ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- “幸せ”の意味(※タイトル変更)
- 日時: 2011/05/15 22:35
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
初めましてこんにちは^^
アメブロの方で「てんとう虫ノート」やらせてもらってます、さぼてんと申します。
どういう人間かは、ブログを見ていただければわかると思いますので省きます(笑
本当はブログの方で終わらせようと思ったんですが、急遽こちらでやらせていただくことになりました。
ブログの方で言っていた通り、この話は「ふたごの死神」の番外編ということになります。
単品でも読めないことはないと思いますが、人物に関して全く説明していませんので、わからない方・詳しく知りたい方はお手数ですがブログまでご訪問頂き、頑張ってキャラ紹介のページをご覧下さい。
※ちなみにカテゴリ・「創作」のところであさってもらうか、ブログ内検索で「ライア・ウィンドリア」と検索すれば出てくると思います。お手数おかけします;
まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします^^
誤字脱字? 通常運転ですが何か。(笑
- Re:人々を変えた存在 ( No.1 )
- 日時: 2011/05/06 18:22
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
−プロローグ−
「人々は、変われるんだ」
理想に浸る馬鹿な男、救えない偽善者は言った。
けれどそこにいた2人共が、それを否定などできなかった。
「だってほら、ちょっとオレが手を加えただけで、こんなに・・・変わりました」
「人々が変われば、世界も変わる。
・・・世界が変われば、人々は、神々は、幸せになれる」
「・・・違いますかね?」
男は笑う。見る者が痛々しさを覚える笑顔で。
そんな笑みと呼べないようなものでも。男は、笑った。
2人は男に何かを話す。
「・・・酷いなー。俺は確かに偽善者かもしれませんけど。
・・・今回は、頑張ったからせめて微・偽善者で勘弁してくださいよ」
「・・・え? たははは・・・。そんな大層な称号、オレには似合わないっすから。
適当にそのへんに捨てといてください」
2人の内女の方は、遂に顔を両手で隠して泣き出してしまう。
男の方は、泣いてはいないものの、表情にはでていないものの。
その場にいた者なら感じ取れるほど、哀しみに満ちていた。
「それじゃあ・・・、お世話に、なりました」
「・・・ありがとう」
男は、弱弱しくも綺麗に笑った。
そして、
—プロローグ END
- Re: 人々を変えた存在 ( No.2 )
- 日時: 2011/05/06 18:37
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameba.jp/tentoumusino-to/
プロローグ終わりましたー。
これはラストシーンですので、最終話にちゃんとこの場面がどういう場面なのかわかります。ラストまでのお楽しみ。うふふふ。
え? じゃあコレ厳密にはプロローグじゃないだろって・・・。な、なんのことだかさっぱりわからない;
次回の最後の方に、今回しゃべってた人が出ますねー。名前はライアくん。彼はこの物語でものすごく頑張ってくれる子ですよ〜。
- Re: 人々を変えた存在 ( No.3 )
- 日時: 2011/05/06 21:22
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
−第一話−
「そういえばさ、ティナ」
「どうしたの?」
書類を捌きつつ、2人は応答をする。
前者はソラデュオス・セレスト・アジェストメント。属性闇の神、死神が住まう“夜交界”、人間が住まう“人間界”、属性光の神、聖神が住まう“天空界”、この“三界”を管理するという“世界管理塔”の構成員、通称“世界五大神”であり、“調整神”の役目を担っている男。シナ(“冥界神”を担っている)よりは優しいものの、毒舌。
後者はティナ・セルフォシム・デスティニア。デュオス、シナと同じく構成員で、“運命神”を担っている。毒舌も無く、かといって堅すぎる訳でもなく、クセの強い“世界五大神”を上手く取りまとめている存在である。
しかし話しているからと、手を止める事は無い。というより、そんな余裕が無い。そうでなくても先日北方で事故が起き、それの対処に追われているというのに今日またもや他の事故が起きたからだ。
いつもはなんだかんだとサボろうとする“世界神”様、ネアミルト・ラピス・ワールディアも、今に限っては口を挟まず黙々と遠隔地形操作等“記録改竄”に集中している。こういう時のネアの集中力は半端ではない。いつもそのくらいの姿勢でいてくれれば他の四神も文句は言わないのだが、そう上手くもいかず。
「俺はヴァイス・シュバルツの次、ネアの前、つまり4番目に“世界五大神”の内“調整神”に任命された訳だけど、ティナとシナは結構古参の構成員だよね?」
「あぁ、それなら・・・」
ティナは苦々しい表情を浮かべ、ふふふと笑う。
「私が“運命神”を継承したときには、シナしかいなかったのよ」
「・・・嘘」
シナルス・デリート・レクンセス。“管理塔”の“冥界神”を担っている、とてつもなく嫌味で毒舌な男である。
言動1つ1つが相手の勘に触るようなもので、正直なところ不快感を抱くなという方が難しいといった具合だ。
慣れればそうでもないが、そもそも合わなかったりメンタルが弱かったりすると絶対に彼とは付き合えない。彼は人の心を捻じ伏せることなど何とも思っていない。
それでも仕事態度は構成員随一であり鬼と呼ばれる程熱心且つ責任的。冷徹な性格もあってか、仕事に関してなら構成員の中では最も頼りになる。
そんなことはともかく、だ。
「本当よ。信じられないけど、ね。“管理塔”の構成員が3人も欠けているなんて、由々しき事態よ。しかも肝心の“世界神”が居ないともなると、壊滅的ね」
“管理塔”の構成員は、任期終了時に“継承”という形をとって、『次期構成員』となる。
つまりシナの“冥界神”の場合、“冥界神”という“立場”そのものがシナを『後継者』として選抜したことで、今現在シナが“冥界神”を担っているという風に。
逆を言えば、前代の構成員が任期終了し、その“立場”が『次期構成員』を選ばなかった場合、暫くの間その席は空席ということになる。
しかし。しかしだ。
“三界”を管理すると云われる“世界管理塔”である。
全界中の調整・監視という最重要要素があるにも関わらず空席3席など、ありえないことだ。
「“管理塔”にシナと私しか居ない日が続いて、あぁ、これはまずいなぁ、ってシナと2人して言ってたの。
そんな時、空席が2つ埋まったわ」
「? ヴァイスと・・・、シュバルツ?」
(・・・な、訳ないか)
ヴァイス・シュバルツは今現在2人で“時空神”の一席を担っている。
1席は2人が埋めたとしても、もう1席は埋めようが無い。
「いいえ。異例の“1人2席兼任”よ。“世界神”以外の、“調整神”と“時空神”の兼任を認められたの」
「へぇ・・・。じゃあその人はネア並みの莫大な“力”を持っていたんだね」
「それが、違うのよ」
「?」
続けてティナが告げたのは、信じられない一言。
「2席を兼任したのは、ヴィオの家系のような有神血人族でも何でもない人間だったのよ。少しだけ魔術が使えるだけの、他は何の取り得もない、ただの人間」
「・・・そんなこと在り得ない」
“管理塔”の構成員に人間もなれないという決まりは無い。だが、なれたとしてもせいぜい有神血族くらいのものだ。
理由としては、人間に神族・死神同士の争い事を収められないことや、責任能力が足りないことが挙げられる。というより、その事項をクリアしたとして、“管理塔”構成員になるためには試験のような、いわば腕試しがあり、大抵、ほぼ全員がそこで志を挫かれる。
よって、事実上人間の構成員はこれまで1人としていない、ということになっているはずだったのだ。
「・・・待ってよ。“普通の”人間ならまず転移陣が使えない。転移陣が使えるのは神の血を引く者しか在り得ないじゃないか」
「だから言ってるじゃない。“少しだけ魔術が使える”って。
体内の信号回路と、転移陣の魔力回路がたまたま偶然ぴったり一寸の狂いもなく一致していたらしいのよ。
正に“奇跡”ね」
呆然。デュオスは呆気に取られ、開いた口がふさがらないといった風に呟く。
「・・・信じられない」
驚きと疑惑の感情を表すには、それで充分だ。
「シナに確認したっていいわよ。まぁ、信じられなかったのは私も同じ。認めてなんてやるもんか、って感じだったわ。シナも同じ」
やれやれといった様子でいうティナは、懐かしげで。
—そして、瞳の奥は悲哀に満ちていて。
- Re: 人々を変えた存在 ( No.4 )
- 日時: 2011/05/06 21:24
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
「2席兼任のその人は、ライアという名前の男性だった。馬鹿みたいに天然で正直な人でね。しかも底無しの偽善者なのよ」
「偽善者・・・、・・・ね」
あえてだろう“善人”を使わず“偽善者”を使ったティナに、半ば内容を悟った、同情めいた声音で返す。
「そう。世に住まう全ての人々を、神々を、幸せにするとのたまったわ」
なんて愚かな理想だ。
誰でもそう思うだろう。実際デュオスも口にしようとした。否、普段の彼なら何の躊躇いも無く口にしただろう。だが、何故か言葉が出なかった。
もしかしたら、ティナの無言の圧力が、「言うな」と主張しているからなのかも、しれない。
「そして、彼は・・・」
事の始まりは、数百年前に遡る。
「初めまして! この度、“調整神”“運命神”の兼任を任された、ライア・ウィンドリアです!」
「「・・・・・・・・・」」
ピシッと敬礼の真似をしながらライアは満面の笑みで挨拶するが、シナ、ティナの反応は氷のごとく冷たい。お前何のつもりだよオーラが目に見えるようだ。
無論2人がライアを拒絶するのは、決してライアの性格や人柄が嫌いとかそういう理由からではない。“世界塔”の構成員、しかも2席兼任というのには、一目見て力不足だと思ったためだ。
「あれ、みなさんリアクション薄いですねー。寝不足ですか? それとも空腹っすか?」
へらへらと笑って言うライアは金髪に碧眼だった。右耳にイヤーカフスをしているだけで、ピアスは開けていないようだ。
服装は地上のもので、だが人間界の頂点・ゼオが着るような種類ではなく、明るい色を基準とした派手な格好である。似合っているため、別にだからどうということはないが。
顔立ちは、まぁまぁ整っている方だろう。格好良くないかどうか聞かれたら、一応Yesと答える程度の。ハーフなのか、そこまで彫りは深くない。
「分からないことしかないんで、よろしくお願いしまっす!」
いかにも“チャラチャラした”この男と、既に2人は上手くやっていく自信を失くしていた。
ある意味コイツ最強かもしれない、とシナはふいに思った。
—第1話END
- Re: 人々を変えた存在 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/06 21:35
- 名前: さぼてん (ID: /.uLOIob)
- 参照: http://ameblo.jp/tentoumusino-to/
1話が終わったところで、今回の話のちょっとした小話をば。
今回の話は、「色んな主人公が『世界を救う』『人々を幸せにする』とかのたまうが、実際どうすればそんなことができるのか? 綺麗事に惑わされず、本当に人々を変えてしまう出来事は何なのか?」という部分に焦点を当てております。
最初にこの話を思いついたのもそれがきっかけで、ライアが生まれたのもそれがあったからです。
ライアはこのかっるい印象に似合わず、ちょっとした暗い過去的なものがあります。自分的に中二ではない。つもりです;;
彼と彼の周りがどうなっていくのか、最後までお付き合いいただけると嬉しい限りです^^