ダーク・ファンタジー小説

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異常性癖者のキロク
日時: 2019/11/17 10:20
名前: 紫音 (ID: fh.wbL8r)

へぇ、こんな所に来るなんて物好きだねー、君。

あはっ、御免御免、そんなんで怒らないでよー!

えーっと。ここの説明でもしようかなぁ。

ここはね、異常性癖者のキロク、って言うのかな。それをまとめた所なのー。

えっとねー、例えば死体愛好家ちゃんとか、その妹の食人ちゃんとか!

その子達の観察キロクがあるの。

ちょーっぴりグロイから注意してね♪

ではでは、一名様ご案内〜。

——————————————————————————————————————————

紫音、またの名を雨音と言います。
_2016/4/1 紫音

Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.7 )
日時: 2016/04/02 06:11
名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)

EpisodeA 藍沢奏音 Ⅵ

異常性癖者

昔からそうはなりたくなかった。

火を見て興奮するリー兄。普通の食事より、人肉を好む和音。そんなのにはなりたくなかった。

「奏音がさ、そんなのになったのって私のせい?」

心配そうにそういい、首を傾げる和音。

「和音のせいじゃないよ。全然違う人たちの……せい…」

ふと、オリの顔が頭に浮かぶ。

震えが止まらない、涙も出そうで下唇を噛んで絶える。

「奏音……?」

心配そうな声を出す和音。

「大丈夫。…はやく拭いちゃおう。落ちにくくなっちゃう」

そういうといまいち納得してないようだが、うんと頷く和音。

再び、血を拭きとり始めたのを見て、私も雑巾を取りに行く。

「オリ……」



ねえ、君は何であんなこと言ったの?


そんな理由、覚えてるわけないか


そもそも、私の事すら覚えてないだろうね


でも、私は一生忘れないよ 私を一人にした君は 一生 忘れない



「一生ね…忘れないんだから…オリ」

ボソッと呟いたこの言葉は、誰の耳にも届いていないはず。


血も拭き終り、リビングのテーブルに和音と向い合せになるように座る。

「で、奏音。さっきの答え。まだ聞いてないから言って」

「言わなきゃダメ?」

首を傾げる。

「だって…昔から血自体を見るのが嫌いでグロイ話とかも泣きながら耳塞いでたあの奏音がだよ!あの奏音が人を殺せるとは思えない!!」

あの純粋な奏音が…と言いながら両手で顔を隠す和音。

別に私は純粋でもない。全く違うモノ。

純粋な頃なんて、君が親を食べるまでぐらいだよ。

「…中学の頃からさ。まぁ、トモダチは数人はいたよ。でもクラスの中でも浮いた存在だったじゃん?私」

「うん、はっきり言って浮いてた。クラス離れてた私のところにまで奏音の噂流れてきたもん。『カンニングの藍沢姉』って」

でも知ってるよ?奏音がカンニングする人間じゃないって事は。奏音はそんな人間じゃないじゃん!

なんて誇らしげに笑う和音。

カンニングしたって意味がないじゃん。

「やっぱり、知ってたんだ…。カンニング噂のせいで全員、私から離れて行った。それで高校で夏織って子と出会ったけど…」

その子も離れて行った。 ただ一つの噂で離れて行った。

   【 偽 り だ ら け の 噂 を 信 じ て 。 】


「ニンゲンなんて信じられない。簡単に人を裏切って平気な顔をしてる。
ただの噂で皆離れて言って私の悪口ばっかり言う」

今まで誰にも言えなかったことをぶつける。

和音は何も言わないでただ、うん、うん。と頷くだけ。

「もう、ニンゲンなんて嫌い…」

自分でも知らないうちに涙が溢れていた。

涙が頬を伝う。

「奏音、辛い思いしてたんだね…」

知らなかった。と呟く和音。

まぁね。顔に出さなかったもんね。誰にも言わないでずっとため込んでたもん。

「じゃあ、私の事も信じられない?」

「御免、はっきり言って信じられない。妹だからと言っていつ裏切るか分からないじゃん」

何度も何度も人が離れていくことを経験しているとニンゲンを信じられなくなる。

だから、信じられるのは、愛するのは【 死 体 】だけ。

信じられるのだって【 死 体 】だけなんだからね。

EpisodeA 藍沢奏音_fin

Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.8 )
日時: 2016/04/02 09:30
名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)

__EpisodeA 藍沢奏音 まとめ

さぁ!トップバッターちゃんは人間嫌いになった奏音ちゃんでしたー。

妹ちゃんの和音ちゃんら信じられなくなった可哀そうな少女のお話。

でも、ねぇ。私のあんなことになったら人を嫌いになるな〜。

ん、次のエピソードへ行く前に奏音ちゃんの話の後日談、やっちゃおうかな。

お楽しみにー。

EpisodeA
藍沢奏音あいさわかのん
【 ネ ク ロ フ ィ リ ア 】
性格:幼少期は純粋無垢で天真爛漫。
親が死んだあと〜高校2年の秋までの間は冷徹、毒舌少女。
高校2年の冬は人間不信の引き籠り。
そのあとは人間不信も多少は残っているが幼少期のような性格。
容姿:肩までの長さの黒髪。目の色は藍色。
いつも黒のロングコートを着ていてそのポケットの中には大量のナイフ。
身長は平均並みなのに対して胸はほぼないに等しい。
誕生日:2/5
備考:藍沢家長女。三兄弟の真ん中。EpisodeBの藍沢和音の双子の姉。
成績優秀、頭脳明晰だが運動は全然駄目。


ん?私は誰かって?

あはっ、紹介してなかった?

私はここの案内人。名前はまだ教えないよー

Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.9 )
日時: 2016/04/02 13:05
名前: こいとp (ID: zflF3NFd)

読ませていただきます。

Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.10 )
日時: 2016/04/02 13:38
名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)

こいとpさん

コメントありがとうございます!!

Re: 異常性癖者のキロク【リメイク版】 ( No.11 )
日時: 2016/04/02 13:49
名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)

EpisodeA a sequel_後日談

「うぇぇ…人多すぎて吐きそう…」

現在場所はかつて通っていた地獄と言う名の高校の校門前。

約半年着ていなかった制服に袖を通しまたこの地に来たのにはちゃんと理由がある。

「奏音、良い加減行って来いよ」

そう兄様から言われたのが昨日の夜。

「…どこに?」

「とぼける気か、お前」

はぁ、と呆れたように溜息を吐く。

「分かってるよ。どうせ学校に退学届出しに行けって言うんでしょ」

「そうだよ。お前さもう18歳なんだから、いつまでも駄々こねるのやめろよな」

「だって…あんな生身の人間の多い場所に行きたいとは思わないよ」

行ったらオリとか、他の元クラスメイトにも会う可能性が高い。と言うか絶対会う。

「明日行け。行かなかったら当分飯抜きにするぞ」

「死ねと申すか?」

「死にたくないならちゃんと行くこと」


そう言われて冒頭に戻るわけですよ。

吐きそうになりながらもちゃんと学校に来た私を褒めて欲しいくらいだ。

「あれ、藍沢奏音じゃない?ほら、あの不登校児の!」

「藍沢ー?…あぁ、あの桐生センパイに無理やりキスしたあの子ね!」

どこからか女子生徒の喋り声が聞こえる。

周りの生徒も私を見てクスクス笑っている。

「藍沢奏音だ」 って。

指をさされて笑われるのは慣れている。視線が背中に刺さる。

下を俯いて早足で歩いていく。

人々の視線がとても気持ち悪い___。


「君みたいな成績優秀な生徒が減るというのはとても残念なことだよ」

寂しくなった頭を撫でながら校長はそう話す。

心にも無い言葉をよく言えるよ。この爺さんは。

「…では。私は失礼いたします。今までありがとございました」

心で思っていることは口にせず、別の言葉を発し、頭を下げる。

顔を挙げると急いでこの空間から脱出する。

校長と、私以外誰もいないあの最悪な空間からやっと出れた。

校長室の周りには幸い、人はいなかった。

でも玄関に近づけば近づくほど人は多くなっていく。

「あれ…ノン、ちゃん…?」

その声を聞いた瞬間に動いていた足が止まる。嫌な汗が額から吹き出る。

「あ、やっぱりノンちゃんだー。覚えてる?」

何て言いながら私の前にやって来る【 悪魔 】。

「私だよ、かお…」

「知らない」

彼女の言葉を遮る。聞きたくもない、君の名前は。

「え…?」

顔を見なくても声だけで落ち込んでいるということはわかる。

「貴方の事なんて知りませんので。さようなら」

そう言って彼女の前から去って行く。


校門に出ると流石にもう登校する生徒の姿は見当たらない。



さようなら、嘗ての友人。さようなら嘗て通っていた学校。

さようなら。高校生だった藍沢奏音。

EpisodeA a sequel_後日談 fin


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