ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ヒトノカオ、コエ、ココロ。
- 日時: 2010/02/25 19:33
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
何の変哲もない、ただの都会の方にある町。
そこで起きた、一つの殺人事件。
母と息子が口論になり、カッとなった息子が母親をナイフで刺し殺したのだという。
これはどこで起こってもおかしくない、ただの殺人事件。
——の、はずだったが。
『被告人——本田雷歌——は、何か新種の病気にかかっているらしい。しかも、「大人の」顔と声が「認識できない」らしい』
+ヒトノカオ、コエ、ココロ。+
それが分かってからは、警察・検察・裁判所は大騒ぎになった。
『どうやって判決を下せばいいんだ?』
『というか、どういう病気なんだ?』
誰もが疑問を持ち始め、パニックになりかけた時。
『「レインカスミ研究所兼診療所」に依頼するのはどうですか?』
誰かがそんな発言をした瞬間、周りの空気は凍りついた。
『確かに、いい案だが……』
『「あの」機関に頼るのはいかがなものかと……』
周りが再びざわついていく。すると。
「ウチはいつでも受け付けてますよー」
緊迫した空気に似合わない声が響いた。
続く
応援よろしくお願いします。
- Re: ヒトノカオ、コエ、ココロ。 ( No.14 )
- 日時: 2010/04/25 11:20
- 名前: 沙羅 ◆sRhArO6uyM (ID: 4/G.K5v4)
あの
コメディのかたですか?
- Re: ヒトノカオ、コエ、ココロ。 ( No.15 )
- 日時: 2010/04/25 16:42
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
「お別れ、って……」
「そのまんまの意味だよ。あの子にはこれから死んでもらう」
光村は視線を村上から外し、屋上にいる少女を見据える。
「いや、正確には——『すでに死んでいる』、かな?」
「え……?」
村上は本田と共に光村が見てる方を向いた。
少女の制服や体には、血がべったりと付いていた。よく見ると、少女の背後に白衣を着た人物が見える。
突然、す、と少女が右手を前方に突き出した。
ぼとっ。
その瞬間、少女の右手首から先が落下した。右手が地面に触れた途端、轟音が響き渡り、三人が立っている床ですら震えた。
「僕ね、『人間兵器』を作ることに成功したんだ。大変だったよ、人をバラバラにして各パーツに爆弾を詰めるのは。でも楽しいな、『復讐』してる、ってよく分かるから」
光村がうっとりした目で少女を見つめる。反対に二人は、光村に恐怖以上の感情を抱いていた。
「ああ、あそこ沢山人がいるね。じゃああの子を丸ごとあそこに落とそう」
ジャッ!!
光村が言ったとほぼ同時に、本田がカーテンを閉めた。その数秒後に、床が再び揺れる。
「光村、お前にいつか『復讐』してやる……!」
「うん、楽しみにしてる。でも、その程度の『憎しみ』じゃ『復讐』は出来ない。もっと僕を憎んでよ、そうじゃなきゃ『復讐』は出来ない」
本田は放心状態の村上を担いで部屋を出た。光村はその状況を楽しむかのように微笑む。
完全に本田の足音が聞こえなくなったのを確認すると、光村はカーテンの隙間から外を見た。
「安心してね、『霞』。君と僕が受けた『屈辱』は絶対に晴らすよ」
あの屋上には、まだ光村の部下が残っていた。その部下は首まである黒髪を一括りにして風になびかせている。
「光村室長、私は目が覚めました。これも、『本田雷歌』と『村上霧江』のおかげですかね」
あの二人の食事などの世話をしていくうちに気付いたことがある。
「私——荒木雲乃——は室長補佐という役職を捨ててでもここに宣言する。——光村室長、あなたのしていることは間違っている」
続く
沙羅さん、そうですよ、あのコメディの人ですよー^^
作風のギャップ激しくてすみません。
あ、ちなみに今回出た新キャラ『荒木雲乃』は実は割と前から出てたりします。
光村の部下でよく喋ってた奴、あやつです。
これからこやつも物語に絡んできますよー。
- Re: ヒトノカオ、コエ、ココロ。 ( No.16 )
- 日時: 2010/04/26 20:29
- 名前: 桜花 ◆NKkzWVdRW. (ID: 4/G.K5v4)
更新楽しみにしてますから!
- Re: ヒトノカオ、コエ、ココロ。 ( No.17 )
- 日時: 2010/05/01 15:24
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
しばらくして、本田と村上の所に一人の少女が連れてこられた。
「この子の歌声に抗体があるらしいんだー」
光村が少女の両肩を掴んでニコニコと笑う。すると、少女は眉間に皺を寄せて光村の手を振り払った。
「この子の名前は原田雫。知ってるよね、テレビによく出てる歌手だもんねー?」
そう、原田は芸能人だ。だから本田と村上は驚いて声が出ないのだ。
笑顔のまま光村は原田の肩から顔を出した。原田は不機嫌そうに腰まである黒髪を掻き上げ、わざと光村の顔に当てる。
「あう。酷いや雫ちゃん」
わざとらしく拗ねて見せてから、光村は部屋を出た。
「光村室長」
部屋を出てすぐ、光村は荒木に呼び止められた。
「少し話したいことがあるんです。私の個人的な話ですが」
「じゃ、この部屋で話を聞こうか」
光村はすぐ目の前にある部屋を指差した。荒木は頷いて了解の意を示した。
「光村室長のやり方は間違っています」
部屋に入るとほぼ同時、荒木は話し始めた。
「『復讐』の方法は他にいくらでもあります。ですから、何も関係ない人を巻き込むこんな方法に拘らなくても——」
「君の言いたいことはよく分かったよ」
荒木の言葉を遮り、光村は笑顔を見せた。
——おかしい。
荒木は感じた。光村は復讐の方法だけは譲らなかった。だからこそ、不機嫌になると思っていたのに。
「じゃあ、君はもう『要らない』ね」
光村は部屋から出ていった。
「……っ!!」
荒木は気付いてしまった。光村の近くにあった机。その上に、『爆弾』が置いてあることに——
その次の瞬間、轟音が鳴り響いた。
光村がドアを開けると、中で倒れている荒木と目が合った。
「爆弾を、間違えましたね? 私を、殺す、つもりだったのに。私、生きてますよね?」
生きている。だが、荒木の状態は悲惨なものだった。右足の膝から下がなくなり、左腕の肘から先も、右手の薬指と小指もなくなっていた。
「今の、何の音だ!?」
光村の後ろから本田、村上、原田の三人が顔を出し、荒木の有り様に息を詰まらせる。
「どうやって檻から出た!?」
「私が、合い鍵っ、渡したんです……」
ざまあみろ。荒木の顔には、はっきりとそう書いてあった。
「生き残った、からにはっ、この三人にはっ、全て話します……。あなたの『復讐』の動機もっ、『雨宮霞』の話もっ……」
不敵な笑みを浮かべ、荒木は気を失った。
続く
コメントありがとうございます、嬉しすぎです。
本当は昨日アップする予定だったのにパソがバグってやる気150%減退しました。
でもこっちの方が満足できる出来となったので結果オーライってことでしょうか^^;
- Re: ヒトノカオ、コエ、ココロ。 ( No.18 )
- 日時: 2010/05/02 18:15
- 名前: 転がるえんぴつ (ID: hKAKjiZ3)
「オレ、光村の邪魔をしたいと思う」
原田が突然そんなことを言い出した。当然、本田と村上は目を丸くする。
「雫ちゃん、もしそれが光村さんに見つかったらどうするんですか? ただでは済まないと思います」
「そうだぞ原田。つーか、具体的に何をするんだ? 見切り発車だと怪我するぞ」
村上は原田の手を握って心配そうに顔を覗き込んでくる。が、本田は偏光グラスを指先で軽くいじり、壁に寄りかかっているだけで、とても心配しているようには見えない。
「オレの歌声に抗体があるって知っているだろう? だから、感染者の前で歌って治してやる。光村にとってはこれ以上ない妨害だとオレは思う」
原田は安心させるように村上の頭を軽く撫で、漆黒の瞳で本田の偏光グラス越しの赤い瞳を見た。
「……分かった。好きにしろ」
「本田くん!?」
「原田だって原田なりの考えがある。それを覆すのが無理なら、無理矢理止める必要はねーだろ」
本田の言葉に、まだ納得いかない顔をしながらも、おとなしく村上は引き下がる。そんな村上を見て本田は目を細め、そっと村上の頭を撫でる。
「じゃあ、早速オレは行くが。……雷歌」
「あ?」
急に名前を呼ばれ、本田は顔を上げる。
「あまり二人の世界に入るな。見てるこっちが恥ずかしい」
「なっ……!」
二人が何の話をしているか分からないので、村上はただ首を傾げるばかりである。
「ははっ、そういう反応が二人らしくてオレは好きだよ。……どうなっても笑顔で過ごせそうだ」
「ん? 何か言ったか?」
「いいや、何でもない。じゃ、今度こそ行ってくるよ」
本田の頭を二回程叩いてから原田は部屋を出ていった。
続く
……本田をこんなに喋らせたの初めてかもしんない(オイ作者)。
しかもまさかの本田×村上?(大丈夫かこの作者)
そういや本田ってアルビノでしたね〜(この作者の記憶力は驚く程悪いのです)。
ちなみにアルビノっていうのは一種の遺伝子障害で、メラミンなどの色素がなくなるらしいです。
よって、アルビノの人は白髪で目が赤くて色白らしいです。だから日焼け止めとか偏光グラスとか必要らしいですよ〜。
……違ってたらすみません。訂正は受け付けますので^^;
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