ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 小人ノ物語【物語の謎が、一部明かされました!】
- 日時: 2012/01/27 21:55
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
こんばちはございます、萌恵です。
こんばちはございますとは、『お早う御座います』『今日は』『今晩は』を……(以下略)
荒らしや中傷発言、宣伝などを繰り出しに来た方はUターン決定です。
それ以外の方は、そのまま小説を閲覧しましょう。
それでは皆様、愉快な小人達の世界へ行ってらっしゃーい!
目次は>>1です。
その他、筆者の作品
死神は君臨する >>3
甘くて紅い物語の先は >>38
2011/11/26 20:23 スレッド設立記念日
- Re: 小人ノ物語【目次更新!!】 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/14 21:39
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17496
参照をクリックしてください。
【内容説明】
物語の舞台は、日本のどこかにある桐ケ谷市緑区。
ここでは最近、物騒な殺人事件が三件も起きていた。
犯人は、11歳の美しい少女。
しかし、その陰には、一つの大きな組織が息づいていた——。
仲間を信じて、今、復讐の矢を放った少女。
少女は、無残な計画に終止符を打てるのか……。
——死神は君臨する。2011/12/23、完結。
- Re: 小人ノ物語【目次更新!!】 ( No.4 )
- 日時: 2011/12/15 21:00
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
プロローグ 王女様の朝
その日の朝、城内はありえない程の喧騒に包まれていた。メイドや執事が忙しく廊下を通り過ぎ、焦ったように部屋を出入りする。あるところでは、執事が淹れ立ての紅茶を零し、メイドが急いで紅茶塗れの床を拭く。
そんな喧騒の中、台風の目は穏やかなのと同じように、騒ぎの中心人物——この城の主、アーノルド・エアハントの娘であるデイジー・エアハントは、自室で、自らの姿を金縁の全身鏡に映して、満足そうに微笑んでいた。
軽くウェーブがかったブロンドの髪に、白い肌。外に向かってピンと伸びている、長い睫毛。べったりと口紅が塗りたくられた、どっちかというと分厚い唇。濁った、汚い空色の瞳。そして、極めつけは——
豚にそっくりな、ぺちゃんこの鼻。
デイジー・エアハントの側近の一人が、本人から見えないよう、静かに笑いを堪えている。実はデイジーは、メイドや執事の間では「御豚姫」と呼ばれている。姫の姿を実際に見てみれば、誰もが「ああ、なるほど」と頷けることだろう。
「アレクサンドラー」
デイジーが、真っ赤な唇を尖らせて、側近のメイドの名を呼ぶ。
「おぶ……あ、いや、デイジー様。何でしょう」
綺麗な茶髪を凝ったシニヨンに結い上げた女性が、デイジーの視界の中に入っていく。デイジーは先程、シニヨンの女性——アレクサンドラの言いかけた言葉が気にかかったが、「まあ、良い」と呟いて、その場で一回転してみせた。
「アレクサンドラ……私は今、今日、自分が着るドレスを選んでいるのだが。アレクサンドラも、私と一緒に選んでくれないか」
「……! かしこまりました、デイジー様」
アレクサンドラは頷くと、デイジーの足元にぽんと置かれている可哀相なドレス達を見に、重い足を運んだ。
そう、デイジーは今、今日着るためのドレスを選んでいたのだ。しかし、どのドレスも、不細工なデイジーには合いそうもない。キラキラとした装飾や、フリル、レース、それにリボンで飾り立てられたものまであるのに、デイジーに似合うドレスは一つも無いのである。アレクサンドラは少し困った顔で、デイジーをちらりと見やった。
「あら、アレクサンドラ。どうしたの?」
アレクサンドラの視線に気づいたデイジーが、アレクサンドラに声をかける。
「あ、あぅ、すみませんッ」
アレクサンドラは緊張の籠もった声で答えると、手近なドレスをデイジーに見せた。
「これは……どうでしょうか」
それは鮮血のように紅い生地で作られた、随分と派手なドレスだった。デイジーはしばらく、そのドレスを気持ち悪いぐらいに凝視していた。アレクサンドラの背筋に、何か冷たいものが通り抜けていく。
「良いわね、これ。これを着るわ」
デイジーはそう言うと、アレクサンドラの手から、紅いドレスを引っ手繰り、「着替えるわ。待ってて頂戴」と言って、レースのカーテンの奥に消えていった。
——アレクサンドラの表情が、真夜中の空のように暗くなる。ついで、小さな口を開き、
「着替え何て、嘘……本当は、小人と連絡を取るために……」
誰にも聞こえないくらいの小さな声で、小さく呟いた。
- Re: 小人ノ物語【プロローグ更新!!】 ( No.5 )
- 日時: 2011/12/15 21:00
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
第一章 「小人になる薬」の配達屋さん【第一部】
——嗚呼、日本の冬は、なんて寒いのだろう。
道路沿いの道を歩きながら、十二歳の少女、美月星は嘆いた。ここは××県桐ケ谷市、赤根町の片隅。緑区や西町等の、都市部に近い町とは程遠い、技術的な遅れが垣間見える、かなり古い歴史を持つ町だ。そんな赤根町の冬は……寒い。特に朝となると、吐く息が煙のように白くなり、まるで自分が蒸気機関車になったかのような気分になる。しかし、空からは白い、ふわふわした冬の風物詩達は降ってこない。
星は、今まで溜めてきたものを吐く様に、溜息をついた。
「どしたん、日生ちゃん。元気がないぞよ」
星の隣で足早に歩いている親友——西川夕菜が、星の顔を覗き込んでくる。星はふんと機嫌が悪そうに鼻を鳴らすと、
「別に。何でこんな雨が降ってるのに、雪が降らないんだろうって思ってただけよ」
刺々しく呟いた。
星は、普通の友達程度の人間には、そんな言葉を返さないようにしている。しかし、小学一年生からの親友には、気兼ねなく物を言う事が出来るので、星は内心夕菜に感謝していた。夕菜もそれが分かっているので「ふーん」と嬉しそうに言ったきり、黙り込んでしまった。
ザアザアと耳障りな音を立てて、冷たい雨が容赦なく降ってくる。昨日も雨が降っていたが、今日のは更に酷くなっていたようで、二人の靴下は隅々まで濡れていた。しかし、二人には強力な味方がいた。——星の家だ。
「早く日生ちゃんの家に入りたい〜」
夕菜が駄々をこねてくる。星はそれに答えず、自宅の門を開けて、さっさと玄関の扉を開けてしまった。そのまま家の中に入ろうとして足を止め、夕菜の方に顔を向ける。
「先、入ってるから」
「ええッ」
星の姿が家の中に消えると同時に、夕菜も慌てて門を潜り、玄関の扉を開けて、家の中に入って行った。
- Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.6 )
- 日時: 2011/12/11 18:02
- 名前: 星風 ◆kftSQ9nleM (ID: 8t12zafz)
萌恵!!来てみました!
2つも書いててすごいね!!
応援してます^^
- Re: 小人ノ物語【第一章更新!!】 ( No.7 )
- 日時: 2012/01/13 20:51
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
第一章 「小人になる薬」の配達屋さん【第二部】
広くて、伸び伸びと動ける玄関は——綺麗に整えられている。二階へと続く螺旋階段も——塵一つ無い。壁は信じられないくらいに純白の白さを保っていて、先程通った廊下も、眩しいくらいに輝いている。相変わらず美月家の家は綺麗だ、と夕菜は思わず溜息をついた。さすが、準潔癖症の人間——星の母親の事だ——が住む家だ。
螺旋階段をのぼりながら、夕菜はもう一度溜息をついた。星はもう、二階の広い自室で待機しているに違いない。恐らく、お盆に乗った熱々の紅茶と、甘いお菓子を食べながら。……今日のお菓子は何だろうか。前に来た時は、確か手作りのキャラメルプディングだった様な気がする。夕菜は、頭の中に浮かび出る、甘い想像に翻弄されそうになった。
階段をのぼり終え、短い廊下を進むと、星の部屋の扉が見えてくる。ミルクティーの様な、淡い茶色の扉の目の前に立ち、金色の取っ手を握って回す。妙な緊張感が夕菜を包み込む。
「お邪魔しまーす……」
この家に入って二回目の言葉と共に、星の部屋の全貌が徐々に、徐々に明らかになっていく。
「どうぞ」
少し遅れて、星の声が返ってくる。口に何かを含んでいる時の、あの、モゴモゴした感じの声だ。夕菜は、敢えてゆっくりと、星の部屋に足を踏み入れた。
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