン・ホプキンス』
>>79 『運命の再会 VS星風人』
>>80 『選ばれた七人のメンバー』
>>81 『空崩壊を止めろ!! VS谷瀬和馬』
>>82 『優太暴走』
>>85 『第2ラウンド』
>>86 『最後の最終決戦 VS谷瀬和馬&ラスト・アビリティ』
〜最終章後編 伝説の英雄たち〜
>>89 『5ヶ月後』
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- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜16話更新♪ ( No.60 )
- 日時: 2010/03/21 19:54
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
■■アビリティワールドまとめレポート■■
〜未来歴にて〜
・優太達が通う希望中学校にテロリストが襲撃
・襲撃事件が終わった後は、速が入院していた病院に新たな能力者が襲撃
・病院襲撃で、敵の能力により優太たちは世界各地に飛ばされた
・優太と漆黒の能力者‘ゼロ’が初めて出会う
・東京がゼロにより壊滅状態に陥る
・ミラーズ会社で優太と優太の父が再会
・ミラーズ会社は崩壊し、能力者狩りを阻止!!
・ミラーズ会社の戦いで、優太は記憶を失いアメリカを彷徨っていた
・数年前のテロリスト襲撃の黒幕が隼人ということが判明
・隼人は逃亡し、七海たちの目の前から消えた
・アメリカで数年前に死んだと思われていた速と再会、記憶も戻る
・ローラックス刑務所を襲撃し、自分の父を救出
・その後は東京に戻り、能力者抹殺計画を食い止めた
・しかし、政府の登場で優太と榛名はラットイスケイプへ収監
〜新聖歴〜
・ラットイスケイプ脱獄、榛名が死亡
・数年前に逃亡したはずの隼人が優太を救出
・政府の殺し屋‘十戒衆’が東京を襲撃
・新聖歴最後の戦いが始まる
・能力者が政府に立ち向かうが惜しくも敗北
・世界各地でペンタゴンが設立
・ノア・エーオース(漆黒の能力者ゼロ)が大統領になる
・能力者はペンタゴンに収監、日本が世界地図から消える
・暗黒歴が始まる
〜暗黒歴にて〜
・ペンタゴン日本支部から数名の受刑者が逃亡
・バーカス・ファイヤーサーカス団登場
・ペンタゴン日本支部壊滅
・優太と七海が10年ぶりの再会
・神奈川原子力発電所にて優太達と政府の戦いが勃発
・しかし、再び敗北しペンタゴンアメリカ支部に収監決定
・飛行機の移動中の際、不慮の事故で飛行機から能力者が落下
・谷瀬和馬一派がホワイトハウス襲撃
・ノアが死亡、アメリカが谷瀬和馬に支配される
・世界のあちこちで空が崩壊
・優太と谷瀬和馬一派が最終決戦へ・・・
- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜16話更新♪ ( No.61 )
- 日時: 2010/03/09 14:30
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
17話 『最後の歌姫』
アメリカ ワイオミング州
天地人、太陽人、神谷屡婁はチェ・リンの住むアパート2階に来ていた。
「んー・・・・・。しかし、いるんですかこんなところに?脱獄犯の人間が。」
屡婁が二人に聞くと、太陽人が頷く。
「能力者は何を考えるか分からないんだよ。まあ、我々もそうだが。」
太陽人と屡婁が話していると、天地人がドアノブに手をかけた。
ガチャ
カギは掛っておらず、ドアは簡単に開いた。
「・・・不用心だな。仮に脱獄犯の身なのに。」
天地人はそう言いながら家の中に入った。
二人も後に続いて土足で入る。
部屋の中は、失明している人間とは思えないほどきれいだ。
部屋は全部で三つあるが、一つの部屋にしか荷物が置かれていない。
天地人は部屋の中に入ると、机の上に無造作に置かれたファイルや資料を見る。
ファイルを開くと、中には写真やメモ用紙が多く挟まれていた。
‘ローラックス刑務所崩壊の件’
‘ラットイスケイプ脱獄の真実’
リンが調べていたと思われる資料はどれも優太が関わっている事件だ。
「今さら、何を調べているんだ?」
隣で見ていた太陽人がつぶやく。
天地人が次のページを開くと、聞いたことがない言葉が書かれていた。
「最後の・・・歌姫・・・?」
メモ用紙にはそう書いており、周りには星風人、優太、トレバー、ノア、天地人の写真が貼ってある。
「なんで、お前や星風人の写真が?」
「・・・このメンバーは、ラットイスケイプ脱獄の事件があった時、ラットイスケイプにいたメンバーだ。だが、星風人は・・・」
天地人は頭を捻る。
なぜ、こんなことをリンは調べているのか?
関係のない星風人の写真があるのか?
最後の歌姫とはなんなのか?
天地人は資料とファイルを屡婁に渡す。
「これをFBIに届けろ。」
「わっかりました!!」
屡婁が家を出ようとしたその時だった。
「きゃあああああーーーーーーーーーーー!!!!」
家の外から悲鳴が上がる。
3人は顔を合わせ、リンの家を飛び出した。
大通りにの真ん中に、血まみれとなっているリンが倒れていた。
「チェ・リンだ!!」
天地人は叫ぶと、倒れているリンに駆け寄る。
リンは腹に大きな穴をあけ、肺、肝臓、腸が破損していた。
「嘘だ・・・・」
屡婁は初めて見た残酷の人間の死体に唖然とする。
リンは出血多量ですでに死んでいた。
「誰が殺したのだ・・・何のために・・・・」
3人は愕然とした。
そして、数分後に救急車の音が辺りに響き渡った。
**********
太陽の真ん中 名もなき孤島
優太が孤島にたどり着いた翌日、優太は浜辺に腰をおろしていた。
「みんな・・・・大丈夫かな・・・・」
優太はどこかへ落ちていった仲間の顔を思い浮かべる。
七海も、アレックも、ニックスも、エイミーも。
もしかしたら死んでいるかもしれない。
「うっ・・・うっ・・・・・。」
優太は涙を流しながら悔しがる。
なぜ、能力者がこんなことに遭わなければならないのだ。
数十年前までは平和だった。
それもこれも、すべてが悪い方向に向かったのは一人の男のせい。
「ノア・・・エーオース・・・・」
優太はノアの名前を呟くと、空を見上げた。
ほかのメンバーも生きてこの空の下にいればいいのだが・・・。
優太はそう強く願う。
すると、いつの間にか優太を助けた老人が隣に座っていた。
「もう、大丈夫なのか?」
「はい。ありがとうございます。」
優太は老人にお礼を言う。
「何があったか知らんが、頑張れよ。」
「え?」
優太が老人の方向を見た瞬間だった。
ビュン!!
突風が吹き、砂が舞う。
優太は老人の目の前から一瞬で消えた。
「神宮優太君、君の未来は・・・変わるぞ・・・・」
老人はそう言うと、笑顔で水平線を見つめた。
- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜17話更新♪ ( No.63 )
- 日時: 2010/03/09 16:38
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
18話 『絶望の鎮魂歌』
地球のどこか
どこか分からない建物の中、数人の人間が若い男性の目の前に集う。
「諸君、ごきげんよう。この時が来たようだ。」
黒いスーツに髪を赤く染めた谷瀬和馬は笑顔で言う。
「星風人、チェ・リンの殺害は成功したか?」
「はい。彼女は即死です。確認いたしました。」
星風人は着ているスーツに付いている政府のバッジを剥ぎ取る。
バッジを地面に捨て、不気味に笑った。
「トレバー、星風人、ニックス、ギボン、ミラーはノア大統領を抹殺しろ。」
和馬が言うと、5人は頭を下げた。
「星風人。最後の歌姫は今どこにいる?」
「彼女は、大統領に従えています。存在はバレていないはずです。彼女が、大統領を殺害します。」
星風人がそう言うと、和馬の顔色が変わる。
「それは本当か?」
「えぇ。彼女は今日、大統領に会いますからね。その時、向こうもすべてを知るでしょう。」
「そうか。それなら、5人はアメリカ襲撃してくれ。」
「了解しました。」
5人は声をそろえて言うと、建物から姿を消した。
残ったラスト・アビリティ、L・Aは和馬の前に立つ。
「君は、チャールズ・ウオーカーを探してくれ。」
和馬がそう言うと、L・Aは何も言わず建物から出ていった。
「すべてを終わらせようか。」
和馬は不気味に笑い、その場から姿を消した。
**********
アメリカ ホワイトハウス
大統領室には、ノアと二人の男性がいた。
「キラー・テート隊長。あなたは、能力者狩りをお願いします。」
白人のスキンヘッドのキラーはその言葉を聞くと、頭を下げる。
「了解した。」
キラーが出ていくと、残ったキング・エインズワースはノアを見る。
ノアはキングを椅子に座らせると、自分も椅子に座った。
「キング捜査官。あなた、FBIが今まで関与した事件の中で‘最後の歌姫’という言葉を聞いたことありますか?」
ノアが尋ねると、キングは首を傾げ復唱した。
「最後の・・・歌姫・・・?」
「天地人から連絡で聞いた言葉です。死亡したチェ・リンは何かを調べていた。」
ノアがその言葉を言い終わったと同時に、鈴香が入ってきた。
「失礼します。ノア大統領。」
ノアは鈴香を見ると、目を大きく開いて驚いた。
「久しぶりだな。落下した能力者は見つかったか?」
「いえ。」
鈴香は首を横に振り、ノアに近づく。
ノアは鈴香に不信感を抱いた。
鈴香の表情がおかしい。何かに脅えているようだ。
「どうした・・・?」
「ノア・エーオース大統領。あなたの負けだ。」
鈴香の表情は一変し、座っていたキングの顔を殴る。
「うがっ!!」
キングは床に頭を強打した。
「なんのつもりだ?」
「ふっふっふっふっ。私の顔を覚えていないとでも?」
鈴香がその言葉を言い終わった瞬間、鈴香がノアの目の前から消えた。
「何!?」
「こっちよ。」
ノアの後ろに鈴香が笑いながら立っている。
ノアが後ろに下がると同時に、キングも立ち上がった。
「何者だ?早見鈴香ではないな?」
「彼女は死んだ。私は・・・」
鈴香の姿が少しづつ変わる。
そして、その姿を見てノアは愕然とした。
「お、お前は・・・。」
「久しぶりね。ゼロ・・・」
ノアの目の前に現れた謎の女性は、一瞬でキングの後ろに回る。
「あがっ!!」
キングの首をナイフが貫く。
キングは白目をむき、そのまま床にバタリと倒れた。
ノアは女性の正体を知っているらしく、恐怖でその場から動けない。
「どうしてだ・・・?なぜ生きている?あの時、彼が殺したはずだ。」
「谷瀬和馬の能力で生き返ったのよ。」
女性はそう言うと、ノアの心臓にナイフを突き付ける。
「あなたが動けない理由は一つ。すでに、囲まれているからよ。」
背景が歪み始め、ノアの周りにトレバー、星風人、ギボン、ミラー、ニックスが現れる。
「星風人・・・お前・・・・」
「大統領、世界を手にするのは我々だ。」
星風人はそう言うと、人差し指をノアの頭に向ける。
「レーザースター」
星風人の人差し指から赤いレーザーが発射。
レーザーはノアの頭を貫通した。
ノアはそのままキングと並んで倒れた。
「さあ!!ショータイムだ!!!」
星風人は両手からレーザーを出し、大統領室の窓をすべて割る。
「行くわよ。」
6人は大統領室を出て、廊下をスタスタと歩く。
「おい!!貴様ら!!」
警備員が2人、6人の目の前に立ちはだかる。
「邪魔だ。」
耳にピアスをし、近寄りがたい雰囲気を出しているミラーは片手からブラックホールを出す。
「なっ!!」
警備員は一瞬でブラックホールの中に吸い込まれた。
6人は歩調を速め、廊下を進んでいく。
すると、任務から帰ってきた雨水神と創造人がいた。
2人は6人に気付くと、愕然とした表情を見せた。
「消えろ。」
星風人は両手からレーザーを出し、2人の頭を貫く。
2人は何もできずに、そのまま床に派手に倒れた。
「世界は我々のものだ。ここを拠点とし、新生アメリカ合衆国、いや、世界の建国を宣言する。」
星風人はそう言うと、残りの政府関係者を殺し始めた。
謎の女性はニヤリと笑い、つぶやいた。
「この私が・・・・あの方のためにやるのだ・・・」
この私、神崎榛名が・・・ね・・・・_______
暗黒歴17年 2035年
アメリカ合衆国と日本は、この瞬間、谷瀬和馬の物となった
- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜18話更新♪ ( No.64 )
- 日時: 2010/03/10 13:44
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
☆★☆アビリティワールドの用語特集☆★☆
[未来歴]
能力者が誕生した時代のことを未来歴という。
大統領は、クラウディア・G・ホルテミウス・シニア。
[新聖歴]
未来歴の次の年。シニアが死んだため、何らかの形でノアが30代目大統領に。
[暗黒歴]
ノアが能力者を捕獲し、日本が壊滅した時代。
この年に世界各地でペンタゴンが設立された。
[ローラックス刑務所]
レベル1からレベル10までに分かれた刑務所。
世間では普通の刑務所だが、裏では能力者専用刑務所。
現在は崩壊し跡形もない。
[ラットイスケイプ]
世界最強無敵の難攻不落の刑務所。
砂漠の真ん中にあり、脱獄したのは優太が初めて。
現在も警備を固め現存している。
[ミラーズ・コーポレーション]
世界的有名なバイオ会社。
創立メンバー10人全員が能力者。
建物自体は戦いの最中に海に沈み、会社も消えた。
[超能力者隔離塔(ペンタゴン)]
五角形の能力者を隔離する建物。
地上30階、地下20階の規模を持つ世界最大の刑務所。
アメリカ、日本、オーストラリア、ロシア、ヨーロッパなどに設立されてある。
[七人の勇者]
新聖歴の最後にあった、政府と能力者の戦いにいた優太たちのこと。
メンバーは、神宮優太、高橋七海、黒崎隼人、岩野恭祐、雨水速、新庄剛、神崎榛名。
現在確認されているのは優太と七海、榛名。
[スペインの研究所]
すべての始まりの場所。能力について研究していた施設。
[テロ集団 ‘ARISU’]
高橋七海が率いるテロ集団。
目的は世界征服だったが、失敗に終わった。
[VXガス]
能力者の能力を消すことができるウイルス。
優太の同級生、須波有菜が東京にばら撒いた。
[バーカス・ファイヤーサーカス団]
バーカス・レッドフィールド団長の能力者サーカス団。
大半が火を扱う能力持ちであり、戦闘にも強い。
[殺し屋‘十戒衆’]
ノアが形成した政府の殺し屋。
[最後の歌姫]
ラットイスケイプで噂となっている言葉。
正体は数十年前に死んだはずの神崎榛名。
- Re: 〜アビリティワールド 第2章 絶望の鎮魂歌〜18話更新♪ ( No.65 )
- 日時: 2010/03/26 15:10
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
19話 『崩れゆく空 最終決戦へ』
ビュン!!
「おわっ!!」
優太は謎の風に乗り、あっという間に東京のある場所に着いた。
「大丈夫?神宮優太君?」
優太が頭を上げると、目の前にはミニスカートに見覚えのある服装の女性が立っている。
「希望中学校の制服・・・・」
「思い出した?ここはその希望中学校よ。」
「は!?」
優太はその言葉で周りを見渡す。
確かに、ここは学校の屋上だが、校舎は半壊している。
「あなたたちが飛行機で移動中に、二機のステルスが東京に爆弾落としてこの有様よ。」
「なぜ、俺の落ちた場所が分かった?」
優太が聞くと、女性は手を優太の方に向ける。
すると、優太の周りだけに強い風が吹く。
「私は風を操り、風になれる。能力を利用してあなたを見つけたの。」
「俺だけか?七海やほかの能力者は?」
優太の質問に、女性は首を横に振る。
「ごめんなさい。あなたを目で追うだけで精一杯だったの。天候も悪かったし・・・」
女性がそう言うと、後ろのドアから数人の人間が現れた。
「優太!!」
優太の名前を呼びながら、一人の男性が走ってきた。
その男性に優太は見覚えがある。
中学時代の教師であり担任のジョン・シルファーだ。
「ジョン先生!!それに、リリス!!」
ジョンの隣にはリリス・キャラメルがいた。
「優太君、大丈夫だった?」
身長が伸び、髪を伸ばしたリリスは優太に近づきながら言う。
ジョンの容姿もかなり変わっていた。
髪は歳のせいで白髪が目立ち、白いコートを着ている。
「なんで?どうして生きてるのですか!?」
「リリスのおかげだ。新聖歴最後の戦いで、俺らは負けると思い、リリスの能力で影の中に隠れたんだ。それから数十年、お前を探しながら生きてきた。」
ジョンがそう言うと、再び後ろから見覚えのある男性が現れた。
「テオボルト・・・。」
「久しぶりだな。神宮優太。」
優太の目の前に、テオボルト、クインシー・レジナンド、パトリック・オーランドが立っていた。
「こいつが、テオボルトさんが話してた人ですか?」
クインシーが聞くと、パトリックも聞いてきた。
「俺は別に構わない。奴らに復讐できるならな。」
3人は笑顔で優太を見た。
優太がいまいち状況が判断できず、ジョンの方を見る。
ジョンは様子を察知し、頷いた。
「俺らは少数の能力者で構成された反政府組織‘ホープ’だ。」
「ホープ・・・希望?」
「あぁ。この学校の名前から取ったものだ。俺らは、今からアメリカ政府に攻撃を仕掛ける。」
「え?」
優太はその言葉に唖然とした。
こんな人数でノアに勝てるはずがない。
「優太、落ち着いて聞いてくれ。ノアは死んだ。」
「は・・・?」
ジョン先生は何の冗談を?
奴が死ぬわけがない。数十年追いかけて殺せなかったのに。
そんなはずはない。
「うそでしょ?根拠は・・・?」
「彼を見れば・・・すぐに判断できる。」
ジョンがそう言うと、ドアがゆっくりと開き予想もしていなかった人物が現れた。
優太はその人物を見て唖然とする。
「な、な、な、なんでお前が!!」
「天地人!?」
優太の目の前には確かに、スポーツサングラスをした天地人がいた。
「対面するのは脱獄以来か?原子力発電所では会えなかったからな。」
優太は天地人との再会に驚きより怒りが込み上げてきた。
優太は天地人を殴り倒し、そのまま上に乗った。
「お前達のせいで岩野や関係のない人間が死んだ!!それにお前は!!!榛名を殺した!!!」
「ぐっ!慌てるな・・・」
「黙れ!!!!!!」
優太は右手を刃物に変え、天地人の頭めがけて振り下ろした。
が、テオボルトのサイコキネシスで優太の攻撃は塞がれた。
優太はテオボルトを見る。テオボルトは何も言わず首を横に振る。
「優太、安心しろ。今回はお前の仲間だ。」
天地人はスーツを着なおしながら言う。
「信用できない。」
「ノアは死んだ。創造人も雨水神も殺された。早見鈴香も先ほどミシシッピ川の河口で遺体が確認された。現在生きている‘十戒衆’は太陽人と神谷屡婁に俺だ。星風人は裏切った。」
優太は天地人の‘裏切った’という言葉を不審に思う。
「・・・・裏切った?」
「あぁ。谷瀬和馬一派がホワイトハウスを襲撃して、その中にはトレバーや星風人、それに、神崎榛名もいた。」
「は、榛名が!?榛名はお前に殺されたはずだ。」
「私も目を疑ったよ。だが、彼女は正真正銘本物の神崎榛名だ。」
優太は天地人の言葉に困惑する。
榛名が生きていた?信じたいが、信じれない。
榛名は優太の目の前で、心臓を拳銃で撃たれ死んだのだから。
優太が愕然としているその時だった。
「ジョン!!あれ!!」
リリスがジョンの名を叫び、空に指さす。
全員はリリスが指さす方向を見た。
そして、全員の目の前に想像を超えた光景が広がった。
「そんな・・・・こんなことが・・・・・」
優太たちが見上げる空。
暗雲が一気に消え、青い空が広がった。
が、その空の様子がおかしい。
─空が・・・崩れている・・・・─
「ありえない!!あれはなんだ!?」
全員は叫びながら、その光景を見ていた。
空からパズルのピースのようなものが降ってくる。
それは‘空の一部’。
ピースが無くなった部分は真っ黒だ。
「・・・・谷瀬和馬だろう。急ぐぞ!!アメリカに!!」
天地人がジョンに言うと、ジョンはパトリックを見る。
パトリックは頷き、両手を出した。
「俺の能力は瞬間移動だ。いますぐアメリカに急ぐぞ!!」
全員はパトリックの手に触れ、アメリカへ瞬間移動した。
**********
アメリカ ホワイトハウス
アメリカの都市は炎をあげて燃えていた。
星風人たちがアメリカの主要都市を攻撃したのだ。
和馬は窓が割れ、キングとノアの遺体が転がる横で椅子に座ってその光景を見ていた。
アメリカの空からも空のピースが降ってくる。
「創造人の能力、創造再生。ハンデが寿命4年分?そんなの無敵の私には効かない。」
和馬はニヤリと笑うと、立ち上がり空を見上げた。
あちこちで悲鳴が聞こえる。
アメリカの都市機能は完全停止。ほぼ壊滅状態。
和馬が空を見上げていると、目の前の庭に星風人とトレバー、ミラー、榛名、ギボン、ニックスが集う。
「それではただいまから、世界の再建を開始する。」
和馬はそう言うと、不気味に笑った。
〜〜第2章 絶望の鎮魂歌〜 終了!!
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