ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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I 真に勝手ながらこの小説の更新を止めます 申し訳ありません
日時: 2011/06/23 16:00
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17023

初めまして,二次小説の方で中心的に活動していました風と申します。




〜作者状況〜

執筆していない【〇】執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。





〜更新履歴〜

>>1  第一章 第一話「初めてのお使い」   
>>5  第一章 第二話「初めてのお茶会」   
>>10  第一章 第三話「初めての多人数殺人」 
>>16  第一章 第四話「本当の始まり」更新
>>20  第一章 第五話「本当の始まり Pary2」
>>27  第一章 第六話「嘘も偽りも Part1」
>>36  第一章 第七話「能力者達」
>>41  第一章 第八話「夫々の日常」
>>48  第一章 第九話「能登潤ラヴァーズ」
>>55  第一章 最終話「I〜幻想夢花火〜」
>>86  第二章 プロローグ「祭リ染ミテキタゼ!」
>>109 第二章 第一話「藍沢竜牙」

〜設定資料&番外編〜

>>62 設定資料集&番外編【1】 素敵作曲家様や詩人様から貰った歌の数々を掲載!
>>67 設定資料集&番外編【2】 自分の造ったキャラのプロフィールを掲載する場所
>>74 設定資料集&番外編【3】 キャラクターインタビュー Part1(藍沢&K&フリーダ&条の内)
>>77 設定資料集&番外編【4】 キャラクターインタビュー Part2(能登&渡会&楢崎&仙道)
>>82  藍沢竜牙 絵掲載(依頼絵師・生死騎士様
>>114 設定資料集&番外編【5】 アンケート用紙掲載



〜お客様〜

闇子様
しずく様
羽百合 蕾様   
提供オリキャラ 紅 雪          >>32
華世 様(元rara様
祠堂静雄様
楓様        
提供オリキャラ 永井 優        >>31
disco様
かにゅ様     
提供オリキャラ 燐桐 紀        >>30
Neon様      
提供オリキャラ 中道 虚        >>28
ヴィオラ様    
提供オリキャラ 風月 春        >>29
パーセンター様  
提供オリキャラ 凍戈 潤         >>33
ひふみん様    
提供オリキャラ パトリシア=モンロー  >>37
葵様       
提供オリキャラ アリス・クイーン     >>39
紅蓮の流星様
アキラ様
りま様
なさにえる様
玖龍様


以上,十八名のお客様が来て下さいました!
感謝です^^




===注意事項===

1.荒しやチェンメ・中傷等は止めて下さい。
2.グロテスクな表現やエロ描写等苦手ない人はNG。
3.更新は亀以下ですがどうか温かく見守っていやって下さい。
4.作者状況の執筆中の所に○が付いている時は書き込みを控えて下さい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

プロローグ「Welcome」

西暦2054年
2010年位から世界は余り変って居ない……詰らない。
機械の技術も何もかも殆どは環境回復や肥大しすぎた人工の為に不足する食料を護る為に周っている。
だから,PCも携帯も何もかも大した変化は無い…寧ろ退化したのでは無いだろうか…

あぁ,詰らない…溜息が出るほどに。
そんな事を思いながら高校三年生の藍沢竜牙は今日も朝からその成長無いPCで遊んでいる。
黒髪に漆黒の黒の瞳…服装も黒尽くめ,表情の変化も無く世界に対しての不満が滲み出ている。
細く長い漆黒の瞳と筋の通った日本人離れした鼻,造形からすれば中々の良い男なのだが
彼自身の不の感情が其の魅力を損ねている様に見えた。
そんな男,藍沢竜牙は一日中ネットを眺めながら世の中の不登校児達と語る。
学校__?学校に顔出したら負けだと思ってるね…と。


「何だこのサイトは?何て色気ねぇ名前だよ?」

そう思いながらクリックしたサイト…「ある組織」詰らないサイトだろうと思っていたこの名前
ネットの最奥に潜んでいたその名前が彼の人生を変える事になる。


『アンケート…?』

クリックした先には唯アンケートと言う言葉がある。
其れを彼は更にクリックする。
質問が出る。
質問1「貴方は引篭もりですか?」答「YES」
質問2「今の生活に満足していますか?」答「NO」
質問3「貴方は今,楽しみと言える物が有りますか?」答「NO」
質問4「人を殺す事は悪い事ですか?」答「」

質問4…手が止まる。
人を傷付ける事は悪い事だと再三親に言われて成長してきた。誰しもそうだろう。
だが,彼の心の中には人の死体を見たい…人を自らの手で殺めて見たいという意思が有った。
それは唯,好奇心だけではない。この増えすぎた人口は世界に悪影響だと彼は考えて居たのだ…

だが,彼は暫し逡巡し結局「YES」と応える。
そして,次の質問…質問の内容が急に変化していく。そして,是がこのサイトの趣旨なのか藍沢は唐突に理解する。
然し,その時はもう遅い。戻ろうとしても戻れない。PCの電源を切ろうとしても切れない。

「本当は殺したいんだろう?なぁ……」
「何だってんだ!?」

PCの中から突然無機質な声が聞こえる。
ヘッドホンは付けているのにヘッドホンから聴こえて来る感じじゃない。
藍沢は慌てふためく。

質問5「貴方は人を殺してみたいですか?」答「YES」

YESと応えろという声が脳内を駆け巡る。
大きな声だ…こんな大きな声なら下に居る妹や母親にも聞こえる筈なのに……全く反応は無い。
時間帯は夜の7時正に一家団欒の時間の筈だ。


質問6「最後の質問です…人を殺すことに罪が無いとすれば貴方は人を殺せますか?」


その質問に対する自分の答は決っていた。
不気味な無機質な声…自分にしか聞こえない…
40年位前のその代から言えば旧式言ってと何ら遜色ない筈のPCでそんな事を出来る連中が居る。
間違いなく今の警察機関の目を逃れて殺人をしているのだろうと想像出来る。


やってみたい———


藍沢竜牙は口角を吊上げて笑みを浮べYESをクリックした…
瞬間PCから聴こえる無気力な声に変化が現れる。

YES?

Y・E・S……YES!?
YES!!

YES!YES!YES!YES!YES!YES!YES!YES!!!!!


先程までの無気力な声とはまるで違う歓喜するかのような狂気染みた声…
そして,最後に静かに歓迎の言葉が藍沢竜牙の脳内に響いた。



会員番号100788
数秒後,スクリーン全体に自分の会員番号が表示された。


END


NEXT⇒第一話「初めてのお使い?」へ





_____コメント

題名の通りです。
多くの読者の方々は申し訳ありません。
オリキャラを投稿して下さった方々やアンケートにお答え下さった方々には、感謝しています。
有難う御座いました。
しかし、このIを持続していく気力が作者にはもう、有りません。
真に勝手な理由ですがお許しください……上進してもっと素晴らしい作品を提供したいと思います。
では……

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Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第四話更新 コメ求む! ( No.16 )
日時: 2011/02/12 15:00
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: VGwfvbah)

コメント下さった方々有難う御座います♪


闇子様へ
いや,此方も闇子様の小説が好きだから感想投稿させて貰っているんですよ(汗
そう言う邪な考えも多少は有るってだけの話です(汗
だって,本当に目的がそれだけだったら誰彼構わず適当に感想書くですよ!
此方としても感想を書いて頂けるのは真に嬉しい事ですし!!
今後も変りなく感想を書いて頂けると嬉しいです^^
私も変わりなく感想を書きたいですし!

rara様へ
独特ですか?
はぁ,擬音が多いとかでしょうか…
台詞が格好良いと言うのは嬉しいです^^
台詞には力入れてるので♪



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第4話「本当の始まり」


太陽の光を自らの武器である爪にギラギラと反射させながら猫背を起し限界まで自らの体を大きく見せサルコジは突進する。
其れに対しKは微動だにしない。それどころか構えすらせずサルコジを視界に入れすらしない。
また一歩また一歩とサルコジの足がKへと近付く。サルコジの爪がKの喉元に命中したと藍沢が思った瞬間だった。
サルコジは宙に浮いていた。

フワァ…

「遅いぞ…なぁ,まさか其の程度か?」
「ンナ訳ネェダロウガアァァァァァァァァァァ……」


ビュビュビュビュビュッ…

バッ…

サルコジは一瞬何が起こったのか理解できず思考を停止する。
そんなサルコジの耳に挑発するかのようなKの言葉,熱しやすいサルコジは是に容易く乗りヴォルテージを上げ空中で体を捻る。
そして,爪を勢い良く振る。すると,短かったサルコジの爪が鞭の様に撓り長く伸びる。
十のチェーンクロスの様な物による多角攻撃だ。
然し,Kは安全地点が分っているかの様に必要最低限の動きでその攻撃の全てを回避する。
更にサルコジの伸び切った爪のチェーンの部分を徐に握り空中に居るサルコジを引き摺り落す。

立ち上がろうとするサルコジに間髪居れずに鉄棒の一撃が入る。
サルコジは派手に吹飛び家屋に激突する。
大きな衝突音が響きガラガラと瓦礫が落ちる音が後に聴こえる。
砂埃の中からユラリとサルコジの影,立っている。まだ,戦意に満ちている様だ。
殺気が藍沢まで届く。


ブルッ___
体が震え体毛が総毛立つ。
圧倒的な,造られた平和の中では経験する事の無い恐怖。
藍沢は唯,其処に座って居る事しか出来なかった。

見ている間にサルコジは追詰められていく。
何度攻撃してもKを一歩も動かす事は出来ず攻撃を回避されては
間延びしたチェーンを掴まれ手繰り寄せられ鉄棒で逆に攻撃を受ける。
近接戦闘を挑んでも結果は同じ…否,逆に敗色は濃厚となるだろう。
この勝負…最初からサルコジに勝ち目は無いと見て取れた。


ズゥン…

何度目かのKの攻撃がサルコジに命中する。
サルコジは藍沢の近くに吹飛ばされていた。
立ち上がるサルコジは藍沢を睨み付け走りだす。
責めて,弟子であるこの小僧だけでも殺してやると言う様な風情だ。
然し,Kに焦りの色は全く無い。
それ所か自らの武器を地面に押し付け動こうともしない。

『………何だ,この速さ…人間の速さじゃねぇ…おい,K…助ける気ねぇのか?見捨てるのかよ?』


今度こそ死ぬ。
Kは本当は自分の事など助ける気はないのだ……関係の浅い藍沢には無論そう感じられた。
近付く死へのカウントダウン…目を瞑っても直ぐ近くにあの歯を剥き出しにして笑うサルコジの姿。
全ての抵抗を諦めたかのように藍沢は壁に横たわり思考を停止させた。




      ガアァァン…


「!?」


               「ヌッ……ヌワニイィィィィィ!!?」


ジャララララッ…


突然,鈍い音がしたかと思うと驚愕するサルコジの声が空から降って来る。
藍沢は恐る恐る目を開け空を見上げる。
すると,空中に放り出されたサルコジと其の横にチャーン付きの分銅…
Kの笑みを見て理解した。
是はKの武器の先端…地面に潜らせサルコジを地中から狙ったのだと…

そう,理解したと粗同時に白い細い腕が藍沢の視界に現れる。
其れは,サルコジを抱き抱え離さなかった。
鉄パイプで少し強く叩けば一撃で折れてしまいそうな腕。
あんな細い腕で70kgは有りそうな男を軽々と抱えていた。


「全く…阿呆が。分を弁えろ」
「師匠———」


新手の出現,それも師匠と言うからにはサルコジより格上なのだろう女性。
藍沢の脳内はパニック状態に陥っていた。その女は自分の直ぐ上に居るのだ当然だろう。
だが,女は全く藍沢に興味を示した様子は無くKに話し掛ける。


「随分と腑抜けな弟子だなK…全く,気が知れんよ」

「どうかな?俺はコイツぁ直ぐにサルコジ程度抜かすと信じてるよ?」

「ふん……妄想も大概にしろ…こんな」

フッ…



ビクゥ!!!


「草食動物の様な男がサルコジを直ぐに越える?有得ん……宴会の笑い話にもならん」

女性とKは知り合いの様だ。
会話の刺々しさから察するに敵勢力と言った所だろうか。
女性は険のある声で藍沢を侮蔑しKの言葉に腹を立たせる。
どうやら最初のサルコジに対する厳しい言葉とは裏腹にサルコジに対してそれなりの情がある様だ。

女性は20mは有りそうな建物から悠然とサルコジを抱えたまま降り立ち藍沢の怯えた顔を観照する。
黒いロングコートを着た色白の翠の瞳…
癖の強い金髪が特徴的な無表情ながら厳しそうな女性だ。
誰に遣られたのか顔には斜めに斬り込まれた傷が有る。
それが彼女の雰囲気をまた威厳のある物にしている様に藍沢は感じた。

そんな相手の容姿ん分析をしながら気を紛らわそうとする藍沢。
そんな彼に溜息を付き忌憚の無い意見を述べる彼女…
どうやら藍沢を殺す気は無い様だ。
藍沢はホッと胸を撫で下ろす。


「ほぉ,宴会とかお前も出るのか?想像できないな…」
「何とでも言うが良いさ」

「所で,シュトゥルヒ…その傷は治さないのか?」
「………是は私の過ちへの戒め,永遠に消えぬ憤怒の証明…消すのは我等が目的が成就した時のみ」


ズッ…


女性の名前はシュトゥルヒと言うらしい。
Kにからかわれると何故か満更でも無さそうに緑色の愁いを帯びた瞳をついと細め強がって見せる。
Kの顔の傷に対する質問に対して過去に何か有った事を臭わせる言葉を発し彼女は消えた。
藍沢は唯呆然と地面に座り続けていた。


_______________


そして,其の日の夜藍沢は風呂に入り体を洗った後組織のお茶会へと参加した。
参加者数を見ると五人…自分を含めて六人の様だ。どうやら一週間立って新人は居ないらしい。
先週と同じフロアの同じ場所に飛ばされる藍沢,周りを見回すと夜の帳が落ち心地よい暗さだ。
照明も明るすぎず良い。

「なんやぁ,俺なんてもう12人殺したでぇ♪」

相変らず話の中心に居るのはあの五月蝿い関西弁の男慎介の様だ。藍沢は額に手をあて深々と嘆息しながら進む。

「よぉ,相変らずだな」
「何やぁ?藍沢ちゃんやん…もぅ,1時間も経ってきいへんのかと思っとったわ」
「6人だ…大した事無くて悪かったな」

「………ノリ悪ぅ」

嫌みったらしく嗤う紅い髪の男,
藍沢は正直この男と長く会話をしたく無いから
反撃されないようにさっさと自分が殺した人数を応える。
慎介は伐の悪そうな顔をして沈黙する。
沈黙する慎介を他所に1人でソファーに腰掛けている能登が藍沢を手招きで誘う。


「俺は…」
「近くに座ってやんなよ…寂しがってんだからさぁ?」


それに気付いた藍沢は謹んで辞退しようと勤めるが
ガムをくちゃくちゃと噛みながらゲームをしているにも拘らず
周りの良く見えた女である渡会に指摘され周りを見回し降参したかのように彼女の横に座る。

「藍沢君……ゴメン…ね?本当は嫌なんでしょ?」
「いや,俺は…」

スッ…
「ヒュウゥ〜♪」
「青春だな♪」


言葉と表情とは裏腹に藍沢の手に自らの手を重ねる能登。
少し冷たい彼女の手が重なった瞬間藍沢の胸は無性にドキドキする。
藍沢は容姿的には上の中と言う恵まれた物を持っているが
生来外に出ない為か異性との交遊などは皆無だった。
普段仏頂面の藍沢の顔が見る見る紅く染まっていく様を渡会と条の内が茶化す。

そこに,トイレから戻って来た残りの人物が現れた。
仙道俊助……条の内慎介のお目付け役の一流歌手だ。
派手な赤の皮ジャンを羽織り銀の腰まで届く長髪…
堀が深いが余計な凹凸の少ない綺麗なマスク。全てを見透かすような青の瞳。
TVで見る通りの容姿だった。

男は遅れてきた藍沢の方を見て一言言う。

「君がKの言っていた藍沢君か…成程,才能に溢れているな」
「何…?」

「何の才能かってのは…まだ君達は知らなくて良い。何れ…いや,直ぐに分るだろう」

何の才能に溢れているのか…
フランクに話し掛けてくる仙道の言葉が的を射ず混迷する藍沢は何がだと問う。
然し,直ぐに分ると悟ったかのような口調で俊助は質問に応える気は無さそうだ。
恐らくは組織に対する情報なのだろうと悟り沈黙する。

「所で藍沢ちゃ〜ん,K…はんは何でけぇへんの?」
「………フリーダと言う女性とデートらしい。」

「フリーダって……能登の付き添いのあの姉さんと同名だな」
「十中八九彼女だろう」

「………」

静かにしているのが苦手ならしい慎介は痺れを切らせて気に成っていた事を口にする。
藍沢は少し逡巡するも単刀直入に質問に応える。
フリーダと言う名を聞くと思い出すのは此処に参席していないもう一人の上級者。
恐らくは否,確実に彼女だろう。
能登が重ねた手に力を入れる。ソファに手が沈む。汗を掻いているのが分る。

「ねぇ…藍沢君,トイレ付き合ってくれないかな?」

「!!?」


モジモジとしながら回りを見回し彼女は小声で藍沢の耳元で囁く様に言う。
藍沢は驚愕し一瞬ソファから立ち上がりそうになるが其処は必死に冷静を保つ。

「……所で…楢崎さんは…喋らないけどどうしたんだ?」
「あぁ,彼女は寝ているんだよ…酒を大量に摂取すると彼女は眠るんだ」

「目を開けたままか?」
「瞼にあたしが目の絵を書いただけだよ…」

「上手いな…オイ」

スッ___
「どこ行くねん?」
「ちょっと…彼女が風に当りたいって言うから」

必死に平静を保ちながら周りを他の面子に悟られないように見回し話題を探す。
普段,良く話しそうな印象の有る楢崎と言う上級者が全く口を開いていない事に気付く。
すると何とも予想外な事に酒の性で眠りに付いたという答が仙道から返ってきた。
目を開けているように見えたのは渡会の悪戯だったらしい。
随分と上手な絵を書くんだなと褒めながら藍沢は能登の細い腰に手を回し能登を立たせる。
そうして,外の空気に当りたいからと言う理由付けで彼女をベランダへと連れて行く振りをする。

ツカツカ…
「あの突然ゴメン…」
「一体,何なんだ……」

「あたし,藍沢君の事……」



                            


                            ____「好きです!!」








慎介達に声が聞こえない程度の所まできて能登が話し出す。
予想はしていた。
だが,彼女自身の口から聞くと現実味を帯びて重みを感じる。
長い間引篭もっていた藍沢には恋愛の経験もノウハウも無い。

「突然そんな事言われても……」
「そうだよね……あたしみたいな女」

「違う!能登…君が悪い訳じゃなくて俺は…君を」

藍沢は突然の彼女の言葉に返答に戸惑い言葉を濁す。
能登は見計らったかの様に自分を貶す。
其れを見た藍沢は彼女を元気付けようと言葉を探す。

ガシィ…
「でも,一週間前の藍沢君格好良かった…あたし,あんな風に護られた事なくて。
凄く凄く興奮した……惚れてしまった」

「………能登……さん」


「一度だけ!一度だけで良いんだ!!デート……して下さい!!」


そんな,逡巡する彼に彼女は強く抱きつき懇願する様に言う。
唯,好きになってしまった事…藍沢竜牙と言う男を愛して止まないという事実。
戸惑う藍沢に対して能登の語調は徐々に強まり藍沢は心を折る。
何時,デートするか其れを能登と打ち合わせして決める。
日時は明後日詰り日曜日…十時からとなった。


「俺さ…デートとか始めてなんだ」
「あたしもだよ?」

「え?」

「家庭事情の性で誰も私には良い印象を持ってなくて」
「そう……なのか…実はさ」
「何?」




「俺も……君が好きだ」


 


                                 アリガトウ_____



ビルの外,吹き抜ける風が涼しい。
能登と藍沢は二人空を見上げながら思い思いの言葉を言い合う。
二人とも異性との交遊は初めてで二人とも家族間の問題に苦しんでいて
二人ともあの時から異性としてこの人と仲良く成りたいと思いあって居た。
無論,一目惚れに近い物だ。
直ぐに醒める恋かも知れない…
然し,彼女達の中にはこの殺戮の日々に一つの安らぎが生まれたのは言うまでも無い。
二人は,手を繋いで何処とも知れないビルの外の世界を眺めていた。


                            ∞END∞



NEXT⇒第一章 第五話「本当の始まり Part2」へ




Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第五話更新 コメ求む!! ( No.20 )
日時: 2011/05/04 21:46
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第5話「本当の始まり Part2」

———日曜日:東京渋谷区

十時になる一時間以上前に藍沢は待ち合わせ場所に到着していた。
初デートだと言うことに緊張しているのか念仏でも唱えるかの様に
Kから教わったらしい女性との付き合いの心得とやらを口にし続ける。
女性には優しく…女性の事を待っても女性を待たせてはいけない等と言う内容だ。
そんな逼迫した感じの藍沢を陰から見守る二人…条の内慎介と渡会愛螺だ。
実は,二人とも能登と藍沢の隠れて盗み見ていたらしい。
同じ事に手を染めた仲間として二人の恋が実って欲しいと言う意思が一致したらしく
二人はこのストーカー作戦を決行したらしい。


「何や…何時もの態度に反して落ち着きないやっちゃなぁ?」
「初めてはウキウキだろう…条の内さん?」
「せやけど…台無しやで男前が」


何時もなんて言ってもまだ二回しか顔合わせしていないだろうと言う
尤もらしい突込みを条の内にしようと思った渡会だが何だか面倒になりそうなので言葉を選ぶ。
そんな渡会の言葉に対し条の内は不満そうに愚痴る。
例に漏れず渡会は騒ぐ条の内を適当にかわしながらゲームをやっている。
待ち合わせの十時が過ぎる。藍沢は仕切りに時間を気にし貧乏揺すりを始める。
其れをチラリと見た渡会は内心思う。貧乏揺すりする男は嫌われるぞ…と。

『くそ…来ない!?まさか…事故にでも』

ダンダンダン

嫌な想像が脳内を駆け回り不安が増大していく。10分20分と刻々と時間が過ぎていく。
鼓動の音さえも不安を煽り藍沢は終いには歯軋りを始める。
30分後,心配で胃痛が始まった頃だった。


「ごめ〜ん,藍沢君!待たせちゃって…」
ムクッ!

「いや,待ってなんて無いぜ?此処までの道が面倒で電車乗り間違えてな?
遂さっき付いた所なんだよ」
「そっか♪何だか藍沢君って真面目で完璧そうだから私なんて釣合わないと思ってたけど…
電車の乗り換えミスとかする人だったんだね?少し気楽になったよ♪」

「………そっそうか,良かった」

ギュッ…

能登の声が藍沢の耳に入る。
安堵と胸躍る気持ちに胃痛など無かったかのように立ち上がり
心配させまいと嘘を付く。彼女は其の言葉を聞いて純粋そうな笑みで感動を口にする。
その能登の顔を見て藍沢は赤面する。其の瞬間に能登が藍沢の手を握る。


「じゃぁ,最初は何やろうか?」
『不味い…長年引篭もってたから何が何だか…地理が全く分らない!』
「う〜ん,じゃぁ…あの交差点曲って洋服店行こうか♪」

「あっ…あぁ」


先々日はあれほど手を握るのも余所余所しかったのに二人だからなのだろうか
キャラを造っているのだろうか控え目な彼女とは思えない臍だしミニスカの大胆な露出度の服装。
そして,積極性。藍沢は唯,引篭もり故に何があるのかも分らない事も相俟って流されるままだった。


「駄目や…完全に能登ちゃんペースや!」
「良いじゃないか先輩…だって,能登は楽しそうだし藍沢君も満更でもないようだし」

「駄目や!男として男を応援するのは男の義務や!!」
「勝負事じゃ無いんだから…」


二人の一挙手一投足にオーバーリアクションで応える変質者慎介に対し
遠くから見るような感じで二人を眺めながら適当に慎介をあしらう渡会だった。
藍沢達が動くと同時に二人も動き出し電柱などに隠れながら能登の言う服屋へと向う。

コソコソ
「しっかし,藍沢の服…良く能登ちゃん突っ込まんかったな」
「……恋する乙女は盲目なのかな?」

説明が遅れたが今の藍沢の服装は相当酷いと言って良い。
Kに弄られたのか相当悪趣味な配色の服装だ。
上着は青紫と銀の縞模様,ズボンは白と言う奇抜さである。
藍沢に目の行ったらしい多くの男女が一瞬,変なものを見る目をするのが分る。
そんな藍沢と手を繋ぐ能登…有る意味精神力に優れているのかも知れない。

「おぉ……黒,似合うな」
「ありがとう♪藍沢君,メンズの方行こう♪」

「………?」
「其の服,はっきり言って悪趣味だよ?」


『Kェェェェェェェェェェェェェェ—————————!!!!』


能登の下着選びや服の試着などを藍沢は付き合う。
彼女の選ぶ服は存外に露出度が多い服が多く色っぽい下着が多かった。
藍沢は無論この様な場所には慣れておらず随分とぎこちない動きだった。
そんな藍沢に能登はニッコリと服装の事を指摘する。
藍沢は心の中でこの服を進めた畜生の名を叫ぶのだった。

「どっどうだ?」
「うん,中々格好良いんじゃ無い?」

ザワッ…


服装のセンスのまるで無い藍沢に変り能登が服を選ぶ。
藍沢は其れを試着し能登にお披露目する。
藍沢の服装が目に入った店の客達が一瞬噴出しそうになる…が,藍沢に其れを見る余裕は無い。
藍沢はまた違った意味でセンスの無い服を着て店を出る事となった。

「何でアイツはあんな間抜けな服装ばかりするんや?」
「呪いじゃない?」
「最悪の呪やな・・・」

藍沢のまるで映画の海賊が着て居るかのような服装に呆然とする慎介。
其れに対しもう,デートは成功しているという安堵に満ちた度会は適当に流す。
十一時半…藍沢は能登に引っ張られるままにカラオケボックスに入っていった。


「俺,カラオケ始めてなんだが…」


「大丈夫だって♪零点でもあたしは全然笑わないよ?」
「………」

能登の慰めになっていない慰めにそれは慰めじゃないだろうと思いながらも少し気が軽くなる。
藍沢は意を決して一歩を進める。そして,3時間分の料金を払い部屋へと進む。
少し遅れて渡会達も入室する。条の内が受付嬢に頼み込み藍沢達の部屋の近くにインする。

「さて…こんな事も有ろうかと用意した聴診装置だ」
「どんな準備や?」

「カラオケとか定番だろ?」
「っていうか…どうやって聴診器なんて!?」
「声荒げ過ぎだって…あれだよ,闇市♪」

「…サラッと言ったで…凄いワード」
「嘘だよ」
「じゃぁ,何や?」

「楢崎から貰ったんだ…あたしもあいつが何でこんなの持ってるかは分んない」

個室を隣り合わせにしたはしたが音漏れする様な造りになっている筈も無いことに思い当たる二人。
すると渡会がドラえもんの様にポケットから聴診機器を取り出すのだった。
この事をまるで見透かして居たかのような彼女の用意周到さに青褪める慎介だった。


一方,藍沢と能登は其の頃ランチを頼んで唄を楽しんでいた。

『何でだ…何で普段の声はあんなに滑舌良くて綺麗なのに…歌歌ってるとこう何だ!?』


47点………
能登の点数が表示される。
思ったより多少点数が良いが相当酷い点数である事は間違いないだろう。
能登は満足げな笑顔でマイクを藍沢に向ける。


「次,藍沢君」
「あぁ……じゃぁ,是で」


藍沢は能登に渡されたマイクを握り歌いたい歌を探す。
その様子を見て決めるのに時間が掛かりそうだと見た能登が話し始める。


「こう言う誰も人の話しなんて聞いてない所だから言うんだけど」
「何だ?」

能登の余所余所しい態度に藍沢は手を止め沈黙する。
そして,優しく喋って欲しいと促す

「本当はアレ……あのお茶会の時,全部君を振り向かせる為の演技だったんだ。
条の内さんの言葉を嫌って耳を塞いでた事…嘘なんだ」
「それで…」

「そんな私……好きになれる?」
「……人間は誰でも嘘を付くよ。誰でもだ…能登は俺を振り向かせる為にそんな嘘を付いたんだろ?」
「………」



「寂しくて…誰か,つながれる存在が欲しくて…そしたら似た匂いを持った俺が居た」


「藍沢……君」



条の内の言葉に対する反応は嘘だったと言う能登の声は凛としていた。
嘘だと言う事実を述べる覚悟と勇気が篭っていた。
藍沢は唯彼女の言葉を聞きそして,自らの解釈を口にする。
言葉を確かめるように彼女の潤む瞳を見ながら,彼女が自分の事を好きだと言う事を感じながら。
思わず能登が声を上げる。


「俺には…能登みたいな奴が必要だと思うんだ。」
「藍沢君…」







                    
二日前までは手を添えられる事さえ恥かしかった男とは思えない積極性で
能登の細い体を抱きこむ藍沢の姿が其処には有った。


「____一つ,リクエスト良いかな?私の好きな歌なんだ…」
「あぁ,良いぜ!」



「アリガトウ———」


能登のリクエストに藍沢は応える。
建前とか格好付けじゃなく唯そうしたい気分だった。
彼女のリクエストはラブソング等と言った恋人同士でのカラオケで歌うような物じゃなく
彼女の暗闇を強く現したような歌だった。
その歌の歌手は親に暴力され泣き叫びながら歌と言う世界に逃げたのだそうだ。
能登は歌が下手だが毎週三回はカラオケに行くほどに歌が好きらしい。
歌と言う世界に浸る事で家庭と言う地獄から逃れていた彼女。
藍沢は自分の手で護ってやりたいと思った———







                     『ペイン・オブ・セフィロト(罪の樹)降誕』





ズズズズズ…


「何や!?」
「地震………」




                              ズゥン!




藍沢の歌が聴診器を通じて慎介達の耳に入る。
無論,先程までの能登との会話も聞いている。安心した風情で藍沢の美声に聞き入る二人。
本の一時,時間が止ったかのように心が穏やかになった。
然し,幸福な時間は続かない。突然,大地が鳴動し地面から沸き立つ様な巨大な衝撃が奔る。
地震とは明らかに違う感覚と建物が崩壊する音に反応して渡会達が外へと飛び出す。
能登と藍沢も遅れながらも外へと出る。


外は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
藍沢たちの居た建物が捲込まれなかったのは単なる運だろうと思えた。
多くの建物が崩壊し街からは泣き叫ぶ人々の声…見上げると巨大な翠の物体。
まるで植物の蔓の様だがこんな巨大な植物の蔓など現実にある筈が無い。



「何が……何が起こっとるんや!?」

パトカーや救急車・消防車等がサイレンを鳴らし走る音が五月蝿い位に木霊する。


「見付けましたオーディン様,藍沢竜牙及び新たなる組織の戦士四名です」
「そうか……」


その様を遠く鉄塔の上で眺める幾つかの影。
一人はシュトゥルヒ…そして,サルコジも居る。
更に,露出度の高い服装のスタイルの良い目を包帯で隠した赤のロングストレートの女性
そして,その女にオーディンと呼ばれた緑色の軍服の様な服を着た
赤の細面長の色白で無表情ゆえかの妖艶さが有る長い瞳の男。


計四人…恐らくは彼等が事の首謀者だろう。
オーディンと呼ばれた男は儚げな双眸でシュトゥルヒを見詰め言う。


「ご苦労だったシュトゥルヒ…是だけの広範囲だと流石に疲れるだろう?」
「いえ,恐縮ですオーディン様!私は貴方と言う大樹の元に居るだけで幸せですので!」


「そう言って貰えると嬉しいよ…では,藍沢君達に挨拶をしに行こうか」


ザッ


肩で息をするシュトゥルヒを労うオーディン。
その労いの言葉に喜びながらオーディンへの忠誠を誓うシュトゥルヒ。
其の二人の良好な関係を嫌な目で見る女性…
更に其れを二人の関係の障害として憎悪の目で見るサルコジと言うのがこの四人の関係の構図だ。
後者,サルコジ及び女性は然し黙したまま,オーディンの言葉に従い鉄塔を降り立った。

そして,四人は疾風の如く速度で藍沢たちの居る場所へと向うのだった。

                         ∞END∞


NEXT⇒第一章 第六話「偽りも真実も Part1」へ


Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第五話更新 コメ求む!! ( No.21 )
日時: 2011/02/26 22:27
名前: 祠堂静雄 (ID: VBgkspJi)


初めまして風さん。祠堂静雄です。

初コメありがとうございますm(_ _)m。

これからも頑張っていきたいのでこれからも読んでいただけると幸いです。

Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第五話更新 コメ求む!! ( No.22 )
日時: 2011/02/27 18:21
名前: 楓 ◆nxYfjsTN/c (ID: 3lmdTyLL)

風さん、来ちゃいました^^

言葉一つ一つが風さんぽくっていいなぁと思いました!
更新頑張ってくださいね。

Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第五話更新 コメ求む!! ( No.23 )
日時: 2011/02/28 18:05
名前: disco (ID: g8t52Hd5)

小説読ませて頂きました。

表現がとても分かりやすくて、今誰がどんな状態なのかがよく伝わってきて分かりやすかったです。

能登ちゃんが告白したのは正直ビックリでした(笑)
パソコンの前で「まじで?!」と呟きながら読んでいました。

続きが気になりますね(。^∀^。)
これからもがんばってください★!


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