ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ふたりと、きみ。
日時: 2011/10/17 17:42
名前: 朝倉疾風 (ID: QHlX.g1E)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/

朝倉の小説の題名は、必ず最後に「。」が
つきますよね。
これつけないと、なんだかムズムズします。

執筆開始 10月1日〜


登場人物 主要キャラ

清川暁人>>3
霧島レイ>>3
江藤マヤ>>7
西滝音羽>>20
古里嘉一>>20


サブキャラクター

浅沼小夜葉>>25

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Re: ふたりと、きみ。 ( No.11 )
日時: 2011/10/09 18:41
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/




「また変なことをしている」

勝手口の石階段に新聞紙が敷かれていて、その上にオレたちのお皿が置かれている。 乾燥機が壊れたので、天日干しのつもりらしい。
勝手口の扉を閉めて、爪を切っている音羽さんに、無言でゴミ箱を渡す。

今日は、休みだ。 日曜日。
霧島さんに会えないから暇だなーと、冷蔵庫から出したヨーグルトを食べながら思っていると、

「変じゃねえよ。 個性的っつうんだよ」

さっきの独り言が聞こえていたのか、オレの保護者の音羽さんがムッとしたように言った。
仕事となるときっちりしているこの人も、オフの日にはダルダルな大人になる。

「今日、仕事休みなわけ?」
「日曜だぞ。 俺にも休暇ぐらい欲しいっつーの」
「明日からまた仕事だけどね」

音羽さんの仕事は、メンタルに問題のある人たちの悩み相談のはけ口みたいなものらしい。
患者の中には、自傷行為が激しい人とか、幻覚を見る人とか、人間を異常に嫌う人とかいるらしい。

「お前も学校だろ。 …………なのに何で嬉しそうなんだよ」
「ん〜? ちょっと友だちができたんだよ」

頭に浮かぶのは、サラサラの長い髪。 霧島さん。

「友だち……? 珍しいな。 江藤マヤしか友だちだと認めてねぇお前が」
「ものすごく気に入ってる子なんだ。 女の子なんだけどね」
「────青春かよ」

ジト目で見られた。 けれど、残念ながらそうじゃない。
恋はしないタイプなんだ、オレは。

「そんなんじゃないよ。 クラスで浮いているんだけど、すごく可愛くて、なんか不思議ちゃんで、そこにいるようでいないんだよ」
「すまん、惚気にしか聞こえん」
「キッパリ言うな、音羽さんは」

からになったヨーグルトの容器を捨てて、また勝手口を開ける。 石階段の上に並べてある茶碗を取って、ご飯を盛った。
さっきから、味噌汁もいい感じに出来上がっている。

「ほれ、朝ごはん。 今日は音羽さんとオレだけだから、手抜きな」
「…………おう」

ボソッと答える音羽さん。 和食が好きなのだと、会った頃に言っていたから。
味噌汁を椀に注ぐと、ノロノロと音羽さんが食卓にやってきた。
髪をボリボリ掻きながら、スウェット姿。 これでも顔はいいほうで、アスナさんも顔だけはいいのだと、毎日言っている。

「そういやお前、今日カテキョあるだろ。 昼ごろに」

あ、忘れてた。
江藤を家に呼んであったのに。

「江藤もいるけど、傍で漫画でも読んでてもらっとこ」
「アイツも一緒に勉学に励めや。 内職つったってロクに稼ぎできねえだろ」
「んー。 なんか仕送りももらってるらしいし。 いいんじゃない?」

親から、とは言わなかった。
江藤を自分たちから遠ざけて、金だけを与える奴らのことを、“親” と呼べるのかどうか、分からなかったから。

Re: ふたりと、きみ。 ( No.12 )
日時: 2011/10/09 23:39
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/





古里嘉一は、オレの家庭教師で、もう6年の仲になる。
まだ25歳で若いけど、ナントカ大学とかいう頭の良い大学の卒業生で、いまは家庭教師以外に塾講師もやっているらしい。 オレは週2で教えてもらってるんだけど、なんでだか物凄く教え方が上手い。

「おい、暁人。 なんだよこのデレ〜と漫画読んでるやつは」
「江藤」
「名前は知るか。 邪魔だ、どけろ」

本来なら嘉一が座るべき場所に、少し前に来ていた江藤が居座っていた。 無言で漫画を読んでいる。 いつものように、初対面の人間には絶対に自分の顔を見せないようにしている。

「どけろって…………江藤は漫画読んでるだけだろ」
「お前の勉強が出来ねえだろっ。 てゆうか、何でコイツは一言も喋らねえんだよっ」
「人見知りなんだよ。 っていうか、うるさいよ嘉一。 いま音羽さんパチンコで居ないからいいけど。 オレ、うるさいの嫌いだから」
「黙れ小僧!」

某ジ×リアニメの山犬のようなセリフを吐き捨てられた。
ため息をつきながら、嘉一が江藤の服を軽く引っ張る。

「おい、いいからそこどけ…………」
「っ、」

きっといま、嘉一からは江藤の顔が見えているんだろう
江藤の爛れた、顔の半面。 火傷の跡。 一生消えない傷。 初対面の人が見たら、絶対に変な目をする。
江藤が一番気にしていること。

嘉一が服から手を放し、ポカンとした目で江藤を見る。
見られた。
そんな顔で、江藤は目を反らす。
だけど、嘉一はじーっと江藤を見続けて、かなりジロジロ見続けて、

「…………めっちゃ目ぇキレイだな。 それ、カラコンか?」
「…………はあ?」

これにはオレもビックリした。
いままでの人間は江藤の顔を見て、火傷しか目がいかなかったからか、醜いだのなんだの陰口を叩いてきたやつばっかりだけど。
目がキレイだとか、江藤も言われたことないだろうな。

「ハーフでは無いよな……。 クォーターか?」
「────クォーターだけど」
「へえ。 ハーフはいたけど、クォーターは初めて見た。 すっげえ目の色、深緑かそれ」

火傷のことなんか気にもせず、江藤の顔を覗き込む嘉一。
ああ、この人は “いい大人” なのだと、このとき改めて実感した。 同じ大人なのに、どうしてこんなに違うのかな、と。
過去に出会ってきた大人たちと比べて、思う。

「嘉一、勉強教えろ。 早く」
「うっせえ。 いま興奮してんだよ! クォーターに!」

落ちつけよ。

Re: ふたりと、きみ。 ( No.13 )
日時: 2011/10/10 20:39
名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)

はじめまして! 私はクリスタルというもので・・・って、いう必要ないですね。

前の小説もチラッと、読んでました。
なんとなくあの「病んでる小説」に似ていて、読みたくなくなったので、途中でやめちゃいましたが。病み具合がハンパ無いので、4巻あたで、読みたくなくなったんですが・・・

今回の小説は、興味があるのでコメントしましたー。
キャラ設定がステキです☆ これからも頑張ってください♪

Re: ふたりと、きみ。 ( No.14 )
日時: 2011/10/12 22:04
名前: 朝倉疾風 (ID: 4mXaqJWJ)
参照: iPhoneで更新中。。


温かいコメント、ありがとうございます。

自己紹介はしてくださると嬉しいです。
必要、大アリです。

病んでる小説に似ている、ですか。
前の小説にもよりますが、朝倉自身
まだ未熟なものなので、設定が既に
ある小説と煮ているところがあると
思います。 直していきたいです。

基本的に暗い話が多いのですが、
応援、よろしくおねがいします

Re: ふたりと、きみ。 ( No.15 )
日時: 2011/10/12 22:23
名前: 朝倉疾風 (ID: 4mXaqJWJ)




「なんか…………嘉一さんってすっげえいい奴だよな」

走らせていたシャーペンを思わず落として、脳内で江藤の言葉を反響させるくらいには、かなり衝撃的な言葉だった。
いつからこいつ、デレ属性になったっけ?

「何デレてんだよ」
「デレてねえし。 いままでの大人とは違うな、て。 それだけ」
「まあそうだよな。 嘉一はけっこう優しい大人だと思う」

当の本人がトイレに行って、この場にいないことをいいことに、嘉一のことについて語り合うオレたち。
きも!

「からかうとオモシロイしな」
「うん」
「怒ると巻き舌になってっけど、元ヤンか?」
「癖だから。 あの人は真面目だよ。 生徒会長してたって言ってたし」

そういえば、タバコとかも吸っていないって話してたな。 タバコを吸うと歯が黒くなるって音羽さんが証言していた。 だから音羽さんは歯磨きに何十分もかけているのかも。

漫画を全部読み終わったのか、暇そうに江藤がテレビをつける。
ちょうどそこへトイレから帰還した嘉一が居合わせた。テレビがついていることに不満を持ったらしく、分かりやすく表情にでる。

「何テレビつけてんだ。 消せ」
「いやでもー」
「るっせえ。 さっさと消せって」

リモコンを取り上げようとする嘉一の手を払い、江藤が自分で消そうとする。 なんだこいつら小学生か。
ん? ……あれ?

「ちょい待ち」

自分でも驚くほど大きな声がでた。 何かのドッキリではないかと、目を疑う。

昼の速報ニュース。
画面いっぱいに見慣れた風景。 そして、人だかり。 何かしらの事件が起こっただろう。 ブルーシートが目に入る。
人のどよめきや、リポーターの興奮したアナウンス。 思えば、この世界はかなりどうでもいい雑音で溢れている。

「これって……ここの近所じゃねえ?」

江藤の言うことももっともだが。
けれどそんなことよりも。

「霧島さん……」

その人だかりに霧島さんがいたことが、
日曜日なのに霧島さんの姿を見れたことが、

なによりも嬉しかった。

無表情でカメラの方を向き、オレと目が合う。 もちろん、そうおもっているのはオレだけで、彼女はただ、カメラの方へ視線を向けただけなんだろうけど。
画面越しに見つめあっているような錯覚がして、胸が熱くなる。

「オレ、ちょっと行ってくる」
「は?」
「んじゃあ俺も行く」
「勉強どうすんだよ! まだあと30分残ってんぞ!」
「すぐ戻るから、留守番な!」

嘉一に留守番を押し付けて、江藤とチャリ置き場に向かう。
ああ、チャリの鍵を家に忘れてきた。

「2ケツしよう、江藤」

いつも鍵のかかっていない音羽さんのチャリを借りて、江藤とふたり。
休日に霧島さんと会えることが、なによりもすごく嬉しいから。


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