ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 死にたがりやのキリヤさん。
- 日時： 2010/05/04 13:39
- 名前： アキラ （ID: BLbMqcR3）
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スギハラ
杉原 キリヤ
１７歳 自傷行為を繰り返す危ない人。
口調がつたないから、あんま喋らない。
少し天然。
サクラ ユウキ
佐倉 祐樹
１７歳 僕 キリヤと暮らし始めた
あんま特徴もなくて、普通の人間。
マミヤ フウカ
眞宮 風深
１７歳 活発運動少女。 よく笑う子。
名前の漢字が珍しい。 あっくん大好き病。
ササシモ セリナ
笹下 瀬里奈
１６歳 クラス委員。 よく話しかけてくる。
髪の量が多い。 逮捕された。
スギハラ ヤソラ
杉原 夜空
２４歳 キリヤの兄ちゃん。 かなり格好いい。
家族を家族と思ってない。 飄々としている。
裏ではかなりヤバイ事を考えてる。
アンガサキ ミカヅキ
阿賀咲 三日月
年齢は……多分15歳とか14歳。 性別は……？？？
腹黒い。 学校は行ってないみたい。 こいつも凶器持ってるよなぁ。
<<画像>>■をｐにしてください。
キリヤ htt■://l-seed.jp/patio/upl/1270433543-1.jpg
眞宮 htt■://l-seed.jp/patio/upl/1270859340-1.jpg
佐倉 htt■://l-seed.jp/patio/upl/1271552732-1.jpg
<<イメソン>>
htt■://www.youtube.com/watch?v=Vvqas5rMe1Q&feature=related
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- Re: 死にたがりやのキリヤさん。 ( No.95 )
- 日時： 2010/04/18 09:24
- 名前： アキラ （ID: BLbMqcR3）
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「遅かったのねぇ。 散歩の割には」
「少し遠くまで行っていたから」
「ふーん」
僕がこの前買ってきたクッキーをボリボリ食べながら、母さんがチラとキリヤを見る。
初対面の時よりかなり伸びた髪は、地面にそろそろつくんじゃないかと思わせる。
「安静にしてろーって言われたのに、よくもまあ散歩なんてする気になったわねぇ。 懲りてないんじゃないの？ 反省文書かせるわよ」
「クッキー、キリヤにやってくれ」
さっきから欲しそうな顔してるし。
母さんがクッキーを摘まんで、キリヤに渡す。 キリヤのクッキーの食べ方は、少し特徴的だ。
まず、手のひら全体で潰す。 粉々になったクッキーのカスを、口に入れる。
もぞもぞと口を動かしながら、さっきあった事なんて覚えていないような顔で食べている。
「ちょっと僕、宿題してくる」
「ラジャー」
一人で部屋に入り、ぼすんと布団に横になる。
阿賀咲 三日月。
あいつは殺したがりだと言った。 だから、死にたがりのキリヤを殺そうとした。
噂で、キリヤの事を聞いて。
………ん？
噂、ねぇ。
まあそれはいいとして。
阿賀咲はけっきょく帰って行ったけど。
「死にたがりが死なないなんておかしいよ。 死ぬのが怖いと思っているようにしか思えない。 昔、自殺未遂してニュースになったって聞いたから、少し期待してたのに。 ボディーガードまで居たなんて知らないよ」
阿賀咲は、そう言って去って行った。
キリヤは、本当に死にたいと思っているのだろうか。
どこかで、死にたくないと思っているんじゃないのか？
強く、強く、強く。
キリヤ自身がキリヤをギリギリの所で止めている。
死なないように。
- Re: 死にたがりやのキリヤさん。 ( No.96 )
- 日時： 2010/04/18 09:59
- 名前： アキラ （ID: BLbMqcR3）
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第１０章
壊れかけの風深さん
初夏。 ６月。
中間テストはまんまと惨敗し、母さんに笑顔で５０点以上とってこいと脅されたトラウマはさておき。
キリヤのパジャマが、パジャマではなく白いワンピースになった。
白く細い腕がむき出しで、包帯も若干薄めに巻いている。
ただ、相変わらず長い髪は、これからも元気よく伸び続けるだろう。 暑くないのか。
僕も普通に学校に行って、普通に過ごしている。
なにもかも普通な日々。 普通な毎日。 退屈だとすら思ってくる。
だから、キリヤは死んでみたいと思ったのかも知れない。 好奇心を、脱線した方向に伸ばしながら。
「笹下さんが逮捕されたって聞いた時は、驚いた」
眞宮がかなりデカい弁当を食べながら、そう切りだした。
よく食うなぁ。 僕でさえもその半分くらいだぞ。
言っておくが、僕は小食ではない。 普通に食べる。
眞宮の摂取量がハンパないだけだ。
「それに佐倉くんが関わっているって聞いて、二重に驚いた」
「まあ、驚くだろうねぇ」
「腹、もう痛くないのか？」
抑えてみる。 傷口は完全に塞がっているし。
「平気」 「ならよかった。 ……杉原は？」
やっぱり、そうくると思った。
眞宮はいつも、杉原杉原だもんな。
「あいつも平気だよ。 でも何でキリヤも巻き込まれたって知ってんだ？」
「……ニュースで、近くの高校生二人が刺されたって……。 先生に佐倉くんって聞いたとき、一緒にいたのは杉原じゃないかなーって思っただけ」
相変わらずの笑顔で、眞宮が卵焼きを頬張る。
「よほど気になるんだな」
「そりゃあね。 因縁、といいますか」
笑顔が、少しだけ曇る。 分かりやすい奴だ。
「佐倉くん。 少しだけハッキリさせときたい」
「……なにが？」
「私、佐倉くんの事、大嫌いなんだ」
告白じゃねぇのかよー、とか思ったりしない。
こいつが笑顔の裏に、密かな嫌悪感を忍ばせている事を、僕はもう気づいている。
「あっそ」 「……随分淡白だね。 もう少し、なんかこう……ないかなぁ」
「悪いけど、無いね」
「人に嫌われるのが、慣れてるみたいな言い方だね」
サラリと、
傷をなぞられた気がした。
「キリヤに味方しているのが、そんなにウザイか？」
「私にとって杉原は、あまりいい思い出話のない関係でな。 まあ、分かっているとは思うけど」
「お前は、嫉妬深いな」
僕の言葉にも、眞宮は笑う。
「そうか？ 私はフツーだ」
ニコリと。
そして、
「…………………」
その笑顔が、固まる。
「…………？」 「おい」
聞き覚えのある声がした。 同時に、頭の上に何かおかれた感じも。
振り返らなくても、それが誰かは分かっていた。
道理で、眞宮が固まったはずだ。
「……なんで、ここにいるわけ？」
「ママさんに、頼まれた。 ……忘れ、もの」
- Re: 死にたがりやのキリヤさん。 ( No.97 )
- 日時： 2010/04/18 10:07
- 名前： アキラ （ID: BLbMqcR3）
佐倉の絵が 完成したようです(#^.^#)
可愛い〜☆ミ
- Re: 死にたがりやのキリヤさん。 ( No.98 )
- 日時： 2010/04/18 17:00
- 名前： アキラ （ID: BLbMqcR3）
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杉原 キリヤは、いつもパジャマで、引きこもりで、幼稚で、若干天然で、死にたがり。
だけど、目の前に立つキリヤは、そんな事考えられないほどの出で立ちだった。
長い黒髪は二つに結び、中学時のものなのか、夏のセーラーを着ている。 そのため、両腕の包帯が丸見えだけど。
いつもの奇人からはイメージはかけ離れ、清楚な中学生という感じがする。
こういうの、ギャップっていうのか!?
「忘れもの、届けに来てくれたのか？」
僕の質問に、コクリと頷く。 固まっている眞宮の事など目にもくれていない。 僕だけを、見ている。
「ありがとう。 一人できたのか？」
「校門……ママさんが、送ってくれた……」
当然の事ながら、キリヤは今、完全に目立っている。
そりゃそうだろう。
高校の教室に突然、中学の制服を着た美少女が現れたら、誰だって驚く。
しかも、キリヤだし。
「あれってさ、杉原じゃねぇの？」
「なんで居んだよ」
田舎の高校だ。 キリヤと小学校が同じ奴らなんて数え切れないほどいるだろう。
勿論、キリヤの事件を知っている奴らも。
「じゃ、帰るから」 「ああ。 気をつけてな」
好奇な視線を気にもせず、キリヤはそう言って教室から足早に立ち去った。
クラス中が、声量のボリュームを落として話し始める。
「あのリスカの奴だろ？──事件起こしたって聞いたけど──私、小学校の時同じクラスだったんだけど──不登校？ やべー──金パだったんだろ？」
キリヤの事を、何一つ理解していない奴らが、一斉にキリヤを噂し始める。
たぶん、キリヤは何も感じないだろう。
自分がどう噂されようとも。
だけど。
僕は、そんなふうにされて傍観者でいられるほど、
感情を捨て切れていない。
「お、「私、トイレ行って来るねー」
おいっ、と言おうとしたのを止めたのは、眞宮だった。
笑顔でそう言い、教室から出る。
弁当は空になっていた。
「……………………………」
立ち上がる。
クラス中の視線を浴びながらも、僕は、
彼氏とか同居人とかそういうの関係なく、
キリヤを護りたいと思った。
こういうの、情が移ったって言うんだろうか。
いや、違う。
もっとこう、違うんだ。 何て言ったらいいか分からないけど、
ただただ、
走っていた。
- Re: 死にたがりやのキリヤさん。 ( No.99 )
- 日時： 2010/04/18 17:09
- 名前： 夕月 （ID: 0xGRiuWU）
先ほどはコメ、ありがとうございました!!
ふおおお、凄く上手ですねッ!!!
すごいですッ!!
まだ最初の方しか読んでないので、
これからゆっくり読ませていただきます……。
頑張ってください!
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