ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 煉獄−業火の女王−
- 日時: 2010/04/03 22:08
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
紅蓮の炎が燃え盛る地の底の宮殿。
罪人の嘆きと悲愴の混沌とする玉座。
そこには残酷な笑みを湛えた王が君臨していた。
イメージソング>>13
スカーレット>>4
第一話−戯れ−>>1 第十一話−心情−>>14
第二話−出会−>>2 第十二話−信念−>>15
第三話−異質−>>3 第十三話−休息−>>16
第四話−名前−>>5 第十四話−残虐−>>17
第五話−女王−>>7 第十五話−二人−>>18
第六話−通信−>>8 第十六話>>
第七話−学校−>>9
第八話−姉妹−>>10
第九話−家族−>>11
第十話−口唇−>>12
- Re: 煉獄−業火の女王− ( No.4 )
- 日時: 2010/03/19 22:49
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
- 参照: http://www.kaki-kaki.com/bbs_m/view.html?394189
スカーレットです。
- Re: 煉獄−業火の女王− ( No.5 )
- 日時: 2010/03/20 14:18
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
第四話−名前−
「す、スカーレット・・・・・・?」
茜がおどおどしながら尋ねると、スカーレットはぴくりと眉を動かした。
「調子に乗るなよ、蛆虫め。地に這い蹲るしか出来ぬ虫けら如きが、我の名を呼び捨てにするでないわ」
ぎらり、と金色の瞳が輝いた気がした。いや輝いた。
「っ・・・・・・すみません・・・・・・・」
「分かればよいのじゃ。聞き分けの良い子は我は好きじゃからのう・・・・・・」
良い子良い子。とでも言うように頭をよしよし撫でるスカーレット。
明らかに自分より年下の女の子に頭を撫でられて、茜は複雑な気持ちになっていた。
「じゃあ、スカーレット・・・ちゃん?」
「何じゃその呼び方は。却下じゃ」
しっしと手を振るスカーレット。
「・・・・スカーレットさん?」
「ぅ・・・・そうそなたに呼ばれると背中に悪寒が走って気持ち悪いのう。却下じゃ、却下」
無い頭をフル回転させて考える茜にスカーレットは提案する。
「何じゃ。<スカーレット様>と様付で呼べば良いではないか」
「ぇ・・・・流石に年下を様付で呼ぶのは・・・・・・・ちょっと、ねぇ・・・・」
「?年下・・・・?」
茜の言葉にスカーレットは目をパチクリと開いて不思議そうにしていた。
「?10歳くらいでしょう?」
「・・・・どうなのじゃろうな・・・・・・。我も良く分からぬのじゃ。
あそこは時の流れなど皆無じゃからのう。我がいくつなのか、考えたこともなかったわ」
スカーレットのそのときの顔が猫のように見えて、茜は少し可愛く思った。
やっぱり子供じゃないかなぁ・・・と思いながら見ていた。
「・・・・・暁、じゃダメかな」
茜がふと思いついたように言った。
「はあ?暁とな。スカーレットの一文字も掠らぬではないか」
呆れたように茜を見るスカーレット。
「スカーレットって赤色って意味があるんでしょ?だから赤ね?
それから目の色が金色で御月様に見えるから月で赤月になるでしょ?
それを更に変換したら暁になるから、暁!暁なら本名じゃないから呼び捨てでも許せるでしょ?」
茜が無邪気に笑いながらスカーレットに詰め寄ると、観念したかのように溜め息を吐いた。
「分かった。そなたの言い分も一理あるし、それで我慢するとしようかの。
ならその名で我を呼ぶことを許可しようぞ、茜」
「・・・・うん!暁!!」
微笑ましい空気が漂う中、茜は大変なことを失念していた。
スカーレットはただの少女ではなく、煉獄の王ということを・・・・・。
- 煉獄−業火の女王− ( No.6 )
- 日時: 2010/03/20 14:33
- 名前: 雷螺 (ID: ipnnhD3i)
はじめまして!
雷螺と申します^^
とても面白いです^^
私にその脳を分けていただきたい…。
今度私の小説見に来てください
ダメ出しとかをしていただけると…
嬉しいデス♪
- Re: 煉獄−業火の女王− ( No.7 )
- 日時: 2010/03/20 17:28
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
第五話−女王−
「ほう。この麦茶とやらは中々に美味じゃのう」
「そうでしょ?あ、緑茶は今切らしてて無いんだよね・・・」
ほのぼのとしながら茶を啜っていた。が。
「ところでさぁ・・・」
茜が空のコップを片手に一言。
「暁は何処から来たの?見た感じは外国の人みたいだけど・・・・ハーフ?」
そのコップに麦茶を注いで、スカーレット、もとい暁に渡す。
「ん?初めて顔を合わせた時に申したであろう」
「・・・・そうだっけ?」
えへへ。と笑いながら自分の分にと麦茶を注ぐ。
「そうじゃ。・・・・茜よ。そなた、頭が弱い部類に入るのか?」
「う・・・・。よく皆にそう言われる・・・・」
「ふふ。まぁ良い。小賢し過ぎても、我の勘に触るだけじゃろうて」
そう言いながら、暁はコップの中の最後の一滴を飲み干した。
「我は煉獄の王。業火によって罪人を裁き、罪を拭い落す使命を司った王じゃ。
・・・・もっとも、我が業火を耐え抜き、清き魂となって天に召された者など居らぬがな」
コップを出した小さな丸テーブルの上に置くと、暁は指から小気味いい音を鳴らそうとする。
「っ!!」
さっきの猫を思い出す。
自分もあの猫のようにされてしまうのだろうか・・・。
びくびくしていると、暁はくすりと笑いながら言った。
「安心するが良いぞ。そなたには我の力は効かぬらしいからのう」
ホッとした。ならさっきの行為に何の意味があるというのだろうか・・・。
「・・・ふふん。そなたはまだまだ幼子の様じゃのう。分からぬのも無理ないわ。
これは娯楽の一環よ。たまには一服せぬとやっていけぬというものじゃ」
そう言って今度はしっかり指を鳴らす。と。暁の手の内に煙管が現れた。
「!!・・・た、煙草?!」
「?違う。これは煙管じゃ。何じゃ、そのたばことやらは・・・・」
いや、実質的には同じなんですよ。
「・・・・・ふぅ・・・・・・・・・・」
瞬く間に部屋に白い煙を充満させる。
「・・・・のう茜」
「ん?どうしたの?暁」
ふと顔を上げれば、床に寝そべった暁がじっとこちらを見ていた。
「そおなたの周りに不審な者は居らんかのう」
「?不審な者?」
強いて言えば暁かな?と言えば目だけで殺されそうなほど睨まれた。
「そういう不審な者ではない。・・・・何と申せばいいのかのう・・・・」
うむ・・・・。と頭を抱え込んだ暁に茜はにこにこしながら言う。
「思いついた時でいいんじゃないかなぁ。まだまだここにいるんでしょ?」
急ぐと碌な事ないよ〜。と呑気なことだ。
「・・・・そういうそなたも、色々な意味で不審な者じゃのう」
「へ?私ごく一般市民なんだけどなぁ・・・・」
「そうであろう?何者かも分からぬ・・・ことは無いの。自己紹介も済ませたし。
我をここに置くのじゃぞ?恐れることは無いのか?」
「何で?」 「・・・・・・・・・・・」
そんな茜に暁ははぁ・・・。と溜め息を吐いた。
「まあ良いわ。茜。腹が減った。何か持ってこい」
「え?あ、うん」
お煎餅あったよね〜。と言いながら駆け下りる音が聞こえる。
その音を聞きながら暁は呟く。
「そなたのその心は好奇心か、恐怖の果ての無心か、それとも・・・・・・・・・」
そこまで言って言葉を噤む。
「ふっ。まあ良い。時間はたっぷりあるからのう。じわじわと本質を見極めるとしよう」
口に含んだ煙をまた吐き出す。
「我は王じゃからのう・・・・・・・」
その言葉に、他意は無かった。
- Re: 煉獄−業火の女王− ( No.8 )
- 日時: 2010/03/20 18:38
- 名前: 紺 (ID: zCJayB0i)
第六話−通信−
「じゃあ暁は床で寝てね」
「・・・・ちょっと待て、茜」
夜も更けてきたので、茜は御客様用の布団を敷いて暁にここで寝るように促す。
が。暁は不服そうに顔を歪め、茜に待ったの声を上げたのだ。
「どうしたの?布団慣れてないの?」
「そう意味ではないわ!何故我がそなたのような愚民に見下されなければならぬのじゃ!!」
「見下す?何言って・・・」
そういって自分の居る場所に気づいた。
自分はベッドの上に座っていて、暁は布団の上に座っている。
どう頑張っても暁は茜を見上げなければならない。
それが暁にとっては酷く屈辱的なのだろう。
「・・・・じゃあ暁がベッドで寝る?」
「当然じゃ!愚民は愚民らしく床に這い蹲っておればよいのじゃ!!!」
頭にきているらしい暁は愚民愚民と連呼している。
茜は腹を立てることもなく、にこにこと笑っている。
「じゃあおやすみ・・・・って言いたいところなんだけど、暁その格好で寝るの?」
「?これ以外に召す物など持っておらぬ」
高く見えるドレスのまま布団に潜ろうとするので、茜はクローゼットの中をあさる。
「はい。これ、私のサイズ小さくなったポロシャツだけどパジャマに使ってよ」
「ほう。パジャマとな。まあ着てやらんこともないかのう」
そう言ってするするとドレスを脱ぎ、ポロシャツを着こむ。
「はい。今度こそおやすみなさい!」
「うむ。おやすみ」
そうして、部屋の明かりは消されて闇と静けさの支配する場所へと変化した。
「・・・・・・・」
時計の長針と短針が合わさる時刻、暁は目を覚ました。
月明かりだけが光として入ってくる部屋に、火の粉のようなものがヒラヒラと舞っている。
「・・・何の用じゃ?ルーヴェンよ」
暁がそう言うと、火の粉が一つに集まり大きな火の玉となった。
その火には一人の男がゆらゆらと映っている。
≪お久し振りでございますね、スカーレット様≫
「こちらの世界では暁と呼ばれて居るがのう」
不思議なこともあるもので、その火の玉からは熱は発生しておらず。
その真下で寝ている茜も未だ夢の中だ。
「・・・して。態々そなたが連絡を寄こしてきたのだ。何かあったのだろう?
我が宮殿内で何か起こったか?それとも・・・」
暁はにやりと笑った。
「<あの者>の行方でも掴めたのか?」
その問いにルーヴェンは答える。
≪いえ?あの者についての情報は何も掴めておりません。
・・・しかし、スカーレット様の足元でお眠りになっているお嬢さんのことなら≫
「・・・・ほう、それは興味深いのう」
ルーヴェンはにやにやしながら言葉を続けた。
≪本条 茜・・・と仰るようですね。茜さんは、昔ある女に会ったことがあるそうです≫
「・・・・ある女・・・・」
≪その日から、茜さんの性格が一変したようです≫
「一変?どういう意味じゃ」
≪昔は元気で、自分の意見はしっかり上げ、頭も良かったらしいのですが・・・・≫
「今では内気で、自分の意見もそこそこ、頭の弱い子供・・・・か」
そういって暁はふっと笑った。
「大体のことは分かった。褒めてつかわすぞ?ルーヴェンよ」
≪有難きお言葉、頂戴いたします≫
そう言ってルーヴェンは頭を垂れる。
≪スカーレット様≫ 「何じゃ」
≪・・・・貴方が地上に行かれた理由が、娯楽を求めるだけではないということを。
どうか忘れることのなきように・・・≫
「ふん。当然じゃ」
そして火の玉はすうっ。と消えて行った。
「・・・ある女、のう・・・・・・・・」
暁は足元に寝ている茜に目をやる。
「その女が、我の探す者なら良いのじゃがのう・・・・・」
茜は、ただただ安らかに眠っていた。
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