ダーク・ファンタジー小説
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- 七色が紡ぐ物語
- 日時: 2019/01/05 16:00
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
語られていた話がある。七色のリングが揃ったとき大きな虹が
空に現れ世界に新たな平和が訪れるという。
現在、そのリングはあちこちに飛び散り宝として大切に保管され
ている。それを狙う魔族たちが現れ始めていた。
【序章】 >>01-02
【第一章】純潔のエルフ >>03-07
【第二章】忍耐の奴隷 >>08-13
【第三章】慈愛のアンドロイド >>14-18
【第四章】誠実の武士 >>19-22
ミルフィの予感 >>23
【第五章】勇気の武闘家 >>24-28
【第六章】節制と怠惰王 >>29-31
私たちのチャンス >>32
- Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.1 )
- 日時: 2018/12/30 20:21
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
黒いショートヘアの少女ツバキの一太刀で魔物が倒れる。
焦げ茶の髪をした青年レオが彼女に声を掛けた。
レオ「ツバキ、無事か?」
ツバキ「うん、一応…」
ツバキの指には橙色のリングが嵌めてある。七色のリングの一つ
【寛容のリング】だ。
レオ「そろそろ次の島にでも行こうぜ、夜になる前にな」
ツバキ「うん」
???「君たち、冒険家か?」
後ろ髪を一つに結んだ男が二人にそう声を掛けた。肩に剣を
背負っている。
???「俺はエル、よろしく」
レオ「俺はレオ、こっちは友人のツバキだ」
ツバキが頭を下げた。エルはレオたちよりも経験を積んでいる
冒険家だという。
エル「そうか君たち冒険家を目指してるんだな。きっと良い
冒険家になれるさ」
ツバキ「そういってもらえると嬉しいです」
ツバキが少し微笑みながらそう言った。エルはツバキのリングに
目を映す。
エル「君のそれは寛容のリングか?」
ツバキ「え?あ、はい。親から譲り受けたものです」
エル「そうか大事にしろよ、そのリング」
レオ「そうだエルさんも一緒に来ないか?近くの島に移動しようと
思ってたんだ」
エル「お言葉に甘えさせてもらうよ。俺はリングを探していてね」
レオ「そうなのか?」
エル「あぁといっても何かしようってワケじゃない」
- Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.2 )
- 日時: 2018/12/30 22:41
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
エル「七色のリングの名前はそれぞれ七つの美徳に由来している。
橙は寛容、青は誠実、緑色は慈愛、赤は勇気、黄色は忍耐、藍色は
節制、紫は純潔って感じだ」
エルは丁寧にそう説明した。
ツバキ「エルさん物知りですね」
エル「そういうのじゃないさ。結構調べたよ」
突然、大きな揺れが三人を襲った。バランスを崩し全員が
地面に手を付き上を見上げる。黒い空気を纏ったドラゴンが
三人に咆えた。
エル「ドラゴン!?何故こんなところに…」
レオ「オイ何か様子が変だぞ!」
ツバキ「なんか…私たち狙われてる!!?」
エル「レオ、ツバキ、構えるんだ!」
レオとエルは剣を構え、ツバキは弓を構える。ドラゴンが咆え、
三人に突進する。真っ直ぐ直進してくるドラゴンの左目にツバキが
放った弓矢が刺さる。
次にレオとエル、二人の剣がドラゴンの背中に紅い線を残した。
エル「少し動きが鈍くなったな。畳み掛けるぞ!」
エルが先陣を切ってドラゴンに斬りかかる。その後にレオが続き
ツバキが弓で援護する。ドラゴンが横にゆっくり倒れた。
レオ「やった、のか…」
エル「ッ!レオ、ツバキ、逃げろ!!走れ!!」
黒い瘴気がエルの体を呑み込んでいく。二人が彼の名を叫ぶ。
最後の最後、エルは戻らず、振り返らず、逃げろと叫んで
意識を失った。近くの洞窟まで来るとツバキのリングが光り始めた。
その光は近くの祭壇を指している。リングを祭壇に翳すと島が
ゆっくりと動き始めた。
レオ「オイオイ、これって…」
ツバキ「うん、間違いない…」
『大空島』あちこちを飛び回る島だ。
- Re: 七色が紡ぐ物語 ( No.3 )
- 日時: 2018/12/30 23:29
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
預言者であるミルフィは七色のリングについて知っていることを
全て話した。
ミルフィ「寛容は七色の王です。そのリングは必ず仲間を集めます。
その指輪の光に私たちは従いましょう」
レオ「そうだな」
ミルフィ「それとリングを狙っている集団も動き始めるでしょう。
七色のリングが七つの美徳を司るなら集団は七つの大罪を司る…
どうか気を付けてください」
****
エルフたちの住まう島【オリビア島】
ツバキ「ここっぽいね」
レオ「だな。じゃあとりあえず行こうぜ」
二人は砂浜から森の中へ進んでいく。
???「お前らも冒険家か?」
尖った耳をした青年が二人にそう聞いた。町の広場だ。
青年は弓を持っている。
???「突然声を掛けて悪いな。俺はエルフのヴィル、よろしく」
レオ「俺はレオだ」
ツバキ「ツバキです、よろしくお願いします」
ヴィル「で、観光か?案内ぐらいならするぞ?」
レオ「いや俺たちは観光でここに来たわけじゃない」
ヴィルの顔が引き攣り空気が少し重くなる。
レオ「…七色のリングを探しに来たんだ」
ヴィル「そう易々在処を教えることはできない。それがギルドの
約束だから」
ツバキ「ギルド?ギルドなんてあるんですか?」
ヴィル「在処を知りたいならギルドに入れ、俺の言うことを
クリアできればの話だがな」
レオ「…何をすればいい」
ヴィル「簡単さ。近くの森の魔獣の討伐」
レオとツバキは目を合わせ頷き森へ向かった。