ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 白黒と虹色
- 日時: 2019/01/14 10:26
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
大昔、白の国と黒の国のバランスが崩れ大戦が起こった。白の姫、黒の王、黒の王子、
そして虹の守護者…。
虹の守護者「姫様、貴方が犠牲になるというのなら俺も共に犠牲になりましょう。いつか
必ず黒の王を倒しましょう。その時、これは—」
白の姫「ごめんなさい…」
これから彼らの過去が絡み合う。
【一章】エルフの島で >>01-06
ルナエラ会話 >>07-08
【第二章】謙遜の騎士 >>09-12
ジュード会話 >>13
【第三章】救恤の人形師 >>14-18
メーデル会話 >>19
【第四章】節制の獣人たち >>20-22
【第五章】純潔の剣士 >>23-26
【第六章】忍耐と慈愛、そして前世 >>27-32
- Re: 白黒と虹色 ( No.13 )
- 日時: 2019/01/11 21:46
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
エゼル、イリス、アイセ、メルの前に料理が並べられている。それもかなり手の凝ったモノだ。
それらを作ったのは全てジュードだ。
エゼル「すごい手の凝った料理だな」
イリス「料理、得意なんですか?ジュードさん」
ジュード「得意ってわけではないが…一人暮らしをしていたから料理はある程度できなければ
いけなかった」
アイセ「ジュードは小さい時から騎士になることが夢だったの?」
アイセは料理を食べ終え、そう聞いた。理由はないが気になったことだ。
ジュード「親は小さいときに死んで孤児だった。その時に国の騎士が戦っている姿を
見て憧れた」
アイセ「てことは自分もあんな風になりたい!て思って?」
ジュード「最初は馬鹿にされた。孤児が何を言うんだと…その時に親しくなったのがあの人だ」
メル「あの人?」
エゼル「イリアさん、か?」
エゼルの言葉に頷いた。
ジュード「あの人は騎士に孤児かどうかなんて関係ないと言って励ましてくれた」
—あぁ、成程。
ジュードはイリアに対してとても忠実、その忠実さはそのことも関係しているのだろう。
- Re: 白黒と虹色 ( No.14 )
- 日時: 2019/01/11 23:01
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
絡繰りの島、クロニア島。そこに住む一人の人形師の指には緑色のリングが輝いている。
その人形師メーデルはそのリングが救恤のリングだとは知らなかった。
その島にアイセたちは到着していた。
アイセ「人形劇?」
イリス「わぁ、可愛い人形ね」
アイセとイリス、メルは劇に見入っていた。その人形を操っているのは長い桜色の髪をした
少女メーデルだ。
メーデル「全部私が作った人形なの。貴方たち人形劇は初めて見たの?」
全員が頷いた。エゼルはアイセの持つ寛容のリングとメーデルの指輪が光っていることに
気が付いた。アイセたちは虹のリングを探していることを説明した。
メーデル「これが貴方たちが探している虹のリングの一つなのね…いいわよ、欲しいなら
あげるわ」
メーデルはそのリングをアイセに渡した。
メル「え?いいの?」
メーデル「いいのって…私が持っててもしょうがないじゃない。そこまで執着してたわけでは
ないからね。それに貴方たちはあの時の奴みたいな悪意は感じない」
全員が首を傾げているのでメーデルは歩きながらその日にあったことを手短に話した。
桃色の髪をした男がメーデルにアイセたちと同じようにリングを渡せと突然言って来たらしく
彼女はその要求を断った。怪しい上に他人に何かを頼むときの態度ではない、渡すことなど
できるものかと言ってやったのだ。
メーデル「そもそも名前も知らない男よ?そんな人物にそれも上から目線で寄越せって
言われても渡す気にならないでしょう?」
イリス「それは…まぁ、はい」
- Re: 白黒と虹色 ( No.15 )
- 日時: 2019/01/11 23:28
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
メーデルの家に到着すると玄関に一体の人形があった。白いドレスを着た仏蘭西人形が
微笑んでいる。この人形もメーデルが作ったモノだ。他にも至る所に可愛らしい人形がいる。
メーデル「エゼルには少し合わないようなモノばかりね。イリスやアイセ、メルは
こういう人形は好き?」
アイセ「はい、メーデルさんの作る人形はどれもとても可愛らしくて表情豊かで…」
メル「私は玄関にあった人形が好きよ、イリスは?」
イリス「う〜ん棚にあった水色のドレスの人形かな」
楽しそうに話しているアイセたちだが外から何か声が聞こえた。メーデルが全員を静かに
させ、そっとカーテンを開けて外を確認する。
メーデル「また…魔獣ね。少し静かにしていて」
数分してメーデルが「楽にしていいわよ」と言い深呼吸する。
エゼル「さっきのは?」
メーデル「私が話した男の手下って感じね。私を狙っているの…私だけを狙うために
ここを魔獣たちに監視させている。決められた時間にね」
メーデルは時計を見ながらそう説明した。少しして溜息を吐いた。
メーデル「私のモノを狙っているのなら私だけ狙えばいいのに…」
エゼル「早くリングを出せっていうために人質みたくしてるってことか」
暫くの沈黙の後、イリスが口を開いた。
イリス「なら早くここから出て行ってもらいましょう、その人に」
メル「そうね!ここは強気にバシッと言ってやらないと、でしょ?メーデル」
メルの言葉にメーデルは笑って頷いた。
- Re: 白黒と虹色 ( No.16 )
- 日時: 2019/01/12 08:58
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
メル「でも作戦無しでそのままいくの?」
メーデル「私は彼の戦法なんて知らないし、それしかないわね」
エゼル「じゃあ行こう、行動しなければ何も起きないから」
魔獣が通り過ぎた後、一同はメーデル宅を出ていき魔獣が向かった方向へ歩いていく。
イリス「メーデルさんは何処でそれを?」
イリスはリングを見ながらそう聞いた。メーデルが悩んでいる。
メーデル「分からないのよね。家に元々あったらしくて…」
アイセ「じゃあメーデルの先祖様の持ち物ってカンジかな?」
メーデル「まぁそんな感じね。でも一応は宝物よ?貰い物だし」
メル「一応って…」
****
廃病院に一人の男が佇んでいた。その男こそメーデルの話していた人物フィードだ。
彼はこの場所で待ち構えていた、この場所に様々な仕掛けをして置いた。
フィード「(リングが関わっているとなれば…アイツらも来るか…)」
病院内には幾つもの仕掛けと何匹もの魔獣を放って準備満タンだ。
- Re: 白黒と虹色 ( No.17 )
- 日時: 2019/01/12 10:38
- 名前: azuno* (ID: s00TEuml)
メーデル「物騒なお出迎えね」
メーデルたちを囲う魔獣を見ながらそう呟く。
メーデル「倒しながら進むわよ、足元の仕掛けとか気を付けて」
エゼル「よし、行くぞ!」
魔獣たちを倒しつつ足元を注意しながら先へ進んでいく。
だがその数に段々と押されてきた。
メーデル「…ここは人形師の本領発揮ね」
メーデルが器用に何体もの人形を同時に動かす。剣を持つ人形、銃を持つ人形、弓を持つ人形が
魔獣たちを一掃していく。メーデルの器用さに全員が驚いた。
メーデル「さぁ、ある程度片付けたし進みましょう」
廃病院の階段を駆け上がり屋上へとやってきた。黒い雲で太陽が隠れている。
メーデル「貴方ね、魔獣共を徘徊させてるのは…名乗ってくれないかしら?貴方、私の名前は
知ってるみたいだし」
フィード「…フィード、で?何しに来たんだ、素直に救恤のリングを受け取りに来た訳じゃ
ねえだろ?」
メーデル「貴方を追い払いに来たのよ」
フィードはニヤァと笑みを浮かべた。メーデルのリングに亀裂が走り、二つに割れて
消えた。メーデルは口を開けたまま呆然としていた。
メル「ど、どういうこと!?アイセのリングにも反応してたはずだし…」
フィード「ちょっと仕掛けを弄っただけだ。偽物と本物を入れ替えてな」