ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- kako telos
- 日時: 2018/02/27 05:37
- 名前: Laicy (ID: Panba53C)
天よ。主よ。
私たち、"オウラーノ"が地に堕ちる日がくるとは。
私たちはどうして気付けなかったのでしょう。
憎悪に。 悲しみに。
そして裏切りに。
あの子が笑ってこちらを見ている。
いい眺めだと。
******************
どうも初めまして。
Laicyと申します!
始めたばかりのど素人です…
誤字脱字などのミスがありましたら、
コメント頂けると嬉しい限りです!
感想などのコメント大歓迎です!
更新ペースは決まってはいません(汗
スケジュール未定なので
気ままにのんびり待って頂けると幸いです…
この作品は少々長めになる予定です!
ゆっくりお付き合いおけ!な方々、
お付き合い頂けると嬉しいです〜
この作品の内容は暗めなものです
死んじゃう系やグロいのダメ…
な方はお控えください
これから、よろしくお願いいたしますm(__)m
...................................................
登場人物やこの世界感が先に知りたい、
読んでて登場人物が
よくわからなくなってしまったという方は
>>11 *Detail
をお読みください!
登場人物の過去の物語は
kako telos ... The Memories
の方で書かせていただいています。
詳しいことが知りたいという方はよろしければ!
-----------------------
コメント 質問 などはこのスレッドで受け答えします!
↓↓
コメント
☆忌業 禍穢 (イミカリ カイエ)さん
>>5
私のミスに気付いてくださり&励ましのコメント、ありがとうございました!!
コメントしてもらえるなんて嬉しい限りです。これからも何卒よろしくお願いします!
- Anxiousness ( No.16 )
- 日時: 2016/07/21 02:30
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
城へやっとのことでたどり着けたのは、日が暮れる直前だった。
「日が暮れる」といってもここの数日間、厚い雲で覆われているため、赤い、朱色の光がうっすら垣間見える程度だ。
こんな絵に描いたような地獄のような天気は初めて見る…
父上が亡くなった日から、空なんて見る余裕もなかった。
見ない間に、こんなにも不気味になっていたなんて…
国民が私に求めたもの…
それは「安心感」だろう。
こんな不吉の象徴のような天気が続けば、誰しもが不安に駆られる。
王宮ではもうすでに起こってしまったが… 幸いにも…
まだ国民には被害が及んでいないのだ。
まだ手立てはあるはず。
考え事に集中しすぎて、私の広い部屋は静まり返っていた。
そんな静けさがふと寂しくなる。
夕食の時間の前は大抵みんなが忙しい。
少し呼び出しをかけて大丈夫か心配になる。
「プセフティス探しに行こうかしら…」
なんとなくジッとしていられない気分だった。
寂しいだけでは無い…なにか妙な胸騒ぎがする。
すぐに立ち、ドアを開けようとすると、目の前で勢い良くドアが開いた。
するとそこにはピスティーヴが驚いた様子で立っていた。
「あっっアグノイア様…失礼いたしました!申し訳ございませんっ!お怪我はございませんかっ?!」
「大丈夫よ、ピスティ。ただ、開けるときのノック忘れちゃダメよ。うふふ」
彼女らしいミスはむしろ彼女のチャームポイントになっていて、見ているみなを和ませてくれる。
「すっすみません…。以後気をつけます!ご指導、ありがとうございます!!…あの、アグノイア様はプセフティス姉様とご一緒じゃないのですか…?」
「宮殿へ着いて別れてから、会っていないわ。プセフティスがどうかしたの…?」
まさか…?
プセフティスお願い…
デジャヴだ。
「プセフティス姉様が…見つからないんです。お部屋にも、宮殿内にも。時間をきっちり守る方なので…なにかあったのではないかと。
トラゴティア様の方の宮殿も探しに行く前に、ここにいるのでは無いかと思ったのですが…」
「プセフティス…。
ピスティ、私も行くわ。
是非とも…プセフティス捜索を手伝わせてちょうだい!」
ジッとしていたら、気が狂ってしまいそうだ。
プセフティスが居なくなるなんて想像もしてみなかった。
いや、想像したくなかった。
いなくなると想像しただけで、気が狂いそうなくらい、長い時間を共にしてきた親友だ。
お願いします…
神様…
私をこれだけ虐めてきたじゃない。
プセフティスだけは無事に返してください…
- Too late ( No.17 )
- 日時: 2016/07/28 04:22
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
なぜか外が騒がしい
おぞましい叫び声や泣き声が響き渡り
目の前の宮殿から火の手があがっていた。
逃げ惑う召使いや役員たち
怪我をしているものもいる。
ここは本当に宮殿内なの…?
「っ……助けなくては…!ピスティ!放して!」
「いけませんっ姫様…! お逃げください!」
「いいえ…!私は姫として」
「姫として?」
いきなり背後から青年の声がした。
そしてこの声の主を私は知っていた。
この優しそうな声は……!
一歩一歩、コツコツと音を立てながら
私とピスティの前までやってきた。
「また会えましたね。
…お待ちしていましたよ!アグノイア姫様」
「あなたはあの時の…!」
思い出したくもない…
血だらけの翼の優しそうな青年
彼は無邪気に笑うが、目は笑っていない
「そう!ぼくはあの時の! 覚えていてくれたんだ!?」
ピスティが怒った顔をしてすっと前に出る。
「どなたか存じ上げませんが、こんな事態の中、姫様に何かご用でしょうか。私は姫様を安全な場所へとお連れしなければなりません!ご用が無ければ失礼させていただきますっ!」
私の手を取り、行きましょうと囁く。
「安全な場所ねぇ…ここが一番安全なんじゃない?
だって……ホラ!」
(ドゴォォ
彼が嬉しそうに指差す先の建物から
なんの前触れもなく炎が噴き出した
「ほらね〜。どう?驚いちゃった?」
どうしてたくさんの人がもがき、苦しんでいる最中に
彼はこんなにも嬉しそうな誇らしそうな顔できるのか…
「せっかくだし、街も見に行ったらどーう?
こんなに苦しいのは宮殿だけ〜なんて勘違い、
もちろんしてませんよねぇ? じゃ、ぼくはこのへんで〜」
「まっまちなさ…。逃げ足もはやいわね…!」
待って…!? 彼の言っていたことが正しければ…
苦しいには宮殿だけ….じゃない!?
そんなそんなそんな!
街も襲われているの?!
襲われている犯人も、目的も分からないのに…?
プセフティス…
聡明なあなたならこんな時どうするのかしら
目の前の宮殿の消火活動が一向に進まないのを目にしながら、
私とピスティはプセフティスを探しつつ、城下への道を目指した。
なぜ私たちが…!
誰よりも強いこの、オウラーノが襲われているの?
- Alarm clock ( No.18 )
- 日時: 2016/08/14 03:53
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
息が苦しい。
こんなに急いで走り、飛び回ったのは初めての事だった。
汗ばみ、疲れた体を叩き起こし、進む。
長い城の石畳廊下を降りると、
この城を守っている高く硬そうな石壁と鉄でできた門が現れる。
この壁のせいで城下はどこ角度からも城からは見えなくなっている。
そんな城を守る重い門をくぐり、城下町へ出る。
でもそこには、赤い炎はなかった。
民家は一つも焼け落ちたり、黒焦げになってはいなかった。
しかし…
そこは白い零度の世界だった。
民家は厚い氷に覆われ、ところどころに大きな氷河が地面に刺さっていた。まるで地面から生えてきたような…突き出し方をしていた。
私の理解を超えている…
見渡す限り…民は凍らされていて、誰一人生きていない。
この氷の世界は何…?
夢……?
「・・・。」
ピスティもあまりの光景に言葉を失っていた。
私がこんなになってはいけない。
だれか生存者がいる可能性だってまだある。
城下はこの状況でも、他の地域は無事かもしれないではないか。
「ピスティ。この状況を辛うじて逃れられた民だっているかもしれないわ!探しに行きましょう!」
はっ とピスティがうなづく。
ピスティはやっと現実に戻ってきたらしい。
「はい!姫様!」
………
随分遠くまで来てしまった。
私たちはかなり長い時間、私たちの体力がなくなるまで、生存者を探した。
もしかしたら、プセフティスはもう城で待っているかもしれない。
もし…彼女がいたら。
今帰っては、
”民のために尽くす”ことこそが王族の義務ですよ、と怒られるだろう。
「王族だから、偉いから、と何もしなくてもいいわけは無い。」
「王族は民を助け、尽くすためにいる。」
プセフティスが私に必ず言う言葉だ。
だが残念ながら、私も、ピスティも…
生存者を見つけることができずにピスティと合流する結果となってしまった。
街は氷漬けになっており、足をつける場も残されておらず、
灯りのない暗い氷からは生命さえ感じられないほどの冷気と絶望の念しか感じることはできなかった…
「だれか…! 無事な方はいませんか! 誰か…!」
張り裂けるほどの私の大声は、氷を伝って遠くまで良く響いた。
ただ、何度も繰り返した私の声に
返事が返ってくることは一度もなかった。
この分厚く溶けない氷は民の命だけではなく
私の…ピスティの心さえも氷漬けにしようとしているのだろうか。
「アグノイア様…すみません…私が回った地域には一人も生存者を確認することができず…。」
「ピスティ…。そんな暗い顔はしないで? 少し、遠くへ来すぎてしまったわね。
一度、王宮へ戻りましょう。体力の回復が優先よ。
みんなにもこのことを伝えて、協力を得ましょう。ね?」
はい、と小さくうなづき、悲しそうに自分の家族も心配なんですとつぶやいた。
ピスティも疲労が溜まってしまっているのが目に見えてわかる。
一度城に戻って、みなに城下の状況と捜索結果などを伝えねば…
そうすれば、捜索に兵も出せる。
ピスティも安心できるはず。
そんなことを考えながら、ピスティと共に城を目指した。
城の火事は大丈夫なのかしら、とピスティと話しながら城の近くまで来てから私たちは城を出て捜索をしたことを後悔することとなった。
- Rain of regret ( No.19 )
- 日時: 2016/08/31 03:20
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
私たちの国、レフコー国が誇る首都、レフコー街。
大きな城を真ん中に、大きな円を描くように街が形成されていて、
街のレンガや家などはすべて白などのパステル色で統一されている。
美しいこの街はどこの国の民が見ても、美しいと絶賛される。
まさにレフコー国の民を表したような、
この国を象徴する美しさだ、と 各国の民は誉めたたえる。
そんな街は… 私たちの誇りは…
崩れ、瓦礫と化していた。
城を中心に大きな地割れを起こし、
地へと引きずり込まれている。
膨大なくずれゆく音が嫌でも破壊を知らしめる。
凍る街を大地が飲み込んでいる。
私たちはまだ崩壊を免れている街部分へと降り立つ。
ピスティがそっとポケットから
小さな連絡のための鳥の形をした笛を吹いた。
甲高い、薄い音が轟音の中に消えてゆく。
そんな中、私は一人で
悲しみと怒りと虚しさが入り交ざった
何とも言えない感情に浸っていた。
「………っ」
声が喉を通らない。
言葉が出てこない。
これ以上、私たちの国を…民を…
どう苦しめようというのか
天よ…主よ…!
「アグノイア姫様っ…!」
少し焦げた匂いのする上着を持ったリィピとエクスラが
私たちの元へ素早く飛んできて、
スタッと軽やかに着地する。
「姫様…お召し物を。お二人ともご無事で何よりです!
ピスティ、連絡ありがとう。
どこかお怪我は?痛む箇所などありませんか?」
リィピは心配そうに
私の目をじっと見ながら私とピスティに上着を手渡した。
だが、彼の顔色の方が悪く、疲れと焦りがにじみ出ていた。
いきなりグラグラと私たちの下にあった建物が揺れ、
崩れる準備をし始めた。
「ひめさま、一旦ここから離れましょう!
地面へ引きずり込まれてしまいます!」
エクスラがこの地面が揺れるのは崩れる前の現象なんです、
と私たちに説明してくれる。
リィピは混乱し、暗い表情のままの私とピスティを見かねて、
ゆっくりと城で何があったのかを説明してくれた。
リィピによれば、
城の火事が収まってきた頃を見計らったかのように
いきなり空が暗くなり、大きな地震が街を襲ったという。
初めての大きな地震に民は驚き、パニック状態に陥ったが、
城の者たちのほとんどの召使いたちが城下へ出て
全員で協力し、避難場所へ民を集めたらしい。
だが、それがさらなる悲劇を生む結果となってしまったのだ。
どこからともなく氷山が地面から突き出し
周囲の家や建物をも一瞬で凍らせた。
数カ所の避難場所へ身を寄せ合っていた民や
同じ場所へ居合わせた城の者の多くはそれが仇となり
氷からの逃げ場を失い、
氷漬けになってしまったという。
その氷が収まったかと思えば、
城の下の地面が突如崩れ始め、
大きな音を立てながら地面に吸い込まれていった。
城だけではなく、じりじりと範囲を拡大し
街全体を飲み込んでいっているらしいのだ。
生き残れた民も城の者も極めて少なく、原因もわからない
逃げる以外の手段が今のところ無いのです、
と悔しそうにリィピは語った。
……
そう。
私はこの時、城の近くへ行こうとも思わなかった。
でも行くべきだった。
思い出すだけでとても自分の考えの甘さが虚しい…
すべての事の発端の場…”王宮”を怪しむべきだったのに。
- Awareness ( No.20 )
- 日時: 2016/09/08 03:25
- 名前: Laicy (ID: icsx9rvy)
冷たい風が焦げたような匂いの土ボコリを運んでくる。
逃げても逃げても…
私たちの鼻から離れることはなかった。
後悔と屈辱と絶望を匂いにするならば、
このような匂いになるのではないだろうか。
どんな言葉も暗い方向へと考えてしまう。
あれから逃げても逃げても、
しばらくすれば地面は狂ったように割れ、崩れた。
この天島にて、一番大きく、最強のオウラーノの楽園…「レフコー国」
そんな国がこんな終わり方をしているのを
王女の私はただ眺めることしかできないのだろうか…
ただひたすら召使いを三人連れて、逃げている王女。
国民が見たら悲しむでしょうね。
どうして私はいつもこんなにも無力なんだろう。
「みんな…ごめんなさい。私は何の力にもなれていない。
それに、みんなに迷惑迷惑ばかりかけてる。それに…
もう崩れていない地は残りわずか。
この国はもう…。」
「アグノイア姫様!諦めないでください!
もう崩れていない地はわずかですがっ…でも!それでもっ!
この素晴らしい、最強のレフコー国がこんな終わり方はしません!
それに、私はしっかり原因を突き止めたいですっ」
「ピスティーヴ……ありがとう。
そうね!原因を突き止めて、この国を守りましょう。」
そうだった。たくさんの国民が愛した、この素晴らしい国。
先代の王や女王が築き上げ守り通してきた国。
父上がもういない今、王女の私が守らなければならない。
「確か…城を中心にして崩れ始めたのよね…?」
なら城に何かあるのでは…?
考えるために手を組もうとした時に
ドレスのリボンに挟んであった紙がひらり、と落ちた。
その紙を見て、私は叫んだ。
「急いで城へ…!城に手がかりがあるはずよ!」
私が落とした紙…それはアンティーオ兄さんからの手紙。
「全てが真実とは限らない
姫様
??????にお気をつけください
影はすぐそこに…
どうか??に気をつけてください
すべては闇の中を探してください
嘘こそが??
惨劇が再び。」
この紙が薄い氷の張っている地面へ落ちて初めて
本当の言葉が滲みながら浮かび上がってきたのだ。
本文の下にうっすらと目を凝らさないと見えない薄さで
小さな字が書かれていた。
「全てが真実とは限らない
姫様
??????にお気をつけください
(アマノジャク)
影はすぐそこに…
(裏切り者は一人)
どうか??に気をつけてください
(前が安心)
すべては闇の中を探してください
(城の外)
嘘こそが??
(真実)
惨劇が再び。」
ただ、黒く塗りつぶされてしまっているところだけは
やはり読み取れなかった。
黒く塗りつぶされることを予測していたらしい。
アマノジャク…
すべてをひっくり返す。
・裏切り者は一人ではなく数人
・後ろ?は危険
・城の中
・嘘
この四つのキーワードが
アンティーオ兄さんが私に伝えたかったこと。
本当は黒い部分が知りたいが、
どう頑張っても塗りつぶされていて見えなかった。
ただ、分かることからすべてやらねば…!
まずは城を探索してできれば原因を…突き止める。
…………
「もうすぐでアグノイアが来るそうよ。」
「ええ、知っていますよ。
ただ…この国を落とすにはもう少しだけ、時間がかかりそうなんです。
彼女たちの気を少しの間、僕からそらしていただきたいのです。
お願いできますか。」
「もちろんよ。私の憎き相手アグノイア!
…彼女をこの手で殺してやりたいのは山々だけど、
すべてを失った後の彼女の顔が見たいの。
すべてに絶望したアグノイアはどんな顔をするのかしら…。
楽しみだわ。」
「じゃ、ぼくはプセフティスを連れてこようかなぁ。
それとも君たちが終わってからの方が美しいフィナーレになる、
かな? どう思う?
トラゴディア。」