ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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___くれないおおかみ___
日時: 2010/01/27 21:57
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

月ひとつ、

暗闇は静寂を誘い込み。

星ひとつ、

輝きは徐々に色褪せる。

風ひとつ、

荒野を駆ける荒々しさに。

生ひとつ、

貴方はどれ程足掻くのか。

こえひとつ、

儚く脆く、貴方は生きる。

くれないひとつ、

暗闇に蠢く、嘆きの如く。

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Re: ___くれないおおかみ___ ( No.15 )
日時: 2010/02/05 22:40
名前: 奄々 (ID: KTH/C8PK)

奄々だー。
豺狼……かっこいいというか。
兎に角ピンチだー(

遂に、題にもなっている「あかい(くれない)おおかみ」が出てきましたなー
これから皆がどう動くのかとか
豺狼達がどんな風に仕掛けてくるのかとか、気になりますよ……。

応援してるよー
更新頑張れ!

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.16 )
日時: 2010/02/06 09:03
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/index.html

ありがと〜♪
頑張るよ(#^.^#)

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.17 )
日時: 2010/03/05 20:26
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode9‐くれないおおかみ‐


黎は憂達の所に急いでいた。
明が昼近くになっても帰ってこない。
『何かあったのか?いや、明に限ってそんな・・・』
考え事をしながら廊下を曲がる。
「いてっ!!」 「っ!!」
誰かとぶつかった。今、最も会いたくない人だ。
「・・・豺」 「何だ。黎か」
舌打ちをしたくなったが控えた。
ふと豺の手を見ると見慣れた物を握っていた。
「っ!!お前!!それ、明のリボンじゃないか!!」
明がいつも胸元に巻いていたリボン。
「ああ、さっき俺の部屋に届いたんだ。明のだろ?お前達に届けようと思って・・・」
「・・・そんなこと言って、お前が<おおかみ>なんじゃないのか」
「はぁ?!お前とうとう頭がおかしくなったのか?」
豺がやれやれ、とでも言うように首を振る。
「・・・じゃあ、一体誰が・・・」
そのとき、講堂の窓ガラスが割れる音がした。
「っ!!何だ?!」 「行くぞ!!」
急いで講堂に駆けだす。途中で憂と樹と合流した。
そして、講堂の扉を勢いよく開ける。
そこに居たのは・・・。

「・・・何で、お前が・・・」

「さぁ、何故でしょうね。黎さん」
無邪気に笑う須臾の姿が、不釣り合いに存在していた。

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.18 )
日時: 2010/03/10 18:38
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode10‐虚実‐


「何で・・・須臾、お前が・・・」

「どうしてだと思いますか?黎さん」

無邪気な笑顔が、今はとても恐ろしく感じる。

「お前が、宵や和達を・・・?」

「・・・うふふ。そうですよ。私が殺したんです。皆殺しをするつもりだったのですが・・・」

愛さんに逃げられてしまったんです。と俯きながら言う。

「っ、何やってんだよ!!仲間を殺すなんて・・・一体何考えてんだ!!!」

黎は大声を上げる。

憂は瞳いっぱいに涙を溜めて、須臾を見つめている。

樹はただただ、目の前の光景に驚愕し、声も出せずにいた。

「・・・仲間・・・」

ポツリと須臾は呟く。

「ねえ黎さん。私、黎さん達に沢山の嘘を吐きました。沢山、沢山です」

須臾は真剣な顔をして言葉を紡ぎ始めた。

「その一つをお教えいたします」

眉間に皺を寄せ、睫毛を震わせ始めた。

「っ、まさか・・・」

口を弧に描き、須臾は笑う。

「私、目が見えるんです。見えないなんて言いましたけれど、視力はとても良いんですよ?」

開かれた瞳は、禍々しく赤く輝いていた。

「この瞳が、私が<あかいおおかみ>と呼ばれた由縁です」

「・・・嘘・・・?」

「はい。あと、もうひとつ大きな嘘を吐きました」

黎はえ?という顔をして須臾を見た。

「私、黎さんのこと」

天使のような笑顔。

「大嫌いなんです」

きっとそれは、人を欺くために作っているんだろう。

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.19 )
日時: 2010/03/19 16:45
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode11‐枯渇した望み‐


「大嫌いです、黎さん」

「っ、なん・・・」

須臾が距離を縮めてくる。

「ふふ、どうなさったんですか?黎さん。

 何だか顔色が悪いようですが・・・?」

するり、と黎の頬を撫でる。

その手が異様に冷たくて、恐ろしかった。

「っ、離せ!!」

ドン!!と須臾を突き飛ばす。

よろり、と体勢を崩しながらも倒れない須臾。

「・・・痛いじゃないですか、黎さん。

 女の子ですよ?私・・・。

 ・・・これはちょっとしたお返しです」

そう言って須臾は何かを投げてきた。

目で捉えるよりもよりも早く、それは黎の胸元に突き刺さった。

「ぐっ・・・・、ぁ?」

短剣が黎の胸元に深く刺さっている。

そこから生温かい液体が流れ出る。

「・・・まだ、死なないでくださいね?黎さん」

樹達が駆けよってくる中で、須臾の声を聞いた。

「貴方を殺すのは、私なんですから・・・」

そのとき、霞んだ視界の中で見た須臾の顔が寂しげにぼやけていた。



おおかみさんは、ひとりぼっちなんです。


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