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シニガミデイズ
日時: 2012/01/09 12:34
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)
参照: http://ameblo.jp/crack000/

——死神の大鎌は殺すための道具であり、決して誰かを守る者ではない。






初めまして、テテロです。
初めて作品を書くので至らないことが多くありますが生温かい目で見てください。
感想やアドバイスなど書いてくれたらうれしいです。
誤字脱字、疑問なども言ってください。






主な登場人物

ヤナギ Yanagi…………死神

悠 Yu…………人間

笹凪 Sasanagi…………魔女

シュウ Shu…………人間

アルマ Aruma…………猫



*お客様*
雨子様 K−10様

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Re: シニガミデイズ ( No.4 )
日時: 2011/12/21 13:39
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)

雨子s≫

うれしい言葉をありがとデス。
やはりタイトルって大事ですよね。
未熟者ですがこれからもよろしくです。

Re: シニガミデイズ ( No.5 )
日時: 2011/12/21 16:15
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)


「よくきてくれたね」

死神とは思えないほど優しい声だった。
あの子の父親というよりはお兄さんと呼ぶほうが似合うおど若い。
青い髪の青年は、やわらかく笑った。

「君に一度会いたかったんだ」

その言葉はヤナギに向けられている。
知り合いなのかもしれない。
ヤナギの顔は歪んでいた。

「俺は会いたくなかった」
「おや、そんなことを言うのかい?」
「うるさい」
「お前の唯一の——」
「うるさい!」

ヤナギの声は無駄に大きい屋敷の中に響いた。
悠も叫んだヤナギを久しぶりにみた。
驚いた表情をしていたが、ヤナギの腕を掴んで

「私たちお邪魔みたいだから、あの子と遊んでくるね」
「馬鹿いうな。すぐに出る」
「——友達なんだよね。つもる話もあるはずだし、ね」
「…………」

ヤナギは悠の頭を軽くなでた。
「いい子にしてろよ」「悪いことはしないよ」軽く言葉を交わして悠は少年の手をとり走って出て行った。
ヤナギはそれを見送って向き直った。




「ヤナギ、久しぶりだな」

連れて行かれたそこは広い部屋。

「俺の部屋なんだ」
「広いな」
「貴族だからね」

青年は冗談っぽく笑う。
死神とは思えない。
このまま貴族をしているほうが、らしい。
この人なら、人間を一人や二人引き取ってはいい人に育てあげそうだ。

「まさか君があんな子を持っているとは驚いたよ」
「俺もお前が子どもを持ってたなんてな」
「いいじゃないか。子どもはかわいいぞ」
「おまえが言うと気持ち悪い」
「お前が少女を連れてる時点できもいよ」

ふう、とお互いため息をついて、
それから目つきがかわった。

「あれはなんだ」
「ああ、やはり君もわかるかい。さすが私の友」
「うるさい」
「照れ隠しはやめなよ」
「だまれ」
「ああ、もう話がずれたじゃないか」

ヤナギはこの青年が苦手だ。
そもそも独りが好きなのを勝手に割り込んでおきながら、いつのまにか友達扱いする。
気づけば振り回されていて用がなければすぐどこかへいく。
自分勝手なところがとても腹が立つ。

笑うのがとりえみたいな面をしているところも気に入らない。
魂を斬るときも笑っておけば嫌なやつだと見れるのに、そうはしない。
いつも殺すときだけ真面目な顔をするから突っ込めない。

苦手苦手苦手。

そういいながら相手をしている自分もどうかと思うけど。

「本当は私の仕事だったんだけどね」
「いい。この仕事はお前に不向きだ」
「ありがとう、わが友よ」
「うるさい」

Re: シニガミデイズ ( No.6 )
日時: 2011/12/21 20:30
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)


たとえば、今日のラッキーカラーが黒なら救われたかもとか
たとえば、昨日の朝ごはんがパンだったら明日の朝はごはんかなとか
たとえば、もし自分が生まれなかったらあの人たちは幸せだったかもとか

終わったことを今も考えるのは引きずっている証拠だ。
僕はいらない存在なのだ、そう思えばとても楽になって。
どうせあの人に殺されるんだろうなとか思うと今死んだほうがましだしとか。
いろいろ無駄な言い訳が付け足されたけど、まあ死ねばそれでよかった。

「お願いがあるんだけど」

あの少女が現れるまでは。




「なんでわかったんですか」

その少女に本当のことは何一つ言わなかった。
なのについて行ったのはあの髪と瞳に引かれたからかもしれない。
綺麗な銀色の髪の少女は紅い眼をしていた。
銀色も珍しいのに紅も珍しい。

「えー、なにが」
「引き取った相手が死神だってことです」

少女は軽く笑う。
たしか悠と呼ばれていた。

「それ以外のこともいろいろ知ってるよ」
「は…?」
「たとえば、君の名前とか、君の生まれたところとか、君の両親のこととか。ああ、両親って確か君の前で——」
「っやめろ!」
「……君の前で殺されたんだってね、死神に」

悠はこちらに歩いてきて

「やっとだ」
「?」
「怒るのは、久しぶり?」
「……」
「この調子で次は笑えるように」
「ならない」
「そうだね」
「…………」
「このままだと笑えないまま死んでいくんだ」

今まで楽しそうな声で話していたのに。
その声はぞっとするほど冷たかった。

眼をあわすのが怖い。
怒らしてしまったのかもしれない。
僕をここにおいていくのかも。
あの人たちみたいに。

「それはないよ、さすがに」
「…………」
「心読んでないからね?その前に読めないし。顔にでてたから」
「…………」
「私はおいていかない。おいていかれる側だからね」

おいていかれる。
それは独りでかい?
それともあの死神と一緒に?
聞けなかった言葉を飲み込んだ。

「帰ろうか」

悠は帽子を深くかぶる。
せっかく綺麗な髪なのに。
隠してしまうなんてもったいない。
この言葉は飲み込まないほうがよかったな。
後悔した。

Re: シニガミデイズ ( No.7 )
日時: 2011/12/25 12:07
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)


うまくかわせただろうか。
別に私は言ってもいいけど、ヤナギが怒るかもしれないから。
特別なことは決して誇れるものではないと言い聞かされた。
そもそも特別だなんて、思いたくないけど。

カサ……。
微かに聞こえた音。

「誰」

護身用の小刀を取り出す。
そして少年を守るように前にで……

「そういえば聞いてなかったかも」
「なにが?」
「名前だよ。私悠っていうんだけど、君は?」
「……カ」
「なに?」
「……ハルカ」
「女の子っぽいね」
「言わないでください」

一応きにしてるのか。
小刀を構えたまま音がしたほうを見る。
何もいないように見えるけど、いる。

なんとなくだけど、今までの経験の勘で。
みれば一発なんだけどな。
自分の意思ですると動きがおくれるから緊急事態にはしたくない。
見てる間にハルカがやられるのはまずい。

向こうは動こうとしないので落ちていた小石を投げてみる。
石はただ落ちるだけだった。
何もないみたいだ。
でもいるかもしれない。
こういうときヤナギがいればいいんだけど。

「悠さん?」
「ハルカは向こうに誰かいると思う?」
「え、いやわかりません。悠さんはいると思うんですか?」
「音がしたのに誰もいなさそう。動物かな。でも…」
「でも?」
「やっぱりいないかも」

勘なんてあてにならないしね。
一応小刀はしまわず家に戻ることにした。

なんて「ね」

反射といえばそれくらい速かった。
後ろを向いた瞬間動いた敵。
そこに投げつけた小刀。
かすっただけだったけど怯んだのがわかる。

「ハルカ走って」
「悠さんは」
「後で逃げる」
「でも」
「きっと、あの人たちの狙いは私だから」
「でも」
「いいから。家に行ってヤナギたちに伝えて。早く」

いつにもまして冷静でいたのは、慣れたからかな。
それとも絶対に死なないことが分かっていたからかもしれない。







「もうばれているのか」
「むしろばれてないと思ってたほうがおかしいから」
「あそこから抜け出した時点で広まってるよ」
「死神たちは?」
「難しいな。今はまだ味方だけどもしものことがあれば潰しに行くと思う」
「確かに。まだ開花していない部分もあるしな」
「ただ危ないのは、あの子指名手配犯みたいになってるよ。生きて連れて帰ったら二千万みたいに」
「じゃあ襲われる可能性は」
「大だね。そういえばハルカと外に行ったね。早速やられてるかもね」
「……行ってくる」
「いってらっしゃい」







体力は人並み以上死神未満、そんな感じだ。
それ以外にできていない。
どんなことをしたって死神の上にいくのは無理だったみたいだ。

「でも人並み以上あれば十分だと思うんだよね」

私の前には人が倒れていた。
二,三人の不良集団だが手に持っているものは包丁やら釘バットやら。
そこらへんの人に対する物ではない。
対私用の武器だろう。

みんなにばれている。
それを私が知ったのは今日だ。
あのヤナギの友達の中を見たらわかった。

倒れている集団が紙を持っている。
取り上げて見てみたら、顔が歪んだ気がした。

“この少女を生きたまま捕まえたら二千万
 殺して捕まえたら千万
 本社に持ってきてください。
            ZDF ゼルディファクトリー”

「ZDFの仕業なんだ……」

写真に映っているのは私のはずなのに、別人にみえる。
死人のような目はハルカと同じだ。

「む」

約一キロ先からヤナギの声が聞こえる。
ハルカが伝えたにしては速すぎる。
あの男が伝えたのかもしれない。

「悠、大丈夫…か…」

ヤナギは私の下に倒れている男たちに気がついたみたいだ。
そして私をみる。

「大丈夫か」
「見ればわかると思うけど……」
「大丈夫か」
「だから……」

そんなに悲しい顔をしていただろうか。
ばれないようにするのは改めて大変だ。

「……私二千万だって」

握っていた紙をクシャリと潰した。

Re: シニガミデイズ ( No.8 )
日時: 2012/01/08 00:49
名前: テテロ (ID: bQbYMR0G)


悠がハルカを連れてきた理由。
なんとなくわかった。
思い出は大切だと、そう思ったんだろう。

ハルカは走った。
死神のヤナギを呼ぶためではない。
なぜなら走っている途中ヤナギとすれ違ったからだ。
ではなぜ走っているのか。

(……もしかしたらばれているのかもしれない)

——君の目の前で殺されたんだってね、死神に。

あれは勘なんてものじゃない。
合っている。言ったこと全部。
ならきっと本当のこともわかっている。

「もっと遠くに逃げないと」
「どこに?」
「もっと……、え?」

驚きすぎて転びそうになった。
いつのまにか悠とヤナギがたっていた。

「家に帰らないのか?」
「……寄るところがあるので」
「どこに」

今いるのはこの町の端。
住宅地ができる前の大きな土地。
店なんてどこにもない。

「……隣町まで」
「もう日が暮れるぞ」

後ろを向いて逃げようとしたが、

「残念だったね」

悠がいた。
何かに狙われていたはずなのに掠り傷一つなかった。
出会ったときからおかしいと思っていたけど、本当におかしかった。

「私もね、まさかとは思ったんだけどね。名前を聞いてはっきりしたよ」

やっぱり気づいてたみたいだ。
この様子だとヤナギのほうは友人にきいたのだろう。

「本当はあいつの仕事だったんだけどな、どうしてもできないからってな」
「……あの人が?」
「ああ。あいつが、だ」

ハルカは意外そうな顔をした。
悠は聞いた。

「今日、楽しかった?」
「まあまあ」
「そ、よかった。それじゃあ、もういいよね」

ヤナギが持っていた大鎌を構えた。

「でも、僕は死なない」

ハルカが急に走り出した。
そして懐に隠していたのおだろう、ナイフを悠に切りつける。
悠は避けきれずにお腹のあたりに食らってしまった。

「……っ」
「悠!」

そのまま止まらずハルカは走った。
ヤナギは追いかけようとし

「待った」

悠はそれをとめた。

「私がいく」
「な……」
「ヤナギは後ろについていて」

ヤナギが納得いかないように、躊躇っていると、悠のほうからシュウゥゥと音がきこえた。
さっきハルカから食らった傷が跡形もなく消えていた。

「私にいかせて」

ヤナギは頷いた。





逃げたのはいいが森の奥。
月がでてきてあたりも暗い。
今日は野宿になりそうだ。
いや、生きていたらこの先も。

湖がみえたのでそちらに移動することにした。
すると

「やっほ」

悠がいた。
さっきハルカがつけた傷跡が見当たらない。

「どうして……」
「ここに来るって、見えたから」
「何者ですか?」
「ハルカとは違う生物だよ。ハルカみたいに、人殺しはしたことあるけど」

悠はハルカをみた。

「老若男女問わず、計十一人の人殺し。そして死神を一人殺したんだってね」

月が映る湖は、とても綺麗だった。


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