ダーク・ファンタジー小説
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- 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ
- 日時: 2017/02/18 09:34
- 名前: 瀬良真澄 (ID: .ZWwmuJW)
1章 日常
ここは実郷町、埼魂県の端の町だ。
放課後、一人の少年が歩いていた。
髪を後ろで束ねた長髪の少年だ。
「はぁ、寝っむ...」
給食を食べ、5,6時間目が座学だったため、少年は目を擦りながらあくびをして家路を急いでいた。
彼の名は、瀬良真澄、癒剣学園2-3の男子生徒だ。
今日発売の小説の限定版を買うため、いつもなら帰ってすぐ寝てしまうが今日は寝むらず、近場の行き付けの書店へ行くつもりだ。
マンションのエレベーターを使い7階を目指す。自分の部屋の扉を開け自室に行き、今日、購買でパンを買ったときのお釣りと貯金した金を足して本を買っても、お釣りがくる位持って本屋へ向かった。
路地にはいって、駄菓子屋の横に出てそのまま本屋へ続く道を小走りでたどる。が肩に重い衝撃がはしる。
「ッ!?」
見ると金髪の少年が大袈裟に呻いていた。
「あー、痛ってぇー」
「おいおい大丈夫かぁ、ってうわぁ。これ折れてんじゃね?」
ピアスをした男が同意する。そんなに強くあたって無いけどな。
(こいつら確か学校の不良グループの奴等だよな。厄介なことになったな)
「おい、慰謝料払えよ」
凄い一般的なパターンの金の巻き上げ方をしてきた。
「すいません、僕全然お金持って無いんです」
俺はそう言ってその場を後にしようとするが、ガッ と強く腕を捕まれて止められた。
「おいおい何逃げようとしてんだよ、あ?ちょっと面貸せや」
そのまま俺が来た方とは逆の路地へ連れて行かれる。
「本当にすいませんって、でもお金持って無ッ!?」
肺から空気が絞り出される。膝蹴りされたと気付いたのは地面に倒れ付した後だった。
「あぁん、聞こえねえ...なっ!」
倒れた俺におもいっきり蹴りをいれてきた。
「ガハッ、クゥッ」
「おいおいおーい、こっちは骨折してんだぜ?こんなんじゃまだ全然足りねぇぜ。おらっ!」
無理矢理俺を立たせ殴り倒した。すると俺の制服のポケットから財布が滑り落ちた。ピアスをした男が俺の財布を探った。
「なんだ、金持ってんじゃん」
そして俺の財布から本を買うための2300円を取って空の財布を嘲笑うように投げつけてきた。そして不良達は立ち去って行った。
俺はそのまま路地で寝転んだまましばらく力を抜いていたが、しばらくして立ち上がり、路地を出た。
2章 異常
本屋から帰るときは、駄菓子屋の横の路地を抜けると近道なので、路地にはいって行く。もう暗くなって来たのでそわそわと家路を急いだ。
最近何もかもついてない。今日の不良もそうだが、両親が最近離婚して、俺はそれを理由に家を出た。幸いにもバイトでそこそこ貯金はあったし、自炊も出来た。苦では無かったが、仲の良かった両親が離婚したのが衝撃だった。他にも通り魔にあったり、友達が怪我したりで他にも色々ある。正直なところ神を恨んだ。
そのまま路地を出て駄菓子屋の横の路地にはいって行く。こっちの道の方が近道だ。
ふと、小説のことを思い出した。
「そこまで人気じゃないし大丈夫だろ」
明日また行けばいい。そう思った。
そうして路地を抜けて正面の駄菓子屋の横の路地にはいって行く。家に帰ろうとだけ考えていた。
「えっ」
今気が付いた
俺は今
一体何処を歩いてる?
今まで同じ風景だから気付かなかった。この道は、あまり目印がない。でも今日だけで何回この路地にはいった?
心臓の音が聞こえる。
(不味い、とにかく戻らないと)
振り返ると目の前に赤い霧を出している門があった。鉄格子の洋風の門だ。普通じゃないとしたら赤い光が門の奥から湧き出ていることだ。
「なんだ、これ」
俺は手を伸ばして指先で触れる。
その時めが覚めた!
(何で俺、これに躊躇なく触れようとしたんだ?)
何かがおかしい。そう思い手を引っ込める。だが指が吸い込まれる。
「!?なんだよこれ、クソッ抜けねぇ!」
大した力じゃないのにゆっくりと俺の体を呑み込もうとする。
指、手、腕、胴体、足、そして全て流れるように呑まれた。呼吸ができない…けど苦しくない。
(何なんだよ、これ)
そして俺は意識を手放した。
3章 狂精神世界
目が覚めると見慣れた路地だった。 壊れていなければ。
大地が割れている。塀にひびが入り、いたるところが壊れたり、崩れている。
俺は慎重に歩いて路地を出た。そして気付いた。
「空が、黒い………」
そこはもう、俺の知ってる実郷じゃなかった。
気が付いたら俺は走っていた。絶望した。混乱した。世界に恐怖した。
立ち止まって空を仰いだ。やっぱり黒だ。そして仰向けに倒れた。
どれくらい経っただろう。一つの足音が近づいてきた。
俺は顔だけ起こしてそれを見た。目の赤い、黒い巨人がいた。3メートルほどで顔がなく、ジャミラの様だ。そして、恐ろしい顔が胴に描かれていた。
『ガヴォ…オォ………ア』
俺の思考は停止した。体がガタガタと震えている。少しずつ後ろへ後退すると巨人が腕を降り下ろした。とっさに横に飛び退いたが、俺がいたところの地面は深く抉れている。
そうこうしている合間に巨人は剛腕をアスファルトを削りながら横に振るう。両腕で衝撃を受け流し、身体を出来るだけひねり、衝撃に耐えようとしたが、俺の身体は、軽々と吹き飛び、さっきまでいた場所とは逆の方の[店だった]所の商品棚に激突。小物や、皿等が飛散し、身体全体に激痛がはしった。全身がバラバラになりそうだ。
「うわああああぁぁぁぁぁ!!…がああぁ………あ あああああああぁぁぁ!!!」
巨人は、その巨体からは想像出来ないほど速かった。そして何よりその腕からの衝撃は並みじゃない。俺は商品棚から剥がれ落ち上から降ってきた小皿の破片が俺の頬を掠める。
俺は身体を引きずるように店から出て路地に逃げ込んだ。あの巨体なら入って来れないだろう。しかし、巨人は塀や、壁を破壊しながら近づいて来る。
「ガハッ…クソッ、そんなの、ありかよ!」
俺は路地を痛みに耐えながら出来るだけ速く歩いて脱出。空き地を抜けて住宅地へ逃げようとした…………が…
「ッ!?なっ」
勢いよく地面に倒れた。足下を見ると形の歪んだ赤い目の怪物が、地面から上半身だけだして俺の脚を掴んでいた。そして、俺の脚を強く握ってきた。嘲笑うように、ゆっくりと。
「あああああぁぁ」
怪物を蹴りつけ脱出を試みるが、さらにきつく握りしめる。
『オォ……ア?』
怪物は、不気味な声を出し、俺をもう一方の腕で殴り付ける。
「ぐあぁ、クッ!」
そしてそこにあの黒い巨人がやって来る。そして俺を剛腕で殴るように腕を降り上げた。目を瞑り死を覚悟した。
「クソオオオオオォォォォォ!」
しかし、いつまでたっても衝撃は来ない。恐る恐る目を開けると目前まで拳は迫っていた。だが、そこで時が止まったように静止している。
すると俺の斜め前に黒い木製の扉が出現する。そして『キィ』と言う音と共に中から一人のコートを着たロングヘアーの女性が現れた。
「あら?ずいぶんかわいい子ね」
女性は俺を見ると微笑み大人っぽい声で言う。
「あの、俺男なんですけど。ってそんなことより助けてくれたんですか?」
「助かった訳じゃないわ。私の力じゃ時間を遅くするので限界だから」
そう言って扉のドアノブに手を掛ける。
「話は中でしましょう。大丈夫。その距離と速度なら40分位余裕があるわ。私の力で1秒を12000秒にしているから」
さらっと凄いこと言ってるな。とりあえず俺も身体を起こしてついていく。俺の身体は剥がれるように別れ、二つになり、一つは脚を掴まれ殴られる寸前だ。そして俺は女性と共に扉の向こうへ入っていった。
4章 覚醒願望
扉の向こうは、少し暗い雰囲気のお店のような場所で、一見アンティークショップのような宝石店だ。だが普通の宝石店とは大きく違うところがある。ガラスケース等で覆わず丸出しの所だ。
「随分堂々と置いてるな。って顔ね」
女性がクスッと微笑む。
「………すいません、名前は?」
「そういうのは普通、男性が先に名乗るものよ」
「真澄、瀬良真澄です」
俺はしぶしぶそう答える。
「瀬良君ね。解った覚えたわ。私は倉崎結羽よろしく。見たところ学生ね。高校生?」
「そうです。そう言うあな…倉崎さんは?」
「23よ」
想像以上に若かった。
部屋を見渡してあることに気付いた。どの宝石も剣や、斧などの中世風の武器にはめられている。しかし、どの武器も木製だ。
「此所にある宝石は全て武器に変化する。その木は変化後の武器の形をしているの」
俺の考えていたことを簡単に答え、俺は少し驚いた。
話によると宝石はマインドジェムと言い、それぞれ違う人間の精神の形。スピリットが宿るらしい。そして使用者と、精神の形(性格)が似ているマインドジェルを使えるらしい。そして、一度契約すると、死ぬまで契約は続く。契約したマインドジェムを使い、武器を顕現させるとその武器で怪物を倒すことができる。
「さあ、選んで。あなたのスピリットはどれ?」
「………」
同じ武器でも形や、ブレードの大きさが微妙に違ったり、マインドジェムの色が違ったりする。
黒いダガー、が目に止まった。軽装備の方が攻撃を交わすのに良い。元々筋力は少ないので、あんな化け物と剣で肉弾戦なんてする気は毛頭無い。
「あっ、いい忘れてたけど一度マインドジェムに触れたら契約開始して、もし精神の形が合わないと死んじゃうから」
それを聞いて俺は慌てて手を引っ込める。(そう言うことは早く言って欲しかった)
「そ、そうですか。は、ははは」
(ねェ、きコエる?)
「!?だ、誰だ!」
「どうしたの?」
倉崎さんが心配そうに聞いてくる。
「!えっ、聞こえないんですか?今の声」
「声?まさか」
(ここ、いる)
変化後の武器の無い黒いジェムがあった。
続く
- Re: 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ ( No.6 )
- 日時: 2017/04/05 22:05
- 名前: 瀬良真澄 (ID: .ZWwmuJW)
3章 磨羯宮(No. 2)
校内は慌ただしく生徒達が駆け回り、騒がしい雰囲気となっている。だが、ふざけているわけではない。
突然警報がなり、超大型のタイラントが接近中と放送が流れればこうもなるだろう。
先生達が必死で大丈夫だ。と言い聞かせている。しかし、生徒は混乱してなかなか声は届いていないようだ。だが、俺の頭は意外にも冷静だった。
俺は声に出さずに問いかけた。
『俺が冷静さを保っていられるのってひょっとしてお前のおかげか?』
『はい。落ち着くように暗示をかけています』
暗示。そんなこともできることに驚いた。
『マスターは戦いに参加するのですか?』
『まさか!そんなことできないよ。だって俺がここに来たの昨日だよ?』
するとスピリットは残念そうに溜め息をついた。
そんな話をしていると、先生の声が聞こえた。
「静かに!落ち着いて。訓練生は全員普段道理授業をしますよ!」
「俺の意思とは関係なく戦闘には参加出来ないみたいだな」
俺は苦笑いして、ふてくされるスピリットをなだめながら教室に入っていった。
黒く艶のある鎧に身を包んだ、細いシルエットの鹿のような生物は軽快に走っていた。美しいとさえ言える、まるで直剣のような細い足で空を蹴っていた。
高さ350メートル。頭の角のような天輪を含めた全長は700メートルを超えていた。
そんな巨大な生物は時速1500キロメートルの速度で日本海を横断していた。
ルスペル魔導学院 戦力
中級兵3名で操作する魔導連式砲を5台
中級兵3名で操作する魔法結界を5台
中級兵10名の長時間詠唱によって放つ超高圧力電磁砲を1台
更に中級兵400人。上級兵を150人。
そして、本作戦には生徒から、序列4位天月玄。序列8位セリア-アルガーデ。序列9位宮国春樹の3名。(他の高序列メンバーは別の施設の防衛や違う作戦に出ている)
教員からも訓練生の教員以外全員が出撃した。伊月拓也火野本剛玄水島斗真、土井颯牙の4名が主力である。
2/14 11:20 ルスペル魔導学院領内西部にて磨羯宮と、ルスペル魔
導学院は全面衝突。ルスペルの二種の魔導砲による攻撃で開戦。総力
戦となった。
後にこの対戦を現実世界の親宿付近で起きたので[第一次親宿大戦]と
いう。
- Re: 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ ( No.7 )
- 日時: 2017/04/15 20:38
- 名前: 瀬良真澄 (ID: 62e0Birk)
4章 磨羯宮(No. 3)
磨羯宮到着10分前…
周りには自分と同年代の生徒がそれぞれの行動をとっていた。武器を召喚するための鉄の筒。精霊召喚具、通称『精具』と呼ばれるものだ。それをメンテナンスする者が多かった。
周りの様子をうかがっていると、不意肩を叩かれた。振り返ると金髪ポニーテールの少女がいた。
「久しぶり、セリア。元気だった?」
「リィナ、久しいな」
彼女はリィナ-アルベリオ 序列19位。私と同時期にこの学園に入学して、以来友人として助け合いながら共に行動していたが、彼女はクラス2の為最近は会っていなかった。
「こんな状況じゃなかったら、もっと色々と話したかったね」
「そうだな。今まで何をしていたんだ?」
リィナは嬉しそうに微笑んで自分のタイラントの討伐記録を語った。だがその途中で話題を少し変えた。
「そういえば聞いたよ。序列外の子を20秒で倒したんでしょ?今までデュエルを断ってたあんたがデュエルしたのも驚きだけどさ、凄いよね、クイックキル」
彼女は嬉しそうに目を輝かせて此方を見た。だが、それを聞き私の気持ちは少し暗くなった。
「どうしたの?セリア」
彼女は急に暗くなった私を見て心配そうに私の目を覗き込んだ。
私はリィナの肩に手をおき、なんとか笑顔を作った。
「大丈夫だ。今は戦いに集中しよう」
リィナはまだ少し心配そうにしているが、今は戦いに集中しなければ。
グッと拳を握りしめ、精具を手に取り片手剣を形成し覚悟を決める。それを見てリィナは優しく微笑み彼女もまた精具を手に取り、柄が黒く金の装飾の施された120センチメートル程の短槍を形成。槍を持つ手に力をいれる。
ゆっくりとした走り方だが実際には飛行機以上の速度でそれは接近してきた。赤いまばゆい光を発し、空をかける。
「魔導連式砲!放て!」
水島先生の声が強く辺りに響いた。いつもは座学の教員をしていて、メガネをかけた知的な印象だが、そこからは想像できない声だった。
銃身の細い大砲のようなものの銃口から、魔方陣が形成され、白いまばゆい光の槍が流れ星のように空を切って全て磨羯宮の細い体に命中し、容赦なく体をえぐる。
磨羯宮は体をくねらせ苦痛に耐えていた。
『ウォォオオオオオガアアアオオオオオオオオォォォォォォォォオオォォンンン!』
「まだ終わらない!魔法隊放て!」
すると部隊の後方からいくつもの攻撃が放たれ、追い撃ちをかける。
「〔火の弾丸〕!」
「「「〔高速矢〕!」」」
「「「〔無の弾丸〕!」」」
スキルカードと呼ばれる魔方陣の描かれたカードに意識を集中し指で弾くと起動する。しかし、それだけでは魔法は発動しない。
起動させた人間の波長。つまりは精神の力をを打ち込む必要がある。一般的にはマインドジェムで生成した武器で波長を打ち込む。私の〔高氷の弾丸〕もスキルカードを使用する。だが、スキルカードは魔力の消費量が少ない代わりに反動が大きく、連発が出来ないという欠点がある。姿勢や打ち込む波長を調整すればある程度は軽減できるが、それは上級兵でも出来る者は少ない。
そして案の定、攻撃の連鎖が止まる。超高圧力電磁砲は長時間詠唱や反動、使用後のクールダウンと、リスクが高いので使用するタイミングはしっかりと選ばなければいけない。
出来れば散開して遊撃に移りたいところだが、敵の攻撃手段がわからない以上、むやみに魔法結界の外に出られない。
カプリコーネはじっと此方を見据え、頭部の天輪が薄い赤色の光を発し、大気を震わす程強く吠えた。
『ウォォォォオオオオオオオオオオオオォォォォォォンン!!』
鼓膜を突き抜けるような声に耳を塞ぐ。その後ゆっくりと目を開くと天輪が赤色の光の粒子を放ち、光はどんどんと増えていく。
「魔法結界!準備しろ!」
水島先生の声はカプリコーネの声で掻き消された。しかしなんとか声が届いた人間は周りの人間に伝え、結界の準備に取り掛かる。
約20秒。迅速な対応でなんとか間に合わせた。
「結界発動!」
柱のようなものから光の線が発生し、5つ全ての魔法結界と結び付き、上から見ると正五角形の形になり、辺と辺の内側に光の防壁が発生し五角柱の光のケースが完成した。
〔ターコイズ(浄化の光)〕
カプリコーネの天輪が突然緑色に輝き、無数の光の槍が結界や、周りの陸地に命中していくつもの爆発が起こる。星の数ほどの光が降り注ぐ。そして爆発した場所は陸地ごと『消滅』していた。
4章 磨羯宮 Fin.
- Re: 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ ( No.8 )
- 日時: 2017/04/24 20:59
- 名前: 瀬良真澄 (ID: .ZWwmuJW)
5章 参戦(No. 1)
「…………つまり精具にマインドジェムと『コア』を嵌めて初めて武器を生成出来る。このコアは最近は剣などの鞘のような形のケースにしまえるように形が変えられる」
生徒達はなんとか落ち着きを取り戻し、授業が行われた。
一般的には狂精新世界での戦い方や、素材の種類や名前、世界の危険地域等を学ぶ。今は戦い方を学んでいる。
木田先生は黒板に精具の絵や、図を書き振り返って問いかけた。
「阪田、コアの中に入っているものはなんだか分かるか?」
その場でスッと立ち上がり答えた。
「タイラントの核です。ダメージを与える時に飛び散った粒子もコアの材料になります」
まるで模範のような回答だ。教科書の基本からおさらいの部分を合わせいる。見た目だけでなく頭も良いらしい。
「正解だ。よし、では授業はここまで」
するとまるで先生がチャイムを操作しているのではないかと思わせるほどグッドタイミングでチャイムがなる。皆教科書を閉じてペンをしまう。
「起立、礼」
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」
はりつめていた空気はいっきに緩み、いくつかのグループを作り話始めた。話題は全員同じだった。すなわち、カプリコーネとの戦闘だ。窓は魔方陣の描かれた石の防壁で守られているため、外は見えないが、爆発音は聞こえる程度だ。
俺は早くこの世界に馴染むため図書室で情報収集するため、ペンと手帳をを手に廊下を小走りで移動した。ロングパーカーがひらひらとはためく。まだ授業が終わって間もないので人通りも少ない。よってチョロチョロ人をかわずまっすぐ走れた。
色の黒い木を使った床に石レンガの壁と天井。鉄を複雑に曲げて出来た鉄格子にガラスを嵌めて作った窓はいかにも別世界という雰囲気だ。4階の第2校舎へ続く渡り廊下を渡っていたとき無機質な声が聞こえた。
〔ターコイズ(浄化の光)〕
目の前の橋は石の防壁を含め光さえも消滅した。俺は止まることができず、頭から落下した。
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
- Re: 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ ( No.9 )
- 日時: 2017/04/23 21:40
- 名前: 瀬良真澄 (ID: .ZWwmuJW)
5章 参戦(No. 2)
一言で言うと壊滅的な状態だった。
私はゆっくりと体を起こして手に持っている剣を支えに立ち上がった。
辺りはいたるところが抉れており、クレーターがいくつもあった。
「セリア!無事!?…………ぁ…」
「リィナ!!」
槍を支えになんとかここまで来たのだろう。だが、ダメージは大きい。制服は所々破けて肌が露出し、血で赤くシャツを染めている。
倒れそうになったのをなんとか支えた。
ハンカチをポケットから取りだし彼女の腹部にあてて止血する。血がハンカチを赤く染めて手にその温かさが伝わる。
「セ…リア」
リィナは血でぬれた手を必死に伸ばす。
「リィナ、やめろ!もうしゃべらなくていい!」
彼女は体を弓のようにしならせ吐血し、そのまま目を閉じた。手は重力にしたがって地に落ちた。
「リィ……ナ………?」
彼女の胸に手を当てた。
トクン、トクン、と規則的に心音が手から伝わる。
「よかった、まだ生きてる」
安心したためか力がいっきに抜けた。
空を見上げるとカプリコーネは悠然と此方を見下していた。
たった一撃で我々の部隊は壊滅的な打撃を受けた。あれをもう一度受ければ今度こそ『敗北』が決まるだろう。
『クウォォォォオオオォォォォォォォンン』
突然カプリコーネは咆哮をあげた。けっして異常な大きさの声だったわけではない。しかし……
「がああ!!うわあああああぁぁぁ!……ぎあああぁかああぁぁぁ!!!」
「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!、がああ…ぐっ……ゲホッガハッ!………グッ……」
「うううううぅぅ……ああああああああぁぁぁ!」
皆頭を抱えひどい激痛に苦しんでいた。心臓をグリグリと圧迫されるような痛みと吐き気。頭痛や目眩に襲われていた。
スキルカードを過度に使った時の魔力切れに似た感じだが酷すぎる。
だが奴の目は妙に光を宿し、まるでなにかと会話をしている様だった。
約5分くらいその妙な行動は続いた。ずっと咆哮をあげていたわけではない。まるで相手が話しているから間を開けているようにも感じた。だが突然そのときはやって来た。
白い槍がカプリコーネの胸の宝石のような部位に命中した。
「っしゃあ!命中!」
「へっ、ざまあみろ!」
三人の男子生徒だった。
「(今の声、今朝の………)」
『うわっ、マジかよ20秒アウト!?』
『こんな試合初めて見たんだけど!』
今朝の瀬良とのデュエルが終わったときに大声で話していた男の声だった。
「ざまあみろ、ずっとチンタラしてるからだ」
だがカプリコーネはプルプルと震え始めた。赤色のラインがくっきりと浮かぶ。
「あん?」
男子生徒がちらりとカプリコーネを見た。
ぎょろりと此方を見る。だが、その目は此方を映してはいなかった
『グルルウウウゥゥゥオオオオオオオオオォォォォォォンン!!!』
今までで一番強く、そして悲しい咆哮だった。
『逆鱗』
タイラントには弱点がある。だが、そこは触れただけでも相手を怒らせかねない部位。同時にそこを破壊されれば激痛に苦しみ悶える。だがカプリコーネは怒りに震えていた。暴走していたのだ。
〔ターコイズ〕
最も巨大な怒りの攻撃は真っ直ぐ此方に向かってきたのだった。そして、私たちの十メートル前で、突然現れた黒い炎に包まれたもう一体の巨大タイラントが、その怒りを全て受け止めたのだった。
- Re: 狂精神世界での覚醒願望Ⅰ ( No.10 )
- 日時: 2017/04/25 21:08
- 名前: 瀬良真澄 (ID: .ZWwmuJW)
5章 参戦(No. 3)瀬良の視点
「いってぇ!」
頭がグルグル回る。何が起きたのか理解できなかった。頭から落ちたからだろう。
「頭から………」
上を見ると4階の渡り廊下は真ん中辺りが消滅していた。約20メートルの高さから頭から落ちて無事なんて普通じゃない。と言うことは…
「今回もおまえのお陰か?」
『はい!お役にたてましたか?』
何故か嬉しそうに声を弾ませている。その事にはあえて触れずに、
「そういえば、お前の名前どうするかな?」
このままお前呼ばわりは何だか嫌なので、何か良い呼び名があれば良いのだが、取り敢えずいくつかの案を出してみた。黒髪と白髪のコントラストが一番目を引くのでそれをモチーフにした名前だ。渾身のどや顔で
「オセロ」
『絶対嫌です』
「アナログ」
『アナログと言うものがなんなのか解りませんが、なんか馬鹿にされた気がします』
「白黒」
『そのままじゃないですか』
「陰陽」
『なんです?それ』
何だか訳がわからない。一番反応がましだった陰陽がいいと思ったが、言いずらいので、陰と陽の頭文字をとって
「イヨでどうだ?」
『構いません』
「そっか」
命名、イヨ。
名前も決まったので周りの状況をイヨに聞く。
「やけに静かだな」
『静か、と言うことはつまり…』
「魔導学院側が完全に戦うことができない、かな?」
先ほど俺に向かって飛んできた緑色の光は恐らくカプリコーネによる攻撃。そしての後戦いが止まったということは、魔導学院側が戦闘不能ということになる。
そして俺はずっと気になっていた事を聞いてみた。
「何で嬉しそうなの?」
『えっ、戦わないんですか?』
「……………………………………………………えっ?」

