ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 神に魅入られし者。
- 日時: 2010/07/10 19:36
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: WylDIAQ4)
初めまして、の方が多いと思います、はい。
HNを悠→金糸雀にしましたが、少しバグってしまいましたので戻します。
途中、少しだけ金糸雀ですが気にしないで下さい。
前は二次元で書いてましたが消えるわ、放棄するわで、そのままになってしまいました。
・・・・・・が。
今回こそ最後まで続けようと一人で勝手に誓ってます。
って事で。
どうぞ、宜しくお願い致します。
<注意>
・更新はカメ並みと言ったらカメに失礼なほど遅いです。
・グロテスク&流血表現たまに存在します。苦手な方は即Uターンをお勧めします。
・最後に、こんな駄目文な小説ですがコメをしてやって下さい。
一人でずっとやっていると虚しいッス。
(もはや、注意じゃねぇ・・)
<ストーリー>
●プロローグ >>1
●第一章 「黒神の創った者」
・第一話 >>2 ・第二話 >>3
・第三話 >>6 ・第四話 >>8
・第五話 >>12 ・第六話 >>16
・第七話 >>19 ・第八話 >>21
・第九話 >>22 ・第十話 >>23
●第二章 「エクソシスト」
・第一話 >>24 ・第二話 >>25
・第三話 >>26 ・第四話 >>27
<お客様>
・神楽様 ・空様
<お知らせ&色々>
しばらくロックいたします
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.23 )
- 日時: 2010/05/08 18:53
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
*注意!!
この話は特にグロテスク&流血表現が多いです!!
本当に無理な人は、「無理!!」と思った時点でとばして下さい。
† 第一章 「黒神の創った者」 第十話 †
「『ウンディーネ』!!!!!!!!!!」
青年がそう叫ぶと白神は両手を合わせて、水色をした怪しい光を放った。
その光は燃え盛る黒炎の方へと行った。そして、光が水に変わった。
シャルナが振り向いた場所は黒炎が燃えていたはずなのに、何故かなかった。
そう、水が。
水色をした水が黒炎を消していた。
無色の普通の水ではなくて、本当に水色をした水だった。
それが、炎を消した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・消えている」
逃げようとしていたシャルナだが、足止めとしておいた炎を消されて青年との距離は先ほどとさほど変わっていない。
「ウンディーネはな、水の精霊なんだ。
だから、どんな場所でも、どんな炎でも、水として最高の力を出す」
「それに、白神の俺と複製のこいつの能力もプラスされるからさらに強力になる」
淡々と言いながら、青年と白神は近付いてくる。
逃げる術はない。
頭がそう言った。
体は逃げたい。だが、震えて動かせない。
無理だ、と。頭は言った。
「・・・・・・ごめん。君は終わったよ」
静かに、青年はそう言った。
そして、手にしていた破壊刀で、怯えに耐え切れず崩れ落ちたシャルナを斬った。
斬った時、破壊刀に斬った感触が伝わった。
骨を斬った鈍い音と皮膚を切り裂いた軽い音が響いた。
そして、青年の足元に首が転がった。
断面は白い骨と赤い肉、筋肉。そして、黒いカビの様な物。
これは、黒神のなれ果てた姿だ。
魅入ったが魅入られたので、シャルナの体の中へと完全に取り込まれていたらしい。
そして、あたりに広がった血の海。
鮮やかな色は若い子供だからこそ、描ける色だった。
「・・・つまんねぇの」
一言、淡々と白神は呟いた。
白神と呼ばれる神でありながらも、白神はスリルを毎回楽しんでいた。
黒神を殺すのが、操り人形を殺すのが生き甲斐とする少し変わった神。
一方の青年は、黒神の複製でありながらも黒神を消す為に動いている。
ただ、少しの同情と少し、黒神や操り人形に対する言動は優しい。
「つまらないとか言うな。殺ったんだからいいだろ?
だいたい、死体処理山ほどあるんだからいいじゃないか」
この街には人はいなかった。
そう。
、、、、、、、、、、、
________生きている人間は。
だから、後でこの街で腐敗臭だらけになっては困るので死体を完全に消さなければならない。
その人物の存在すらも、この世界から消さなければならない。
神の力では十分可能だ。あと、エクソシストでもいい。
「あーー、忘れてた」
「多分、この街の人口の全員は彼女のおかげで死んだと思うんだ。
だから、約250人ほど俺等で消さないといけないな」
「・・・面倒臭い、な」
「でも、放っといたら大変な事なってるぞ、多分」
「だろうな」
「・・・・・・・でも、まぁ。魔女の祓滅は終わりって事で?」
「いいよな」
続く
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.24 )
- 日時: 2010/05/09 20:37
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
第二章 「エクソシスト」 第一話
「やっと帰って来れたな」
「・・・死体処理でまさか丸三日かかるとは思わなかったもんな」
ここは、〈シェイプ〉と呼ばれる街。
隣に大きな海があり、港があるので色々な国や街の人々が行き交う。
それに、大きな鉄道が何本も通っていて、観光地や貿易地としてとても有名だ。
そのせいもあってか、この街を中心とした辺りには様々な言語を話す人がいる。
そして、その中で一際目立つ大きな建物。
中世の城のような感じの建物はシェイプにいるエクソシストの拠点となっている。
ここをエクソシスト達は、〈リタプレ〉、と呼んでいる。
エクソシストは、黒神を滅ぼさなければならない。
しかし、エクソシストは魅入る白神の気ままによってうまれる。
だから、エクソシストという存在は希少価値だ。
そのため、任務として黒神や〈操り人形〉を滅ぼすように〈リタプレ〉というのが各地に出来た。
この組織の一番頂点に立つ者は、神の国で一番偉い神が魅入ったエクソシストがなっている。
そして、各地にある〈リタプレ〉の上に立つ物はその中で一番強いエクソシスト。
一人の青年は暫くその〈リタプレ〉の前に立っていたが、かなり大きい門を開けて敷地内に入った。
ここの〈リタプレ〉は建物を囲むように高い塀が建っていて、その中に灰色の城の様な建物が建っている。
要塞に近いものだと考えても過言ではないほど大きい。
敷地内は、木が生えている程度でさほど豪華ではない。
どちらかと言うと、堅苦しい感じの〈リタプレ〉じゃないからだ。
他の〈リタプレ〉はどちらかと言うと堅苦しい感じを持っている所がどうしても多い。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
簡単に言うとここは、世界を滅ぼす黒神を相手にしているのに気楽に過ごしている〈リタプレ〉。
実際に、危険で命の保証などない任務などもある。死んだエクソシストだって絶対にいたはずだった。
だが、ここの〈リタプレ〉の上に立っている人物の性格からなのかどうしても気楽な人間しかいない。
どんな危険な事があってもあまり気にせず、仲間という存在を大切にする。
敷地内では30歳前後ぐらいの大人がテーブルのある所で談笑していた。
一人は、黒い短髪で黒い瞳のかなり身長の高い奴。
もう一人は、少し長めの茶髪に藍色の瞳のどちらかと言うと小柄な奴。
こんなオッサンでもエクソシストだ。
ただ、任務が無い時は集まって賭け事や酒を飲んでいる事が多い。
帰ってきた青年に気がついたのか少し手を上げて声をかけた。
「よぉ、帰ったか。ちゃんと任務は出来たのかよ?」
背の高い方の男はそういいながら酒瓶を青年のほうへと向ける。
その酒瓶を取り上げテーブルに置きながら青年は、
「当たり前だ。俺を誰だと思っている」
と、ぶっきら棒に言った。
「まぁ、この〈リタプレ〉の代表的なエクソシストだもんな」
隣に座っていた小柄な男は同じく酒を勧めながら言ってくる。
同じ行動に青年は眉を寄せると酒瓶を奪い取ってテーブルに置いた酒瓶と共に近くにいた女性のエクソシストに手渡した。
女性は少し首を傾げたが、有名な呑んだくれがいたので笑顔で酒瓶を持って建物内に入っていった。
思わぬ光景に唖然とした二人は暫くぼうっと見つめてから、
「ちょっ!! 俺らの酒をどうしてくれんだよ!!!」
「そうだぞ? 任務帰りの俺らが酒を飲んでいても別に構わねぇだろ!」
と、怒鳴った。
あまりにも五月蝿かったので、青年は手で二人を止めてからこう言った。
「ジルバ、ロイジ。俺はこれからジェッジに任務報告しに行くわけ。
お前らの相手してる場合じゃないっていうのは、分かる? OK?」
早口でまくし立てるとスタスタの何事も無かったの様に建物内へと入っていく。
「・・・・・・やっぱり、俺ら馬鹿にされてるな」
「あいつの方が一枚上手だって事だ」
二人は、隠していた酒瓶をこっそりと出しながら寂しく言う。
各〈リタプレ〉は区別のためにある名称で呼ばれている。
バスケットブラックゴット
ちなみにここは、〈黒神の籠〉と最近呼ばれている。
違う〈リタプレ〉の者達が皮肉を込めて付けた名だったが、今では有名となった。
様々な年代のエクソシストがいる変わった〈リタプレ〉だが、最強のエクソシストが集う〈リタプレ〉でもある。
そして、何より言われるのは___________。
クローン
_______黒神の複製。
続く
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.25 )
- 日時: 2010/05/27 22:42
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
第二章 「エクソシスト」 第二話
通称は<リタプレ>——帰る場所と呼ばれるエクソシストが集う場所。
黒神を滅ぼすエクソシストの拠点——(家として使ってもいるが)それは各地にある。
そのため、<リタプレ>は区別をするために色々な名称で呼ばれている。
ここ、シェイプという大きな港と鉄道が通っている町にも<リタプレ>はある。
バスケットブラックゴット
その名も<黒神の籠>。
他の<リタプレ>の者が皮肉を込めて付けた名だったが、今では知らない者はいない。
バスケット
だが、その名が長いため<籠>としか呼ばれない。
もちろん、この<リタプレ>の所属する者もこうとしか呼ばない。
理由と言うほどの理由はなく、ただなんとなくその名が執着してしまっただけだ。
それに、頭の賢いエクソシストはいないので、そのまま流れていってしまっているだけだ。
しかし、エクソシストは最強——(最狂かもしれないが)である。
マスター
<リタプレ>の中でも一番強いものを主人と言うが、その主人は23歳という若さでなった。
他の<リタプレ>は年老いて頭の堅い者ばかりだが、ここは違う。
とは言え、やはり変わり者ばかりなので異例なものだった。
シェイプの<リタプレ>は中世の城のような感じの大きな建物だ。
ただ、中はそこら辺にある大きな居酒屋といった感じである。
大きなテーブルが数十個並んでそこに3人掛けのイスも数十個。
一番奥にはカウンターがあって、そこでは何人かの女性のエクソシストが料理を作っている。
まぁ、これは好きでやっているものだからボランティア的なことだが。
その隣では見覚えのある後姿。
「ジェッジ、任務終了だ」
その後姿に青年は声をかけた。
ボサボサの少し長い黒髪に透き通るような緑色の瞳。
そして、手には何時も通り酒瓶。
この人こそ、ここの主人。ジェッジ・フォード。只今、32歳。独身。彼女募集中。
「なんだ、お前にしては時間かかったな」
大人の男性というわりには、渋くない声でジェッジは言う。
ちなみに、若さ作りに精を出しているわけではない。普通にこれだ。
主人になって9年、エクソシストとしての腕は誰もが認めるほど。
そして、このギルドで最強——(最狂とも言えるが)だ。
ただし、何事に関しても感想は軽い。
いつも適当に、いつも流して全ての事を放っておいて、後で上に怒られている。
——が、気にしない。
青年はいつもそんな自分達の主人を見下して、馬鹿にして、尊敬している。
先ほど見た光景と同じく酒瓶を差し出してが、それを丁重に断って、
「・・・まぁ、色々とあったんだ」
と、青年は言う。
まさか、死体処理なんかで丸三日かかっとは、言えなかった。
「・・・まぁいい。聞いてみただけだ」
「なら聞くなよ・・・・・・」
「そう言うな、ウェザン」
普通ならば、もう少し早くに青年とずっと呼んだ彼を紹介しなければならなかったはずだ。
この主人公と言ってもおかしくない位置にいるこの青年を。
その彼の名は、ウェザン・ジェイストーム。16歳にして、この<リタプレ>の最強候補の一人である。
性格は冷静でありながらも途轍もなく面倒臭がり。
そして、エクソシストは黒神と<操り人形>を滅ぼさなければならないのに、それを躊躇ってしまう。
____これを、優しいと言うか?
いや、違うな。
クローン
黒神の複製という存在のため、同類を消す事にいちいち心を痛めてしまうのだ。
____と、まぁ。とりあえず、こんな人間——(一応、黒神でもあるが)を知っておいて欲しい。
ジェッジは、咳払いをして改まった顔でウェザンに声を掛ける。
何時もは、寝ぼけたようにボーっとしているのに何時になく真剣な顔だったのでウェザンは眉を寄せた。
「この話を知ってるか?」
「・・・知るわけない」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
もちろん、これはその話自体をではなく、どの話かジェッジの言葉では分からないから言っただけである。
もともと、冷静であっても面倒臭がりなのでここ最近の妙な噂などを思い出すという事もしない。
だから、少し呆れたように、知らないと溜息混じりに言った。
そして、ジェッジは知らねぇのか、などと言いながら——(これはジェッジが悪いのだが)
もう一度、改まった真剣な顔で言ってくる。
「________世界最悪の黒神だ」
「・・・・・・世界最悪、だと?」
「そうだ」
ジェッジは頷く。
これもまた、ウェザンは知るわけもなかった。
だいたい、黒神や普通の神(白神とも言うが)の詳細の事など主人かもっと上しか知らない。
なので、そんなことを言われてすぐに分かるはずもないのである。
「・・・自称、そう名乗っているらしい。その他の事は不明だ」
「・・・・・・・・・・・・駄目じゃねぇか」
イスを立って歩きながら言うジェッジにウェザンは振り向き様に言う。
そして、こちらに振り向いて、
、、、、、、、
「・・・・・・・それが、動き出した」
と、静かに言った。
続く
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.26 )
- 日時: 2010/06/06 23:11
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
第二章 「エクソシスト」 第三話
、、、、、、
「・・・・・・・・・・・動き出した」
_______と、簡単に言われても。
その言葉だけで理解できるものは少ないんじゃないだろうか。
動き出したのは、勿論、世界最悪の黒神だって事は分かった。
だからどうした、
・・・・・・と。
彼、ウェザンは思った。
まぁ、そりゃ?
世界最悪なんて名乗ってんだからそういう黒神なんだろうけど。
黒神の中で最も強いとか。
最初の、神を裏切った黒神だとか。
・・・強い黒神だとか。
・・・・・・・・・・・・・・最強の黒神だとか。
など、色々(二つだったけれども、)あるだろうけど。
動き出した、などという少ない言葉では分からない。
まぁ、動き出したんだろうけど。
「・・・何かしたのかよ、ソイツ」
動き出したって言うなら、何かしたのだろうと聞いたみた、けど。
「いや? 別に何もまだしてねぇけど」
「・・・・・・・・・・・・」
なんて、答えが返ってきた。
「まだ何も判明なんてしてないんだ。
だが、黒神の動きがやけに活発で分かりやすいんだよ」
「・・・意味分かんねぇ」
「いや、だから・・・・。
何も分かっちゃいねぇほど怖いもんはないだろ?」
「・・・そう」
そう言ってウェザンは、他のエクソシストが溜まっているテーブルへと行った。
後ろで、おーい、と呆れたような声が聞こえたが無視をする。
まぁ、いくら強かろうと?
最強だろうと、
凄い最強だろうと、
どんなものか、そんな奴だって分かってもすぐに対処は出来ない。
その時になって、実際に会って、実際に戦って、攻撃して、されてみないと全ては不明のままだ。
分かっていても、それは必ずいつか来るから今知ったって意味がない。
だって、ずっとそれを避けてもいつかはきてしまうからだ。
だから、知らなくていい。
そん時に、勝ったならラッキーで、
負けたらアンラッキーで、仕方なくていい。
全ては、そん時でいい。
・・・・・・・・・と。
この時は思っていた事、全て壊された、
なんて事は、
まだもう少し後だけれども。
続く。
- Re: 神に魅入られし者。 ( No.27 )
- 日時: 2010/07/05 23:17
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: WylDIAQ4)
第二章 「エクソシスト」 第四話
「そういやお前ってあの魔女の祓滅だったよな?」
何時の間にか、ウェザンの真正面のイスに座っていたジルバは酒の入ったグラスを持ちながら言った。
まぁ、酒はいつも常に携帯しているジルバなのでそこに追求など面倒な事はしない。
そして、ウェザンは紅茶の入ったカップを持ちながら、そうだけど、と呟く。
「魔女って事は、女だったんだろ?」
「・・・魔女と言う文字は何と言う字で出来ているか知ってるか?
知らなければ誰かに聞いてこればいい。さ、聞いて来いよ」
「・・・・・・馬鹿にしてんのか」
「別に」
明らかに馬鹿にした口調で言うウェザンは平然とまた、紅茶を飲む。
ジルバは一瞬眉を寄せたが、すぐに平然とした顔に戻り、酒を飲んだ。
そして、それはどうでもいいんだけど、と前置きをしてから今度は真剣な眼差しで話し始めた。
「さっき、ジェッジが言ってた話を魔女のいた場所で聞いたか?」
さっきの話とは勿論、世界最悪の黒神が只単に動き出した事だけだが。
「・・・あいにく、魔女意外は全滅だったからな」
「そりゃ、処理が大変だったな。・・・・・・あぁ、だからか。いつもより帰ってくるのが遅かったのは」
からかう様に、ジルバは少し笑いながらグラスを持ってウェザンに言う。
それを無視し、ウェザンは席を立ちジルバを無言で見下ろす。
そして、そのまま扉を開けて外へと出てしまった。
残されたジルバがウェザンの無言の抗議の意味を考えていると、ロイジがウェザンが出て行った扉を指差した。
興味なさそうにしていたが、ロイジはずっと話を近くで聞いていた。
「どうかした?」
「いや、なにも」
「どうだか」
「・・・放っておけ」
そう言ってジルバは酒を飲んだ。
しかし、グラスの氷が溶けて酒の味が薄くなっていたのだろうか。乱暴にグラスを置いた。
「俺はウェザンのことを言ったんじゃねぇーよ。・・・お前を馬鹿だな、ジルバ」
「・・・・・・・・・・・・あぁ?」
いきなり馬鹿と言われ、ジルバは数秒置いてからロイジを睨んだ。
ロイジは馬鹿にしたような、呆れたような顔をしてジルバを見下ろした。
「ウェザンは、一応黒神なんだ。だが、白神が魅入ってしまったからエクソシストをしている。
いや、魅入ったではなく、仕方がなくそうなったと言っていたな、白神は。
それは十分熟知してんだろ? あいつは、黒神や<操り人形>を祓滅するのを毎回躊躇している」
「同種だからだろ」
隣に立つロイジを見上げ、ジルバは適当にそう呟く。
しかし、ロイジは眼を伏せて首を振った。そして、こう続ける。
「ジェッジとウェザンの会話を以前聞いたことがあるんだけどな。どうもそれだけじゃないみたいなんだ。
まぁ、黒神が白神の力で黒神を祓滅するんだから幾らか支障があってもおかしくないけど」
ロイジはカウンターでまだ酒を飲んでいるジェッジの方を見ながら言う。
何を考えているのかジルバやロイジにも分からない主人、ジェッジ・フォード。
ただ、その実力だけには敵わない。
「だが、あいつはこの<リタプレ>の最強候補だ。何があってもそれは変わらない」
ジルバは何時になく、真剣な顔でキッパリと言うがまたもやロイジは首を振る。
「分かってないな、お前。・・・・・・・と言っても俺も最近何となく感じて、全く確証なんてないけどな」
「何がだよ」
ロイジはあたりを少し見回してからジルバの隣に座り、静かに言う。
そして、一応誰にも言うなよ、と前置きしてから語り始める
「あいつの白神の能力は、『エレメンタル』。この世で、二つの神と同等の力を持つ四大元素の四精霊の力。
デストロイ
そして、ウェザン自信の持つ能力は、黒神の魔刀『破壊刀』。破壊するためだけの漆黒の刀だ。
黒神と白神の能力を持ってしまっているウェザンは、反発して拒否し、消し合う能力を上手く融合させている」
「・・・それぐらいなら俺も知っている」
「・・・・・・・・・全員知ってるけどな」
真顔な顔をして言うジルバに、呆れながらロイジは溜息混じりに言う。
この二人は昔から仲がよく、任務(と言うより、クエストみたいな感じなのだが)は二人で行っている。
しかし、どちらかと言うと、ジルバは結構後先考えず行動し、ロイジは考えて動く方である。
真逆な性格の二人は、体を使うか、頭を使うかで役割分担をしていると言っても過言ではない。
今回は、その頭のいいほうが役に立っているらしい。
「まぁいいや。・・・で、ウェザンは二つを融合させて神々の頂点と言われているよな?
だが、それは間違っているらしいんだ」
「あっそ・・・・・・・・・・・・・・・・・。って。マジか!?」
意外に大きいなリアクションだったので、ロイジは慌てて静かにするよう促した。
ロイジが静かに喋っていたのに、ジルバが大声を出したせいで全員にこちらを向かれた。
はぁ、と溜息をついてロイジは席を立ち、また今度話すよ、と言って去って行った。
「・・・何だってんだよ、一体」
と、言いながら自分が座っているテーブルの上に置いてある残ったものを見た。
それは、さっきウェザンが飲んでいた紅茶の入っていたティーカップとロイジが持っていた酒の入ったグラス。
あとはもちろん、自分のグラス。そして、少し考えた。
ここは、もちろん<リタプレ>だからと言っても、飲み物を飲んでも金は要る。
しかし、二人はいない。いるのは、自分だけだ。
「・・・まさか」
いや、多分そのまさかである。
しかしながら、まんまと二人に奢らされるはめになるとは。なんと面白い事だろう。
「あんの、馬鹿ども」
いや、それは貴様だろう。ジルバ。
なんて声が、隣にいたジルバの白神から聞こえてきそうな感じであった。