ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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僕ーKAZOKUー【おかげさまで完結いたしました!有り難うございました】
日時: 2012/01/29 17:58
名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)

今日は、イブイブ・クリスマスですね!

はじめまして。夕和 環です!!
『ゆな たまき』と読みます。ケータイで変換したら、出てきて
「これはいい!」と思い、そうしました。

雑談は、ここまでにして…。

注意です!!!

■ 更新は、ランダムになります(すみません…)
■荒らしは、できるだけ、やめていただきたいです(傷付きやなもので…)

それでは、長くなり、もうしわけございません(´・_・`)
駄文なのですが、お楽しみいただけたら嬉しいです。


2011.12.23 更新記念日

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僕ーKAZOKUー ( No.13 )
日時: 2012/01/05 13:47
名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)


第二話【過去のフィルム】



「ほら、ご飯よ!早く食べなさい!!」

僕の前におかれた土のついた草。母は食べろと言う。
当然の事だけど、僕は母親とは思っていない。クズだと思っている。

「……土を払っても、いいですか……?」

ため口は許されない。常に敬語で話さなければ、たたかれる。
今日も、たたかれた…というより、物をなげられた。
今も少し、その部分はじんじんしていて、赤くはれ上がっている。
だいぶ、痛みにはこらえられるようにはなったと思う。

「だめよ…!早く食べなさい!!食べないなら、あなたを外へ追い出すわ!!それでもいいの!?」

僕は首を振る。
心の中では、早く外へ追い出してほしいと思っているんだけど…。
もし、「いいよ、それでも」と答えれば、外へ追い出さずに、狭くて暗くて、じめじめとした、あの地獄みたいな部屋へ入れられるだろう。
母は賢い。
僕が外へ出れば、誰かに報告するに違いないと思っているはずだ。

僕は、雑草を無理やり口の中へ入れた。
あとで、下すだろうな……。
土が、舌の上でじゃりじゃりとする。
気持ちが悪い。
母は、そんな僕の様子を楽しむかのように見ていた。

毎日毎日毎日毎日、それは繰り返される。
だけど、僕はいつもたえる。
泣くものかと、意地を張って。

僕は完全に、母の操り人形となっていた。じょうだんじゃないよね。そんなことのために僕は生まれてきたんじゃない。





























もう…僕は壊れる。たえられないんだ。

人形は、旅立つんだよ。主人のすきを見て——————

僕ーKAZOKUー ( No.14 )
日時: 2012/01/14 17:25
名前: 夕和 環 (ID: TRpDG/gC)



母の部屋からいびきが聞こえるのを確認すると、僕は鍵をあけ、外へ出た。
夜の風は冷たくて、体が震えた。
だけど、そんな寒さも忘れて、僕は走った。
あの、木を求めて……。

あの木は、僕の癒しの場所だった。
僕の、ひとりだけの友達がいた。
名前はりりか。倉林 りりか(クラバヤシ—)
金髪で、ウェーブのかかった長い髪。青いきれいな瞳が特徴だった。

母が買い物に行っているとき、こっそり逃げ出したことがあった。
そして、たまたまりりかのいる木にたどりついたんだ。
りりかの服はきらびやかだったけど、その服の下は傷だらけだった。
僕と同じだったんだ。



りりかはいた。
やっぱり木のところに。
僕とりりかはそうやって毎日会うようになった。
りりかの話はとてもおもしろかった。
空飛ぶいるかとか虹の橋をわたる自分とか、いろいろ話した。







いつの頃からか、りりかはいなくなっていた。
探したけど、みつからなかった。
母には言わない。手伝ってもらいたいけど、そんなこと、するわけがない。
誰かほかの人にたずねるのもいいかもしれない。
だけど、人はあまり通らないんだ。
僕にとって、唯一の安らぎの場所が消えてしまった。

あるとき、見た。

『倉林 りりか告別式』
という看板を。

花をつんだ。
木のそばにおいた。りりかの場所に。

「りりか…ありがとう。さようなら……」

人の死は、これほど悲しいものなのか。
僕は家には帰らなかった。木のそばで生活した。
そして、そして…?

























































キキィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
急ブレーキの音が聞こえて…——。


僕ーKAZOKUー ( No.15 )
日時: 2012/01/29 17:17
名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)

第三話【輝き】

「う……うわああああああッ!!」

僕は耳をふさぎ込んだ。
全て、全て思い出したんだ。
今、今僕の肩をつかんでいるのは、母であって……。僕の名前は“駆”だった……。

僕は、全てを忘れたかったんだ……。思い出せないっていうのは嘘で。思い出したくなかったっていうのが本当……。

「駆!?やめなさい!!恥をかかせないで!!」

僕の肩をつかむ手は、さらに力を加える。痛いくらいだ。でも、僕の体はもう何も感じることがなくなっていた。
僕は思いっきり肩にのっかる嫌なものを払った。

「もう、姿見せないでよ……。消えて……」

僕が母に向かってこう言うのははじめてのことだ。倒れた女はものすごい形相で睨みつけてくる。この目、知ってる……。
やばい、と思ったときにはもう遅かった。
女は僕を木のところに押しやり、首に両手を押し付けてきた。

「いつから……あんたは私に口ごたえするようになった!!」

ぎしぎしと、女は歯をならす。息がしにくい……。
僕は、必死になって僕の首をしめる女の腕を引っ掻き、離そうとした。だけど、それは叶わなかった。僕から、諦めの言葉が浮き上がってくる。
もう、いいや。死んでも…。
僕は抵抗するのをやめた。
そのときだった。女の手がするりと僕の首から外れた。
そして、座り込んだ僕の前に、少し色黒の手が差し出された。

「信司さん……?」









「あれ、誰だったの?」
「母親、だった人……」

僕は、信司さんがくれたメロンパンを一口かじった。甘い味が口いっぱいに広がった。

「ふうん。あのさ、今から警察行こうと思うんだけど」

警察……。
また、精神病院へ連れていかれるのかな。

「つらいでしょ。あの人いたら。精神病院へ行かせようよ」

行かせようよ……?

「僕じゃなくて、あの人を?」
「そうだけど」

信司さんはメロンパンを食べ終えた。袋をくしゃくしゃと丸め、それをポケットに突っ込んだ。僕も慌てて食べ終えた。すると、信司さんはいきなりばふっと草の上に仰向けになった。日が落ちた空を眺めている。そして、静かに口を開いた。

「実は、俺の母親、交通事故で亡くなってる。親父は、俺らを残して店開いてる。だから、太朗を養うのは難しいかも。けど、お前が家にいてくれたら、喜ぶと思うよ、みんな」

僕の瞳から、熱いものがこぼれた。それは、久しぶりに流す涙だった。心のもやが、すっと取れたような気がした。
信司さんは青いハンカチを差し出してくれた。受け取ろうと手を伸ばし、信司さんの手からハンカチが落ちた。だけど、僕の手には渡らなかった。
おかしいな……。確かにハンカチの真下に手を入れたのに。
信司さんは、ハンカチを無言で拾い上げた。どうしよ、怒るよね。

「たい焼き食べたい。ついてきてよ」

信司さんの笑顔に怒った様子はなくて、僕はホッとした。だけど、何だったのだろう?僕の、見間違いかな。







薄暗く、細い路地を僕と信司さんは抜けた。
すると、ぽつんとさみしく一軒の屋台が出ていた。そこから、甘い香りが漂ってくる。

「いらっしゃい」

服がすすけていて、ボロボロ。ひげを長く生やしたおじさんが、帽子を深くかぶりながらつぶやいた。

「チョコレート味、五つください」

信司さんはポケットから五百円玉を出すと、おじさんに渡した。おじさんは無言でそれを受け取った。そして、たいの形の鉄板に生地を流し込んだ。
「信司、友達?」

おじさんが鉄板を見つめたまま尋ねた。

「家族、かな」

家族……!!
僕の胸がほわっと温かくなった。嬉しい。

「それは、すまんな」

おじさんは、僕に向かって頭を下げた。ぼーっとしてたから、返事が遅れてしまった。

「信司、もうすぐできるぞ」

あれ、さっきも、どうしてこの人は信司と呼ぶんだろう?何かつながりが?

「信司さん、誰ですか?」
「ん、ああ。俺の父親だった人だよ」

聞かなければよかったと、僕は悔やんだ。
おじさんは、白い紙袋を信司さんに渡す。
ふつうだったら、つらい過去は忘れようとするよね。どうして信司さんは、わざわざ父親だった人のところへ足を運ぶんだろう?
僕には分からなかった。

「俺の中では、あの人はいつまでも父親だ」

信司さんの笑顔は輝かしかった。

僕ーKAZOKUー ( No.16 )
日時: 2012/01/29 17:56
名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)

最終話【未来】

信司さんが風本家のドアを開けたとたん、春花さん、勇気さん、瑠菜さんが信司さんと僕に飛びついてきた。

「よかった…」
「太朗くーん!瑠菜と遊んでー」

待ってて、くれたんだ……。またも、じーんとした。

「もう、太朗くん!!どうしてよけちゃうの!?」
「え……?」

僕は、この場から動いていないし、よけるなんてこと、しない。瑠菜さんは僕の手をつかもうとしているらしい。だけど、小さな手はすっと、僕の手をすり抜けてしまう。僕は、自分の手を握り合わせてみた。さわれる。僕は瑠菜さんの手に自分の手を差し出した。でも、掴むことは出来なかった。一体、どうしたんだろう?ハンカチのときといい……。

「まず、あがれよ!たい焼き食べようぜ〜」

勇気さんは信司さんの持っていた白い紙袋をパッと取り上げた。あっといい、信司さんはどたどたと勇気さんを追いかけていった。春花さんもあきれ顔で部屋へと行ってしまった。

「ごめんね。また、あとで遊ぼう」
「うわあい!!」

瑠菜さんもタッタっと行ってしまった。僕は、ほっとする。子供が、単純でよかったと。


「俺から話があるんだ。太朗と、家族になりたい……」

信司さんが僕に視線を移し、微笑んだ。だけど、僕は微笑み返せない。もうひとつ、思い出さないといけないことが残っているから……。僕は息を吐き出すと、ページをめくるようにゆっくりと、思い出すことにした。





僕はあの日、家に帰らなかった。りりかの亡くなった日。全てを忘れることにした。そして、僕は道路の真ん中にある力強く咲き誇る、きれいな小さい花を見つけた。ピンクのかわいいはなを。だけど、ここにいては、いつか車にひかれてつぶれてしまう。僕はその花を木のそばに植えかえようと道路の真ん中へつみにいった。もう少しで、あと少しで届きそうだったのに……。トラックがきて、クラクションが鳴り響いた。そして、急なブレーキ音。僕は花をかばうようして……。
ひとつぐらい、何かを守りたかった。小さなものでもいいから。
きっと、その花は僕の体に押しつぶされてしまったにちがいない。
赤く、染まったピンクの花……。






そうだ。僕はもうここにいてはいけない人。死者なんだ。だから、体がこんなになっちゃった。
違う。
今までみんなと触れ合ってきた。
そうだ。僕は涙を流した。それから、僕の心のもやが取れた。そこから、僕の体は変化した。じょじょに、じょじょに僕には感情というものが見えはじめてきていた。
そうなるたびに、僕は消えて行ってしまう。みんなの前から少しずつ、少しずつ……。
多分もう、時間はすくない。

「ね、写真とろー!家族記念日ー!」

春花さんがインスタントカメラを持ってきた。そして、机にそれを置くと、ならんでーと言った。
シャッターボタンを押した春香さんが途中で列に加わって、パシャッ。
響いたシャッター音。

「楽しかった…」

また、未来で会おう。それまで、しばらくのお別れ。

「あれ、何でたい焼き五つなんだよ!!」
「え?間違ったのかも。悪い」
「何で写真とったのー?」
「真ん中空いてるよ?」





またね。



生ぬるい風が、風本家から、すっと窓の外へ出て行った………ーーーーー。



〈the. End〉

:僕ーKAZOKUー【おかげさまで完結いたしました!有り難うございました】 ( No.17 )
日時: 2012/01/29 18:08
名前: 夕和 環 (ID: 4IM7Z4vJ)

こんばんは。
読んでくださった皆様に感謝いたします!!
ありがとうございましたヽ(;▽;)ノ

さて、完結してしまいましたが、どうでしたか?ちょっと、意味が分からない終わり方でしたが……。

この作品は、ノートに書き溜めていたものですか、短すぎて微妙なページを残してしまいました(笑)
そこは、勉強に使おうと思います☆

それでは!次回作でまた、お会いしましょう!!

Thanks Foryou☆←間違ってる自信アリ!

2012.1/29 完結記念日


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