ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

I 真に勝手ながらこの小説の更新を止めます 申し訳ありません
日時: 2011/06/23 16:00
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17023

初めまして,二次小説の方で中心的に活動していました風と申します。




〜作者状況〜

執筆していない【〇】執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。





〜更新履歴〜

>>1  第一章 第一話「初めてのお使い」   
>>5  第一章 第二話「初めてのお茶会」   
>>10  第一章 第三話「初めての多人数殺人」 
>>16  第一章 第四話「本当の始まり」更新
>>20  第一章 第五話「本当の始まり Pary2」
>>27  第一章 第六話「嘘も偽りも Part1」
>>36  第一章 第七話「能力者達」
>>41  第一章 第八話「夫々の日常」
>>48  第一章 第九話「能登潤ラヴァーズ」
>>55  第一章 最終話「I〜幻想夢花火〜」
>>86  第二章 プロローグ「祭リ染ミテキタゼ!」
>>109 第二章 第一話「藍沢竜牙」

〜設定資料&番外編〜

>>62 設定資料集&番外編【1】 素敵作曲家様や詩人様から貰った歌の数々を掲載!
>>67 設定資料集&番外編【2】 自分の造ったキャラのプロフィールを掲載する場所
>>74 設定資料集&番外編【3】 キャラクターインタビュー Part1(藍沢&K&フリーダ&条の内)
>>77 設定資料集&番外編【4】 キャラクターインタビュー Part2(能登&渡会&楢崎&仙道)
>>82  藍沢竜牙 絵掲載(依頼絵師・生死騎士様
>>114 設定資料集&番外編【5】 アンケート用紙掲載



〜お客様〜

闇子様
しずく様
羽百合 蕾様   
提供オリキャラ 紅 雪          >>32
華世 様(元rara様
祠堂静雄様
楓様        
提供オリキャラ 永井 優        >>31
disco様
かにゅ様     
提供オリキャラ 燐桐 紀        >>30
Neon様      
提供オリキャラ 中道 虚        >>28
ヴィオラ様    
提供オリキャラ 風月 春        >>29
パーセンター様  
提供オリキャラ 凍戈 潤         >>33
ひふみん様    
提供オリキャラ パトリシア=モンロー  >>37
葵様       
提供オリキャラ アリス・クイーン     >>39
紅蓮の流星様
アキラ様
りま様
なさにえる様
玖龍様


以上,十八名のお客様が来て下さいました!
感謝です^^




===注意事項===

1.荒しやチェンメ・中傷等は止めて下さい。
2.グロテスクな表現やエロ描写等苦手ない人はNG。
3.更新は亀以下ですがどうか温かく見守っていやって下さい。
4.作者状況の執筆中の所に○が付いている時は書き込みを控えて下さい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

プロローグ「Welcome」

西暦2054年
2010年位から世界は余り変って居ない……詰らない。
機械の技術も何もかも殆どは環境回復や肥大しすぎた人工の為に不足する食料を護る為に周っている。
だから,PCも携帯も何もかも大した変化は無い…寧ろ退化したのでは無いだろうか…

あぁ,詰らない…溜息が出るほどに。
そんな事を思いながら高校三年生の藍沢竜牙は今日も朝からその成長無いPCで遊んでいる。
黒髪に漆黒の黒の瞳…服装も黒尽くめ,表情の変化も無く世界に対しての不満が滲み出ている。
細く長い漆黒の瞳と筋の通った日本人離れした鼻,造形からすれば中々の良い男なのだが
彼自身の不の感情が其の魅力を損ねている様に見えた。
そんな男,藍沢竜牙は一日中ネットを眺めながら世の中の不登校児達と語る。
学校__?学校に顔出したら負けだと思ってるね…と。


「何だこのサイトは?何て色気ねぇ名前だよ?」

そう思いながらクリックしたサイト…「ある組織」詰らないサイトだろうと思っていたこの名前
ネットの最奥に潜んでいたその名前が彼の人生を変える事になる。


『アンケート…?』

クリックした先には唯アンケートと言う言葉がある。
其れを彼は更にクリックする。
質問が出る。
質問1「貴方は引篭もりですか?」答「YES」
質問2「今の生活に満足していますか?」答「NO」
質問3「貴方は今,楽しみと言える物が有りますか?」答「NO」
質問4「人を殺す事は悪い事ですか?」答「」

質問4…手が止まる。
人を傷付ける事は悪い事だと再三親に言われて成長してきた。誰しもそうだろう。
だが,彼の心の中には人の死体を見たい…人を自らの手で殺めて見たいという意思が有った。
それは唯,好奇心だけではない。この増えすぎた人口は世界に悪影響だと彼は考えて居たのだ…

だが,彼は暫し逡巡し結局「YES」と応える。
そして,次の質問…質問の内容が急に変化していく。そして,是がこのサイトの趣旨なのか藍沢は唐突に理解する。
然し,その時はもう遅い。戻ろうとしても戻れない。PCの電源を切ろうとしても切れない。

「本当は殺したいんだろう?なぁ……」
「何だってんだ!?」

PCの中から突然無機質な声が聞こえる。
ヘッドホンは付けているのにヘッドホンから聴こえて来る感じじゃない。
藍沢は慌てふためく。

質問5「貴方は人を殺してみたいですか?」答「YES」

YESと応えろという声が脳内を駆け巡る。
大きな声だ…こんな大きな声なら下に居る妹や母親にも聞こえる筈なのに……全く反応は無い。
時間帯は夜の7時正に一家団欒の時間の筈だ。


質問6「最後の質問です…人を殺すことに罪が無いとすれば貴方は人を殺せますか?」


その質問に対する自分の答は決っていた。
不気味な無機質な声…自分にしか聞こえない…
40年位前のその代から言えば旧式言ってと何ら遜色ない筈のPCでそんな事を出来る連中が居る。
間違いなく今の警察機関の目を逃れて殺人をしているのだろうと想像出来る。


やってみたい———


藍沢竜牙は口角を吊上げて笑みを浮べYESをクリックした…
瞬間PCから聴こえる無気力な声に変化が現れる。

YES?

Y・E・S……YES!?
YES!!

YES!YES!YES!YES!YES!YES!YES!YES!!!!!


先程までの無気力な声とはまるで違う歓喜するかのような狂気染みた声…
そして,最後に静かに歓迎の言葉が藍沢竜牙の脳内に響いた。



会員番号100788
数秒後,スクリーン全体に自分の会員番号が表示された。


END


NEXT⇒第一話「初めてのお使い?」へ





_____コメント

題名の通りです。
多くの読者の方々は申し訳ありません。
オリキャラを投稿して下さった方々やアンケートにお答え下さった方々には、感謝しています。
有難う御座いました。
しかし、このIを持続していく気力が作者にはもう、有りません。
真に勝手な理由ですがお許しください……上進してもっと素晴らしい作品を提供したいと思います。
では……

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17



Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 ( No.1 )
日時: 2011/01/27 14:55
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: SI24yRUY)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第1話「初めてのお使い?」

妙なアンケートを終えて次の日,藍沢は何時も通り七時半に目を覚ましす。
父も母も彼が起きる頃には既に仕事場に向っている。何時も藍沢竜牙は1人で食事を取る。
食膳に置いてあるのは味噌汁にカップ麺…
男子高校生が食べるにしては少々,否かなり物足りない物だった。
何時も是かとばかりに嘆息しながらカップ麺の容器の上に置いてある割り箸を手に取る。
そして,お湯を注ぎ三分間待ち割り箸を割る。

ズルズル

『あれは本当だったのか?』


誰にもばれず社会的罰則を受けない殺人を行える組織…
そんな物がそもそも有るのか?考えて見ればアレは夢だったんじゃないのか。
ズルズルと音を立てて面を口に流し込む藍沢…何時も何時も同じ味で味わう気にもならない。
残ったスープをそのままにして機能の事が真実かどうかを確かめる為に自らの部屋へと直行する。


そして,PCの電源を立ち上げる。

「夢であって欲しい。でも,殺人はしたい♪」

「な!?」

立ち上げて数秒…突然男の声。
其れは確かに昨日の男の声だった。特徴的な低い渋みのある声…
昨日と違い感情が乗せられているが直ぐに分る。

「いやぁ,昨日は俺達の組織に入ってくれて有難な小僧」
「小僧じゃない…」

「知ってるよ…藍沢竜牙だろ?父親の名前は将星…母親の名前は篝…
不登校児で友達も居ない…家族関係も冷え切ってる。分ってるぜ?」

その男の紡ぐ言葉に竜牙は瞠目する。
何故,両親の名を知っている…不登校児だってことや家族関係まで…
そう一瞬当惑するが考えて見れば下に居る人間に聴こえない様に
自らの脳内に話しかける様な技術を持っている組織だ。
一般人の情報など集めるのは容易い事なのかも知れない。そう思い直し平常心を保つ。
言い知れぬ恐怖感を感じながら……顔には出さず言う。

「今日…から遣るってのか?」
「あぁ?今日からでも良いぜ…何時でも大歓迎だ。唯,人数制限が設けられてるがな」

「人数?」

「俺達は大量虐殺者じゃない…増えすぎた人間を選定してより良い社会を造るってのがコンセプトだ」

「成程,でその人数は?」
「お前等初心者クラスは一年間に100人だ…五年間初心者として扱われ
五年後からは中級者として五年…300人一年間に殺す事を許されるようになる。
因みにその五年を終えた者は上級者として扱われて…」


「もう良い…注意書きを読むさ」

今日から殺しに身を染めることになるのだろうか…
疑問を口にすると男は気軽に応えた。何時始めても良いと…
そして,人数制限の事を口走る。人数制限についてはその人のランクにより決まっているらしい。
初心者から中級者で三倍と言う事は単純に上級者でも三倍なのだろうか…
それとももう少し嵩増しして1000と言うキリの良い数字だったりするのだろうか?
一年でそれだけ殺せば充分な大量殺戮に思えた。然し,今世界は人口爆発を繰り返している。
事実,海の中や地底にも人が暮らすようになっているのだ。
その世界人口たるや50年前人口爆発が騒がれ始めた時の比ではない。
約60億人の人口が220億人まで膨れ上がっている。そんな事を脳内で考えながら注意書きを読む。
脱退や集会について…此方がどの様な保護を受けているかについて,
そしてランク付け,レベルと言う概念について…色々と事細かに記されていた。
一頻り読み終えた瞬間だった。

「どうやら読み終えたみたいだな?中々速読じゃないか…1分程度で読みきったぞ♪」
「アンタ…一体?」

「目の動きで分る」
『監視でもしてるのか?』

「どうする?引き返すなら今だぜ…今引き返せばこの瞬間止めれる。
今,殺人を行う事にすれば其の瞬間から一年間の契約が結ばれる」

「斧……武器は斧が良い」


男は藍沢が読み終えたことを直接確認したかのように言った。
藍沢は驚き本当は監視カメラでもあるのではと勘繰る。
然し,そんな物はない。
もっと高等な何かで此方の動き,目の動きまでも読み取っているのだと知る。
ルールを知った上でどうするかと言う男の問いかけに竜牙は冷然と言う。
其れはこの殺人クラブに手を貸すという表明…武器の入手だった。



「斧?斧かぁ♪ジェイソンでも思い浮んだか?」
「ジェイソンはチェーンソーだろ」
「斧も有りだぜ♪」

男は藍沢竜牙のチョイスに心底楽しそうに応えた。
その瞬間,藍沢の座っている椅子の真後ろに巨大な斧が顕現された。


ゴトリ…
其れが落ちる音がする。
藍沢はゴクリと唾を飲み其の斧の柄に手を遣り持ち上げてみる。


「どだ?中々の重量感だろ?」
「………確かに是なら人を殺せるが安全に…」

「鏡見てみろ…」


「!?」


重量が体を伝う。
重みが体全体に圧し掛かるのを理解して竜牙は現実で有る事を理解する。
だが,其れと同時にこの武器を持った所で人は殺せても
自らが安全に殺人を出来るわけではないと言う疑問が生まれる。
男の言葉のままに鏡を覗く。自分の姿が見えない。無論斧の姿も。
そして,その鏡が熱源センサー機能を有している事から体温すら消している事を理解する。


「スゲェ…完全に姿を消して殺しが出来る!」

「そう言う事だ,スゲェだろ!」
「アンタがスゲェんじゃなくて組織がスゲェんだろ?」
「おいおい…酷いな。俺が造った機能も有るんだぜ?」


男の言葉に藍沢は目を見開く。
男の言葉が本当ならこの男は組織の中でも相当上の方に居る事になるからだ。


「さてと,準備も整ったし…行くか?」
「待て,幾ら姿が見えなくてもこの周辺で殺人を犯したら怪しまれないか?」


「心配ご無用…テレポーテーションがある」

何を言っているんだ…テレポーテーションなんて空想の産物だろう。
藍沢がそう思った瞬間だった。自らの体が透け始め唐突に消えた。
慣れない感覚に目を瞑っていた藍沢は恐る恐る目を開ける。
其処には見た事の無いビル群…行きかう人々。
その人の群れの中で何だかボンヤリと光り輝く若い女性が居た。

胸は大きくスタイルも良く色白…顔を見ても中々の美人だ。
周りの様子を見回しても自らが全く認識されていないのは明確だ。
何せこんな巨大な斧を持っているのに誰一人反応しない。
幾ら,仮装が普通に行われるようになったからと言って異常だ。
藍沢はその女に近寄る。女は携帯で誰かと話しているようだ。


「ゴメンな…後1分待ってくれ!」
「えぇ!?前もそんな事言ってなかったぁ?」
「でもよぉ,悪いとは思ってるんだ」

「分った分った…はぁ,あたしも随分丸くなったもんだよ」


ギラリ…

どうやら待ち合わせに彼氏が遅れたらしい。
藍沢はそんな会話は聴きたくも無いながら耳にしながら斧を振り上げる。
太陽光が反射しギラリと刃渡りが冴える。然し,誰も反応しない。


ズン…


両手で振り翳し思い切り振り下ろす。
斬撃は女の肩に命中し鮮血が舞う。肩の骨が陥没する感覚が分る。
女は携帯を落とし唐突に来た痛みに驚き肩を見遣る。

ボタボタ

「えっ?何……何であたしの肩!!?きゃっきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


「おい…おい!?どうした玲奈!!玲奈!!」


苦痛が大きすぎて直ぐには理解できなかった痛み,
然しそれも遂には体に行き渡り彼女は悲鳴を漏らす。
彼女『玲奈』の悲鳴に反応して彼氏の男が大声を張り上げる。
玲奈は何かが自らを攻撃したのだと察知し走って逃げ出す。
方を庇いながら汗を流しながら…


「いやだ…死にたく無い」


ズン…

ドパァッ!!

出血多量で早く走れない彼女,何が何だか分らず
助けたくても助けるという行為を行う事に戸惑う人々。
そんな中,次の一撃が彼女の肩をまた襲う。彼女は痛苦に美しい顔を歪めて倒れ込んだ。


ドチャァ…

「ハッハッハッハッハッハッハ………そんな,何で」


何で…最後にそう言って彼女は息を引取った。
肉を斬る感覚が手を伝う。地の臭気が鼻を通る…回り一面に散る夥しい血痕。
頭がくらりとする。
是が,罪無く行われる事なのかと…藍沢竜牙は呆然と思った。



一方,その行為を遠くから見ていた男が呟く。
恐らくは藍沢と話していた先程の男だろう…黒尽くめで姿は分らない。
其の男は唯一言…


「初めてのお使い終了♪藍沢ちゃん……良く頑張りました」

そう言って男は現場から消えた。

===================================
成神玲奈死亡___確認
貴方はLv1になりました…よって組織の団員となる事を認めます
===================================

無機質な声が藍沢の脳内に響く。
放心状態の藍沢竜牙には響きはしなかったが…確かに其の声は脳内を巡った。
彼女が死んだ瞬間,彼女の死が藍沢の経験地として加算され
組織の団員としてのレベルが上がる。Lv1詰りは正式団員の最低限のレベル
この日,彼は抜けられない泥沼に嵌った。

                            ∞END∞


NEXT⇒第一章 第二話「初めてのお茶会」へ



Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第一話更新 ( No.2 )
日時: 2011/01/25 21:30
名前: 闇子 (ID: 1zbdCkxK)

初めまして!


怖いですね〜…

本当に、無罪で人を殺せる組織があったら
きっと怖くて眠れませんけど…


小説の中では、面白い設定で魅力的です^^



更新、頑張って下さい☆


Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第一話更新 コメ求む! ( No.5 )
日時: 2011/06/07 23:10
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)

闇子様

ご来店有難う御座います^^
そうですねぇ…僕だったら絶対入りたいです(オイ
魅力的な設定と言って貰えて嬉しい限りです!
更新は一ヶ月に二度出来れば良い方だと思います…ご了承を(汗



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜I〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第一章:幻想夢花火

第2話「初めてのお茶会」


「おいっ……玲奈!!……オイ!返事をしろ! 何でだ……何で玲奈が殺されないといけねぇんだよぉ!」

遅れて到着した女の恋人が、声を荒蹴る。
大事な人を失った悲痛の叫び……死別の言葉も聞けぬまま、深淵まで落ちる心。
彼女の為に彼もあの世に送ろうか?
多分,愛する女の為に叫べる男なら天国に逝ける……
だが,そう思ったが,武器を握る力は緩み藍沢の心は砕け彼を殺す事を実行するには至らなかった。
周りの人間達は怯えきり恐怖の目で或いは若くして命を失った彼女に対する哀れみの目で
玲奈の死体を見詰め続けていた。
少しすると誰かが要請したのであろう救急車とパトカー
…そして,噂を聞きつけた報道陣が集まってきた。

「反吐が出る」

特に報道陣の事情徴収の仕方…死んだ人間をネタにしようとする精神には反吐が出るようだった。
疲れた…そう,思い目を瞑ると竜牙は何時の間にか自室に戻っていた。



夜____
あの男の慟哭が耳から離れない。
どうして死ぬのか…どうして殺されるのかと
泣きながらに誰かに問いかけて逝った彼女の顔が忘れられない。
是が殺人……是が人の命の重さ…そして自分は是からも最低一年は是を繰り返す。
殺戮の毎日を…何人か殺していれば人の命も軽く感じてしまうのだろうか。
嫌だ…そう思ってしまうのは弱いからだろうか。眠っている藍沢の脳内には絶えず血の海が広がる。
そして,体は小刻みに震え続け…藍沢は真夜中に目を覚ました。


「ハッハッハッハッハッハ」

ブゥン…
突然,PCのモニターが光りだした。
「組織」のホームページが開かれる。
そして,聞きなれた声が流れ出す。


「随分と魘されているが大丈夫か?」

「………」
「最初にも言ったが俺達は大量虐殺者じゃない。
殺人に快楽を求めない為にも人の命を重く受け止めろ…」

「何が言いたい?」
「お前が人の命を奪い愉悦に顔を歪める様な奴じゃなくて良かった」

自分をこの世界に誘った声と言って良いと藍沢は思っているこの男の声。
正直,耳障りだった。男の言葉に普通の人間なら魘される…当然だ
そう,反論したかったがその気にもなれず聞き流す。男は言葉を更に続ける。
以前言っていたのと同じ様な事だ。
自分はこの組織の一員になってしまった。是から何人も何人も殺して行く。
1人でも是ほど胸が痛むのに1人殺すたびに罪を感じていかないといけないのか。
余程,現実の世界で罪に問われて死刑にでも会った方がマシではないか。
藍沢は唇が震えるのを感じた。

「苦しいか…其れがお前が碌に考えもせずに答を選んだ結果だ」

「くっ………アンタ!俺の名前は知ってたよな!?名前位教えろ!!俺はアンタを何て呼んだら良い!?」

「K……本名は教えられねぇ,皆からはそう言われてる。だからそう呼んでくれ」

ブゥ…ン




沈黙を貫く竜牙に見るに見かねたかのように男は厳しい言葉を突付ける。
それは有る種現実で…男の誘惑に乗らず質問の内容に酔わず
冷静にNoと答えていれば良かった筈だからだ。後悔する。もう遅い…
だが,1年頑張れば契約を解除する事も可能だ。1年間…長い1年が始まったのを感じた。
唯,自分を庇う同僚の名前も知らず1年間を堪える事は出来ないと藍沢は感じ男に名を問う。
男は適当にはぐらかしコードネームだかイニシャルだか分らない呼び名を名乗って回線を切った。



______次の日

何時も通りの時間に自室のある二階から降りる。
実は眠れなくて2時間近く前から起きていたが…余り早く降りると親に怪しまれそうな気がした。
何気なくテレビの電源を入れる。すると「玲奈」と言う名前が耳に入る。
大きな音がしたと思うと突然彼女の肩から血が噴出した…
そして,彼女がそれに身の危険を感じ逃げ出したが更に後ろから一撃が入り
彼女は倒れ込み救急車が来た頃には既に息を引取っていた…
昨日の事が現実味を帯び竜牙は油分の濃いラーメンが口に通らなくなり二階へと逃げ込む。


すると,突然PCが立ち上げられる。





                  「お茶会に参加しませんか?」

そのPCのモニターには一言…何のお茶会かは一目瞭然だった。
毎週,1日金曜日…それがお茶会の時間だ。
時間にして3時間以上やるらしい。
傷の甞め合い…そんな気がして藍沢はPCにがっついた。

カチカチッ…

音を立ててマウスを叩く様にクリックする。
瞬間,昨日と同じ感覚………
目を開け当りを見回すと見慣れない空間。
日光が眩しく降り注ぎ周りは白を基調とした清楚な造り。
然し,殺風景ではなく要所要所に花等が添えられている。
所有者の綺麗な趣味を感じられた。
当りを見回していると声が聞こえる。男の声…闊達と言うより多少ガサツそうな男の声だ。
自分が人を殺したときの事を自慢げに話しているようだ。
快活な関西弁…恐らく大阪弁だろう。
竜牙は声の聞こえる方,人の気のある方に歩を進めた。


「いやぁ,良いね!あの頭が拉げて脳髄が飛び出る様♪周りの絶叫のオーケストラ♪」

「やめて……やめてよ」
ガシッ…

「おい,その辺にしとけよ?」

「あぁん,テメェ誰や?」
「俺は藍沢竜牙……名乗ったぞ?お前も名乗れ」

「はぁ,何や?随分ともてそうな奴やな?」
「名乗れ」

「はいはい,お堅〜…俺ぁ,条の内慎介ってんだ…宜しゅぅな」



ソファーの先,植物の陰から見える人影,
バキバキに固めてオールバックにした男の髪,野生的な赤だ。男の趣味だろう。
其処からでは其れしか見えない。
他にも何人か居るようだが捲くし立てる様に男が話しているので口数が少ない。
そんな中,1人の女性が男の会話を聞いているのに耐え切れず声を上げる。


藍沢は見るに見兼ね早足に歩み寄り男の太めの腕を握った。
瞬間男が此方に振り向く。男の全体像が見える。藍沢は細かく男の容姿をチェックする。
服装はといえばピアスやブレスレッド等ジャラジャラ付けている有触れたヤンキーだが
男は中々に容姿端麗だった。
切れ長ながら優しさを感じる青い瞳,堀が深くシャープな顔立ち。
服装はといえばピアスやらブレスレッドやらジャラジャラと付けている何処にでも居そうなヤンキーだが
正直,女受けしそうな男だったが性格的には藍沢の最も苦手とするタイプだった。
男の名は条の内慎介と言うらしい。
男が名乗ると同時に一人の年嵩の女性が立ち上がり拍手を打つ。


パァン…
「じゃっ,新人君達全員揃った事だし他の皆も自己紹介しよう〜★」

ブロンズのロングストレートの髪のサングラスを掛けたグラマラスな女,
名は楢崎たつきと言うらしい。
其の女の言葉に応じて他の三人の女たちも自己紹介をする。

「能登潤……あの,藍沢さん…助けてくれて有難う御座います」

ペコリ
「……改まらなくて良いよ」
「何やぁ?惚れた?まぁ,この娘可愛いもんなぁ…」

「黙れ…彼女が怯えてるのが分らないのか?」

先程,声を上げた少女だ。
自分と同世代くらいでやや小柄,柔和そうな優しげな顔立ちでヘアバンドをしている。
楢崎と言う女性と比べるとかなり露出度が少なく恥かしがり屋な性格なのだろう。
勇気を出して藍沢に謝ると藍沢と彼女の間に条の内が割って入る。
強い言葉で退けるのは引篭もりの自らとしては得意ではないが此処はそうするしかなかった。
慎介はヤレヤレと言った風情でその場を去る。

次に自己紹介を始めたのは
銀髪の青と赤の瞳所謂オッドアイの儚げな表情のゴスロリ系の服装の美女フリーダ・アルメリア。
小さく会釈して名前と名字を良い宜しくと付け加えるだけの簡潔な挨拶。
最後にフリーダの隣に居たヘッドフォンで音楽を聴いている
胸の大きな青味掛かった黒髪のパッチリとした瞳の強気そうな女,
渡会愛螺が自己紹介して自己紹介は終った。


「遅れてきたから聞くんだが…是だけか?」
「そうみたいね…あったしも最初は驚いたわぁ…是しかいねぇのってね
でもさぁ,段位によって話せる人が限定されるみたいなんだよね…
ランク上がる事に少しずつ情報を提供される仕組みらしくて…
詰り,あたし等みたいな初心者じゃ中級者とかの持ってる情報は知っちゃいけないって事みたい」

六人,如何数えても六人しか居ない部屋を見回し藍沢は率直な疑問を投げかける。
其れに対して人の話が聞いているのかどうかも分らない一番最後に自己紹介した女渡会が応える。
彼女の言葉は簡潔じゃなく彼女の性格を良く現していた。
正直,竜牙の好きなタイプじゃない。臍だししている処も彼としては汚らわしい様だ。
だが,必要最低限の事はちゃんと伝えるらしく彼女の言葉で大体事情は分った。

「て事は此処に居るのは全員初心者って事か」
「藍沢さん……えっと,そうでも無いです。フリーダさんは私のお目付け役の上級者ですし…」

「あたしの隣に座ってる偉そうな女もな」

素直に思った事を藍沢は口にする。
若しかしたらこのお茶会でKと接触できるかも知れないと思っていたからだ。
否,無論皆が入り乱れて話し合えるとしてもあの様な男が簡単に表舞台に出るとは思えないが。
疑問を口にすると直ぐに能登が彼に説明するように言う。
どうやら100%,Kとの接触の場が絶たれた訳では無いらしい。
聞けば渡会の隣に座っている楢崎もそうだと言うのだから…

「で,お前のお付きの奴は何処や?」
「来て無いらしい…お前こそ…」

「俺のかぁ?来てへんみたいやわ…ちゃうくて俺が気になっとんのはワレの付きどんな奴かや」
「先ずお前から言えよ」

「聞いたら驚くかもな…♪」



恐らく此処に着て居る初心者ではない面々は自ら達のお目付け役なのだろうと藍沢は解釈する。
フリーダは恐らく能登の…そして,楢崎は渡会のと言う具合だ。
となると条の内にも当然お目付け役が居る筈だと…そう思い条の内に問おうと思った時,
逆に自分が条の内に問われた。藍沢は少し苛立ち同じ質問を慎介に投げかける。
渡会がその会話に介入し一言入れる。藍沢は有名人なのかと耳を傾げる。

条の内は直ぐに自らのお目付け役の名前を口にする。


仙道俊助___


驚愕が奔る。其れは,有名なロックバンドのボーカルだった。
ミリオンセラーを山ほど出す今のロックバンドの金字塔…
まさかそんな男が血で手を染めているとは。
瞠目していると楢崎がフリーダの事を指差して言う。


「コイツ,某有名会社の秘書だったりすんのよ?」
「マジかいな!」

「コホン…そんな事言ったら貴方はどうなんですか!?マーシナリー女子の部のトップレーサーでしょ!」


楢崎は女性のトップクラスレーサーでフリーダは有名企業の秘書。
輝かしい経歴だ。
嘘だろ…藍沢にとってはそうとしか言えないような事実だ。
こんな胡散臭い組織にそんな高収入で生活に満足できてそうな人間が手を染めているとは
そもそも,多忙なはずの彼女等が今の昼日中からこんな所に逃げていて怪しまれないのだろうか…
疑問が水泡の様に脳内を沸き立つ。


「言うたで俺は…あんさんで最後やな,自慢大会も」

腹の立つ言い方で条の内慎介が問いかけてくる。

「K…本名は知らない」
「何や…Kって誰やねん!?って言うかアルファベットのKかいな!!」

条の内の言葉に藍沢は事実を小さく述べた。
其れに対し初心者と初心者ではない面々の反応の違いが大きい。
フリーダと楢崎はKと言う言葉に驚き動きを止め他の面々は
そんな名前有るのかと言う様な反論だ。
能登でさえ「嘘付かないでよ」と否定的だった。
ヒートアップして捲し立てる条の内が鬱陶しい…そう思っていた時…


「K…KってあのKが!?初心者のお目付け役……」

冷静で声を荒けるなど殆どしなそうなフリーダが挙動不審な風に言う。
闊達な雰囲気の楢崎も驚愕した表情で声が出ない様だ。
その反応に二人は知っているのだろうと感知した条の内が問いかける…Kについて


「K……私達の組織の日本支部…最高責任者,
そして組織全体でも最も総司令との関係が深い男の1人」


「嘘…」
「マジかよ………」


「何やと!?何でそない男が………」


フリーダから語られる藍沢自身知らなかった事実。
初心者の面倒を見るのだからある程度熟達した人物なのだろうとは分っていた。
だが,組織の根幹に関わる程の大人物とは予想していなかった。
この場に居ないのは現の職場が大変からではなくて
組織の重役として働き詰めて居るからなのだろうと理解する。

「一つ聞きたいんだけど……楢崎…はどれ位の地位なの?」

「あぁ,参考までに言っとくわね?あたしは上級で65レベル…
フリーダも上級59レベル…仙道さんも同じで70レベル…」

人間を1人殺した事により1レベル(入会)に達した藍沢達とは天と地だ。
当然ながらレベルが上がるにつれ必要な経験地即ち殺さなければいけない数も増えていく。
一体どれ程殺せばそのレベルに達するのかと彼女達に問いたくなる竜牙だった。
能登等フリーダが其れほどまでに殺していると言う事実を突きつけられ放心している。


「マジかよ…」
「何を言ってるんですか…私達も確かにこの手は罪に穢れていますが…」

「Kはあたし等とはまた別の段階に居るわ」
「何レベルなんや!?」




「100_______詰り最高レベルです」



藍沢の震える手,彼女達の怯える様から理解する。Kが彼女達より遥かに殺しているだろう事。
フリーダ達からKのレベルを聞こうと少し考え言葉を発する。
其れに対してフリーダは言う。
その言葉でKが彼女達より遥かに罪に穢れている事は明確な事実となる。
更に楢崎も続ける…確信と変る。
戦々恐々とした表情で条の内が問う。

最高レベル……何時最高レベルに到達したのか分らないらしい。
少なくともフリーダがこの組織に籍を置き始めた13年前の地点でそうだったと聞く。
どれ程長い間この組織に居るのか…何故其れほどまでに身を捧げるのか…
藍沢には理解できなかった。



                         ∞END∞


NEXT⇒第一章 第三話「初めての多人数殺人」へ

Re: I 第一章〜幻想夢花火〜 第二話更新 コメ求む! ( No.6 )
日時: 2011/01/27 18:44
名前: 羽百合 蕾 ◆Iw1NgPGzYc (ID: 7XOfSzGy)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

ああ〜っ!風だっ!秋空だっ!哭辿だっ!

どうも取り乱しまして。
羽百合蕾(ハユリライ)こと、ねこうさぎです


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17



この掲示板は過去ログ化されています。