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小人ノ物語【物語の謎が、一部明かされました!】
日時: 2012/01/27 21:55
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

こんばちはございます、萌恵です。
こんばちはございますとは、『お早う御座います』『今日は』『今晩は』を……(以下略)
荒らしや中傷発言、宣伝などを繰り出しに来た方はUターン決定です。
それ以外の方は、そのまま小説を閲覧しましょう。
それでは皆様、愉快な小人達の世界へ行ってらっしゃーい!
目次は>>1です。

その他、筆者の作品
死神は君臨する >>3
甘くて紅い物語の先は >>38

2011/11/26 20:23 スレッド設立記念日

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Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.18 )
日時: 2011/12/20 17:56
名前: 奈美 ◆a00JQBXv3o (ID: m3TMUfpp)

おお! やっと小人登場^^
あの二人は、息が結構続くんですね。水の中でも喋れるし……
名も無き世界は、とてもファンタジックな世界ですね^^

Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.19 )
日時: 2011/12/20 20:17
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

名も無き世界は、ある意味『ファンタスティック・ワールド』ですからね。
ジュリアとソフィアだけに限らず、妖精は卓越した能力を使う事が出来ます。
二人が特別、という訳では無いんですよ。

Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.20 )
日時: 2011/12/23 19:39
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

第一章 「小人になる薬」の配達屋さん【第六部】

 名も無き世界、別名『ファンタスティック・ワールド』には、人間界で『幻の生物』とされる生き物が数多く息づいている。特に妖精や小人は、名も無き世界に、数え切れない程生息していた。それらの生き物の能力は遥か無限大にまで広がり、洗練され、ついには長い年月をかけて『能力者』なるものまで誕生した。
 特別な能力者だけにしか扱えない能力は、たった一つだけ。それは、人間界と名も無き世界の狭間に存在する、『世界の壁』に穴を開ける事。もっと簡潔に言ってしまえば、名も無き世界から、人間界へ行けるようにする事であった。
 そもそも『世界の壁』には時々、穴の開けやすい脆い場所が出現するようになっていて、能力者は、その脆い所を探し出し、破壊する能力を持っていた。
——ジュリアは、その特別な能力を持った能力者だった。

「『世界の壁』の役割は、人間界と私達の世界の衝突を防ぎ、双方の平穏を保つ事よ。その『世界の壁』を破壊したら、凄まじい代償が返ってくるでしょうね。まあ、たとえ能力者でも、『世界の壁』全部を破壊することは絶対に不可能だと思うけど」
 不安に顔を歪めた妹を慰めるように、ジュリアが言った。瞬間、ソフィアが安堵の溜息をつく。口からは息の代わりに、透明な泡がブクブクと漏れ出る。
「あ、見えてきたわよ——『世界の壁』の歪みが!」
 二人の妖精の目に映ったのは、周りの海水や砂や海藻全部をぐちゃぐちゃに混ぜた様な、異様な光景だった。

Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.21 )
日時: 2011/12/23 19:42
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

最近、忙しいですね……。
年末年始は、誰でも大変です!

Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.22 )
日時: 2011/12/24 13:20
名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)

第一章 「小人になる薬」の配達屋さん【第七部】

 情熱的な赤毛を揺らしながらジュリアは、一つ下の妹とは対照的に、静かな顔で『世界の壁』の歪みを観察し始めた。妖精の小さな少女にとってはあまりにも大きすぎる、『世界の壁』の歪みを。一番端から端までじーっと、赤い舌で舐める様に見つめて。それから、興奮で顔を林檎の様に染めているソフィアの手首を強く掴み、自分の方に引き寄せる。
「姉様ッ! 痛いです、の……」
 手首を痛いほど引っ張られたソフィアは、これまでに無いほど不機嫌そうに頬っぺたを膨らませた。その眉間に、見た目には合わない皺が何本か寄る。
「ここまで来たんでしょ。馬鹿みたいに興奮してないで、とっとと破壊するわよ。もたもたしてると、虹蛇やらグランガチやらが寄ってくるわ」
「うぅぅ……。それは嫌ですの……」
燃える様な赤毛と涼しげな水色の髪を靡かせながら、二人の妖精の少女は手を繋ぎ合う。背中に生える羽が柔らかく触れ合う。ジュリアが、空いた右手の甲を歪みに向け、呪文を唱える。
「——ヨセイカハ、ヨベカノイカセ、ルナイダイッ!」
ジュリアの口が閉じる。水を打ったような沈黙が訪れ、そして——。
 凄まじい爆音と共に、暗くて深い海が、自然豊かな台地が、澄んだ高い空が、そして偉大なる世界の壁が、揺れる。

「……ッ!」
「ソフィアッ、こっちよ!」
 凄まじい爆音の合間に、ジュリアの甲高い声が微かに響く。そしてソフィアは再び、手首を強く引っ張られる。これまで茫然としていたソフィアは、手首に走る鈍い痛みに思わず顔をしかめる。
 それでもジュリアは手を離さなかった。二人の間の絆を、こんなところで途切れさせまいと意気込むように。それはソフィアも同じだった。
——二人の小さな妖精の少女は、凄まじい爆発の中心に吸い込まれていった。


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