ダーク・ファンタジー小説
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- 「変態とは心外だな。俺にとっては普通のコト」
- 日時: 2016/02/07 17:07
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
ねえ、貴方には死体を見て興奮したり、眼球を集めていたり、人肉を食すことを好む子のことが理解できる?
理解出来ないのが普通だと思うわ。
でも、その子達だって自分のことを気味悪がってるところもあるの。特に後天性は。
後天性の子達が、そんな風になった訳。教えてあげるわ__
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元:雪音です。
前作った小説の方に何故か入れなくなってしまったのでリメイクついでに作りました!
これはなりきり掲示板の方でやっている指名制の異常性癖スレの指名キャラの過去とかの話です。
今度からエピソードごとに題名変えることにしました!
今はEpisodeDなのでまた変更!
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.7 )
- 日時: 2015/12/17 07:06
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」
EpisodeA 藍沢奏音 Ⅵ
「……ちゃん、ノンちゃん!!」
無駄に煩い和音の声で目覚める。
薄っすら目を開けるとどこか心配したような顔の和音が目に映る。
「帰ってたんだ…和音」
むくりと起き上がるとなんだか頭が痛い。目も腫れていて不細工だろう。
「大丈夫?ノンちゃん。目腫れてるよ…」
心配そうにそう言い、私の方へ手が伸びる。
_私を裏切ったニンゲンと同じ手が…
怖い、嫌だ、触らないで!!!!
ぱしん、と音を立てて和音の手を叩き落とす。
ぇ…、と小さく声を漏らし、驚いた顔の和音。
いくら双子の妹等はいえ、私を裏切った奴らと同じ手。
触れられたくない。
「の、ノンちゃん……?」
『ノンちゃん』と頭の中でオリの声が流れる。
私の元から離れて行ったあの子の声が。
やめて、呼ばないで、その呼び名で一生…
「呼ばないでよ…」
消え入りそうな声で言う。和音に届いているか分からない声。
和音にも触られたくない、名前も呼ばれたくない。
和音の事も、もう信じられない。
もしかしたら和音もいつか、私を喰いちぎってしまうかもしれない。
そんなの嫌だ。母さんや、父さんがたどった末路を辿るのだけは御免だ。
もしかしたら兄さんだって、私を燃やしてしまうかもしれない。
そう考えるとなにも信じられない。
いっその事、部屋に引き籠ってしまおうか。
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.8 )
- 日時: 2015/12/17 19:28
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」
EpisodeA 藍沢奏音 Ⅶ
「……ふぅ…」
部屋の鍵を閉める。ここの部屋は内側からしか開かないから入ってこれないはずだ。
もう、誰とも会いたくない。誰も信じられない。
ドアの前にしゃがみ込む。
「ッ……」
ギュッと下唇を噛んで涙を必死に堪える。
和音に触れられることを拒絶した時、少しの罪悪感があった。
幼い頃からずっと一緒だった和音。中学の頃だって、クラスは違っても休み時間に会って話したり、一緒に帰ったり。
和音に触れられる、名前を呼ばれるのを拒絶したのは今日が初めて。
ちょっとは後悔している。
でも、あの時は本当に嫌だった。オリと同じ呼び名で、呼ばれるのが。
本当に、和音はいつか私を裏切っちゃうのかな…。
兄さんも、きっとそうだ。
皆いつかは裏切って、私を一人にしていくんだ。
部屋に居れば安心。誰も来ないし、一人っきりの生活。
パソコンだってあるから外の事もわかる。
外に出なくたって、生活できるんだ。
学校みたいなあんな地獄へ行かなくても良い。
誰にも会わなくていい。
何て最高なんだろう。
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.9 )
- 日時: 2015/12/18 17:40
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」
EpisodeA 藍沢奏音 Ⅷ
……外では今、卒業式が行われている時期だろうか。
3月は卒業の季節だもんなー、なんてベッドの端に座り、考える。
学校へ行き事をやめた私には関係ない話だけどさ。何となく、考えちゃう。
「学校…か」
冬からずっと学校へ行っていない。行く気にもなれないし、行きたくもない。
そんなことを思っていると玄関から、ピンポーンとインターホンの鳴る音。
今日は平日。当たり前のように兄さんも、和音もいない。
人に会うのは正直言って嫌だけど、部屋から出て、玄関へ向かう。
荷物だったら受け取ればいいだけだしね。
「……」
無言でドアを開けると頭上から、久しぶりだな、と声が聞こえる。
顔を見なくても、声だけで分かった。
『ね、君藍原奏音ちゃんだよね』
『俺さー、君の事結構気になってるんだよねー。ね、俺と付き合ってみない?』
『俺結構人気でしょー?そんな人気の先輩の彼女だったら友達に自慢できるよー』
あの時の、私とオリが離れる原因になったあの男の声。
「いやー、合ってて良かったよ。君の友達の夏織ちゃんに住所訊いてよかったー」
ヘラヘラと笑いながらそう言う。
夏織ちゃん。一番聞きたくない名前。
夏織、かおり、カオリ、オリ!
何度か私の家で勉強を一緒にしたから住所は知っている。
でも、何でこの人に教えちゃうの…!!
「ねえ、この頃学校来てないけどどうしたの?俺とキスしたのから冷やかされて嫌になった?」
グッと顔を近づけられる。
気持ち悪い、吐き気がする。
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.10 )
- 日時: 2015/12/18 20:56
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」
EpisodeA 藍沢奏音 Ⅸ
「…何か喋れよ」
一気に声のトーンが下がった。
声を出そうにも喉に声が張り付いて声が出ない。
段々近づく顔、あの時と一緒。
私が最後に学校へ行った日の前日と
オリと離れた日の前日と
全てが狂い始めた日と…
同じ。
「嫌ッ」
思いっきり押してドアを閉めようとする。
尻餅をついた程度ですぐに起き上がり、ドアを抑えられて結局は閉められなかった。
「おいおい、何すんだよ」
怖い、嫌だ、怖い!
ニンゲンは誰で怖い。
ふと、服のポケットに手を突っ込む。
細長い棒状のものを触り、取り出す。
黄色い、ちょっと大きめのカッター。何となくポケットに入れていたカッター。
…コレで刺して、死んじゃっても正当防衛だよね?私。
カチカチカチと音を立てて、カッターの刃を出す。
「お、おい。何やってんだよ。
少し怯えたような声が聞こえる。
さっきの威勢のいい声はどうしたんですかー?なんて笑いたくなっちゃう。
「何って、刺すんですよ。これを、貴方の身体に」
コテン、と首をかしげて言う。
「は、や、やめろ…!」
「何言ってるんですか。そっちが先にやってきたんじゃないですか。
貴方のせいで私が壊れちゃったんですよ?責任もって死んでください」
肉に刺さる感覚。なんだか気持ち悪い。
カッターを抜くと、傷口から血が溢れだす。
でも、もっとやらないと死なないね。
ザクリ、ザクリ、ザクリ・・・
どんどん増えていく傷。溢れる血。
どんどん血が引いて冷えていく身体。
よく見たらスッゴイ……
「綺麗…」
- Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.11 )
- 日時: 2015/12/19 08:01
- 名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」
EpisodeA 藍沢奏音 Ⅹ
「アハ…アハハハ…アハハハハ」
スッゴイ綺麗、さっきまで生身の人間だとは思えない…。
血の引いて青白くなった肌、どんな言葉も発さない口
何でこんなに綺麗なんだろう…
死んじゃってるんだし、私の部屋に持ってても良いよね。
腐りかけたら和音にでもあげよう。あの子だったら喜んでくれる。
ずるずると2階の部屋まで引っ張っていく。
ちゃんと床に付いた血は後でふき取る。
今は、この美しい死体をもっと見ていたい…。
「あーあ。この後どうしよう…」
死体を床に置き、ベッドに寝転がる。
確か、和音や兄さんと同じ異常性癖に、死体を好む性癖もあったな。
何だっけ…ネクロフィリア?だっけ。
昔から兄さんや和音みたいな異常にはなりたくない。って思ってたけど遂に私も仲間入りかー。
そう思ったらふっと自分の中で何かが切れたような気がした。
和音がカニバリズムになる前は無邪気な子供だった。
でも、妹でさえ異常性癖者になったから私はならないように。って気を張り詰めていた。
小学生の頃は、冷徹、毒舌、辛辣女、なんて言われ続けたくらいの性格だ。
今はもう、私も異常性癖者。そんなことを気にしなくっていいんだよね。
昔みたいに少しは無邪気に生きていいのかな…ちょっとは邪気あるかもだけど。
もう、自分を作るのやめて自由に生きよう…。