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ホワイトパレット
日時: 2011/11/28 19:06
名前: 涙崎竜胆 ◆mkO.AgyQJg (ID: khvYzXY.)

純白の少年は、運命をも斬り裂いた。

はじめましてな方、お久しぶりな方、こんにちは、こんばんは、おはようございます。
私は涙崎竜胆と申します。
なお、PSPからの為、内容がブツ切りなどご迷惑をおかけします。

Thank you!
紅蓮の流星様 友桃様 朝倉疾風様
その他読んでくださっている方々

ごゆるりと。

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第零話 ( No.1 )
日時: 2011/11/18 06:14
名前: 涙崎竜胆 ◆mkO.AgyQJg (ID: khvYzXY.)
参照: PSPからのため、複数回にわけさせていただきます。

 白い閃光。
黒服の少年は、目が回るほどの速さで大振りの剣を振り回し、ガツガツとビルの外壁を破壊しながら男を追う。
少年の剣が当たった場所には、蒸し暑い都会の熱帯夜にはそぐわない、キラキラと光る雪の粒が落ちている。
 捕まえた。
少年は男を両断しようと剣を振る。
 ……?
しかしその剣は、腕は、男の顔面スレスレで止まる。
フードの下に隠れた少年の顔は、少しだけ眉を顰めた。
男の前には、薄い膜のような壁が張り巡らされていて、それが少年の剣を止めているようだが…
見えていないのか少年はそれに気が付かない。
その壁は、絶対の防御壁。男は自らの能力(ちから)であるそれに自信を持っていた。
 少年が、二・三歩後ずさり、諦めたように剣をおろした。
男は、にやりと笑う。まさに、してやったりというふうに。
少年の周りにも張られた壁。少年はもう逃げられない。
男は笑みをうかべたまま、少年に近づこうと足を進めた。
 その瞬間(とき)。
ヒュ、と冷たい…それは比喩でもなく本当に凍てつくほどの冷気を含んだ風が、男の全身を撫でた。
ゆっくり、ゆっくりと少年は剣を…吹雪のような冷気をまとった純白の剣を、構え直した。

第零話 ( No.2 )
日時: 2011/11/21 06:05
名前: 涙崎竜胆 ◆mkO.AgyQJg (ID: khvYzXY.)
参照: PSPからのため、複数回にわけさせていただきます。

 静かに、少年は男を見据えた。
不意に吹いた冷たい風が、少年の頭部からフードを奪い去っていく。
男は、小さく身震いをした。
現れたのは、純粋かつ、冷静な殺気を含んだ緋色の瞳。
現れたのは、顔の左半分を覆い隠すように無造作に伸ばされた雪色の髪。
男はもう一度身震いをした。それは寒さからなのか、あるいは…
男は壁を厚く張り直す。
 あの剣はさっき防げた。それに、どう足掻いたとしても俺の壁は、壊せない…!
男は何かを振り払うように首を振り、笑みを作り少年を見た。
少年が苛立たしげに、しかしどこかけだるげに、剣を壁をたたきつけた。
低くいが、大きいその衝撃音が鼓膜を痛いほどに振るわせる。
 男は、声を出すのも忘れ、少年を見つめた。
凍り付いた壁の残骸が、キラキラと少年の周りに降り注いだ。
 ヒュ、と空気が動いた。
白い閃光。少年はすでに男の頭上で剣を振りかぶっている。
男は、呆然と少年を見つめ、自らを殺そうとするその瞳を見て、絶望に似た感覚と死を感じた。
全身の力を抜き、へにゃり、と体を投げ出す。
少年は、男を地面へ叩き付けると同時に剣を男の胸へと突き立てる。
 はずだった。


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