ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- “幸せ”の意味(※タイトル変更)
- 日時: 2011/05/15 22:35
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
初めましてこんにちは^^
アメブロの方で「てんとう虫ノート」やらせてもらってます、さぼてんと申します。
どういう人間かは、ブログを見ていただければわかると思いますので省きます(笑
本当はブログの方で終わらせようと思ったんですが、急遽こちらでやらせていただくことになりました。
ブログの方で言っていた通り、この話は「ふたごの死神」の番外編ということになります。
単品でも読めないことはないと思いますが、人物に関して全く説明していませんので、わからない方・詳しく知りたい方はお手数ですがブログまでご訪問頂き、頑張ってキャラ紹介のページをご覧下さい。
※ちなみにカテゴリ・「創作」のところであさってもらうか、ブログ内検索で「ライア・ウィンドリア」と検索すれば出てくると思います。お手数おかけします;
まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします^^
誤字脱字? 通常運転ですが何か。(笑
- Re: 人々を変えた存在 ( No.16 )
- 日時: 2011/05/14 01:18
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
第6話終了ですー。
今回のメインは彼女。いきなり降って沸いたような人ですww
あんまり色んなことを語るとネタバレになるのでご勘弁をば;;
このあたりから、徐々に話が発展していく予定です。7話目では、おそらくライアの”現状”が見えてくるかと・・・。
彼も彼で、結構重いものを背負っていますので。
- Re: 人々を変えた存在 ( No.17 )
- 日時: 2011/05/15 12:25
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
−第7話−
たくさんの死神が行き交う中、ライアは徒歩で、ロアは魔女っ子のように大鎌に跨って、“夜交界”の頂点メローネの元を目指していた。
どの死神も、フードを被って髪と顔を隠しているかと思いきや、ほとんどが被っていない。しかも髪色は寒色だけでなく赤から緑まで様々。同じ喪服の死神は誰一人としていない。どうやら喪服が違うのは、他人との区別を付ける、己の証明に近いものであるようだ。
「数100年前まではね。天空界とはゲートが繋がってたんだヨ。ほら、今も見えてる、アレ」
そう言って指差したのは、ライアが月だと思っていた白い輝き。
「えっ・・・、あれ、月じゃなかったのか!?」
「違うよ。夜交界に月も太陽も存在しないし。アレは天空界に繋がったゲート。だから白い光が漏れてるの。まぁだからって、使えないけどネ。
アタシらも聖神も、属性が違うだけで根本はほとんど同じようなモノだから、結構交流もあったんだケド」
ライアは回りを見回し、喪服だけで、フォアが着ていたような純白の儀礼服は見当たらないのを今更知る。
「・・・今は、1人もいないな」
「ウン。会議でアタシら、スパッと意見が分かれちゃって。
各々言い分を主張するだけだからモチロン会議は平行線。時間切れで各世界に戻ったけど、イザコザは解決してないの」
まァメローネは別に何でも良かったんだけどねェ、と話を締めくくろうとするロアに、それとなく訊いた。
「今でも、行きたいって思ってる死神はいるのか?」
「いるだろうネ。実際もうそういう意見はたくさん来てるし。メローネも悪いコトしてるって認識はあるみたい」
じゃあどうして和解しに行かないんだ? と訊ねれば。
「トップ同士は、そう簡単には行かないんだよ」
何処か悟った雰囲気で言われ、それ以上の言及を許さない。
違和感を感じたのは、丁度この時。
何を違和感と感じたかもわからず、仕方なく話題を変える。
さっきまでの話とは打って変わり、実に平和的な話だ。
「思ったんだけど、ロアの服、それ何?」
ロアは予想だにしていなかった話題にきょとんとして、無意識に自分の服装を見る。
「何って・・・、喪服だよ。当然だろう?」
「・・・喪服って、もっと慎ましいものじゃないのか?」
ふむ。
どうやらこの男、死神を何か怪しい組織と何か勘違いしているらしい。良くない傾向だ。死神がれっきとした“神族”だとうことを証明しなければ。
「ハハハハ、馬鹿だなぁキミは。そんなのはアタシらの姿を見ることの無い人間が、言い伝えや物語を元に作り出した幻想且つ妄想だ。
大方、黒のロングコートとかそういうのでしょ?」
う。とライアは言葉に詰まる。実際、その通りだ。
「確かにアタシらは黒を好むよ。ケドそれは死を象徴するからじゃアない。“影”、そして“闇”が“黒”だからだ。
“黒”はすべてを“飲み込んだ”イロ。即ちアタシ達が“黒”を纏うのは、“黒”と同化するため。同化し存在を共にすることで初めて、アタシらは『死神』と成り名乗ることを許される。
“黒”はそんな奴らの象徴。死の象徴である前に、ネ」
ライアは全く理解出来なかったらしく、頭から?がだだ漏れしている。口からだばーと吐き出してもおかしくはなさそうだ。
「アタシ達死神からすれば、キミらの勝手なイメージなんて下らない以外の何でもないね。死神舐めてんじゃないよ。
アタシ達は人間が人間足りえる前から死神だったの。
人間は死神を邪な存在だとか言うけど、アタシ達はカタチの違う“カミサマ”なんだよ。
なのに後からひょっこり出てきたニンゲンに外見はこうだ! 立場はこうだ! って指図されるの、おかしくない?」
「そーだなぁ、うん。確かに」
ごもっともである。詳しく知らない奴らに存在を捏造されては堪ったものではない。それについてロアが熱弁するのも、当然のことだ。
「つまり、ロア達死神の喪服は外観的な問題じゃなく、存在そのものに所以するものだってことか?」
「・・・・・・、キミ、容量悪いんだと思ってたんだケド。
案外そうでもない?」
「? よくわかんないけど、ロアのさっきの説明はさっぱりだった!」
さっぱりなのはこっちだこの能天気。
とは思うものの、決して嫌いにはなれない。というより、嫌いに成る意味も、必要もさして無いように感じた。
言動に惑わされず、モノの“本質”を見抜く性質。
否、“根本”か。
「——面白いなァ、ライは」
くっくっくと笑っているとライアは不思議そうに首を傾げる。
きっと、当の本人は下心など無しに、無意識なのだろう。
そこもまた、オモシロい。
それに——。
にっ、とロアは笑った。笑いかけられたライアは何故かよくわからないといった風にきょとんとする。
「さ、着いたよ」
「へ?」
あやうくライアは通り過ぎそうになった。
というのも、てっきり城のような建物があると思っていたのに、ロアが指差した先には、城はおろか建物など何処にも無いからだ。
在るのは、金色の光を放つ、幾何学的な文字列からなる円。俗に言う“魔法陣”というやつ、だろうか。
「着いたって・・・。何もないけど?」
「は? ・・・あぁ、ライ、アンタ頂点の居場所が城か何かだと思ってたのか。
居住区を通ったとき、何か気付かなかった?」
と言われても。ライアは無い頭(シナから言われた)で必死に、先程見た景色を思い出す。
道を示す石。たくさんの死神。あとは、ひたすら無、無、・・・・・・・・・。
・・・いや。そうではなかった。
「・・・魔法陣だ」
「そ。あちこちにたくさんあったでしょ? アレ全部だヨ。で、コレもその一種」
「なるほどなー・・・」
おいで、と魔法陣の中心に迎えられ、素直に続いて行く。
ロアは跨っていた大鎌から降り、左手に持ってパフォーマンスのようにぐるぐると格好良く回し、パシ、と右手で静止させる。
「ネーム、“メローネルデューロ”。
死を以って黒と成し、闇を以って黒を成す。
我らは黒の化身にして神の欠陥。
神にして神に在らず。
我らの存在即ち“黒”。即ち裏側」
「さぁ、開け。“黒宮”の門」
パスワードらしき詠唱を終え、魔法陣が眩く光る。
伸ばした手の指先すらも見えない程の強く、しかし視界を麻痺させるような刺激は無い光が身を包み、視界はホワイトアウトした。
—第7話END
- Re: 人々を変えた存在 ( No.18 )
- 日時: 2011/05/15 22:34
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
第7話終了ですー。
今回は彼女に『死神』の在り方について語ってもらいました。アレが私の思う『死神』です。
死神は不吉とか死の使いとか言いますけど、ちゃんと『神』って付いてますもんね。つまり私は、死神も神の一種。枝分かれする内の一種であり畏怖したり恐怖する対象ではない、と考えているわけです。
彼ら死神にとっては『喪服』=『黒服』であるため、いくら肌を露出しようが何だろうが知ったこっちゃないんですよ。彼らが魂を狩るのは、人間のためでは決して無い。三界を崩落させないための個々の使命且つ宿命なんです。
人間なんてどうでもいい。
・・・という語りでした☆
- Re: “幸せ”の意味(※タイトル変更) ( No.19 )
- 日時: 2011/05/27 20:30
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
−第八話−
視界が元に戻り、最初に眼に入ったのは、ホロキーボードやウィンドウの開いた巨大な仕事場。向かい合う形で設置してあるそれの前に、おそらく男性が座っている。説明するまでもないが、やはり喪服。
だがロアと違い全く露出しておらず、派手な模様もついていないため、“これぞ喪服!”といった印象を覚える。
おそらく、この男が頂点なのだろう。しかし、聞いていた名前からして女性だと思っていた。騙された。
とりあえず話しかけるのが1番だ。
「あの・・・、メローネさんですよ・・・ね?」
男性は今気付いたように注意をこちらへ向け、呼ばれた名前に顔をしかめる。名前が嫌いなのだろうか。
赤みがかったセミロングの茶髪、鮮やかな翡翠色の眼に、鋭い印象を持たせる眼鏡を掛けた彼は立ち上がり、こちらへ歩み寄って来た。かなりの長身で、180cmはありそうだ。
「私はロアリケイト。腹心を担っている。我らが頂点、メローネルデューロは、そこのふざけた女だ」
「・・・・・・え」
言っている意味が、わからなかった。けれど、目の前の、ロアリケイトと名乗った男性が指しているのは、間違いなく、ロア。
「メロ。私の名を騙るなと、いつも言っているだろう」
「堅いなァロアは。いいじゃない、そのくらい」
「良い訳があるものか。毎回訪問者に説明しなければならず、いい迷惑だ」
「ちぇー」
つまり。つまり、だ。
自分の思っていた“ロア”は“メローネ”で、“メローネ”だと勘違いしたのは、“ロア”だったと。
2人の外見と名前が、まるっきり入れ替わっていたということか。
何てことをする人だ、メローネは。
「いやー、あんな馴れ馴れしく話しかけてくる奴は初めてだったねェ」
「そうならそうと早く言ってくださいよッ!」
「気付かなかったライが悪いの」
ふふんと悪びれもせずにのたまう彼女は何を考えているのかさっぱりわからない。フォアがメローネのことを『よく分からない人』と評したのも頷ける。
「—で? 何の用で来たの、ライ」
「え」
いきなり本題に触れられて、対応に困る。
このまま直で許可を取ろうとしていいのか。それとも遠まわしに言うべきか——。
「・・・・・・、なーんて、ね。キミの用事は既にわかってる。
規制及び法律の改正許可でしょ?」
見事なまでに言い当てられ、返す言葉が無い。
逃亡、言い訳、交渉——、様々な行動候補が頭の中で渦巻く。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だ。我々に、拒絶する意思などない」
「そう。アタシ達、元から許可あげるつもりだったから」
「・・・・・・・・・」
嘘を言っている風には、見えない。だが、あまりにも、馬が良すぎやしないか? そんな、上手い話が、簡単に転んでくるものか?
正直なところ、半信半疑といったところだ。
“上手い話には裏がある”ことなどこの世の常識。許可を出す代わりに、どんな取引を講じられるのか・・・。
きっと怖い顔をしていたのだろう。悟った・・・、否、悲しげな笑みを浮かべて、メローネはライアの眉間をつん、と押す。
「純粋な子どもが、裏なんて考えるものじゃないよ」
「こ、子どもって・・・。一応オレ成人してるんですけど」
「アタシから見たら充分子ども。死神は神と同じく不死だからネ。キミなんてアタシの1000分の1も生きてないよ」
カミサマの活動期間舐めてんじゃないよ、と伏し目がちに言うメローネからは、どこか、幼い子をあやすような響きがあった。
・・・そこまで自分は、嫌な格好だったのだろうか。醜い大人に、見えたのだろうか。
「これはアタシの厚意。裏もリスクも、何も無いよ。建前ですらない。
不覚にもキミの説得に心を動かされちゃってね。確かにキミの言うとおりだし、少しキミに世界を任せてみようと思った。今度、特別なルート使ってフォアのトコロ行ってみるよ。で、和解する」
「・・・うん。ありが、とう」
「礼を言うのはこっち」
メローネは膝ほどもありそうな漆黒の長髪を見惚れるように滑らかな動きで払い、そのままの流れで惜しげもなく晒された胸に置く。
「アタシは結構な頑固者なんだ、こんなナリでもネ。気紛れっていうのも的を得てるケド、それとこれとは別。
だから今、フォアとゼオと仲違いしてるんだよ」
語るメローネの瞳には、悔恨の色が窺えた。
「・・・メローネでも、後悔することはあるんだね」
率直な感想を述べただけなのに、メローネは大爆笑し始めた。笑いすぎて目に涙が浮かんでいる。何がそんなに面白かったのか、ライアにはさっぱりである。
お腹を抱えてヒィヒィ言いながら、メローネは言う。
「カミサマが後悔も反省もしないような存在だとでも思ったァ!?」
「そういう感情が無い・・・っていうより、そんな間違いをしないモンだと・・・」
「あははは! 残念、カミサマは間違いだらけ! まァ、認める認めないは性格次第だケド」
「へぇー・・・」
意外だった。神は全知全能で、出来ないこと、間違うことは無く、失敗も無いのだと思っていた。というより、そもそも神に感情があることさえ、知らなかった。
—・・・いや・・・。
ライアは今更のように、気付く。
何故今の今まで気付かなかったのか、疑問なほどの事実だ。
—自分は、一体神の何を知っていた?—
思えば、自分の知る『神』は、「空想」から成るもの。
実際の“神”のことが、 わかるはずがない というのに。
何故か「それ」を“神”だと信じていた。
嗚呼、なんて滑稽な話だ。
詰まるところ、
本物の“神”相手に、人間の「妄想」など敵うことなど、在り得ない。
それだけの話だったのだ。
ならば、己の存在は何なのだろう。
あの件 があって、人間にも関わらず“調整神”、“時空神”となった、自分。
それは純粋な“神”ではない。それでも肩書きは、“神”。
“神”ではないのに“神”と名乗れるなんて、それこそ支離滅裂ではないか。
またも、今更。
そんなことに気付くなんて。
(・・・考えるだけ、無駄ってことかな)
そう自分で結論を出し、こほこほと咳き込むと目を伏せて次にしなければならないことを考える。
まぁ言わずもがなゼオの所へ、だろうが。
—第8話END
- Re: “幸せ”の意味(※タイトル変更) ( No.20 )
- 日時: 2011/05/16 19:22
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
第8話終了ですー。
この回でやっとこさロアがメローネだと判明したので、存分にメローネの名前を言うことができます。(ちなみにこれまでは『彼女』程度に表現を抑えてきたんですよ一応)
今回は神について、人間と神の意識の違いを書いたつもりです。
私の中では、『人間の思う神』と『実際の神』はだいぶ違うのではないかな? と思っています。
私達が知ってるのはあくまで「想像」と「妄想」、「作り話」「神話」からなる「神像」なので。
まぁ人間らしいとは思えませんけどね(笑
今回出てきたロアリケイトは、いつも外出してるメローネの心強い腹心且つ副リーダーさんです。留守番はいつも彼の役目で、んでメローネの仕事もやったげてるとても優しい人ですね。いい主夫になるぞ!(笑
あ、ちなみにメローネとロアは結構いい関係です。(え
互いに互いを認めあってて、背中を任せられる的な。