ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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___くれないおおかみ___
日時: 2010/01/27 21:57
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

月ひとつ、

暗闇は静寂を誘い込み。

星ひとつ、

輝きは徐々に色褪せる。

風ひとつ、

荒野を駆ける荒々しさに。

生ひとつ、

貴方はどれ程足掻くのか。

こえひとつ、

儚く脆く、貴方は生きる。

くれないひとつ、

暗闇に蠢く、嘆きの如く。

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Re: ___くれないおおかみ___ ( No.10 )
日時: 2010/01/31 19:24
名前: 奄々 (ID: 7nl1k8P4)


奄々ですよー

感想ありがとうごぜえました。
大感謝!

なんだか、小説凄く面白かった。
続きが気になる……。
明サンのキャラが好きだなあ。
明るくて、でも闇を抱えててって感じで。
みんな抱えてるけど(

応援してる&楽しみにしてるよー
執筆活動頑張れ! 

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.11 )
日時: 2010/01/31 19:39
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

はい!お互い頑張りましょう!!

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.12 )
日時: 2010/01/31 21:25
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

Episode6‐周りの奴は皆敵‐


「あれ、明は?」

朝起きると、明が居なかった。

「明なら、昨日から帰ってないぞ?」

「は?何で?」

「仕事の量が半端ないと須臾から聞きましたが・・・」

「・・・そうか」

黎は溜め息をつくと、部屋から出る。

「何処に行くんだ?今日は休日だろう」

「明の外出届、出しに行くんだよ。

 ・・・朝は外出禁止されてるだろ」

「・・・そうだったな、俺も行く」

「私も行きます・・・ふわぁ・・・」

「「寝てていいぞ」」 「いえいぇ・・・行きます」

三人並んで、事務室に居る須臾の所に行く。

人のあまりいない廊下で、人に会った。

・・・必要最低限、会いたくない奴だ。

「おや?黎じゃないか」

「・・・なんの用だ、豺(さい)」

目の前の少年、豺に言う。

人を見下すような眼、気に食わない。

「別に、お前如きに用なんてないさ。

 ・・・ところで、一人足りないようだが・・・」

豺はわざとらしく、周りを見渡す。

「お前には関係ないだろう」

樹が睨みつけながら、豺に迫りよる。

「・・・もしかして・・・死んだのか?」

弧を描くように唇を釣り上げる。

それに、怒りを感じた黎が、サバイバルナイフを振りおろす。

キィィィィィ・・・・・・ン。

ナイフは、同じ金属物である刀によって、阻まれた。

「・・・私のチームメイトが、失礼をしたようね」

阻んだのは、豺の仲間の少女だった。

「ごめんなさい、コイツ、こんな性格だから。

 人を怒らせるのが得意なの。・・・わかるでしょ?

 明は仕事で居ないって聞いたわ。

 ・・・豺、アンタも謝りなさい」

少女に言われ、豺は不服そうにしながらも頭を下げた。

「スマナカッタ」

・・・何て、心のこもらない言葉・・・。

「本当にごめんなさいね。

 ほら、豺。さっさと部屋に戻りなさい」

「はいはい、凛(りん)に従うさ」

豺はくるりと振り返り、自室に戻っていく。

「じゃあ、私はこれで。明によろしくね」

凛もそう言って、豺の後を追う。

「・・・アイツ、嫌いです」

「憂、俺もだ」

憂と樹は豺を睨み続けていた。

「・・・俺は」

黎は言う。

「明と、樹と、憂と須臾以外、皆嫌いだ」

だって、皆、敵なのだから。

他人を信じないと決めた、少年の言葉は、

深く、重く、心に沈んだ。

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.13 )
日時: 2010/02/01 21:07
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

Episode7‐崩れ始めた日常‐


俺達に、平穏な日常なんてなかったけれど、

こうして五人で居られること、それが当たり前だった。

けれど、それが崩れていったのは、

本当に突然だった。


「た、大変です!!皆さん!!」

息を乱して部屋に入ってきた須臾。

「どうしたんだ?須臾」

黎が心配したように言う。

「よっ、よいさんのグループが何者かに襲撃されて、皆殺しに・・・!!!」

「?!何だと!?」

黎達は急いで講堂に向かう。

先に騒ぎを聞きつけた孤児院の他の奴らも来ていた。

その群れの中心に、五つの物体。

白い布が被せられていて、その下から人間の手が伸びている。

「・・・嘘だろ・・・?宵のチームはこの孤児院一の戦闘力を誇ってるんだぞ・・・」

「それが、こんな・・・」

黎と明が驚愕に目を見開いている。

「須臾、相手は何人なんだ?五人?それとも十人?」

樹が須臾に尋ねる。

「そ、それが・・・・」

「?」

「相手は・・・一人です」

「?!一人?!たった一人で宵達を・・・?」

憂も、驚きで続きの言葉が声に出ないようだ。

「・・・宵さん達の首元に、鋭利な刃物で切り裂いた跡がありました。

 触った感覚から、かなり深い傷だと考えられます。

 恐らく、最近噂になっている<豺狼さいろう>の仕業ではないかと・・・」

豺狼。暗殺者を次々と殺していく暗殺者。所謂同族殺しだ。

そんな奴が、俺達孤児院の子供を狙ってくる。

・・・いい度胸じゃないか。

「須臾、豺狼について何か手掛かりは無いのか?」

「いえ、特には。ただ・・・」

須臾は口ごもる。が、意を決したように口を開く。

「一瞬ですが、宵さんの体から豺さんの匂いがしました」

「・・・豺、だと・・・」

俺達の顔が少し歪む。

アイツなら、やりかねない。

「でも、まだ決まったわけじゃないですし、私の勘違いかも知れないので・・・」

須臾は優しいから、誰も疑いたくないのだろう。

「・・・皆、豺には、気をつけるんだぞ」

「「「うん」」」

「須臾、今日の依頼を取ってきていいか?」

「はい。もちろんです」

黎達は足早に、事務室へと向かっていった。

須臾の顔が、暗く沈む。

「・・・嘘、だらけ」

少女の呟いた言葉に、隠された真実。

それは、思いもよらない結末を迎えることになる。

Re: ___くれないおおかみ___ ( No.14 )
日時: 2010/02/03 22:44
名前: 十和 (ID: zCJayB0i)

Episode8‐幸せは逃げていく‐


暗闇に蠢く影一つ。

影に揺らめく紅ひとつ。

息を潜めて待つものは、

無防備すぎる獲物たち。

さぁて貴方は影、獲物?


「黎さん!!今度はよりさん達のグループが・・・!!」

「今度は和が?!一体どうなってるんだよ!!」

黎達は孤児院の子供たちの手当てにおわれていた。

といっても、皆、死んでいるのだけれど。

「また、皆殺されちゃったの?」

明が眉を下げて須臾に問う。

「い、いえ・・・。負傷してはいますがあいさんが帰還してきました」

「!本当か?!おい、行くぞ樹!!」

樹を連れて黎は走っていく。

向かった先は救急室。

「おい!!愛居るか!!」 「あ、黎。愛なら今手当てを受けてるわ。・・・ちょっと待ってて」

凛が愛の手当ての世話をしているらしく、少しの間足止めをくらった

「愛、黎達が話があるんだって」

優しく凛が話しかけるが、愛は肩を震わせて俯いている。

・・・怯えているのか。

「・・・愛、一体誰がお前達を襲ったんだ?」

「っ・・・・ぁ、・・・あ・・・・・・」

愛はカチカチと歯を鳴らして、答えようとはしてくれない。

「・・・無理に話さなくていいから、な?」

愛を落ち着かせようと背を優しく叩く。

愛は涙を流しながら、コクコクと頷いた。

「すみません黎さん!!こっちの人手が足りなくて・・・」

落ち着かせている最中に、須臾が救急室に入ってきた。

その瞬間、愛の瞳がギョロリと動き、須臾を捉える。

「っ、いやああぁぁあああぁあぁぁあああぁぁ!!!!!!!!」

激しく痙攣を起こし、その場にしゃがみこんだ。

「どうしたの?!愛、愛!!」

「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい!!」

頭を庇うように手を組み、謝罪の言葉を繰り返す。

「愛!!一体どうしたの!!」

「っるの、来るの!!」 「一体何が?!」

愛が涙を流しながら叫ぶ。

「<おおかみ>がくるの!!!<あかいおおかみ>が!!!」

そう言ったっきり、愛は何もしゃべらなくなってしまった。

黎と樹と須臾は、救急室を後にした。

「・・・あかい、おおかみ・・・」

「やっぱり、豺のことか?あいつの髪、真っ赤だし・・・」

豺への疑念は膨れていく。

「・・・でも、愛は何で須臾を見てあんな反応をしたんだ?」

黎の言葉に須臾は少し驚いたように眉を上げ、すぐに平常な表情に戻し、言葉を紡ぐ。

「・・・私の髪の色が茶色だからじゃないでしょうか。
 自分で言うのもなんですが、フワフワしていてよく犬みたいだって言われるので・・・」

確かに。須臾の髪はフワフワモコモコでラムみたいだ。

フラッシュバックを起こすのも無理はないかもしれない。

「取り敢えず、豺をマークするか。これ以上犠牲者を出すわけにもいかないしな」

樹はそう言って、講堂に戻って行った。

「・・・黎さんは戻らないんですか?」

「・・・なあ須臾」

何ですか?と可愛らしく聞いてくる須臾。

「お前、俺達に何か隠してないか?」

「・・・何を言っているんですか?私が黎さん達に隠し事なんてするわけないじゃないですか」

変な黎さん。とクスクス笑う。

「・・・だよな、うん。ごめん。じゃあ俺講堂に行ってくるわ」

「はい。いってらっしゃいませ」

須臾に別れを告げ、黎は駆けて行く。

須臾はその方向をずっと見据えるように、顔を上げている。

「・・・隠し事、ですか」

須臾は独り言のようにぽつりと言った。

「そんなの、山ほどあるに決まってるじゃないですか」

顔を俯けて、拳を握る少女の姿がそこにあった。


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