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鬼[オニガリ]狩
日時: 2010/09/19 16:40
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)

おはつです。気軽に参照、コメお願いします♪


...ご紹介...>>3>>15
...Prologue...>>4
...鬼狩り...>>5>>6
...水那の危機...>>7>>8>>9>>10>>11>>12
...宇津木の正体...>>13>>14
...西の鬼狩り...>>16>>17>>18>>21>>22
...鬼の変化...

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Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.7 )
日時: 2010/08/19 15:41
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)

...水那の危機...




「・・・うや」
「ん・・・っ」
誰かが俺の名を呼ぶ。 正直いってうるさいほど。
相手は声ですぐにわかった。 寝た振りして無視だ。
だが・・・、
「悠夜っ!!」
「いでっ」
頭をなんかの物体で叩いてきやがった。
俺は不機嫌な顔をして、叩いたうるさい元凶———白石水那を睨む。
「なんだよ」
「お弁当!おばさんから預かったの」
あぁ、そういや寝ぼけてて持ってくんの忘れてた。
差し出されたお弁当を素直に受け取る。
「お、やっと起きたか」
そこに英助と真田が弁当やらパンやらを持って、会話に割って入ってきた。
「・・・・今、昼か?」
「うん、・・・こんにちは」
・・・・正直、真田の性格がよくわからない。
モテるのに、こんな変な性格だったら男もあきれるぜ。


「で、なんで水那がいんの?1組からわざわざ5組まで」
「さっき言ったじゃん!お弁当!!」
あー、そうそう。そう言ってたな。
すると、隣で英助がニヤニヤする。 ・・・・なんだよ。
「いいねぇ、幼馴染み。ラブいなぁ〜」
「うざい」
いますぐ死ね、俺は瞳で英助にそう悟らせる。
「悠夜口悪いっ!!」
「あぁ、はいはい」
俺はつまんなそうにそれだけ答える。
つか、なんでまだ水那いんの?昼終わるぞ。
「悠夜今日、部活あるんでしょ?」
「・・・そうだけど」
部活・・・つっても“鬼狩り”の話し合いだけど・・な。
水那には俺が鬼狩りをやっている・・という話をしていない。
「じゃあ、先帰ってるね」
「いや、待ってろ。・・・・危ないし」
水那はキョトンとしていた。
最近、この付近にも出るんだよな・・・・。


「・・・また鬼が出るって?そんなはずないじゃん」
水那は笑う。
「・・・お前、いい加減信じろよ」
水那に鬼の話は何十回もしてきた。 だけどコイツは全く信じない。
・・・はぁ、本当にめんどくさいヤツだな。
「はいはい、出たとしてもあたし空手で黒帯とったし♪」
「地味に自慢すんな。俺は真面目に言ってんの」
っとに、心配してやってんのに自慢しやがって。黒帯とかそんなの関係ねえんだよ。


俺とか真田は、並みよりも身体能力はズバぬけてる。
・・・・理由は“宇津木”・・・クソ担任のせいなんだけど・・・。

言い争う俺たちをよそに、真田はパンの袋を開く。
「真田って今日『も』パンなの?」
俺は英助の言葉に振り向く。
「うん、作り忘れちゃって」
英助はふーんと言いながら、乱れた前髪をピンで留めなおす。
「いただき・・・・、・・?」
「・・やる」
俺は自分の弁当を真田に渡し、真田のパンを取り上げる。
「・・・浅葱君?」
「俺屋上で食ってくる」
俺はそれだけ言って、教室を出た。


「・・白石さん、食べていいの・・かな?」
「・・・・、あ、いいよいいよ!悠夜のだしね!」
何処か悲しそうに笑う水那。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・」
・・・・罪な男だなぁ、悠夜は。学年で一位二位を争う女の子を独り占めなんて。
英助はフッと笑い、
「悠夜は今日『も』パンか」
と、一人呟いたのであった。



Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.8 )
日時: 2010/08/19 16:31
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)



下校時...


・・・悠夜ったらなによ。なんで真田さんにはあんなに優しいの?
あたしは一人、帰路の道を辿っていた。
約束やぶっちゃったな・・・。
帰りのHRが終わったあと、悠夜はわざわざあたしのクラスにまで来て、

「部活終わるまで待ってろ、一緒に帰るぞ」
って・・・。
嬉しかったのに・・・。
「・・じゃ、真田行くぞ」
「うん」
なによ・・・。結局真田さんだなんてさ・・。
真田さんは学年一可愛いから、・・あたしなんて・・・。


「うわー・・・・」
ココの商店街ってこんなにカップル多かったっけ・・!?
でも、ココと通らないと・・他の道真っ暗で怖いからな・・・。
現時刻7:10分。日はとっくに沈んでいるのだ。
「・・・あれ?」
あのカップルの男の人・・・背中になんかくっついてる。
あ、あそこのナンパされてる女の人も・・・・。
なんだろ・・・、赤黒いな・・。
あたしは気になって、気付かれないようにカップルの男の人に近づく。


だけど後悔した。見なきゃよかった。
「・・———!??」
そこについていたのは、得体の知れない・・まるで鬼のような物体が。
妙にツンとした血のにおいがする。
あたしは駆け出した。

なにあれ・・・!?
あれが、悠夜が言ってた・・・・“鬼”なの??
ねぇ、悠夜・・・っ
あたしは震える体を、腕で必死に支えながら走り続けた。




Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.9 )
日時: 2010/08/19 17:31
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)



「げっ・・」
「どうしたー?悠夜」
あの野郎・・帰りやがったな。
時刻は7:20分。 昇降口に水那の姿がない。下駄箱には靴もない。
・・・大丈夫かよ。 確かに遅くなったけど・・。宇津木のせいでだけどな。
俺はケータイで水那に電話する。そして、1コール2コールなって・・・・
「水那?もう家か??」
『・・・うん』
・・・?なんか元気なくねぇか?
「・・・水那?」
『ゴメンネ、勝手に帰ちゃって』
何だ・・。それで暗かったのか。変に心配させんなよな。
「いや、なんもないならいいんだ」
『・・・・心配してくれて、ありがとね。じゃぁ・・』
「・・・?・・おぉ」
切れてもなお、俺はケータイを耳に当てたままだった。
やっぱ、なんか変だった。 アイツ、なんかあったのか・・・?
「おーい悠夜。帰るぞー」
英助の声でケータイを耳から離し、「あぁ」と返事してから、俺たちは学校を後にした。



「・・・8、9・・・取り付いてるのを見てる限りは9体だね」
真田が周りを見ながらそう答える。
俺も周りを見ながら「だな」と相槌をうつ。 
鬼となった奴らは、深夜0時になるまでは普通の人間と同じように暮らしている。
だから姿形は0時になるまでわからない。
だけど人間の姿をしていても、俺たちは強い霊感を持っているため、
それを使って背中に憑いている鬼の霊を探し出すことが出来る。
「わかってるのに、0時になるまで動けねえからな・・」
こんなまだ人がうじゃうじゃいるなか、太刀をふるって殺すなんてできるわけない。
・・・もどかしい。


「焦んなって、ま、今日もいつも通りな」
「わかった」
「うん」
俺たちは商店街を出た後、別れた。




Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.10 )
日時: 2010/10/09 14:42
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)

翌日(昼放課)...



「・・・・俺、1組行って来る」
「お、起きてるなんて珍しいじゃん」
英助・・・、俺はそんな毎回寝てる程睡眠不足にはなってねえ。
いつでも元気いっぱいだ(根拠ナシ)
「さき食ってていいよ」
俺はそういって教室を出る。
つーか、昨日は俺が弁当を忘れて、なんで今日は水那なんだ?
あいつ食いしん坊のくせに。 やっぱ変だアイツ。



・・・・今日、久しぶりにニュースを見た。
信じられなかった。 悠夜の言ったとおりだった。
いつも聞かされてた話。
『鬼?いるわけないじゃん』
『いるんだよ。 鬼たちはな、人の生き胆とかを喰っちまうんだよ』
『そんなグロ話やめてよー!!』
あたしは嘘だと思ってた。だからいつも、悠夜の話を笑い飛ばしてた。
【今日午前2時頃、ビル屋上にて女性3人が何者かに内臓などを喰われました】
【では、都市伝説の専門家に話を聞いてみましょう。これは“鬼”の仕業なんですか?】
【そうですね。まず、生き胆などに歯型がついています。それに人がこんな事するはずがありません】
【ということは、“鬼”は存在すると?鬼の仕業だと?】
【鬼の蔵書にある言い伝えが書かれていました。
“憎しみに飲まれた人間は、闇に囚われ、悪鬼とかす”・・・と】
【ということは、もとは・・・・——】
聞いてて、目を見開くほかなかった。
悠夜がいってたとおりだったから・・・・・。
鬼は・・・いるんだ。 だったら、昨日のやつは・・・——



「水那!!」
「・・・・っ!?・・・悠夜?」
・・・どうして、・・ここにいるの?ココ1組だよ??
「なにボーっとしてんの?昨日からなんか変だぞ」
「・・・・昨日?」
昨日は昼から会ってないじゃん。それに昼のあたしは普通だったけど。
「電話のとき」
・・・あたしが変だったこと、・・気付いてたの??
さっきまで暗かった気持ちが、少しだけ明るくなる。
「ありがと、でも・・大丈夫だよ」
「・・・そうか?」
「うん!あ、お弁当ありがとね」
「あぁ、ボーッとすんのも気をつけろよ」
悠夜は「じゃあな」といって教室を去っていった。
・・・大丈夫だよね。 なんもされてこないよね。
もし、襲ってきたとしても、助けに来てくれるよね?
———悠夜




「送ってくれてありがとね」
「おう、じゃあな」
今日は一緒に帰った。現時刻は7:45分。悠夜の部活が終わるまでかなり待ってたから・・
疲れたな・・・。 けど、悠夜のやつ心配するからな。
「ただいま」
「おかえりー、今日塾でしょ?はやくいってらっしゃい」
その言葉に心臓が波打つ。
・・・今塾に行ったら、終わるのは12時近くくらい。・・・どうしよう。怖い。
「はい、これ夕飯ね。・・ホラ、いってらっしゃい」
「・・・うん」
お母さんはあたしの背を軽く押して、それから玄関のドアを閉めた。
・・・・はやく行って、終わらせてこよ・・っ!!



...時刻は深夜0時、歯車は回り始めた...



「英助、反応ねえの?」
「まだないな。じばらく周り監視してて」
「わかった」
いつも通りに俺たちは鬼狩りを始めていた。
「真田、そっちはどうだ?」
「別に変ったことはないよ」
俺は「そうか」と言って通信を切った。
・・・なんだか胸騒ぎがする。今日はなにかが起こりそうだ・・・・


ヤバイ・・・、0時過ぎちゃった。はやく帰らないと・・っ。
あたしは腕時計を見ながら全力で走った。
その時、男の人たち・・・10人くらいに囲まれる。
「・・・・なんです、か?」
あたしは恐る恐るに尋ねる。
なに・・この人たち・・。瞳を見てみると赤く光っていて、焦点が合っていない。
・・・いやだ、怖い。・・・逃げなきゃ。
だけど、この場所は人通りが少なく、人目につきにくい場所だった。
しかも、最悪なことに背中の方は壁。
どうしよう・・・。
そう思ったときだった・・・、
男たちの姿はみるみるうちに恐ろしい鬼の姿に。
「・・・ぁ・・はぁ・・っ・・」
体が震えて言うことを聞かない・・・。
・・・いや、いや・・・

———悠夜・・・・っ!!!



Re: 鬼[オニガリ]狩 ( No.11 )
日時: 2010/08/21 13:11
名前: 黒ネコ^・д・^ (ID: q9W3Aa/j)


——ッドクン!?
なんだ・・・・・?今のは・・。
胸が高鳴ったと同時に、・・・水那の顔が浮かんだ。
「水・・、那?」
なんだ、なんかヤバイ感じがするぞ。
・・?今日何曜日だ?・・火、水、木・・。木曜日ってアイツなんか用事・・・・・。
「———!!!」
俺は駆け出した。
ヤバイ、ヤバイ。アイツ今日塾だ!?
胸騒ぎとか嫌な感じがしたのはそのせいか・・・・。
——水那が危ない・・・っ!!!
「英助っ!!水那の居場所わかるか!?」
「なっ、いきなりどうしたんだよ!!」
「いいからっ!!急げ!!?」
こんなに焦って大声出したのは初めてかもしれない。
もし、水那が喰われていたら・・・、 そう思うと胸が締め付けられる。
なんで、はやく気付かなかったっ・・・!!!!
それと同時に自分に対しての怒りが湧き起こってくる。
「おい!!50mを左に、そっから200m真っ直ぐいってから右に曲がれっ!!」
「鬼の場所じゃねえよっ、水那の場所だ!!」
英助のヤツ、水那より鬼ってか?ふざけんな。
だけど、今度は俺よりも英助の方が切羽詰った声で信じられないことを言った。
「水那ちゃん、10体の鬼に囲まれてる!!」
再び大きく心臓が波打つ。
———っくそ!!!!
俺はひたすら走るスピードを上げる。
無事でいてくれっ・・・・!!
俺はその間、祈ることしかできなかった。



一回きり


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