ダーク・ファンタジー小説

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幼き心のひと雫【更新再開】
日時: 2019/03/10 08:13
名前: 月兎 (ID: anGEJHLL)

簡単ではありますが、あらすじを紹介します!!

小学五年生の葉子ようこは3年前に殺人事件で母親を亡くし、

父親と二人暮らし。それまでは幸せに暮らしていた。

が、葉子の身に怪異が襲う!!

そこに現れたのは……

こんなあらすじとなっています。

次に登場人物の紹介をします!!

・月森 葉子(つきもり ようこ)…小学五年生の女の子。3年前に母親を亡くした。
・霜田 瑠璃香(しもだ るりか)…図書館で知り合った。オカルト女子。

更新ペース

亀の歩くスピードよりも遅い







目次(完結した章のみ)

序章(第1章)〜忍び寄る怪異〜 >>01-19

第2章 〜光と影〜 >>20-35

第3章 〜明かされた真実〜 >>36-48
その他
・第三章…グロ注意!!
・この小説はいつになったら完結するのでしょうか……

お知らせ
・とくにないと思う

Re: 幼き心のひと雫【一部変更あり】 ( No.25 )
日時: 2017/08/10 15:29
名前: 月兎 (ID: VpfXouOp)

「葉子……」「……………」「元気出しなって!」「でも……」「…でも、じゃない!!……前も言ったけど……最初は受け入れなくったっていい……だから……だから元気出せ!!それと、お前に聞きたい事がある…【きり子さん】の生前の名前は?」「……小野 桐子」


(やっぱりそうだったのか……)


「多分、そいつは【きり子さん】じゃない……」「え……」「本当の【きり子さん】は……」「?」「細川 桐子、だ……」「な……じゃあ…あの【きり子さん】は一体…」「影異怪華、だ……」「うそ……で…しょ……」「ただ、あいつは今回の怪異の黒幕ではない……」「……………」「今から話をする。しっかりと聞いておけ。」「………はい。」




「本物の【きり子さん】は細川桐子。だが、こいつは“コトリバコ”という怪異の影響を受けている。この怪異はとてつもなくグロテスクだ。見た目は何の変哲もない細工箱だが、問題なのは箱の中身だ。中身は子供の血で満たし、入れる[もの]は小指や内臓なんかだ。この呪いの強さは箱の中に何人の子供の体の一部を入れるかで変わる。それは一人から順にいくと、「イッポウ」「ニホウ」「サンポウ」「シホウ」「ゴホウ」「ロッポウ」「チッポウ」「ハッカイ」だ。この怪異の怖いところは、呪う対象だけではなく呪った本人にまで影響を受けるという事だ。まさに『人を呪わば穴二つ』だな。そして、細川桐子はこの“コトリバコ”、いや“子獲り箱”の影響を受けた。だが、細川桐子は呪われた側ではなく呪った側だ。………間接的にだがな。あの時、桐子の遺族は会社を恨み、そして気がついた。……桐子の遺体を利用して会社を呪おうと。そして会社は一ヶ月もしないうちにつぶれた……呪いは効いた。それと同時に遺族も亡くなった。呪いの影響でね……そのせいで桐子は箱の呪いに縛られてしまった。桐子は何もかも恨んだ。そして、自分と同じように誰かを呪ってやろうと思った。………【きり子さん】の最初の犠牲者が影異 怪華…いや、小野桐子だ。これはとてつもなくたちが悪い。最初の犠牲者の名前も桐子だ。だから細川桐子は自分の代わりにお前が殺せ、そう命じた。」


「……分かるか?葉子…」「……じゃあ…怪華ちゃんは………」「ああ…そういう事だ。」「そんな……ゆるせない!!」「……葉子、いよいよ怪異の終焉が見えてきたが……やれるか?」
「……はい!」「……ふふ」「瑠璃香さん、なんか言いました?」「何も言ってないよ?」「そうですか…」「でも、変わったよな…お前。」「え?」「最初会ったときは弱々しく見えたのに、今は何でもやれるってかんじだぞ?」「そう……ですか?」「ああ。」「……………」「どうかしたか?」「いえ、何も。」「そうか……」


私は、初めて感じた。瑠璃香さんが心の底から笑顔になったのを。



「思ったんですけど……」「ん?」「最初に瑠璃香さんに会った時のあのアナウンスは一体……」「ああ、あれか。あれは【鬼ゴッコ】だな…」「……え?」「不定期で不特定の場所で行われるやつだ。だから誰の身にも起こりうる。」「そうなんだ……」「……これでいいか?」「はい……ということは、【きり子さん】は関係ないんですか?」「………さあな…」「え……」「だって……お前に会う以前の事をあたしが知ってるわけないだろ?」「それもそうだけど……」「……………」「………あの…」「…………」「なんか…ごめんなさい……」「ふん…勝手にしろ……」「……………」


(どうしよう……気まずい空気になっちゃった……)


「………」「…なぁ、葉子……」「………」「……ふふ…………気まずいって…思ってるだろ?」「え……どうしてそんなこと……」「…顔に出てる。ただそれだけだ。それとお前…人に何かものを言うんならはっきり言え。そうしないと相手の失礼にあたる。」「わ……わかりました…」「…………。」「……?」「何でもないよ」「そうですか…」


ープルルル…

「もしもし…?」


「なっ…本当ですか!?すぐ行きます!!」




「葉子、どうかしたのか?」「理由は見れば分かると思います!今は急いでついてきてください!!」「ああ。分かった!!」


何故気付かなかったんだろう……こんなことに……命の危険が迫っている、もうすぐで儚き命が消えてしまうとあれだけ……あれだけ忠告があったのに……何故今まで気付かなかったんだろう……本当に私は馬鹿だ……今までに救えた命はいくらでもあったはずなのに……少しも救えていない……今回も……救えないの?また…見殺しにするの??ダメに決まってる…そんなこと……誰も許すはずないよ……ごめんね?救えなかったら……本当は救える命だったはずなのにね……馬鹿な私で……ごめんなさい………






光ちゃん…





つづく……

Re: 幼き心のひと雫 ( No.26 )
日時: 2017/10/18 06:28
名前: 月兎 (ID: vstNT7v3)






………一つの物語が終わった。





小さな小さな物語が今日、幕を閉じた。





あの言葉が頭の中を駆けめぐる。






『かさき ひかり は もうすぐ いのちを たつ よ』






あの言葉は本当だった。





私はあの約束を破った。





ごめんね?光ちゃん……






私は瑠璃香さんと共に病院へと急いだ。でも…分かってる……助からないことぐらい……




「葉子……」「もういいんです……」「お前っ…友達を何とも思っていないのか!?友達をなくして何とも思わないのか!?」「瑠璃香さん……」「それに…!まだ死んだって決まったわけじゃないだろ!!」「いえ……死んじゃったんです……本当に…。……さっき電話で告げられたんです……『自殺した』って……でも前に夢を見たんです……光ちゃんがもうすぐで死んでしまう事を告げられる夢を……虫の知らせだったんですかね……あれは……。」「……………」「途中で花でも買いましょうか……」「……そうだね……」



光ちゃんが言っていた『太陽と月』というのは本当だったのかもしれない。でも、私にとっては光ちゃんが『太陽』のような存在だったと思う。私は光ちゃんがいてくれたから楽しい日々を過ごせた、そう思う。
あの夢で見た白い影は光ちゃんの『迷い』だったのかもしれない。


「…葉子……」「………」「…ッ……!!いい加減…ッ………いい加減元気出せよ!!……お前がそんなんだったら………あいつは天国で安心できねぇんだよ!!」「……そうですね……その通りです……私がいつまでも悲しんでいると光ちゃんだって……光ちゃんだって天国で幸せに暮らせないはず……」「……その通りだな…」「瑠璃香さん…」「……何だ?」「…いえ、何でも……」「……………」「あの…一つ話をしてもいいですか?」「……ん?」

「これは2年前に亡くした親友の話です…」





2年前、私の大親友が命を絶った。……自殺だった……それに、私はその光景を見ていた。そう、私は親友を見殺しにしてしまった。本当は救える命だったのに……なぜ救えなかったのだろう……






ーーーーー2年前…


「……無理かもしれない」

「…え?」

「……私は葉子を信じてる。だから私のお願い……聞いてくれる?」

「う…うん……」

「明日の夜、星空公園に来て。」

「……何で?」

「…いいから来て。それと、そこで見たことは誰にも言わないで。分かった?」

「…分かった……」

「じゃ、明日の11時に星空公園に来てね〜。バイバ〜イ。」

「………。」



~星空公園

「よし……葉子、準備はいい?」

「うん……」

「じゃ、始めるよ……」


その時は暗くて周りがよく見えなかったが、確かに聞こえた。肉をえぐるような音が……私は怖くなってその場から逃げ出した。親友を置いて……その次の朝、公園に行くと、[生きている]親友には出会えなかった。私は後悔した。あの時……あの時親友を止めていれば……こんなことにはならなかったのかもしれない……でも…もう遅い……


【私は葉子を信じてる】


この言葉が今でもはっきりと残っている。後日親友について分かったことがある。それは、親友には持病があり、あの時点で余命数週間であったという事だ。親友は生前にその事を一度も話してくれなかった。他人には話しているのに……私はその事を責めた。責めてしまった。死人を責めても何も変わらないはずなのに……親友は何も悪くないのに……悪いのは私なのに……


私は親友の葬式には行かなかった。行く勇気がなかった。親友を責めた私が行く価値はないと思った。






「それで、私は毎年親友の命日に合わせてお墓参りに行くようにしているんです……」 「……お前は光と親友の境遇が似ている、と言いたいのか……」「……その通りです…………」「……−−しれないな。」 「え?」「2人はお前に命を託したのかもしれないな。」「そう…ですね……」「ふふ……泣くんじゃねぇよ。」「はい…そうですね……」「さてと…ここが病院か……」



私と瑠璃香さんは光ちゃんの遺体のそばに献花をした。光ちゃんの死に顔は穏やかだった。死んでいるとは思えなかった。彼女は永い永い夢を見ているのだと思った。彼女が永い夢から覚めたら幸せな人生を送ってほしい。いや、誰もが幸せな人生を送ってほしい。そう思う。




~自ら命を絶った二人。どちらも、自分の境遇に苦しめられていた。命を絶つことで苦しみから解放される。しかし、それと同時に悲しむ人もいる。自分を信じている人だっていたはずだった。しかし、その想いを裏切ってしまった。その気持ちは命が消えたとしても、消えることはないだろう。~

To be continue……

Re: 幼き心のひと雫【一部変更あり】 ( No.27 )
日時: 2017/11/11 07:00
名前: 月兎 (ID: mextbE/J)

同じ頃…

(…葉子ちゃん……)

私は、影夜の陰謀を止めるために、【コトリバコ】の埋められている場所を探している。……見つかりそうにもないけれど。でも、絶対に見つけてやりたかった。もう誰も怪異の犠牲にはなってほしくなかったから。……………ごめんね……葉子ちゃん……



当初、影夜は私に葉子ちゃんを殺せ、と命じた。私はその通りにした。けれど、殺すことができなかった。その理由は、影夜の言っていた通り私の心に[迷い]があったからだ。




…………違う。









そんなんじゃない。



本当は、最初から殺そうだなんて考えは持っていなかった。あの時だって葉子ちゃんを殺さないと心に誓っていた。しかし、突然魔が差した。葉子ちゃんを殺せば、呪いから解放されると思った。そして………。そして突き落としてしまった……私はずっとその事を後悔していた。そして、あるとき決断した。今度こそ、葉子ちゃんを守ってみせるって……この異変の元凶である影夜を絶対に倒すって……





別の場所では……


「ここが噂の学校ね……でも案外綺麗じゃない……」



私の名は神崎 桜(かんざき さくら)。とある神社で巫女をしている。これから、噂の学校で心霊検証をするところだ。そして、悪霊たちを退治する。それが私の任務だ。

「まずは……【赤い服の女】ね…」

見つけるのには、時間が必要だ。しかし、面倒くさい。それが私の本音だ。


でも、案外簡単に見つかった。………退治するのは面倒。それが私の本音だ。


いやいや、巫女たる者がそんなことを言っていいはずがない。


私は大きく息を吸った。なぜかって?それはもちろん、幽霊退治の呪文を言うためだから……





レナクナイヨイレ レナクナイヨウョリクア イナデハココハョシバキベルイノエマオ レサエキヨイレ



『悪霊退散!!』



「………ふぅ…」


私は悪霊を退治することに何の躊躇いも持っていない。悪さをする霊を退治して何が悪い。…………………そうだよね?椛……








つづく……

Re: 幼き心のひと雫【一部変更あり】 ( No.28 )
日時: 2017/11/11 07:05
名前: 月兎 (ID: mextbE/J)

私は星空小学校へと向かっている。学校では怪華ちゃんが待っている。………胸騒ぎがした。


『…影異怪華って子…知ってる?』


『はい…』


『友達?』


『はい…』


『殺されかけた?』


『……はい…』


『憎んでる?』


『いえ……』


『…殺そうと思ったらいつでも殺せる?』


『……いえ…』


『……さっき彼女に会って話を聞いてきたんだけど、今回の件…反省しているみたいよ?』


『…そうですか……』


『彼女が言ってたわ。“影夜には気をつけて”って。この意味分かる?』


『……命には気をつけろ、って事ですか…?』


『そゆこと』


『……………。』


『じゃあね〜』





『………………』








怪華ちゃんは……もうすぐいなくなってしまうかもしれない……




そんな気がした。あの時、あの女性は私に質問をしていた。あの女性は私が怪華ちゃんに対して恨みを持っていない事を確認した。………消される……怪華ちゃんが退治されてしまう……そんな気がした。






〜数週間前……




「……なるほどな…」「はい…」「怪華っていうやつは、………お前を庇っていたのかもな……」「……え?」「よく考えてみろ……あいつは影夜っていうやつからお前を救い出したかったんだろ?」「…はい……」「お前を突き落として、“死んだ”と思わせたかったんだよ……あいつは……」「……なっ!?」「…友達のくせに……友達の気持ちも分からないのか……お前は…」「……すみません…」「謝るならあいつに謝れ。………知ってるか?葉子。」「…何がですか?」「幽霊っていうのはな、“思い”がなくなると成仏してしまうんだ……」「…え!?じゃあ怪華ちゃんは!?」「…あいつを呪いから解放できればの話だがな………。“思い”がなくなるとなぜ成仏するのか分かるか?」「…この世に思い残すものがなくなったからですか?」「ああ……生きている人間も同じ事だがな……」「………。そういう事言わないでくださいよ……」「………その巫女はお前とあいつの事を知っていたのか?」「……はい…」「……今のうちにあいつに会って伝えたい事を全て伝えろ。」「……どうしてですか?」「……あの巫女に消されるから………」「……え…」「……今の言葉は真実だ。……真っ直ぐに受け止めろ。」「……………………そん…………な…………」






あの時、瑠璃香さんに告げられた真実は、真っ直ぐに受け止める事ができなかった。受け止めたくなかった。けれど、受け止めることにした。これ以上逃げてはいけないと思った。






(行かないで……怪華ちゃん……置いて行かないで……怪華ちゃん……)








一方……




「どうして……こんな所に……」




私は勘違いをしていた。………いや、この学校のみんなが勘違いをしていた。何年か前にある生徒がこの地に“タイムカプセル”を埋めた。………何者かは分からないが、あの“呪われし箱”を勝手に持ち出したらしい。そうでなければ、この学校に埋められているはずがない。……こんなことばかり気にしていたら、きりがない。早くこの箱を取り出し……





「そこで何をしているの?」



「なっ!?」




そこには、確かに影夜……細川桐子がいた。




「ふふふ…………久しぶりね、小野桐子………」








つづく……

Re: 幼き心のひと雫【一部変更あり】 ( No.29 )
日時: 2017/11/22 18:40
名前: 月兎 (ID: B4StDirx)

「……………」





「…瑠璃香?」





「………………」





「生きてる?」





「…………………」





「るーりーか!!」





「……千香…」





「なぁに?」


「真面目に聞いてくれる?」


「…………うん…」


「……私…………もうすぐで死ぬかも……」


「………………………………………………え?」


「“例の件”の事なんだけどさ………」


「……うん………」


「どうやら私だけでは手に負えないみたいなんだ……」


「……………うん…」


「だからね…………私、今回の異変の元凶に殺されるかもしれないんだ………」


「…………え?」


「………だから、千香に最後に伝えたいんだ……………。ありがとう。」


「……………………………」




「……千香?」





「……ッ!!………っざけんじゃないわよ!!私はね、瑠璃香のためだと思って今まで馬鹿明るく接してきたのに……母親を亡くして悲しむあんたを元気づけようとしてるのに………!!それじゃあ無意味じゃない!!何?あんたは今までの私の親切心を無駄にするの??あんたは………あんたは私を何だと思ってるの??」

「……千香………ごめん……」


私は、本気で怒った千香を初めて見た……
そうだ……千香は私を気遣ってくれていたんだ……
それに気づけていなかった私は本当に馬鹿だ……
ここまで生きてきて、何一つとして千香に感謝をしなかった……
今までの時間は何だったのだろう……




千香はその場に泣き崩れた。大粒の涙と千香の悲壮の叫びは、私の心に目には見えない何かを問いかけていた。けれど、私はその問いに気づけなかった。なぜかって?



………………。




……………。




だって分かるわけないよ……そんなもの…………。

そう、大切なモノを失って初めて分かるんだもの………。

ごめんね?千香…………

ふふ……本当に私って馬鹿だな…………。

……………













さようなら………千香………。













つづく……


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