ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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気狂いピエロ
日時: 2011/11/04 19:47
名前: 須藤 ハヤ (ID: y90Df8N6)

—プロローグ—

 嘗て、こんな話しを聞いた事はないだろうか。
—【悪い事をしたら、気狂いピエロがやってきて、体中の血を抜かれるよ】
母親達が、悪戯をした子供に使う作り話だ。よく耳にするだろう、子供を大人しくさせる為に、怪獣やお化けを作り話にして子供に吹き込む初歩的な子供騙しを。本来なら、只の作り話で終る。
 だが……。もし——それが本当に現れたら?
 体中の血を全て抜かれ、身体をバラバラに切り刻まれて、野良犬の餌にされたら?
 いや、その身体の一部を切り取られ、誰かに移植されたら?
 食べられたら?
—どうする?

 貴方の愛する子供が……ピエロの楽しい喜劇の主人公にされたら……。

 抱き締めなさい。その愛する子供の頭を。抱いて逃げなさい、その幼い赤ん坊の身体を。
ピエロは笑う。悲しいピエロは、喜劇を舞う。残酷な暗闇の夜に、真紅の涙を流して、ピエロは美しき死体の女王と、一夜を明かす。そして、夜がくると、ピエロはまた……狩りを始める。狙うは、美しき女の、青い瞳を掲げる目玉。

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Re: 気狂いピエロ ( No.19 )
日時: 2011/11/06 19:59
名前: レナ (ID: lcUCuO5M)


こんにちは!いや、こんばんはです!
題名に惹かれてきました

それにしてもすごい文章力ですね
本当に尊敬します お話も面白いし次がすっごく楽しみです
これからも見させていただきますね

頑張ってください

Re: 気狂いピエロ ( No.20 )
日時: 2011/11/06 22:09
名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)

こんばんわ、初めまして!
題名と話の内容に一瞬で惹かれてしまいました。
まるでドラマとか漫画を見てる感じで、すご描写とかもお上手ですし、予想外の展開に持っていくのが凄いなと思いました。
本当に尊敬する文章力です。

ベルカの会う人って一体誰なんだ……!!うおお気になるっ←

Re: 気狂いピエロ ( No.21 )
日時: 2011/11/07 16:15
名前: 胡蝶 (ID: 01wfR6nM)

想像が行かないですー・・・
早く続きが見たいっ見たいっそれだけなんで

更新まってま〜す

Re: 気狂いピエロ ( No.22 )
日時: 2011/11/07 20:15
名前: サキ (ID: /HF7gcA2)

読ませていただきました!
気狂いピエロは自分の邪魔をされたとはいえかなりえげつないことをしますね。
もしかして二人を殺したのは私的な理由があるのではとか、ベルカの家にいた18才の子供と気狂いピエロは何らかの関係がありそうだけど一体どうつながっていくのだろうかとか、見どころが沢山あって続きが気になります・・・!
さすがですねっ!
更新楽しみにしてます!

Re: 気狂いピエロ ( No.23 )
日時: 2011/11/08 17:26
名前: 副管理人 ◆qMxJS2Fu4U (ID: blFCHlg4)

ベルカの口から飛び出した、「これを逃したら会えない」という言葉。言ってしまったという後悔の念が心を支配し、思わず眉間に皺が寄る。目の前で不審な目をしてこちらを見据え質問してくる青年の視線が痛い。
 数秒の間をおいて。覚悟を決めた。ジェシーにすら言わなかった秘密を、話す機会は今しかないのだ。そして、話さなければ、外出を認められないのだ。そう、自身に言いきかせるしかなかった。
「コール……私には、娘がいるの」


 六年前。ベルカが20歳の時、その娘は生まれた。父親は、いない。誰にも言えず、一人で抱えて生きてきた。捜査官ベルカ・ラグライアンの唯一の忌まわしき過去。それは、ゴウカン。
捜査官になる為に必死で勉学に励んでいたベルカに、一人の男が声を掛けたのは、蒸し暑い夏の夜だった。その頃のベルカは今の様な男らしい髪型もしておらず、化粧もしていた。本当に女性らしい女性だったのだ。しかし、その美しい容姿が、彼女を地獄へと引きづり込もうとは。
 ゴウカンをした犯人は既に逮捕され、塀の中にいる。たった一回のその事件で、ベルカは心に深い傷を負い、身体に一つの命を宿した。妊娠が判明してから、両親にすぐに卸せと言われ、一度はそう決めた。だが、できなかった。
——この子に、罪はない。
 そう、思ったから。

「……生んだんですね。犯人の子供でも、その子に罪はないから」
 目の前に座り、顔の前で両手を絡めて小さく呟く青年の顔が。申し訳なさそうに歪んでいる。後悔しているのだ。聞いてしまったことを。

「良いの。こうやって話せる様になったんだと、改めて実感できた。それに、話せて良かった。今後、私は娘に会えなくなるから。覚悟ができたわ」
 表情を見てそう言う。そうするしかない。じゃないと、この関係が壊れてしまうのではないかと恐怖があったから。
「会えなくなるって……どうして会えなくなるんですか? ベルカさんの娘さんは、今どこに。今まで、一切知らなかったうえに見た事もないですが」
「娘は、養子に出てるのよ」
「養子。って、どうして一緒に暮さないんですか」
「あの時、私には余裕がなかった。だから、養子に出したの。私といるより、その方があの子にとって幸せだから」
「……」
 青年は言葉に詰まる。今まで気丈に振舞ってきた女性のまさかの過去を聞いて、瞬時に言葉がでるはずもない。それを見て、話しているとうの本人はというと。苦笑していた。何でもいいから表情を貼り付けていないと、崩れてしまいそうだったから。
娘の話しをするといつもそうだ。心が悲鳴をあげて崩れそうになる。それだけ、今のベルカにとって娘はかけがえのない愛おしい存在でありながら、大きな悲しみの種でもあった。
「でもどうして、会えなくなるんですか。今まで会えてたんですよね?」
「そろそろ他人にならないといけないの。今は、向こうが母親と父親だから。私は、あの子の人生にもう入れない」
 頬が引き攣る。言葉が上手く紡げない。
「どうして。その子の母親は、ベルカさん、貴方一人なんですよ」
「知ったような事言わないで」
「あ……すみません」
 また、重い沈黙。どちらか片方が身体を動かすたび、服の擦れる音だけが耳に入り。その静寂を引き立せる。そして、先にその空気に終止符を打ったのは。
「分かりました。明日、俺も同行します。それなら許可できますから、よろしいですか?」
 コールだった。

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以上念のため復旧用としてアップします。この記事が不要になりましたらお手数ですが管理人れんらく掲示板までお知らせください。

なるべく緩く設定してはいますが、公序良俗をふまえるとあきらかに保持できないワードもあります。投稿前に今一度ご確認いただくようお願いします。(副管理人)


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