ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 〜アビリティワールド 8話UP〜
- 日時: 2011/05/19 20:32
- 名前: 崇 遊太 (ID: BZFXj35Y)
知っている人は知っている筈……の遊太(ゆうた)という小説馬鹿です。
今回、私が昔まで書いていた作品をリメイクして更新していきたいと思います。
なるべく皆様方が読みやすいように改良はしましたが、恐らく文の中身は最低中の最低でしょう(T_T)
でもまぁ、読んで頂きたいものです(*^_^*v)
超能力者と人間が普通に暮らす未来歴3年の世界─────
我々は未だ見たことのない現実を,悲劇を,悪夢を,終焉を
目の当たりにする______
オリキャラ募集用紙>>12
【>>13-18 >>21-22
プロローグ>>4
用語解説>>1
【第1章 選ばれし超能力者】
主要登場人物>>11
第01話>>007
第02話>>010
第03話>>020
第04話>>026
第05話>>029
第06話>>035
─↓異空間夢籠編↓─
主要登場人物>>38
第07話>>42
第08話>>45
第09話
第10話
第11話
第12話
第13話
第14話
第15話
- Re: 〜アビリティワールド お知らせ〜 ( No.41 )
- 日時: 2011/05/11 11:29
- 名前: 風(元;秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)
え〜と,テスト頑張って下さい。
更新待ってます。
- Re: 〜アビリティワールド 7話UP〜 ( No.42 )
- 日時: 2011/05/16 05:04
- 名前: 崇 遊太 (ID: BZFXj35Y)
そこに待つのは絶望か
それとも
終わりなき永遠か
異空間夢籠編突入────────
【7.ゴールのない迷路】
時が止まった‘夢籠’という疑似世界。全ての万物の色は白色に近い色に変色している。
色のことを考えずに周りを見れば、ここは現実世界と何ら変わりのない場所だ。
だが、違う。
2人は校舎の最上階である5階まで上がってくると、優太は円の後を歩きながら見慣れた教室の前に着いた。
「ここって………音楽室か?」
優太の言葉に円は有無を答えず、音楽室の部屋をノックする。
「甲斐です。入っても宜しいでしょうか?」
「…………………」
円がドアの向こうに呼びかけても反応はない。円はため息を吐くと、結局ドアを開けた。
部屋の中は現実世界と同じ様に楽器が並び、床や壁にある皹までが同じように存在している。
しかし、1つだけ大きく違うことがあった。
「どうして音楽室に液晶テレビがあるんだ?」
優太は音楽室の中央に、どの楽器よりも目立つ大型液晶テレビを見ながら言った。
確かに、音楽室に絶対に存在しない物があることには誰しもが疑問に思う。
「現実世界の情報源よ。このテレビは時空を超えた現実世界の電波をキャッチして見ることができる。」
「な…どうやってそんなことを……………」
「ワシの力ぜよ。円、そいつは誰だ?」
音楽室の奥にある準備室のドアが開き、長いロングコートを身に付けた男性が優太の目の前に現れた。
腰まである白の長髪,全てを見透かした様な鋭い目,そして首に付けている時計の形のアクセサリー。
「さっきこの世界にやってきた者です。どうやら、私達同様で……………」
「そうか。ワシは時川万祭、この疑似世界に随分前からいる者ぜよ。よろしくだ。」
万祭は優太の手を強引に掴んで握手を交わすと、テレビに近づいて電源を入れた。
「さてと、色々聞きたいことがある筈だが、まずはこれを見るぜよ。」
万祭はそう言うと、チャンネルを何回か変えてニュースのチャンネルに変えた。
『速報です。夕方頃に東京超能力高等専門学校で起こった爆発事故で現在も意識不明の重傷となった生徒1名が病院で治療中です。現場となった高校の倉庫には爆発物がないことが判明しており、警察は何者かによる犯行とみて捜査を進めております。………ここで新たな情報が入りましたのでお伝えします。重傷となって現在も政府国立病院で治療を受けている白石光さん(16)の父親である防衛省大臣の白石俊夫大臣が、今夜にも都内のホテルで会見を開く模様です。大臣は…………』
ニュースを見た瞬間、優太の顔が段々と青ざめていく。
優太は万祭と円を交互に見て何かを言おうとしたが、言葉がうまく出てこない。
「これは現実世界の夕方のニュースぜよ。今は知らんが、とりあえず大変なことになってる。」
「どうして……光が……………な…な………何が起こってる?」
「ALONE’Sという、テロ組織集団を知ってるか?」
万祭の口から出た初めて聞く言葉に、絶望の表情からキョトン顔に変わった優太は万祭を凝視する。
「知らないよな。ま、知ってるのはホンの一握りぜよ。それで………君の名前聞いてなかったな。」
万祭は笑いながら白髪の頭を掻きながら優太に名前を尋ねる。
「神宮優太です………それより、一体どうすればここから出ることが……………」
「神宮……優太…………なるほど、君も‘タネ’に選ばれた能力者か。」
万祭は微笑を浮かべながらボソリと呟く。しかし、優太には呟いた言葉が聞こえることはなかった。
万祭は優太の名前を聞き終えると、近くにあった教卓の上に座って話を始めた。
「ここから出る方法は、ワシの超能力である‘時空連結’を使う。」
優太は滅多に聞かない超能力に首を傾げる。
「この能力はこの疑似世界と現実世界のいわば‘橋’を一時的に繋ぐ。つまり時空を超えることができるぜよ。」
「そ、そんなことができるんですか?」
「あぁ。だがもし、失敗して‘橋’を渡り切れなかったり外れたら時空の歪みに引きずり込まれ消滅ぜよ。」
「消滅するって……………」
「時空の歪みは人類が踏み入れてはならない禁忌の場ぜよ。肉体が環境に耐えきれず跡形もなく消えて死ぬ。」
「死ぬ」という言葉を聞いた瞬間、優太は唖然とした表情となる。すると、後ろから円がため息を吐いた。
円は優太の前に来て、近くに置いてあったパイプの椅子に座り、万祭の話の続きを説明し始める。
「しーかも、‘橋’を渡りきれる確率は99%無理。そんなことできるなら、今頃私達はここにいない。」
「そうぜよ。だから、ワシと円はもう1つの方法で抜け出すために、色々と用意を重ねてきた。」
優太は万祭の「もう1つの方法」を耳にして目の色を変える。
万祭は教卓から降り、ほとんど白色に近い色をした黒板に、白いチョークで何かを描き始める。
読みづらいが、集中して凝視すれば読める色の差だ。
「ワシたちはゴールのない迷路に放り投げられた駒だが脱出することは不可能………ではない。」
「ゴールがなければ造ればいい。造る方法はちょっと、面倒だけどね♪」
- Re: 〜アビリティワールド 7話UP〜 ( No.43 )
- 日時: 2011/05/19 17:54
- 名前: 崇 遊太 (ID: BZFXj35Y)
テストやっと終了しました(^O^)/ 久々やってきました!!!
今日から更新再開して行きたいと思います。
再び宜しくですm(__)m
- Re: 〜アビリティワールド 更新再開〜 ( No.44 )
- 日時: 2011/05/19 19:18
- 名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: .v5HPW.Z)
おぉw
おかえりです^^
更新楽しみに待ってました!!(ワクワク
- Re: 〜アビリティワールド 更新再開〜 ( No.45 )
- 日時: 2011/05/19 20:32
- 名前: 崇 遊太 (ID: BZFXj35Y)
【8.時川万祭(前編)】
「ゴールを造るって………一体どうやって………………」
「この疑似世界はね、私たちが普段いる世界とは異なる建造物が存在するの。例えばあれね。」
円は優太に言いながら、右側の窓外に指を指した。窓の向こうは東京の街が広がっている。
一見見慣れた風景と思われていたが、東京の街中にある白色の東京タワーの隣に謎の塔が建っている。
塔の構造はほぼ東京タワーと同じであり、東京タワーと同じ様に展望台らしきものも存在する。
「あれはなんですか?」
「この世界にしか存在しない建造物、‘六極の塔’ぜよ。」
「よっこらせ。」と口ずさみながら座る万祭は優太に言うと、置かれている古いオルガンを見る。
「あの塔の周辺は特殊な磁場で囲まれていてな、超能力の質がちとアップするぜよ。」
「つまり、それを利用して万祭さんの‘時空連結’の能力で元の世界に戻る。」
「それじゃあ早く行きましょう!!今すぐにでも…………………」
優太が2人に言ったが、円はため息を吐いて、万祭は天井を見上げて呻き声をあげた。
2人の落ち込む態度の意味が分からない優太は首を傾げた。
「1つ問題があるの。」
円は窓に近づいて六極の塔を見つめる。その横顔は悲しげで、とても切ない表情だった。
「…………万祭さん、今こそ行く時です。いつまでも夢籠の中にいるわけにはいけません。」
「脱出には手を貸してやる。だが、ワシは夢籠から出ない。」
万祭は円と目を合わさず、どこか一点を見ながら言いきった。
そして無言で立ち上がると、振り向いて準備室の中へと入っていった。
優太は万祭が、夢籠から出たくない理由が分からず、円に小さな声で尋ねた。
「万祭さん、どうして出ないんですか?」
「…………万祭さんが夢籠で過ごした時間、どれくらいと思う?」
「え?」
円は優太の困った顔を見て微笑むと、壁に寄りかかりながら答えを言った。
「約3年とちょっとの時間、あの人はこの疑似世界で過ごしているのよ。」
その答えはあまりにも残酷で、優太の口から出る言葉はない。
円は一滴の涙をポタリと床に零すと、液晶テレビにもたれかかって座りこんだ。
「万祭さんは3年前の西暦最後の事件で、緊急自衛隊員として現場に派遣された。」
━現場の国会議事堂へ緊急自衛隊員として出向いた━
優太の脳裏に、以前アンドリューから聞いた話が鮮明に蘇った。優太は円の前に座る。
「詳しく聞かせてください………よければ……………」
「いいよ。でも一つ約束してほしい。万祭さんと元の世界に戻したいの。」
「そんなの頼まれなくても手伝います。3人で、元の世界に戻りましょう。」
優太の言葉を聞いた円は笑顔で頷き、万祭の過去を語り始めた。
* * * * * *
西暦2016年______12月6日
雪が降り、ネオンで煌びやかに輝く東京の街。その日は、東京での初雪の日でもあった。
夜の11時を過ぎても賑やかな六本木の道中を万祭は歩いていた。
紫色のマフラーを首に巻き、現在とは違い長髪ではなく短髪の白髪。服装は政治家が着る様なスーツだ。
「お〜い、時川君!!」
「あ、ゴメンゴメン…待った?」
万祭が歩いていると、一本の街灯の下に立っていた小柄で可愛らしい女の子が駆け寄ってきた。
女の子の持つ肩掛け鞄の中には歴史の資料やファイルがギッシリと詰め込まれている。
それを見た万祭は苦笑いを浮かべながら女の子を見る。
「美奈子、そんなに歴史が好きなの?」
「へへっ…だって面白いもん♪最近は江戸時代にハマっちゃってさ、その影響で時代劇見てるんだ。」
都内の大学生である東美奈子は純粋すぎると言っても過言ではない笑顔で言うと、万祭と腕を組んで並んだ。
「それじゃあ今日はデートでしょ?どこ行く?」
「山王パークタワーの地下にあるレストラン知ってる?そこ予約してんだ。」
2人は腕を組んだまま歩き始め、他愛もない会話で盛り上がり、目的地に向かう間を幸せの一時で過ごす。
「そこのお似合いなお二人さん、ちょっと見ていかない?」
2人が歩いていると、街灯の下でシートを敷いてアクセサリーを売っている商人に声を掛けられた。
万祭は無視しようとしたが、美奈子は足を止めて、声をかけた男性商人に歩み寄る。
「ついさっき出来上がったばかりのアクセサリー。身につけると良い事があるよ。保障しよう。」
ボサボサの髪で火の点いていない煙草を咥えたまま、男性は美奈子に言った。
美奈子は後ろで立ち尽くしている万祭を見た。しかし、万祭は首を横に振って拒否する。
「おやおや〜ぁ、やっぱり半信半疑ですね彼氏の方は。それじゃあタダでお上げします。」
男性商人は見たことのない色をした石とビーズに糸を通したアクセサリーを美奈子に手渡した。
「え!?良いんですか?」
「いいよ。その石は‘永遠’という名前の石でね。身につけると強く想っていることが永遠に続くよ。」
美奈子は一礼をして立ち上がると、万祭の元に駆け寄って戻ってきた。
「だってさ。私達の恋がいつまでも続くと良いね。」
「……俺はあんまり、そういうの信じないからな。」
万祭は冷たく言うと、再び美奈子と手を組んでレストランへと向かって歩いて行った。
───────「配り終えたよ。全部ね。」
男性商人は万祭と美奈子の後ろ姿を見届けながら、目の前に立っている人物に言った。
目の前に立っている人物はフードを深く被り、その上にサングラスとマスクをしていため顔が見えない。
「計画実行は6時間後だ。ゼロノート、お前は議事堂襲撃班だからな。絶対に失敗するなよ。」
「はいよ。んじゃ、俺は最後の晩餐にでも行ってこようかな。」
ゼロノートは立ち上がると、そのまま夜の六本木の中へと歩き去った。