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永久の刹那
日時: 2010/09/27 16:01
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)

刹那 setsuna
語部

永久 towa
刹那の元カノ

保 tamotsu
永久の彼氏






                ある日彼女は僕の目の前でこう言った

                   「この人、彼氏なの。

                  だから、ね。別れてよ。」

              九つも年上の、保という人を紹介された。

                    「よろしく・・・。」

                 知るか、ばか。聞いてないし。

                「刹那です。宜しくお願いします。」

                でも、僕はありったけの笑顔で言った。

                  ありったけの、無心の笑顔で。

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Re: 永久の刹那 ( No.20 )
日時: 2010/10/01 17:28
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
参照: 闇ヲ知ラナイ人間ガ居ルカラ、闇ハモット、広ガルンダ。

「まーたー派手にやっちゃってー、もー。」

・・・勿論今の声の主は冬夜さんじゃないですよ。
今の声は冬夜さんのお嫁さんの海音さん。
訳あって離れ離れで暮らしてるんだって。ま、ただ海音さんのお父さんが海音さんを手放したくないだけらしいんだけど。
あ、因みに読みは「カイン」さん。
看護士だったらしいんだけど、これまたお父さん絡みでやめたらしい。
少しは大人になろうよ。

「何これー。イジメー?お姉さんがやっつけたげるよー。」
「余計なお世話ですよ。それに、イジメじゃありませんから、ケジメですから。」
「イジメだかケジメだか私にはそんなものどうでもいいんだけど無茶だけはじないでよねー。」
「・・・どうでしょうかね。僕は結構アブナイらしいですから。」
「海音、ちょっと買い物してくるから居てやって。」
「はーい、いってらっさーい。」

突然だが冬夜さんの話をしよう。
冬夜さんは僕の保護責任者になって変わったらしい。
僕と出会って、変わったらしい。
元々冬夜さんは僕の母親、冬夜さんの姉に憧れていたらしい。
冬夜さんは僕が母親のお人形だった事を知らなかったんだ。
そんな母親の一面を知ったのは、母親の通夜でだった。
壊れかけの僕を見て、最初は僕の母親の子だとは思ってなかったらしくて、冬夜さんの母親、僕の祖母に聞いてみたところ僕が甥っ子と知って絶望したらしい。
勿論僕にではなく僕の母親に、だ。
冬夜さんは僕に生を教えてやりたかったらしい。
冬夜さん自身、好きだった彼女に目の前で線路に飛び込まれた事があったらしい。止められなかった、そんな彼女を気遣ってやれなかった自分を戒めて、もう二度とあんな思いはしたくないって冬夜さんが言っていた。

「冬夜はね、自分に甥っ子と姪っ子が出来るって凄い嬉しそうに話してくれたのよ。
 でも、会ってみたのは自分の姉の通夜で、ボロボロで、壊れかけた男の子で、びっくりしてたわ。
 ・・・姪っ子は他界してしまったし。冬夜の周りでは沢山の人が亡くなっていてね。
 自分は呪われていると項垂れていた時期もあったのよ。」
「・・・何が言いたいんですか。」
「貴方は・・・刹那君は死なないでねって事よ。」
「・・・、殺人者で、裏切り者で、最低な人間でもですか。生きる意味が見付からない。・・・お人形でも、ですか。」
「刹那君はお人形なんかじゃないわ。今、自分の意思を持っていたでしょう。貴方は生きているじゃない。生きる意味を見失っても、また拾えばいいでしょう?そういうものよ、人間って。」

・・・分かってないんだ、この人は。そんなものは理想論でしかないという事。
それを実現できるのは、ばかで、闇を知らないお気楽者だけだって。
僕は人と関わるのを嫌っていた。ていうか、元々僕は闇の中に居たんだ。闇に居る人に、そんな言葉をかけられても逆に失望するだけだから。

“手ェ貸そうかァ?”

刹華に変わると乱闘になるだろう、駄目。
海音さんに迷惑も掛けられないし、出てきたら普通の人は混乱しちゃうから。

“変わって下さい、変わってくれよ、変われよ。”

・・・いいけど、混乱させないであげてね。
海音さんにちゃんと説明してあげてね。

“よっしゃあ!!”

海音さん、ごめんなさい。

             ***

「んー!!ちょっとぶりだぜこの身体ァ!!」
「ちょ・・・刹那君?」

海音は驚いて目を丸くしている。
やべ・・・早速混乱させちゃった。ま、しゃーねーわな。

「えっと、刹華です、チェキラ☆」
「・・・刹華ちゃん・・・?刹華ちゃんって刹那君の妹さんの?」
「そう。話の早ェ奴ァ嫌いじゃねェ。
 魂が二つあるし、二重人格じゃねーよ。海音さんの姪っ子にあたりますね。」
「え・・・今までずっと刹那君の中に居たの?」
「そうだ。聡い子も好きだぜ。」

今までの空気が台無しだな。
兎に角俺は何しに出てきたんだっけ?・・・俺が外に出たかったからか、そうか。
否、違うな。勘違いを正す為か。

“急に心配になってきたよ。”

心配すんなって!!おとなしくそこで見てなッ!!

「えっと、取り合えず、癇に障った。これは刹那、俺、同じリアクションだ。
 後、哀れんだ。コレは俺、刹華が感じた事。
 もう一つ、失望した。コレは刹那が感じた事。
 俺達に話す時は慎重にしやがれ。刹那も俺も、すっげぇ傷ついた。傷が疼いた。
 ・・・勘違いも、甚だしい。」
「・・・ごめんなさい。理想論よね・・・、こんなの。でもさ、思うんだよ。不幸な人には幸せが訪れるって、奇跡だって起こせるんじゃないかって、そう思うの・・・ッ!!」
「そんなのは違うッ!!何も知らねェ癖に!!正論だとか思うんじゃねェぞッ!!
 闇の中に居た事がねェ奴に、本当に傷ついて一生闇の中で頑張ってきた奴にとっちゃ余計なお世話なんだッ!!
 テメーらみてェな偽善者ぶってる奴ァやっぱり嫌いだァ!!何も・・・何も分かってねェ!!うるせェんだよ!!」

“刹華・・・、僕も同感だけど、言っちゃいけなかった。謝って、刹華。”

海音は蹲って耳を塞いでいる。相当怯えているようだ。
・・・そうやって、刹那の事を何も分かってねェのに分かったような口を利きやがって。刹那が一人ぼっちの世界?そんなの許せる訳ねェだろ。
あんなのは理想だ、空想だ。現実になんか、出来る訳がねェだろうが。
現に刹那は現実に出来ない絶望に、溺れてしまっている。刹那が・・・また傷ついてるじゃねェか。
刹那は・・・刹那は・・・ッッ

「刹那は殺人者でも裏切り者でもねェ!!刹那が俺を庇ってッ・・・俺がばかだから・・・俺がただ、ばかだったから勝手に死んじまったんだろう!?
 刹那は絶対に悪くねェ!!」
「何してんだッッ!!」

後ろから冬夜が出てきた。冬夜の息が荒れている、相当焦って走ったんだろう。

「・・・せ・・・刹華か?お前、刹那じゃねェだろ。」
「そうだ。俺は刹華だ。」
「この状況は何だ、何が起こった。」
「・・・冬夜・・・怒らないであげて・・・?私が・・・私が悪いの。」

海音は今あった事を説明した。
説明している途中の表現が、刹那を悪く言っているようで腹が立った。
でも、刹那に止められて、俺は海音につっかかりそうになったのを止めた。

「・・・海音も刹華も刹那も、謝れ。・・・刹那は、何にも言ってなかったな・・・。」

「・・・悪かったよ。俺は、普通を分かってねーからな。」
「私も、ごめんなさい。」

・・・何コレ。コレが世に言う仲直り?

“いやいや。あ、そう言えば僕、喧嘩した事ないし、てかする相手もいないし、仲直りした事ないな・・・。”

「ま、変わるぜ。刹那、交代だ。」

“気紛れ過ぎ。ま、変わるけどさ。”

「刹華、またな。」
「おー。・・・お・じ・さ・ん☆」
「・・・ッ!!・・・次、覚えとけ。」

おう。
次が、あったらな。

Re: 永久の刹那 ( No.21 )
日時: 2010/10/02 07:54
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

このままドロドロとした、シリアスな4角関係が続くのかと思いきや、人格が2つあるですとなっ!!
驚きです。
冬夜ww可愛い。 いい人だ。

Re: 永久の刹那 ( No.22 )
日時: 2010/10/02 09:45
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
参照: 闇ヲ知ラナイ人間ガ居ルカラ、闇ハモット、広ガルンダ。

>アキラさん


アキラさんが思っていたのは昼ドラ系ですか?
違うんですよ!!・・・さーぁこの後結構な展開が待ってますよ!!
そうですね、冬夜はお気に入りです^^

Re: 永久の刹那 ( No.23 )
日時: 2010/10/04 16:45
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

昼ドラ系です!!

Re: 永久の刹那 ( No.24 )
日時: 2010/10/04 22:05
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
参照: 闇ヲ知ラナイ人間ガ居ルカラ、闇ハモット、広ガルンダ。

>アキラさん

だと思いました(笑)


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