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Carrier
日時: 2010/02/21 13:23
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

クリックありがとうございます。 シリアスで少し暗めで歪んだお話にしていきたいです。 どうぞ。

<Characters>

──愛山 優──アイヤマユウ
16歳 精悍な整った顔立ちと黒い短髪から少年のように見える。 運び屋。 淡々とした性格。

──夜巣咲 洋一──ヨスザキヨウイチ
25歳 運び屋の上司。 「ヨッさん」と呼ばれている。 見目麗しい好青年。 優の保護者。

──稲辺 セイゴ──イナベセイゴ
22歳 金髪にサングラスという派手な見た目。 喧嘩が強く、関わろうとする者はごく少数。『捜し人』

──キサト──
12歳 透明な雰囲気の無口少女。 本名にトラウマがある為、『キサト』は姉であるノドリが付けた。
絵を描くことで相手に気持ちを伝える。 会話手段は筆談。

──柏崎 美影──カシワザキミカゲ
18歳 学校には行かず、闇に手を染める青年。 タヒんだような目をしており、ストレスからか髪の色素が抜けて白髪。

──驫木 音羽──トドロキオトワ
20歳 ニート。 藍とは高校時代からの友人。 能天気な性格。

──神授 藍──シンジュアイ
20歳 ニート。 音羽とは高校時代からの友人。
音羽の暴走に日々つき合わされている。

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Re: Carrier ( No.1 )
日時: 2010/02/05 14:39
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

        Chapter 1
    ──愛してる、アイシテル──


 色々な、愛の形がある。

   それはあまりにも美しくて、歪んでいる。




「私を愛さなくてもいいから傍に置いてください」
「お願い、愛さなくてもいいから。 私を必要としてください」
「あなたが私を愛さなくても、私はあなたを愛すから」
「お願いです、ここを開けて。 開けて、開けて」


幾度となく呟かれる言葉。 永遠に聞けば呪詛のようにも聞こえてくる。
扉の向こうで、彼女は今、懇願している。

必要としてくれ、と。

唾液を飲み込む事もせず、ずっと、ずっと。
爪でガリガリガリガリと扉を引っかき、開けて開けてと訴えてくる。

冗談じゃない。

あちらに恋愛感情があったとしても、こちらはこれっぽっちもそういうのは皆無なのだから。
でも、彼女はそれを認めようとしない。
いや、認めているけれどそんな事はどうでもいいのだ。

彼女は彼女の意志のまま、彼女の愛する者を愛する。

「大好き、愛してる、本当よ? 私にとってあなたが世界の全てなの。 あなたが消えれば私も壊れてしまうの。 お願い、お願い、お願い」

あぁ、うるさい。
ゆっくりと扉の鍵穴に鍵を差し込む。

この際、彼女を殺.してしまおうか。

近くにあった包丁を掴み、鍵を回しながらそれを構える。
彼女の声と爪を研ぐ音がようやく消えた。

さぁ─────、

Re: Carrier ( No.2 )
日時: 2010/02/05 14:56
名前: 朝倉疾風 (ID: ikrpTGuK)

                    .


裏と表が共存して作られている大都市。
そこでは強い者しか生きられない、夜の世界。

その裏と表の中立をしているのが、『ハイエナ』 と呼ばれる『運び屋』だった。

運び屋、といっても手紙や荷物などを運ぶわけではない。
見つかれば警察にしょっ引かれそうな物や、裏社会で必要とされている物、情報。

そういう危険なものを運ぶのが『ハイエナ』だ。



  ハイエナ本部にて



愛山優は呆れたように男を見下ろした。

「お願いですっ! 助けてくださいっ!」
「・・・・・・・・だから、困ります」

黒い短髪に黒く大きな双眸。 精悍で整った顔立ちに細い体でハタから見れば少年にも見える優が、迷惑そうに自分の目の前で土下座している男達にキッパリと言った。

「そこをなんとか!」 「いや、だから無理なんですってば。 僕じゃ動けません」 「なんとか!」 「しつこいですね・・・・・・・。 助けたいのは山々なんですけど」

──参ったな。

優は内心少々疲れながらため息をついた。
男達は小さな会社の社長で、先日その会社が倒産して多額の借金が残り、『ハイエナ』である優に自分らをどこか別の国に『運んで』ほしいと依頼してきたのだ。

しかし、報酬の金額が足りない。 
『ハイエナ』は運び屋として、裏と表の中立の存在。
命を狙われる事も多いため、運ぶ報酬もそれなりに取る。
今回は男3人に、更に裏社会まで絡んでいる為、報酬はかなりすぐのだが・・・・・・。

「お願いです! 本当にお願いですっ!」
「だから無理ですって」
「そこをなんとか!」
「さっきと同じパターンじゃないですか」

先ほどから土下座して懇願され、断っているがなかなか引いてくれない。
優は時計をチラ見して諦めたような顔になる。

──・・・・もう。 大好きなアニメ見終わったじゃないか。 早く帰ってくれよ・・・。

「『ハイエナ』なら、俺らを運ぶことくらいできるでしょうがっ!」
「報酬金額が足りません。 お引取り下さい」
「小僧っ!」
「逆ギレ止めてください」

──小僧・・・・ねぇ。

「というか、僕にこうして頼んでいる間に逃げる時間が充分あったでしょうに」
「無理です! アイツらから逃げるなんて無理です!」
「やってみないと分からないじゃないですか」
「あのですね! 我々はあなたみたいに凄腕のガンマンでもなければ格闘家でもないっ! ただの中年親父ですよっ!」

「あー。 加齢臭が一番ツラい時期ですね。 娘さん、大丈夫ですか?」
「息子しかおらんわっ! っていうかお願いしますっ!」
「無理です」


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