ダーク・ファンタジー小説

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「変態とは心外だな。俺にとっては普通のコト」
日時: 2016/02/07 17:07
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)

 ねえ、貴方には死体を見て興奮したり、眼球を集めていたり、人肉を食すことを好む子のことが理解できる?

理解出来ないのが普通だと思うわ。

でも、その子達だって自分のことを気味悪がってるところもあるの。特に後天性は。

後天性の子達が、そんな風になった訳。教えてあげるわ__

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元:雪音です。

前作った小説の方に何故か入れなくなってしまったのでリメイクついでに作りました!

これはなりきり掲示板の方でやっている指名制の異常性癖スレの指名キャラの過去とかの話です。


今度からエピソードごとに題名変えることにしました!

今はEpisodeDなのでまた変更!

Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.2 )
日時: 2015/12/16 19:21
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」

Episode A 藍沢奏音 Ⅰ

私のみの周りには、異常性癖者が常にいた。

兄の梨音はピロフィリア。つまり火災性愛。妹の和音はカニバリズム。つまり食人性愛。

兄さんの方は生まれつきで和音は後天性。後天性と言っても本当に小さい頃だったから生まれつきと言っても過言ではない。

一方の私は、ただの人間。異常性癖の無い、ただの人間だ。

実力テストでは学年3位に必ず入る。でも、運動は全然ダメでいつもクラスの人に笑われる。

『奏音ちゃんてさ、頭良いのに運動音痴だよね』って。

そして、テストが返ってきたときに言われたこと。

『カンニングでもしてるの?』。

ある一人がそんな事を言ったせいで根も葉もない噂は、一気に学内に広まった。

廊下を歩いて他のクラスの子とすれ違うたびに指を指され笑われる。

先生が注意すると『ヒーキされてるよねー』とか言われる。

___ただの噂だけでこんなことになる。

親友だと思っていた子も、そんな噂が広まった途端、皆離れて行った。

ただそれだけで離れる、上辺だけの友達だったんだ。

中学、高校1年は友人が全く居ない状態で過ごした。





転機が来たのが高校2年生の夏だった___。

Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.3 )
日時: 2015/12/16 19:35
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」

EpisodeA 藍沢奏音 Ⅱ

高校2年の夏。彼女は編入してきた。

「藍那夏織です。よろしくお願いしますね」

あの可愛らしい笑顔はよく覚えている。

あの時、「苗字に藍が入ってるから」という謎の理由で彼女は私の隣の席になって学校案内も任された。

テストで高得点をとっても他の子みたいに『カンニング』とか言わない。

「奏音ちゃん頭良いんだねー。凄い!」

なんて目を輝かせて私の答案を見ていた。

「別に。凄くないよこれぐらいの点数」

冷たく接しても、彼女は「凄いよー」とか言ってくる。

この子は他の子と違う。そう思った。

この子なら、私を裏切ったりはしない。って。


 *   *    *

「奏音ちゃん、次移動だよね?一緒に行こう!!」

「………うん。いいよ」

薄っすら微笑みを浮かべてみる。滅多に笑わないため、彼女も一瞬驚いた表情をしてた。

「ね、私の事オリって呼んで!」

「オリ?」

「うん!私の前の学校の愛称。『かおり』だから最後の2文字取ってオリ」

ニコッと笑いどこか誇らしげにそう言う彼女。

「ん、分かった。じゃあ私の事はノンって呼んで。妹からそう呼ばれてるから」

分かったー、とニコニコしながら言うオリ。



この時期が一番幸せだったかもね。

Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.4 )
日時: 2015/12/16 19:57
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」

EpisodeA 藍沢奏音 Ⅲ

高校2年も残り少なくなってきた冬。

いつものようにオリと理科室へ移動中。

「ぁ...」

小さく声を出したオリの視界の先には、クラスの女子に人気の先輩。

「へー、オリってあの先輩好きなのー?」

ちょっとからかい気味に言ってみる。別に、オリが誰を好きになろうが私には関係ない。

「ぇ、あ、うん…でも、話したこともちょっとしかないしすれ違うだけで幸せなんだ」

少し寂しげに笑うオリ。

「青春してますね〜」

「むぅ…ノンちゃんは気になる人はいないの?」

「いないよー。恋愛に興味ないし」

苦笑気味のそう言う。本当に、恋愛に何て興味はない。

「ノンちゃんは可愛いんだから絶対近いうちに告白されるよー」

「何その予想ー」なんてクスクス笑いながら言う。

告白されたって、全く嬉しくなんてない。


 *   *    *

「ね、君藍原奏音ちゃんだよね」

校門を出かけたところで話しかけられた。

ああ、オリが気になってる先輩か。顔を見て納得する。

「俺さー、君の事結構気になってるんだよねー。ね、俺と付き合ってみない?」

俺結構人気でしょー?そんな人気の先輩の彼女だったら友達に自慢できるよー。なんてウザったらしいことを言う。

「遠慮しておきます。私、恋愛事に興味ないですし。貴方の事も興味ないで…」

こんな出来事、漫画や小説の中だけかと思ってた。

口を口を塞がれる。周りには多くの人。それに写真を撮ってる人もいる。

無理やり引きはがして逃げる。足が遅いから追いつくんじゃないかとおもって心配だったが追って来ていなかった。

……明日、最悪な事が起きそうで怖い。

Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.5 )
日時: 2015/12/16 20:14
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」

EpisodeA 藍沢奏音 Ⅳ

あの後、家に帰って口をよく洗った。いくら洗っても唇が触れた感覚は今でも残っていて気持ち悪い。

朝、教室に入った瞬間静寂が訪れ、急にクスクスと女子を中心に笑い出す。

何やってるんだろう。と思いながら席に着くと『よくアレ気にしないでいられるよねー』なんて聞こえる。

なんとなく、黒板を見ると【藍沢奏音 校門前で先輩に強引にキス!?】と書かれていて、周りには昨日の写真が貼られている。

違う、私がキスしたわけじゃない、無理やりキスされたんだ。

あれを見た瞬間、オリの顔が脳裏に浮かんだ。

『ぇ、あ、うん…でも、話したこともちょっとしかないしすれ違うだけで幸せなんだ』って言って寂しげに微笑んだあの顔を。

「ね、ノンちゃん…アレ、本当…?」

音もなく近づいてきた、オリ。青ざめた顔で黒板を指さす。

「あんなの嘘だよ!私がそんなことするはずな「藍沢さんからキスしてたじゃーん。私見てたよー、昨日」ッ…!」

否定しようにも遮られて何も言えない。

「ノンちゃんさ、私が先輩の事好きって知ってたよね…?ノンちゃん、恋愛に興味ないって言ってたよね。アレ、嘘だったの…?」

涙を瞳一杯に溜めて、訊いてくる。

止めてよその顔。泣きたいのはこっちだよ。

「そーだよー。藍那さん。藍原さんてサイテーだよね。私同中だから知ってるけどさ、テストでいい点取ってるのはカンニングしてるからなんだよ」

違う、違う、違う…!

「そ、だったんだ…。ノンちゃん、そんな人だったんだね…」

涙を流しながらそう言うオリ。

「そんな人と私、関わりたくないな………」

Re: 「私達が異常と化したわけ。知りたい?」 ( No.6 )
日時: 2015/12/16 20:29
名前: 雨音 (ID: HKLnqVHP)
参照: http://「みんな私の事を異常って言うけど、私から見たら貴方たちも十分異常」

EpisodeA 藍沢奏音 Ⅴ

「そんな人と私、関わりたくないな………」

ずきりと胸が痛んだ。オリも結局は、あの子達と同じ。上辺だけの友人。

「もう、話しかけないで…」

追い打ちをかけられた気分。泣きたい、でも、泣いたらなんだか負けのような気がする。

カバンを掴み、教室を出る。早足で、はやく、この場を去りたかった。

もう学校へ行きたくない。ずっと部屋に居たい。

一番信用していたオリにまで嫌われたら学校に行く意味なんてない。

人間なんて、信じられない。何も信用できない。

__ニンゲンなんてシンヨウできない


「ただいま…」

誰もいない家に帰る。

兄さんも、和音も学校に行っていて居ない。一人ぼっちの時間。

ふっと、自分の中で何かが緩んで涙が溢れだす。


私はなにも悪くない

寧ろ私が被害者だ

無理やりキスされたのに、私が無理やりキスをしたことになってる

違うって言っても誰も信じてくれない

根も葉もない噂を言うだけのクラスメイト

根も葉もない噂に騙されて私の元から離れて行ったオリ










私は一体、だれを信じて生きて行けばいいの


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