ダーク・ファンタジー小説

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もしも僕が超能力を使えたら。
日時: 2012/05/13 12:00
名前: 璃夢 (ID: AdHCgzqg)

初めまして璃夢と申します。

えっと、何もかもが初めてなので、めちゃくちゃ緊張してます・・・
どうすればいいのか全く分かりませんが、取り敢えず小説を書きます!(って、言えばいいんでしょうか・・・?)

私の思考回路はお花畑なので、可笑しいかもしれませんが、ぜひ・・・読んでいただけたらなぁー・・・と、神様にお祈りしてます。

まだまだ分からないコトがたくさんなので、コメント(感想とかも頂けると嬉しいです・・・あ、すいません・・・)の中で指摘してほしいです。
100人に読んでもらうのが夢ですー!((ま、無理だとおもいますが・・・)

と言う事で、これからよろしくお願いします。


===紹介===


題名:「もしも僕が超能力を使えたら。」

登場人物:園原 千鶴(ソノハラ チヅル)
     渡 森羅(ワタリ シンラ)
     常葉(トキワ)
     神塚 暮巴(カミツカ クレハ)
     
と、今のところはこんな設定です。でも、物語が進むうちにオリキャラを募集する事があるかもなので、その時はよろしくお願いします。

===目次===
はじめの記録「僕とはこんなモノなのだ。」
記録:1「僕にとっての日常を君は知らない。」
記録:2「僕の知らない君達が居ること。」
記録:3「僕は雪が嫌いだと気付いた。」
記録:4「僕は君を護りたいと思った。」
記録:5「僕が女であるから何かが狂った。」
記録:6「僕は超能力を使えない。」
記録:7「僕意外の人間は超能力者だった。」
記録:8「もしも僕が超能力を使えたら。」
記録:9「僕は何かを覚悟した。」
記録:10「僕は君達を見守ることにした。」
さいごの記録「私がコレを終わらせる。」

========

こんなカンジです。この時点で直した方が良い点があったら、ぜひ教えてください!(決して凹んだりはしませんので!)

次から本編にはいります。ではでは、よろしくお願いします♪♪

Re: もしも僕が超能力を使えたら。 ( No.4 )
日時: 2012/05/13 16:02
名前: 璃夢 (ID: AdHCgzqg)

記録:3「僕の知らない君が居る事。」

<おはようございます。昨日の続きです。昨日、僕は彼・常葉君に何かを告げられました。その内容を纏めることにしました。昨日はー・・>

僕はシャープペンシルを握り締めながら、昨日常葉君から伝えられた事を思い出していた。僕は寒がりー・・・と言うのは既に書いたか。
どうやら僕は、記憶が曖昧のようだ。
シャーペンを、唇の辺りに当てる。これは、僕の癖だ。考え事をしているとき(特に、テストや勉強しているときが多い。)にやってしまう。
といっても、ほとんどの人間がやってしまう行動なのではないかと僕は思っているので、それ程気に留めている訳ではない。

「昨日の、話・・・・何だったかな」
僕はまた擦れた声で呟いた。一昨日もそうだったが、やはり僕は朝になると声が擦れてしまう様だ。僕は高校一年生。今まで生きてきたのに、今になってそれに気付くと言うのは、何かが可笑しいとも思う。しかし、記録を書き始めるまでは朝一人で呟くなど無かったため、その点は仕方無いのかもしれない。それに僕は・・・・家族が居ない。

「あ・・・・・。」
僕居は思わず声を漏らした。
思い出したのだ。昨日の、常葉君の話。とても僕には信じられないような話・・・。





『貴方は、世界でただ一人、超能力を持って生まれていないのです。』
『え?超能力?・・・ははっそんなの当たり前だ。超能力など無いからな。君、思考回路は大丈夫か?』
『やはり、そう言うと思っておりました。しかし、これは本当なのです。世界中の人々はみな、超能力を持っています。しかし、大昔、人間はその力を自らの欲に使用してしまいました・・・』
『欲・・・?』
『はい。それは、私達人間を縛り付ける呪縛・・・「運命」を作り出す、神。それを殺すと言う欲です。神を殺せば、「運命」など無くなり、人々は幸せに暮らせると信じたのです。』
『神を殺す!?そんな事有り得ない!大体神が居たとして、「運命」が無くなったって幸せになれるかどうかなんて・・・』
『確かにそうです。しかし昔の人間はそれを信じていたのです。まあ、それで人々は立ち上がり、神を倒そうとしたのです。勿論神が簡単にやられる事などありませんでした。しかし神は相当な怪我を負い、次に人間が攻めて来たらきっと・・・死んでしまっていたでしょう。それを悟った神は、人間から超能力を奪った。・・・いえ、能力を封じたんです。』
『それで・・どうなってんだ?今の僕達は・・・?』
『・・・今の私達にも、超能力は存在します。ヒトの中に封じ込まれています。だから、皆が生まれ持っているんです。能力を。しかし・・・・ただ一人、貴方・・・園原千鶴様だけ、能力が無いのです』


<僕は、自分の正体と、常葉君の正体を知りました。彼は、少し躊躇していました。自分の正体を明かすのは、少々難しいとも言っていました。>

『私は、神の使いです。』
『神の使い?・・・ふん、そんな職業もこの世にはあるんだな。珍しいものだ。で、儲かるのか?』
『はい、とても。・・・私は今の神・・・現能力星代3698代神。またの名を、神皇女から一つの命令を受けました。』
『ちょっと待って!現能力星って一体なんだ!?』
『神聖地から呼ぶ、地球のことですよ。続けますね。その命令とは』
ここからは、僕の思考回路を遥かに越える次元の話だった。
その恐ろしい内容のせいで、僕は記憶を曖昧にしてしまったんだろうと思う。


『特別な能力を持たない少女・園原千鶴を・・・









 カミノゴエイトシテセカイヲマモルコト』



え?どういうこと?分からないよ。ねえ、常葉君。意味が分からない。どうして僕なんだ?どうして?ねえ!常葉君。僕は普通の人間なんだ!その僕が世界を護る?意味が分からない。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ・・・・・・・・!


「ッ!!!」
僕は目を覚ました。此処は僕の部屋のベットだ。何時からだろう。僕は眠ってしまっていた様だ。
僕は起き上がった。何だか怖い夢で魘されていたような気がする。まったく内容は覚えていないが。

時計を視た。もうこんな時間か。
頭が痛い。鈍い痛み。僕は、頭を抑えて屈んだ。
どうして痛いのか分からない。ただただ痛い。

不意に声まで聞こえてきた。恐ろしくなった僕は耳を塞いで聞こえないようにした・・・筈だった。

まだだ。まだ声が聞こえる。耳は塞いだのに。
否、違う。これは、僕の中から直接聞こえてくるような音だ。

「僕の中に、誰かがいるーー・・・?」
その考えを、すぐに掻き消した。何を言っているんだ僕は。
今度は、声に耳を澄ましてみた。

『明日、会えるヨ・・・やっと、会えるね・・・』

「ッ!!?な、何これ!ヤダ・・・!」
僕は思わず叫んだ。よく分からないが、たぶん女性の声だ。
怖い怖い怖い怖い・・・誰か助けて!

僕は、膝を抱えて泣いていた。怖くて怖くて、泣いていた。
次々と降りかかる僕への災い。
どうして僕ばかり?と、ずっと思っていた。両親が居るのが当たり前だとからかわれた。ひねくれた性格と言う理由で、引き取ってくれない親戚。たった一人しかいない友人。一人ぼっちの家。特別だと言う男性。聞こえてきた可笑しい声。家柄で差別されること。沈んでいく性格。絶えない生傷。視てみぬ振りをする教師。毎日のいじめ。家柄で判断し、盗みに入る者達。形だけの友情。

頭によみがえる痛々しい僕の過去。

もう、我慢が出来ない。壊れてしまいそう。

「誰かぁ〜!!・・・僕は・・・どうしたらいいんだよッッ!!!」
僕は、「誰か」に向けて叫んでいた。
直後、暖かい手が僕の頭を撫でる感覚。

懐かしい、どこか懐かしい、その感覚。

そして、彼の声。

「もう大丈夫ですよ。私がいます。」
優しい声が、僕のためだけに語りかける。安心した。
僕は、声でそれが誰なのか分かった。僕は、振り返った。
彼は・・・常葉君は微笑む。その笑顔は、昨日のものとは違う。
もっと心からの笑みに感じる。
昨日あった僕と彼との距離が、無くなった気がした。

「・・・ッ!常葉君・・・・僕は・・・・もう・・・」
常葉君は、僕を抱きしめてくれた。とっても温かかった。
そして何より、僕の心を落ち着かせてくれた。
彼は、僕に話しかけた。

「千鶴様。私には分かりますよ。貴方は、これまでずっと寂しくて、悲しかったんですよね。だから、泣きたかったんですよね。・・・もう大丈夫ですよ。貴方が神の元で世界を護ると言うなら、誰も貴方を咎めません。幸せを手に入れる事ができるのです・・・」
僕が世界を護る。大嫌いだったこの世界を護る。君たちは僕に無いものを持っている。だから僕は、君達に無いものを手に入れる。
相変わらず、常葉君は僕を抱き締めていた。
僕は、一つを決心した。
常葉君から体を離す。そして彼を正面から見つめた。

「僕は、世界を護る。それで幸せが手に入るなら・・・・!」
常葉君は優しく微笑んだ。


これが、僕の戦いの始まりだった。

僕の知らないきみたちが居るように、君たちの知らない僕だって居る。



<僕は、戦うことにしました。でもまだ、少し怖いです。しかし、常葉君が僕を支えてくれると言っていました。だから、信じてみます。>

Re: もしも僕が超能力を使えたら。 ( No.5 )
日時: 2012/05/13 16:11
名前: 璃夢 (ID: AdHCgzqg)

しゅいろさんへ☆

コメントを頂き、ほんっっっっとにありがとうございます!!
凄く嬉しいです〜(涙)
私の可笑しな小説を面白いといってくれる方がいるなんて!と、感動しています・・・
私、まだ12歳で言葉と言う物がよく分からないのですが、それでも面白いと言ってくれるヒトが・・・・!!
あ、前文と同じこと書いちゃいましたね、すいません。
ところで、しゅいろさんは小説かいてるんですか?
見に行きたいなーと思ってます♪

Re: もしも僕が超能力を使えたら。 ( No.6 )
日時: 2012/05/19 11:43
名前: 璃夢 (ID: zbxAunUZ)

記録:3「僕は雪が嫌いだと気付いた。」

いつも通りの朝。窓の外には、白い雪が積もっていた。昨日までの寒さとは程遠い、喉が詰まる様な寒さだ。
僕は息をゆっくりと吐いた。大分、この冷たい空気にも慣れてきた。
僕は、微笑む。視線の先には、僕の記録・・・大切なノートが無防備に置いてあった。
昨日書いたまま、仕舞うのを忘れていたのだろう。僕には珍しい事だが。

「・・・昨日までの僕とは、違う筈なんだ。」
僕は小さく呟いた。
そう、僕は択ばれた。神の傍らでこの汚れた世界を護ると。正直、神などと言う存在を、僕は信じていない。世界を護る心算だって、全く無いのだ。常葉君の嘘だ、と思っている。しかし余りにも彼が真剣過ぎる様な気がするのだ。それに、僕が倒れた時に居た、あの異空間。不穏な空気と、無音。この世のモノとは思えなかった。

僕は寒さが嫌いだ。
だが、少しずつ、受け入れようとしている。スキになろうとしている。
それは、僕にとって悪い事なのだろうか?
その時ふと、僕の脳裏に何か形になっていない疑問が過ぎった。

「神とは、誰の事なんだろう・・・・?」
常葉君が言っていた。
神は、神皇女とも呼ばれる存在だと。その生まれ持った能力で、人々やこの大地に、「運命」を作り出す・・・。
では、その神は誰なのだろうか?


7時40分・・・・・・。


「いけない!学校に行かないと・・・」
僕は静かな家に、階段を駆ける音を響かせた。
靴を履き、一度地面に叩きつけて履けたのを確認する。
そして一呼吸置いて、僕は呟いた。

「・・・・行って来ます・・」

              ☆
「神塚暮巴と言う。よろしく頼もう・・・と、言っておけば良いのかな?うだつの上がらない一教職員」
彼女は笑う。その笑みには、憎たらしい様な感情が篭っている事に、僕は気付いていた。

<僕は知りませんでした。今日唐突に、転校生と呼ばれる者が遣って来た事も、何もかも。>

神塚暮巴。僕ととても似た少女。しかし、僕とは違う何かを感じる。
それは、彼女の持って生まれた隠されし能力が特別とか、そういう感じの違和感だった。
何故僕にその様な事が出来るのか・・・?
それは、僕にも分からない。

「後で常葉君に聞いてみよう・・・」
僕は誰にも気付かれないように小さく呟いた。俯いていたから、きっと微妙に動いた口元を見ていたものはいないだろう。
僕は顔を上げた。この行動に、特に意味は無い。
転校生・・・。それは、余り僕の興味をそそる物では無かった。

「・・・・・・ッ!!!?」
直後、僕は声に出ない悲鳴を上げる。


「初めまして、だな。択ばれ人間、園原千鶴よ。我が誰なのか、その存在価値は何なのか、この世界は何なのか・・・君にとって思うところは多々・・・。」
僕は、逃げようとした。まずは右腕を机に着いて、立ち上がる・・・。そんな簡単な動作だった。
しかし、僕にはそれができなかった。否、神塚暮巴がそうしてのだろう。
焦る僕を横目に、彼女は異空間となった教室を歩き回る。そして、僕に対して声を絞る。

「君を択んだのは、君が能力を持って生まれていないからだ。我にとってそれは実に都合の良い事・・・。人間を絶滅させるにはな。人間を誅するのは我の私怨なれど、あやつらは邪悪なのだ。仕方あるまい」
何を言っているんだ?僕には意味が分からない。

体が動かない。どうしよう。しかしどうして神塚暮巴にこんな事ができるのだ!?

助けて・・・・ッ!常葉君・・・・・・
彼は既に、僕の目の前に居た。

「千鶴様!!ご無事ですか!?一体誰がこのような呪いを・・・」
「常葉君・・・・・!どうしてここに・・・」
僕は、突然現れた彼に問いかける。
常葉君は、僕に微笑んだ。あの、優しい笑顔で。

「当たり前です。・・・だって、呼んで下さったでしょう?僕の名を」
その時だった。
常葉君の後ろに、神塚暮巴が立っていたのだ。
彼女は、恐ろしい表情で僕と常葉君をただただ見詰めた。
一瞬、常葉君の表情が固まった。





「我に歯向かおうなど、所詮その志は無念なのだよ、常葉。大人しく我に従っておれば良かったろうに・・・残念だよ。優秀な部下を一人始末しなくてはいけないなんて・・・・・」





始末・・・・?
何を言っているの・・・・?常葉君・・・君は・・・。



「ッ!あ、貴方は・・・神皇女殿!何故・・・・」
常葉君は振り返って叫ぶ。神塚暮巴を睨みつける。神塚暮巴が・・・『神皇女』・・?それって・・・


<僕はその時初めて、神と出合ったのです。そう、神塚暮巴。彼女こそが・・・・・>





「大丈夫だ。安心せい。直に痛みも止む。それこそ、今の姿であるから痛みを感じるのであろう?さっさと戻れ。己の体に、な」
神塚暮巴は優しく微笑む。
それとは対照的に、常葉君は痛みに顔が歪んでいた。
怪我を負っているわけではない。

「神である我を逆らい、反逆した罰だと思え。まぁどうせ死んだら、記憶だけ失くして我に再び仕える事となるだろうがな」




<彼女が・・・・・・・・・・神なのです。>




常葉君は・・・・・・・・消えていた。


















僕は、元の世界に戻っていた。瞳から、汁を零しながら。







僕は雪が嫌いだ。どんなにスキになろうとしても、雪は嫌いだ。






<こうして、突然現れれた神・・・神塚暮巴に、僕の大切な道しるべともなる彼を・・・・消されてしまいました。>





           <しかし・・・>



「ほう、もう生まれてきたのか?早いな。今はただの死霊。人間と縁を結ぶ事は許されないぞ。分かっておるな?」
私の使役する者・・・それが神。
神は私に微笑みかける。だから私も、微笑み返した。

「はい、十分存じ上げております。だから前の私も罰を受けたのでしょう?」

「ふふ・・・やはり死んで記憶を失くしてもお主は優秀だ。やはりお主に授ける名は変えないでおこうか・・・・それでは常葉。」

「はい、神皇女・・・・」




「我がお主の主、使役するべき者だ。貴様はもう死んだ。人間ではない。これで、死ぬことも無いから、裏切ったら最後、悪魔として落とす。最後の召し上げだと思いえ」





<彼はまた、僕と一緒に同じ物を見ることになるのです。彼は・・・活きているのです。>

Re: もしも僕が超能力を使えたら。 ( No.7 )
日時: 2012/05/19 17:19
名前: 璃夢 (ID: zbxAunUZ)

記録:4「僕は君を護りたいと思った。」

<僕は、涙と言うモノを流しません。ずっと、15年間そう信じて生きてきたのですから。でも今日。僕は自分でも驚くほど涙を流しました。逸れは、彼が僕にとって大切なヒトだからなんでしょうか。それとも、ただ単に・・・・・・目の前でヒトが死んだからなんでしょうか>

僕は、今日の分のページに無理やり書き込んだ。ペンを持つ手に込められる力は、僕の感情を表しているのかもしれない。
僕は小さく息を吐いた。
寒さからだろう。僕の口から吐き出された息は、白く白くなり、そして消えてゆく。
モノは皆消えるのだ。それは人間だって例外ではない。と、僕は思う。
僕はノートを閉じた。ペンは、一番上の引き出しに仕舞った。コレが僕だ。そうだ。何もかも価値としてしか見えていないあの神とは違うんだ。
神にとっての常葉君の存在価値が無かったとしても、僕にとっては大切なヒトなんだ。なのに神は・・・。


僕の最悪な一日は、幕を閉じた。


               ☆

「園原千鶴さん、だったかな?精々仲良くしようか・・・隣だしな」
その出来事は、僕にとって最悪の事だった。
神塚暮巴。彼女が神である事は、既に昨日、理解した。
しかし、何故か彼女が同じ高校に通っている事までは、流石に僕にも考えていられなかった。
神塚暮巴は、僕とは始めて会った・・・という事にしているらしい。昨日の事も、僕が択ばれた事もまるで口に出さない。
唐突に、彼女が僕の右手に何かを握らせた。これは紙だろうか?

「・・・君を招待するために我は此処へ来たのだ。おっと、抵抗はするなよ。此処は今普通の学校なのだからな。抵抗すると言うならば、君も此処で始末しなくてはならない。」
神塚暮巴はそう呟いた。誰にも聞こえぬよう、声を潜めて。
一方僕は、その言葉の意味に興味を持っていた。
神からの招待・・・。此れはとても名誉な事では無いのか?僕は常葉君に言ったんだ。幸せが手に入る為ならば、何でもすると。例え逸れが誰かの命を奪うような命令だとしても、な。
僕は、彼女と同じように声を潜めて問い掛けた。

「それは、どういう意味だ?択ばれたと言うこの僕を、正式に神の元で働かせるとでも?」
正直、敬語を使おうかどうかにかなり迷った。
しかし僕の言葉は神塚暮巴の興味をそそる内容だったらしい。彼女は唐突に口元を緩めて笑い出した。

「ははっ!高が人間の癖に大口を叩こうとは!好いぞ、その勇敢な性格も纏めて、気に入った!今すぐにでも神宮に出向いて貰おう」
僕は、相変わらず笑い続けるあどけない神に、色々と聞きたい事があった為、神と同行ししばらくゆっくり話しが出来る状況が欲しいと言ってみた。すると呆気なく了承が出て、僕は神塚暮巴と共に行く事になった。


              ★

「それで、聴きたい事とは何だ?まさか、常葉の事か?」
興味津々と言った表情で僕を見詰める彼女は、全く「運命」を作り出す偉大なる神とは思えなかった。年相応の少女。それが彼女の第二印象だった。
僕は、神塚暮巴の質問にコクンと小さく頷いた。折角僕を気に入って貰った所で嫌われ、警戒されるのは余り好ましくなかったが、僕がどうしても聞きたいのは常葉君のことの他在りはしない。

「常葉君は生きているのか?昨日、あの場から唐突に消えたが・・・」
意外と、あっさり彼女は答えてくれた。

「ああ、生存確認か。それなら事実を教える他無いな。彼は死んだ。昨日、神への反逆罪と言う名目で、な。しかし、今彼は我に仕えている。きっと神宮へ行けば、常葉が迎えてくれるさ。」
死んだのに神に仕えている・・・?僕は彼女に聞き返した。

「ああ、我に仕えるのは、択ばれた死んだ人間・・・詰まり死霊。それと我が認めた特別な病の・・・否、怪我と言った方が正しいな。」
神塚暮巴が一人で何かを言っている。僕への回答はどうしたのだ。
僕はもう一度聞いた。

「それで?特別な病とは一体何なんだ?さっさと口を割れ、悪党」
此れは少し暴言だったかな・・・などと後悔したが、М(これは僕の勝手な推測の域だが)である彼女は咎める事も無く話を続けた。

「あ、すいまない。それは・・・脳死だ。千鶴も知っているだろう?あの、脳が死んでしまって動く事すら出来ない患者達を。・・・そういった患者は、全国に何万と居る。だからそいつらの精神を抜き出し具現化させ、無理やり我に使役させているのだよ。」
僕は、話を聞きながら幾つかの疑問を頭に浮かべていた。
そして、彼女が呼吸する為に話す事を止めるその一瞬の間を使って、質問してみた。

「何故!・・・・何故、脳死した人間なんだ?それに、今の話からすると常葉君は・・・・」

「ああ、常葉もその一人だ。何故脳死した人物なのか・・・それは、都合が良いからだよ。脳死は脳が死ぬ事で殆ど肉体が活動する事が無い。我から言ってしまえば、死んでいるのと同等の存在価値だ。それに逸何処で死のうが誰も困らない。だから使役させているのだ。まぁ、理由は我の身勝手な欲だけではないぞ?・・・彼等は脳が死んで動けない・・・。しかし心は生きている。だから『また走りたい』等の願望は一までも消えはしない。だから精神だけでも具現化させ、生かしているのだ。」
その発言は、恐ろしいモノだった。それが彼女の価値観なのか。

「・・・・そんなのは、可笑しい!脳死していたって存在価値は在る!たとえ動けなくても、人間なんだぞ!」
そんなのはどうでもいい、と神塚暮巴は話題を変える。

「ふぅん・・・。ま、それはいいんだ。ところで、良いのか?常葉は我への反逆罪で死んだ。周りからの嫌われようは酷い」




             ☆

「おかえりなさいませ、神皇女様。おや?そちらの女性は?」
神宮でまず最初に会ったのは、昨日のままの常葉君だった。

「ッ!!常葉君!・・・大丈夫か?」
僕は嬉しさの余り彼に駆け寄り抱きついてしまった。彼は、狐につままれたような顔で、僕の問いに答えた。

「あ・・・・特に、体に問題はありませんが?すいません、会った事ありましたか?少し記憶が曖昧で・・・」




「・・・・・・・・・・・え?」




僕は、彼から体を離した。そして正面から擬視する。彼は、嘘を吐かないヒトだと、ずっとそう思っていた。
しかし・・・・これは嘘とか、そういうモノではない。
僕は振り返って神塚暮巴に尋ねた。
「どういう事だ、これは。どうして常葉君が記憶を失っているんだ」
僕は、怒りの余り彼女を睨みつけた。



「そうだな、我への反逆の罰として殺した時に、同じ感情を抱いてまた逆らわぬようにと、生前の記憶を全て消したのだ」



周りに居た者達の声が聞こえる。僕は目を瞑った。

『嫌ね〜、またあの男を見ちゃったわ。汚れちゃう』
『本当、最悪よね〜。神皇女を裏切って殺されたらしいわよ』
『そうそう!私もそう聴いたわ。どうして神皇女はこんなモノ二度も使役させるのかしらね?』

















嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
この感情は・・・・僕の過去と似ている。

もう駄目だ。


誰も、不幸にさせたくない・・・・。


僕も、傷つきたくない・・・・・。でも・・・・。



「常葉君は僕が護る!例え記憶が無くても、また記憶を作ればいい!」






<僕は君を、護りたいと思った。知らない女に護られるなんて、常葉君も嫌がるかもしれないけど・・・






もう、君を死なせはしない・・・・・・・・!!!>





Re: もしも僕が超能力を使えたら。 ( No.8 )
日時: 2012/05/19 17:27
名前: 璃夢 (ID: zbxAunUZ)


第四話について・・・(お詫び)

ども、更新がかなり遅い璃夢です。
突然ですが、第四話で神塚暮巴さんが脳死した人間についてを酷く表現していた事で不快に思われた方がいたら、本当にすいませんでした。
とても反省しています。
しかし、心から軽蔑とかをしている訳ではなく、物語の進行にあたって、そう表現しないと神塚暮巴が悪いコに見えないかもしれない!と考えての第四話でした。
つまり、作者はそんなコト一切考えていません。
神塚暮巴と言うただの神と名のつくだけの15歳の世界を知らない箱入り娘のバカ丸出しの発言です・・・・。
本当に本当にごめんなさい・・・。

以上です


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