ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ふたりと、きみ。
日時: 2011/10/17 17:42
名前: 朝倉疾風 (ID: QHlX.g1E)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/

朝倉の小説の題名は、必ず最後に「。」が
つきますよね。
これつけないと、なんだかムズムズします。

執筆開始 10月1日〜


登場人物 主要キャラ

清川暁人>>3
霧島レイ>>3
江藤マヤ>>7
西滝音羽>>20
古里嘉一>>20


サブキャラクター

浅沼小夜葉>>25

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Re: ふたりと、きみ。 ( No.1 )
日時: 2011/10/01 20:46
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/





             ──♪──



彼のすべてを欲しいと思ったのは、いつからだろう。
柔らかな皮膚を引き裂き、肉を蝕んで、赤く熟れた唇を噛み千切りたいと。
彼の愛も、欲も、心も、すべてを受け入れるから。
だからそんなに軽蔑したような目で見ないでほしい。 そんなに怯えないでほしい。
愛してるだけなのに。 彼の体を切り開く夢を見ながら、今日もその名前を呼ぶ。

「愛してるよ、嘉一」




                
 
                              .

Re: ふたりと、きみ。 ( No.2 )
日時: 2011/10/01 21:22
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/



第1章
『炭酸の気持ち』




親友と喧嘩をしたら、素直に謝るべきか否か。
オレが悪いから謝るべきなんだろうけど、照れくさいのもあって、まったく連絡を取っていない。 9月末に喧嘩をして、いまは10月の始めだから、もう既に一週間は経っていることになる。

「とっとと謝っちゃえばいいのに。 レイならそうする」
「それは……無理。 というか、それができねえから困ってんだよ」

高校の屋上。 立ち入り禁止のそこに、オレはクラスメイトの霧島さんと一緒にいた。 別に恋人同士ってわけじゃない。
ゴチャゴチャ悩みすぎて、授業に出るのも億劫で、屋上で待機していると、そこに霧島さんが現れただけであって。

「レイがその親友だったら、はやく仲直りしたいって思う」
「じゃあ……謝ろうかな……」
「それがいい。 そのほうがいいよ」

霧島さんがずここここっとジュースを飲み干す。
というか、同じクラスになって半年以上も経つのに、霧島さんと初めて喋った。

霧島レイ。 彼女は少しだけ浮世離れした、なんだか不思議な雰囲気の女子だ。
長い髪の毛は地毛なのか染めたのか、色素が薄くて茶髪というより、金髪に近い。 何故かいつも靴下を履かずに、裸足のまま運動靴を履いている。
顔は誰もが認める美少女なんだけど、どこか幼稚っぽい言動と変わった性格から、少々遠目に見られがちだ。

「霧島さんゴメンな。 なんか……悩み聞いてもらって」
「いいよ。 レイも楽しかったし。 はやく仲直りできれば、ハッピーだよね」

こういう言動が、不思議ちゃんだとかって言われる原因なんだろうか。
霧島さんは、もう中身も無いはずのジュースを、もう一度ずこここここっと吸う。

「もう無いでしょ。 オレの飲む? 炭酸だけど」
「ん……んー。 間接チュウになりますな」

あ。
全然意識していなかった。 オレの悪い癖だ。

「あーごめん。 気にしないで」
「レイはあまり気にしないから、グビグビ飲む」

言って、霧島さんがオレの手から炭酸のペットボトルを取る。 躊躇うことなく、ぐびぐびと炭酸を飲み干そうとしている。 ゲップとかでないのか。

「ぷっはああああ〜。 ……お腹がタプタプ」
「そりゃそうだよ」

笑いながら、霧島レイという彼女をすごく身近に感じた。 教室で飛行機を折って飛ばしたり、授業中に平気でゲームをしたり。
そんな彼女は周囲からは拒絶されているけれど。
普通に笑う女の子か。

「今日、あいつに謝ってくる。 ありがとう、霧島さん」
「いえいえ」

そう言って軽く手を振る彼女は、やっぱりオレの目には魅力的に見えた。

Re: ふたりと、きみ。 ( No.3 )
日時: 2011/10/02 16:45
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/



登場人物ファイル01


清川暁人(きよかわあきと)

16歳 天真爛漫で誰にでも優しく接する。
赤茶の髪は生まれつき。
少々天然な発言が多い。 成績は優秀。





登場人物ファイル02


霧島レイ(きりしま_)

16歳 髪の色素が極端に薄い。
不思議な性格をしており、クラスから浮いている。
ピアノの音が苦手。 また、多少の人格相違がある。
「フミ」という少女を探している。

Re: ふたりと、きみ。 ( No.4 )
日時: 2011/10/02 19:20
名前: 朝倉疾風 (ID: lnyTOR8Z)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/



授業が終わった後、部活に入っていないオレは、真っ先に自転車で江藤の家に向かった。 今回の喧嘩相手で、オレの一番の親友。
見慣れすぎた江藤の家までの道。 田んぼとアパートがあるだけの道をずっとまっすぐ。

古くて白いアパートの1階が江藤の家。
ボロいと言えばボロいけれど、一人暮らしである江藤にとっては、あまり贅沢はできないのかな、とも思う。

「内職してるとは言ってたけど……いるのか?」

時間を見る。 夕方前だから、きっといるだろうな。
インターホンを押して、江藤が出てくるのを待つ。 ……なんか緊張してきた。
思えば、喧嘩した相手に素直に謝るのって、始めてかも。 いままで喧嘩みたいなのしたことなかったし。

『…………はい』
「あ、オレ。 清川だけど」
『………………』

黙っちゃったよ。
そりゃそうか。 喧嘩してから一週間ほど音沙汰なしなのに、いきなり来たら驚くよな。
下手すりゃ追い返されるかも、と思ったけど、あっさりと扉が開いて少し面食らった。

「…………」 「ひ、久しぶり」 「おう」

江藤マヤ。

女みたいな名前だけど、れっきとした野郎で、かなりの短気だ。
名前に惑わされちゃいけない。 決して。
細身の長身で、顔はイケてるのに、左顔面が赤黒く爛れているのが難だ。
それを気にしてか、前髪を顎以上に伸ばしており、左顔面を隠している。

「どうしたんだよ。 学校から直で来るとか、珍しいじゃねえか」
「えーっと…………仲直りを、しにきたんだ」

オレがそう言うと、江藤は 「は?」 と怪訝そうな顔をした。

「────仲直りって……いつのだよ」
「え? いや、ほら、一週間くらい前に…………」
「ああアレか。 アレを気にしてたのか、お前は。 けっこう気にするタイプだよな」

今度はこっちが 「へ?」 だった。
あれだけオレが気にしていたのに、江藤はなんでもないことのように話す。

「なんか……謝りに来て損した。 せっかく霧島さんに相談に乗ってもらったのに」
「霧島ァ? 誰だよソレ」

クラスメイト、とつっけんどんに答えて、ズカズカと江藤の家に上がりこむ。
片付いているけれど、殺風景な部屋。 必要最低限のものは置かないのだと、江藤は話していた。

「江藤、なんかアンタまた痩せてないか? オレより身長高いのに、それ以上痩せてどうすんだよ」
「別に好きで痩せてるわけじゃねえよ」

全国の女子高生が聞いたら嫉妬しそうな発言をする江藤。
しれっとしているけど、けっこう嫌味なことを言ってくる。 チクショウ。
鞄をソファに置いて、本人の許可もなく冷蔵庫を漁る。 炭酸があった。 そういや、今日も炭酸を飲んだな、と思いだす。

「なあ、江藤。 オレのクラスに霧島って女子がいるんだけどさ」
「さっき聞いた」
「霧島さんってけっこう不思議な性格なわけよ。 だからクラスで浮いてるんだけど、オレはけっこう好きになったわけ」
「青春か?」

違うっつうの。

「仲良くなりたいなーって思ったわけ。 だから話しかけようかなって」

いままで自分から仲良くなろうと思ったのは、江藤以外いなかったから。
別に友だちがいないわけじゃないけれど、自ら進んで人気者になろうとかも、べつに思ったことはなかった。

「暁人」

名前を呼ばれて振り向くと、コツッと冷たい何かが頭にあたる。
江藤から渡されたのは、炭酸の缶だった。 今日、オレが飲んだのと同じメーカーの。

「飲めよ。 どうせそんなシュワッシュワな青春を謳歌しようとか、思ってねえんだろ」

そりゃそうだ。
オレは青春を謳歌だとか、青春の汗を流そうだとか、恋愛万歳だとか、これっぽっちも思っていない。

オレは、異性にも同性にも、恋愛感情を抱くことがまったくできなくなったから。

Re: ふたりと、きみ。 ( No.5 )
日時: 2011/10/02 20:31
名前: 夜兎__〆 ◆8x8z91r9YM (ID: 4CT2wXi/)

どうも僕です。
小説を書こうとページを開いたら見慣れない作品が。誰のか見てみたら朝倉さんのでktkr!と思って推参しました。
初っぱなから朝倉的な雰囲気でおおっと興奮しました。はすはす。
恋愛感情が無い主人公ですか……。これはまた一本取られた、と言うかいい設定だと思いました。
僕の場合は、恋愛感情はあるのですが誰からも抱かれません!


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