ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- REAL GNP
- 日時: 2011/12/12 12:29
- 名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)
憎しみ。
それは時に人を傷つけ、
時に人を変えてしまう。
罪。
それは決して許されず、
また 心を迷わせる。
笑って 泣いて 怒って 悩んで 助け合って・・・
たくさんの感情を抱えながら人は生きる。
でも もうそんな事できない。
真っすぐ懸命に生きることは無い。 一生。
それでも生きているのは
生かされているのは
きっと理由がある。
- Re: REAL GNP ( No.14 )
- 日時: 2011/12/14 17:07
- 名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)
-スタート-
「おはようございます。 東京は昨夜の雨がまるで嘘のような快晴で・・・」
テレビが1人で喋っているのを無視して会議の書類に目を通しているのは黒月だ。
電気代がもったいないっつーの。
ドアの近くで黒月を監視する彼方は少しイラつきながらも今日は緊張していた。
ついにこの日が来た。
彼方とあたしたちは盗聴機で状況を伝え合う事になっている。
カチッ。 午前7時。
ミッションスタート。
ドタドタドタ...バンッ! 勢いよく扉が開く。
「総理!大変です!」
30代前半のべテランSPがあわただしく走ってきた。
「どうした?」
低い声で黒月が応える。
「こっ…こんな物が!」
手に持っていた紙を見せる。
この建物に爆弾を5つ仕掛けた。
爆弾を止めたければ、国民全員から1万円ずつ身代金を出せ。
もし出せないと言うのなら、この建物の中の人は全て死ぬ。
タイムリミットは今日の正午まで。
ミッションスタート。
「何だこれは!」
黒月は立ち上がった。
ジリジリ…
テレビが突然映り変わった。
「こんにちは。 首相。」
- Re: REAL GNP ( No.15 )
- 日時: 2011/12/14 17:38
- 名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)
テレビに映ったのは全身黒づくめの人。
声は機械で変えているから性別は判断できなかった。
中継で繋がっているようだ。
「首相、手紙は読んでいただけました?
身代金用意できますよね?」
黒づくめの相手はからかうように言う。
「できるわけないだろ!
払えない人だって、ホームレスだっているんだ!」
黒月はテレビに向かって怒鳴りつけた。
「首相。 差別はしないんじゃないんですか?」
黒づくめの相手は声のトーンを少し下げて言った。
黒月は黙ってしまった。
弱い奴だ。
「今この建物にいる人は軽く150人は超えています。
逃げられてもこちらとしては困るのでこの建物は封鎖しました。
もちろん封鎖してからスイッチは壊してあります。 ご安心を。」
目だし帽でも笑っているのはよくわかった。
「あ、言い忘れちゃったけどさぁ
正午までに間に合わないならお前も地獄行きだから。」
そう言って中継はぷっつりと切れてしまった。
「け…警察を!」
「はい!」
ベテランSPに言われて彼方は急いで警察に電話した。
運よく黒月は1階にいた為窓を無理やりたたき割って外に出た。
もちろん彼方も。
人質の人たちはシャッターがあるところに銃で脅しながら連れ込んだ。
これで出入口は1つ。
出入りできるのは黒月とSP、あとは警察くらい。
この出来事はすぐにニュースになり国民に知れ渡った。
国が大騒ぎ。
いや、世界中と言ったほうが正しい。
こっちからすれば最高の状態。
世界中にこの事が広まり、黒月は国会議事堂を脱出。
午前7時30分。
タイムリミットはあと4時間30分。
あたしたち3人の復讐が動き出した。
- Re: REAL GNP ( No.16 )
- 日時: 2011/12/16 18:25
- 名前: 瑠璃歌 (ID: Bf..vpS5)
-ミッション-
「きゃああぁぁぁ!」
建物の中は悲鳴と泣き声で大混乱だった。
あたしだってそれを見て楽しんでるわけじゃない。
人質にしたものの、殺す気なんてない。 っていうか殺せない。
黒月はまだなの?
身代金なんて黒月が国民から集めたって嘘を言って自分のお金を出せばいいのに。
とことんバカだね。
午前8時。
タイムリミットはあと4時間。
- Re: REAL GNP ( No.17 )
- 日時: 2011/12/27 18:56
- 名前: 瑠璃歌 (ID: noCtoyMf)
その頃、SPを大量に仕えた黒月は1度自宅に戻ろうとSPが走らせる車の中で静かに目を閉じていた。
「安心してください、首相。 焦らず・・・」
彼方は目を開けようとしない黒月に声をかけた。 が、
「焦ってなどいない。」
低く落ち着きのある黒月の声に、彼方の言葉はかき消された。
なんだよ、せっかくの俺様の優しさを!
新人だからってなめてんのか?
後でぜってぇ地獄見せたる!!
彼方のどうでもいいプライドとは裏腹に、黒月は目を閉じたままだった。
- Re: REAL GNP ( No.18 )
- 日時: 2012/01/06 19:19
- 名前: 瑠璃歌 (ID: noCtoyMf)
「真子! このまま黒月動かないつもりなんじゃ・・・」
真輝が声を掛けてきた。
「黒月の事だから、人質なんてどーでもいいって思ってるかもよ?」
確かに黒月ならやりかねない。
でもここで動いたら彼方とリズムがずれる可能性が高い。
大勢のSPがいる上に、彼方は優秀で実力もあるから黒月の傍にいる。
盗聴器の連絡とは言え、リスクが高すぎる。
携帯で連絡を入れたとしてもこの状況じゃ逆に怪しまれるかもしれない。
・・・完全に自爆。
自業自得。
他に方法はないの?
急激に焦りと不安が募る。
あたしの隣で真輝も唸るように考えていた。
「あ!」
たったひと言だったけど、真輝の声は廊下中に響き渡った。
「真子。あたし3年に1度のひらめきの天使舞い降りたかも!」
「は?」
磨きをかけた林檎のように輝く瞳の真輝と
腐ったナスのような醜い瞳を向けるあたし。
「あのね・・・」