ダーク・ファンタジー小説
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- ニンゲン消去ボタン【一話完結】
- 日時: 2016/12/21 19:39
- 名前: 北風 (ID: rk41/cF2)
北風です。
シリアス・ダークで書かせていただくのは初めてとなります。
この小説はオムニバスストーリーとなっており、人間の存在を『無かったことに出来る』ボタンの話です。
未熟な所もありますが、楽しんで頂ければ幸いです。
コメントやアドバイスは大歓迎です。
- Re: ニンゲン消去ボタン ( No.1 )
- 日時: 2016/04/02 17:55
- 名前: 北風 (ID: fpEl6qfM)
★第一話
★水野 沙希
——さきちゃん!
なあに、まみちゃん?
——わたしたち、しんゆうだよね?
とうぜんでしょ!ずーっとずっとしんゆうだよ。
——よかった!ねえ、さきちゃん。
なあに?
——わたし、さきちゃんのこと、だいすき!
わたしも!
ジリリリリリリ………
「ん………」
目覚ましの音で私、水野沙希は眼を覚ました。
また、あの夢か……。
幼稚園時代の思い出。
私の14年間の人生の中で、最も楽しかった思い出。
「嫌な夢………吐き気がする」
そう呟いて、私は溜め息を吐いた。
「沙希ーそろそろ起きなさーい」
「もう起きてるー!」
起こしに来たお母さんに意味の無い反論をすると、私はベッドから降りた。
通学路を歩いていると、「やっほ」という声と共に肩を叩かれた。
「おはよ、沙希ちゃん」
振り向くと満面の笑みを浮かべた水戸川真美が立っていた。
「お、おはよう……真美ちゃん」
私はぎこちない笑顔を水戸川真美に向けた。
水戸川真美は私の3歳の頃からの親友だ。
入園したてで友達が作れなかった私に「一緒に遊ぼう」と声をかけ、仲間の輪に入れてくれた。
当時の私はそれだけでも相当救われたものだ。
それから私達は「親友」になった。
いつも一緒に行動し、楽しい事も悲しい事も共有した。
大好きなお菓子もお弁当の嫌いなおかずも分け合った。
——わたしたち、しんゆうだよね?
とうぜんでしょ!ずーっとずっとしんゆうだよ。
でも、3歳の時に作った友達と10年も仲良しでいられる訳がない。
当時内気だった私はだんだん明るい性格となり、昔から静かで大人びた性格の水戸川真美とは馬が合わなくなってきた。
私だって新しい友達をたくさん作りたい。
思いっきりバカをして笑いたい。
- Re: ニンゲン消去ボタン ( No.2 )
- 日時: 2016/04/07 02:15
- 名前: 北風 (ID: baOn2Ld/)
それなのに………
それなのにあいつは………
水戸川真美は…………
「さきちゃん、しょうがっこうでもいっしょだよ」
「さきちゃん、高学年になっても遊ぼうね」
「沙希ちゃん、中学校でもよろしくね」
「沙希ちゃん、利香ちゃんと遊ぶの?」
「沙希ちゃん、利香ちゃんなんかより私と遊ぼうよ」
「沙希ちゃん、奈々佳ちゃんとも桃ちゃんとも遊ぶの?」
「沙希ちゃん、断ってよ」
「沙希ちゃん
「沙希ちゃん
「沙希ちゃん
「沙希ちゃん!
「——沙希ちゃん?」
「ッ!!」
水戸川真美が怪訝そうにこちらを見ていた。
「どうしたの?怖い顔してるよ?」
「……ぁ…な、んでも…無い…よ…?」
強引に笑顔を作ってそう返した。
「そう、ならいいけど」
ならいいけどじゃねぇよ。
チッ
私は心の中で舌打ちした。