ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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腐った彼は、笑わない。【08うp】
日時: 2010/04/03 17:13
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: R3roQ1XX)

あーうー
どうもお久しぶりです、そろそろ厨二病なお年になるんじゃないかと思われるいやそもそも進級出来んのかよどうも宵子でごぜーます。
復旧してないけどまーいっか。リニューアルですぞぱちぱちー、みたいなね!

ではでは、宵子の駄文をお楽しみくだされー

****

story−00 【独白・屋上、青空の下にて】>>1
story−01 【独白・昼間、夢の中にて】>>2
story−02 【腐った平社員は働かない】>>3
story−03 【腐った説明は上手くない】>>4
story−04 【腐った社長は笑わない】>>5
story−05 【腐った正義は許さない】>>8
story−06 【腐ったリーダーは救われない】>>10
story−07 【腐ったヒーローは語らない】>>13
story−08 【腐った痛みは忘れられない】>>14

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Re: 腐った彼は、笑わない。 ( No.14 )
日時: 2010/04/02 22:57
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: SZdn/z4g)

story−08 【腐った痛みは忘れられない】





 「……何で、俺の目が紅いか、っつったな」

 薄暗い廃ビルの最上階で、志賀人はそう聞いた。その声は、今となってはもう意味を無くしている。なぜなら、リーダーであった彼は、顎の骨を粉砕されて横たわっているのだから。
 それに気付いて話しているのか、はたまたそれさえ知らずに聞かせているのか。それは、無表情でぽつりと語り始める志賀人には、どうでも良さそうだった。

 「俺さ、小さい時————つっても、9歳の時にな。拉致られたんだよ、この実験都市(シミュレーションシティ)にさ」

 拉致された時のことを思い出しているのか、志賀人の煙草の箱を持つ手に、力が篭る。だが志賀人は、それにも気付かず、ただただ無意識の内に拳を握る力を強めていった。

 「……それで、此処に来たんだけど、どーも俺を拉致した奴等がやけに変だったんだよ。白衣着てたり、薬品の臭いがしてたり。だから————大体自分がされることは予想がついた」

 寂しそうな目をして、志賀人は自分の過去をぽつりぽつりと曝け出してゆく。それはまるで、舞台の上で一人独唱を行う———歌手のようにも見え。
 志賀人は一旦そこで言葉を区切り、紫煙を吐き出した。煙はふよふよと空気中に溶け込みながら、透明と化して行く。

 「されたよ、人体実験。苦しかった、痛かった、辛かった、寂しかった。あそこでは、俺はただの実験対象物。モルモットだったからな」

 顔が、俯く。
 志賀人は、無機質な声色で、自嘲気味に更に言葉を続ける。

 「……脚に、金属を埋め込まれた。後、体中の筋肉が強くなるように、赤い色素が入った薬を、何回も、何十回も、何百回にも分けて投与されたんだ。麻酔もされずにな」

 —————そのせいだ、俺の瞳が赤く、そしれ肉体がやけに強靭になってしまったのは。
 
 結局、その実験は何らかによってストップされたのだが…………その止まったきっかけも、自分と同じような境遇を持った人々がどうなったのかは知らない。まぁ自分は、この都市で生活することにさせられたのだが。他の者はどうしたのだろうか、自分みたいに今も家族に会えずに、この腐りきった都市で屯しているのか。

 「……動物の鳴き声なんて、アイツらにはただの雑音にしか聞こえなかったらしい。悲鳴をあげれば鎮痛剤を、それさえ効かなかったら頭にコードを通された」

 —————痛い痛い痛い痛いっっ!!
 —————やめろよやめろよおっ……!! いてぇよ……いてえよ……!!

 幼い頃の、トラウマが蘇る。
 何度叫んでも泣いても、何もかも許されなかった日々。痛みと白っぽい光のせいであやふやな所があるが、あの時の自分の感情だけは、今の志賀人に残っている。

 —————それだけで、十分だ。

 と、志賀人は思う。
 なぜなら、それだけで、自分が奴等に復讐する理由が出来ているのだから。

 「それでよ、最近になって……その、俺等に実験をしやがった会社、っていうかグループが明らかになったんだよ」

 志賀人は、余裕を含んだ笑みで、そう告げた。そこで初めて、志賀人は笑顔を見せたのだ。屈託のない、しかしどこか寂しそうな笑顔を。

 「その名前は————」

 すうっ、と息を吸い込む。冷たい空気が、志賀人の火照った心の熱を冷ましてゆく。心地よいものが、志賀人の身体を支配した。


 「—————帝見グループ」


 静かだが、だが確かな答え。
 悪張志賀人は————帝見グループへの、復讐を考えていた。

Re: 腐った彼は、笑わない。 ( No.15 )
日時: 2010/04/02 23:02
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: SZdn/z4g)

下は単なる文章メモ。使おうと思ったけど使わなかったので、これからどっかで使うつもりー
後書き方もーちょっと変えた方が良いんだろうか。何か話すとこ読みにくい……目の錯覚? まー普通はあんま行変えないんだろうけど……。

以下メモ。

・ヒーロー+しがぽん⇒物
・レン⇒しがぽんと
・次話⇒ささっしー→きしめ→全体 ぐらい


***
 
 悪張 志賀人(あくばり しがと)は、人間であって人間では無い。
 それだけが、今の志賀人が理解していたことだった。無論、今まで疑問を持たなかったという訳ではない。だって、これまで自分は、この齢になるまで、何万何千何百回も自分の存在に疑問を抱いてきたのだから————

 

Re: 腐った彼は、笑わない。【08うp】 ( No.16 )
日時: 2010/04/14 19:31
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: nNH22Zc.)

story−09 【腐った仕事は望まない】


***



 「…………あまり、気は進まないんだけどなぁ……」

 眉間に皺を寄せてそう呟く青年は、くたびれたスーツに革製の鞄という出で立ちでとある書店の前に佇んでいた。その顔には、疲労や諦めの意思もみえる。余程、夕時からの仕事が多く、辛かったのだろう。目の下には薄っすらと隈が自分の存在を示していた。

 「……ま、迷が言って来いっていったんだし。……ちゃっちゃと話してぱっぱと帰ってくれば何も言われない筈だよな、多分」

 一体青年は、どれだけこれから会う相手のことが苦手なのだろうか。———そう思わずにはいられないくらい、青年はその相手に嫌悪を感じていた。その気持ち自体に、青年は罪悪感なんて一つも持ち合わせていない。なぜなら、普通の人間なら嫌悪感しか与えないだろうな、と感じる人物だったからだ。

 「……失礼します……」

 古びた横開きの扉を動かすと、ぎぎっという金属と砂の擦れたような不快な音がした。しかも扉は途中までしか開かない。サッシが歪んでいるのだ。それを無理矢理力を込め、青年はその扉を開けた。
 その瞬間。
 ぶわり、と古びた本の匂いが、青年の鼻腔をくすぐった。ふと視線を巡らせば本。左を向けば本。右を向けば本、上にも本。そんな、一面本ばかりの、どこか浮世離れしたような書店に入り—————青年は、その名を呼んだ。

 「“レン”さん。篠紫野です。お仕事のことでお話に参りました、いらっしゃいますか」

 やや無気力で、棒読みだったが、篠紫野はもやもやとした何かを感じつつ、そう言った。

ほりゅう

Re: 腐った彼は、笑わない。【08うp】 ( No.17 )
日時: 2010/04/21 20:06
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: mznU1Olg)

story−09 【腐った仕事は望まない】


***



 「…………あまり、気が進まないんだけどなぁ……」


 眉間に皺を寄せてそう呟く青年は、くたびれたスーツに革製の鞄という出で立ちでとある書店の前に佇んでいた。その顔には、疲労や諦めの意思もみえる。余程、夕時からの仕事の量が多く、辛かったのだろう。目の下には薄っすらと隈が自分の存在を示していた。


 「……ま、迷が行ってくれっていったんだし。……ちゃっちゃと話してぱっぱと帰ってくれば何も言われない筈だよな、多分」


 一体青年は、どれだけこれから会う相手のことが苦手なのだろうか。———そう思わずにはいられないくらい、青年はその相手に嫌悪を感じていた。その気持ち自体に、青年は罪悪感なんて一つも持ち合わせていない。なぜなら、それ程、今から会う人物は篠紫野にとってマイナス評価に値する人物だったからだ。。


 「……失礼します……」


 古びた横開きの扉を動かすと、ぎぎっという金属と砂の擦れたような不快な音が響いた。しかも扉は途中までしか開かない。サッシが歪んでいるのだ。それを無理矢理力を込め、青年はその扉を開けた。
 その瞬間。
 ぶわり、と古びた本の匂いが、青年の鼻腔をくすぐった。ふと視線を巡らせば本。左を向けば本。右を向けば本、上にも本。そんな、一面本ばかりの、どこか浮世離れしたような書店に入り—————青年は、その名を呼んだ。


 「“レン”さん。篠紫野です。お仕事のことでお話に参りました、いらっしゃいますか」


 やや無気力で、棒読みだったが、篠紫野はもやもやとした嫌悪を感じつつ、そう言った。


 (……居ない、のかな?)

 
 呼びかけたのに、何も返事が返ってこない。つまりこの店の主は今日は居ないということだろう。その答えに多少の安堵を感じながら、篠紫野は踵を返し—————

 
 「待ってよ、篠紫野クン?」


 —————そこで、不愉快な雑音を耳にした。
 居ないと思っていた筈の、予想外なその声の持ち主は、そう嘲る様に、妖艶に微笑んでみせた。その笑みにさえ、篠紫野はきまりの悪さと、背筋に伝わるぞわぞわとした恐怖を味わってしまう。

 「……居たんだったら、返事してくださいよ」
 「はは、ごめんごめん


ほりゅう

Re: 腐った彼は、笑わない。【08うp】 ( No.18 )
日時: 2010/05/28 22:55
名前: 宵子 ◆OKoRSyKcvk (ID: 3HmQHlXg)
参照: どうしようネタが思い浮かばない全然更新してないふぎゃー

story−09 【腐った仕事は望まない】


***



 「…………あまり、気が進まないんだけどなぁ……」


 眉間に皺を寄せてそう呟く青年は、くたびれたスーツに革製の鞄という出で立ちでとある書店の前に佇んでいた。その顔には、疲労や諦めの意思もみえる。余程、夕時からの仕事の量が多く、辛かったのだろう。目の下には薄っすらと隈が自分の存在を示していた。


 「……ま、迷が行ってくれっていったんだし。……ちゃっちゃと話してぱっぱと帰ってくれば何も言われない筈だよな、多分」


 一体青年は、どれだけこれから会う相手のことが苦手なのだろうか。———そう思わずにはいられないくらい、青年はその相手に嫌悪を感じていた。その気持ち自体に、青年は罪悪感なんて一つも持ち合わせていない。なぜなら、それ程、今から会う人物は篠紫野にとってマイナス評価に値する人物だったからだ。


 「……失礼します……」


 古びた横開きの扉を動かすと、ぎぎっという金属と砂の擦れたような不快な音が響いた。しかも扉は途中までしか開かない。サッシが歪んでいるのだ。それを無理矢理力を込め、青年はその扉を開けた。
 その瞬間。
 ぶわり、と古びた本の匂いが、青年の鼻腔をくすぐった。ふと視線を巡らせば本。左を向けば本。右を向けば本、上にも本。そんな、一面本ばかりの、どこか浮世離れしたような書店に入り—————青年は、その名を呼んだ。


 「“レン”さん。篠紫野です。お仕事のことでお話に参りました、いらっしゃいますか」


 やや無気力で、棒読みだったが、篠紫野はもやもやとした嫌悪を感じつつ、そう言った。


 (……居ない、のかな?)

 
 呼びかけたのに、何も返事が返ってこない。つまりこの店の主は今日は居ないということだろう。その答えに多少の安堵を感じながら、篠紫野は踵を返し—————

 
 「待ってよ、篠紫野クン」


 —————そして、不愉快な雑音を耳にした。
 居ないと思っていた筈の店の主は、そう嘲る様に、妖艶に微笑んでみせた。その笑みにさえ、篠紫野はきまりの悪さと、背筋に伝わるぞわぞわとした恐怖を味わってしまう。

 「……居たんだったら、返事してくださいよ」
 「はは、ごめんごめん。さっきまで地下室で新しい情報の整理をしてたんだよ」



 相手の返事を最後まで聞き、そこで篠紫野は、ようやく店の主へと振り向いた。自然と、眉間に皺が寄っていくのを感じた篠紫野は、口元をこれまたナチュラルに引き攣らせる。
 


 「…………どうも、レンさん。


ほりゅう


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