ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 熱血教師ト死神様
- 日時: 2010/08/04 12:32
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
Crick 有難うございます(´`*)
コレと同じのを作っているんですけど…。
なんか納得いかないんで初っ端から書きます(←
自分勝手でごめんなさい…
ネタばれ防止のため
前の作品とちょっと違う物語にするよう努力しますw
コメントくれると有りがたいです。
††登場人物††
**北条 紫堂(14)♀**
死神の血を持つ中学二年生。
ある事件がきっかけで心を閉ざしてしまった。
**高橋 秀彦(25)♂**
新米教師。
何事にも本気でやり遂げる熱血教師。
**福田 春(14)♂**
大阪弁丸出しで紫堂が好きな中学二年生。
雷神の血を持つ。陽気で綺麗好き。
**後藤 純(14)♂**
春の親友。一見クールだが抜けたところもある。
風神の血を持つ、中学二年生。
**五十嵐・F・輝馬(15)♂**
女の子に見えるが本性は鬼のように怖い執事。
**etc...**
Prologue >>01
第壱話>>02 第拾壱話>>18
第弐話>>03 第拾弐話>>19
第参話>>04 第拾参話>>20
第四話>>07 第拾四話>>21
第伍話>>08 第拾伍話>>22
第六話>>11 第拾六話>>23
第七話>>14 第拾七話>>24
第八話>>15 第拾八話>>25
第九話>>16 第拾九話>>26
第拾話>>17
【読者さま】
○虎王さま ○クロウさま ○AAAさま
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.1 )
- 日時: 2010/03/06 12:59
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
Prologue
—『その日』の事を、私は一生忘れない。
『その日』、私は彼女にサヨナラした。
彼女との距離が遠のくたびに身体が軽くなる。
暗闇の中は暗くて冷たい。
でも先生の手の中はあったかくて。
父さんみたいだ、って思った。
あったかくて懐かしくて、大切な存在。
だからこそどこかに消えそうで、怖い。
いなくなるのは、怖い。
死んでしまうのは…。
なんだか胸の奥が痛い。
ぎゅうっと何かに押されているようで。
そのせいで、眼から涙があふれ出る。
ぼやけて前が見えにくくなったから、
先生の手を強く握る。
…私たちはどうして消えてしまうのだろう。
きっとこの謎が解けるまで、
この『痛み』は消えることはない。
だから彼女に約束。
その謎を解く。
だからこの出来事はきっと終わりなんかじゃない。
始まりなんだ。覚悟はできている。
私はめいっぱい生きようと思う。
もし今日が『始まりの日』ならば、
この先にある運命と、謎の答えに出会うために。
———闇が晴れた。
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.2 )
- 日時: 2010/03/03 17:25
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
第壱話 サヨナラ
ド田舎の真ん中にある坂出駅、午前6時ちょっと。
俺『髙橋秀彦』は、煙草を咥えながら電車を待つ。
思い出してみる。坂出中学校での出来事。
初めての授業で緊張してた、あの日。
生徒とサッカーをした、あの日。
あと…一番心に詰まっている、あの日。
『事件』ともいえる、あの日。
…身体が急に重くなる。
ぎゅうっと、胸が押しつぶされそうになる。
——誰かが俺を呼ぶ。「先生」、確かに聞こえた。
振り返っても、教え子らしき人はいない。
一体なんだったのだろう…、疲れのせい?
「どうしたの?」
やたら静かなこの駅に、彼女の声が響く。
「なんでもない」、俺はそっけなく答えると
彼女の眉がヒクっと動く。
「なにそれぇ。美由紀に隠し事しないでよ、ね?」
怒っているようで、笑顔で言う美由紀。
もうすぐ美由紀とも「サヨナラ」だ。
「なぁ、美由紀。ホントに一人で平気か?」
「当たり前よ。馬鹿にしないでよね!」
俺は別の学校に移動する。
そこはここから電車で半日ぐらいかかる所にある。
そんな所に毎日出勤するわけにはいかないから、
異動先の学校の寮に泊まる事にした。
だから、美由紀としばらく「サヨナラ」。
「…来た。」
やっと電車がやってきた。
電車のドアが開くと、彼女の顔が暗くなる。
「じゃあ、…いってくるな。」
「…応援してるからね!
お土産っ、よろしくっ!」
美由紀が俺の背中を押す。少し痛い。
本当はちょっと怒っているんだろうな。
発車を知らせるベルが鳴る。
二人を遮るように、ドアが閉まる。
美由紀は小さく手を振った。
だから俺も降り返す。「サヨナラ」と呟いて。
…電車は動き出した。
○
午前6時半。
私は竹林の中を走る。というか、逃げている。
あぁ、しつこい、うざったい。なんなんだ、一体。
「北条。北条紫堂」、さっきから誰か呼んでいる。
その声から逃げようと必死で私は走る。もしかしたら
後ろに誰かいるんじゃないかって思って。
でも、聞こえるのは私の足音だけ。
なんだ。気のせいだったんだ。
「ばっかみたい。」
やっぱり『見えない物は信じない』方がいい。
だから、さっきの声もきっと気のせい、だ。
竹と竹の間から太陽の光が差し込む。
そんな風景が見られる、私だけの空間。
小さい時の事を思い出す。
誰もいない、ここみたいな竹林の中で
2人の兄ちゃんと父さんと、よく遊んでた。
…1度だけ迷子になって、誰か助けてくれたっけ。
手を繋いで、家まで送ってくれたよね、父さん。
空に向かって呟いた。
父さんに聞こえるかなって、そんな期待を持って。
光を浴びていると、誰かが私の空間に足を入れる。
「ここにいたのか…『殺女』。」
太陽を雲が遮る。…光が消える。
また『黒猫』だ。もぉ、うっとおしい。
私は夢中で逃げる。
『奴ら』からの解放を求めて。…自由を求めて。
まぶしい光が私の目に刺さる。
竹林を抜けると、学園の校門前につく。
足音も聞こえない。そう油断していた時だった。
「……北条?」
「サヨナラ」したはずの、やさしい声だった。
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.3 )
- 日時: 2010/03/09 15:36
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
第弐話 再会
俺が乗っている、『琶砂神行き』の電車には
俺以外誰も乗っていなかった。
窓から見える景色は、ただ一面に竹林があるだけ。
街らしきものが見えない。
それにしても、どうして俺は
学校を異動しないければいけなかったんだ?
坂出中にはまだ3年しかいなかったし、
その学校でヘマした覚えもない。…それなのに。
『高橋先生じゃないとだめなんです。』
坂出中の校長はそれだけしか言ってなかった。
電車は、静かに琶砂神駅につく。
やはり駅にも人気はない。
電車から降りると、湿っぽい空気が俺の体を包む。
まだ4月だというのに、じめじめとしている。
そういう所にいるとイライラしてしょうがない。
駅を見回すと、眼の前に階段があるだけだった。
椅子とか自動販売機もなく、ただ階段があるだけ。
駅を間違えた?そんな不安でいっぱいになる。
だが俺は構わず階段を上る。イライラしてるから。
階段にはお札のようなものが剥された跡がある。
一枚だけ破れかけのお札があった。
それには字が書かれているが難しくて読めない。
俺はそれをポケットに入れ、階段を上り始める。
新しい学校の風景が眼に映る。新鮮な気持ちより、
案外早く着いた驚きの方が強かった。
最後の一段を上りきってすぐ衝撃が俺にぶつかる。
「あっ」
『ヤバい』みたいな顔で俺を見る。
この子…どこかで…。
不意にあの時の冷淡な声がよみがえる。
『サヨナラ、多分もう逢えないから。』
「……北条?」
彼女は一瞬驚いた顔をした。
だがすぐに怖い顔に戻る。
「だから、どうした!
用がないなら、もう行くぞ!」
北条は冷たい言葉を投げ捨て、
どこかに走ってしまった。
俺はそれを止める事が出来なかった自分に
腹が立ってしょうがなかった。
「あの、…高橋先生ですか?」
後ろには、横ポニの男の子がいた。
タキシードを着ていて、
ドラマでよく見る『執事』のようだ。
「お待ちしてました、中にお入りください」
目の前にある大きな校門が
ゆっくり開き始める。
○
・・
なんでここに高彦が…。頭が混乱してしまう。
こんな『再会』なんてあり得ない。
どうすればいいのか分かんない。
胸のドキドキが止まらない。
…とにかく気にしないでおけばいい。
あいつが私の予想通りココの先生になるとしても。
気にしなければいい。どうでもいい。
だってあいつに『サヨナラ』したんだもの。
私とあいつの縁なんてとっくのとうに切れた。
- Re: 熱血教師ト死神様 ( No.4 )
- 日時: 2010/03/09 17:39
- 名前: 海鼠 (ID: HiDlQ61b)
第参話 言いつけ
私はケータイを手に取る。
『電話帳』から『黒田』を選択する。
そいつの電話番号の最初に『184』をつけて。
『…もしもし?…』
少し不満そうな声で電話に出られると、
こっちまで腹が立ってしまうじゃんか。
「あぁ、さっきはごめん。どうかしてた。」
自分が悪かったら、すぐに謝らないといけない。
これは父さんの言いつけ。守らない訳にはいかない。
でも素直に謝っても納得しないのが黒田だ。
奴は相手が必死で反抗するのに対抗するのが好き。
いわば『子供』。私より2歳上の『子供』だ。
『『どうかしてた』とは?』
私の中の何かがプツンと切れる。
なんなの、こいつ。
「だから…その、調子が悪かったの。」
電話の向こうから鼻で笑う声が聞こえる。
これだから黒田は嫌いなんだ。
「…言いたいのはそれだけ…。
ただ謝るために電話しただけだから、じゃ。」
黒田は何か言いかけた。
でもお構いなしに電話をきる。
——ちょっと、すっきりした。
少しは高彦との『あの事件』のこと、忘れれたかな。
○
『執事』のような人に
やたらと大きな部屋で取り残されて3分ちょい。
ソファはふわふわしていて、心地よい。
さっきまでの不安や恐怖が嘘のようだ。
ちょっとだけなら、寝てもいいだろう。
首を少し下に向けてゆっくり目を閉じた。
頭がぽーっとして、風の音が聞こえなくなった時。
硬い、鉄のようなものが頭に当たる。
「動くな。」
低くて重い声。眼が冴える。
眼の前の窓から、反射で見えるかもしれない。
顔を少しずつ動かす。
「動くな言ってんだろ。」
何かが、眼にもとまらぬ速さで窓に向かって飛ぶ。
大きな音を立てて、ガラスにひびが入る。
もしかして、拳銃…?
血の気が引いて行くのを感じる。
ココは本当に学校なのか?
「5秒以内に名前を言え。
さもないとその頭ブチ抜く。…5…4…」
まだ温かい4月なのに、汗があふれ出て止まらない。
これマジでヤバい…。頭の中真っ白だ…。
「…3…2」
「俺は…たかはし、…!」
カウントダウンが止まる。…俺、生きてる?
背後にいる『誰か』が笑っているのが聞こえる。
俺はすかさず振り向いて、
拳銃を持っている手に向かって蹴りを入れる
拳銃が床に落ちる音がする。
拳銃を持っていたのは…黒い髪の少年。
少し、北条と似ている。
「悪かったな、こんなことして。」
少年は蹴られた手をさすっている。
拳銃をもっていたとはいえ、まだ子供だ。
蹴ってしまった俺にも罪はある。
「俺も、ごめんな。
痛かっただろ。急にやったんだし…。」
自分が悪かったらすぐに謝る。
これは空手の先生からの言いつけ。
『平気』とでも言うかのように
少年はにこっと笑い、俺の顔を覗き込む。
「はぁ、聞いてた通り男前だな。」
ほんとに、この子が拳銃を持っていたのだろうか。
今までの緊張の糸が途切れて、どっと疲れが増した。
「わいにも見せてや!」
関西弁の少年が屋根からひょこっと顔を出している。
空気が一気に和やかになる。
俺の心臓はまだバクバク言ってるけど…。
「おぉー!ホンマや!
紫堂の言うた通り、男前や!」
汗が少しひく。『紫堂』と確かにそう言った。
やっぱりこの学校には北条がいるんだ。
心に詰まっていた何かがスッ通る。
—…『高橋先生じゃないとだめなんです。』
坂出中の校長が言ってた言葉の意味が分かった。
半年前の『あの事件』の事が頭に浮かぶ。
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