ダーク・ファンタジー小説
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- 神の盾イージス艦いしづち
- 日時: 2019/10/09 22:09
- 名前: 坂本加賀 (ID: exZtdiuL)
「本艦の艦名を・・・いしづちとする」2043年、日本は軍拡の道を突き進んだ。海上自衛隊初の正規空母「いよ」など多数の護衛艦を就役させた日本はついに最新のイージス護衛艦「いしづち」型を計画、完成させた。そんな中、中国軍で、不穏な空気が流れていた・・・。「教練対空戦闘用意!」いしづちでは対空戦闘訓練が行われていた。その様子を副長の早坂二佐が見ていた。「敵二機撃墜!」「艦長、今日の訓練はここまでです」いしづちの艦長は館山一佐だ。「よくやった、当直要員を交代させよ」「はっ」当直だったものは、これから自由時間だ。自室で仮眠をとろうとCICを出ようとすると、船務長の千石三佐がせかせかと入ってきた。「艦長、副長、ちょっといいですか?」「どうした?」艦長が聞くと千石は「市ヶ谷より直電、中国「山東」艦隊が我が国のEEZ内に侵入、領海侵犯の恐れあり、至急針路上に急行せり、とのことです。」館山は落ち着きをはらって「そうか」と一言言うとその場に居合わせた航海長に「操艦を頼む」と一言言うとCICから出て行った・・・。
- Re: 神の盾イージス艦いしづち ( No.21 )
- 日時: 2019/10/22 18:32
- 名前: 坂本加賀 (ID: j24nS2D/)
「魚雷管1番から4番注水、外扉開口」おうりゅうは攻撃態勢に入った。「魚雷発射」瀧川が命じる。ついに戦闘の火蓋が切られた。
いしづち・・・「後甲板VLS16番トマホーク発射用意」訓練でも戦闘でもトマホークを撃つのは初めてだ。「てぇー」VLSから放たれたミサイルは敵に一直線に向かう。「命中、撃沈しました」レーダー員が言う。「副長、おうりゅうが発射した魚雷4発全弾命中、残りは山東と駆逐艦2隻です」菊池が言う。「しかも駆逐艦はイージスをコピーしたと言われる最新鋭の068型です」菊池は続ける。「つまりSSMー2では困難です。彼らは対空ミサイルがごまんとあります」その時だった。「ヴィーヴィー」「敵が対艦ミサイル・・・いや巡航ミサイルを10基発射!全て本艦に来ます」「何!」中国の巡航ミサイルはイージスで捉えるのが困難だ。誰もが死を覚悟した時、菊池が叫んだ。「あめぐも型のレーダーなら探知可能です。あめぐもとゆきぐもに委ねるしかありません」その言葉に反応したかのようにあめぐもとゆきぐもが6基ずつミサイルを発射した。「ミサイルぜ、全基命中!」「よしっ!」誰もが油断した。そう、これは気をそらすための山東の囮だった・・・。
- Re: 神の盾イージス艦いしづち ( No.22 )
- 日時: 2019/10/22 18:43
- 名前: 坂本加賀 (ID: j24nS2D/)
異変に気付いたのは護衛艦しらぬいだ。「艦長!ソナーに感、敵潜2探知!」ソナー員が声を張り上げる。「距離は?」艦長の紀村が冷静に言う。戦闘時に取り乱したらその時点で負けだ。「距離は、・・・艦隊からわずか5キロです」「5キロ!」言葉を失った。この距離から魚雷を撃たれたら終わりだ。「対潜戦闘、右舷短魚雷発射管1番2番発射用意!」「艦長、敵魚雷1基発射!いしづちに向かいます!」「くっ、魚雷発射!」
「副長!魚雷が来ます。距離5!」ソナー員が突如叫んだ。「5だと?」だが悠長に話している時間はない。だが魚雷をよける方法もない。「魚雷、命中します!」「総員衝突に備え!」必死に命令する。「魚雷命中!」「ドーン」
- Re: 神の盾イージス艦いしづち ( No.23 )
- 日時: 2019/10/22 18:55
- 名前: 坂本加賀 (ID: j24nS2D/)
「ドーン」艦に衝撃が走る。早坂らも床に倒れた。「くっ、痛って」頭から出血したが、早坂は最も気になることを知るため立ち上がった。そう、被害状況の確認だ。「被害状況知らせ!」マイクに向かって叫ぶ。すると、すぐに返事がきた。「魚雷は不発だと思われますが、舵が損傷、方向転換、速力調整ができません。浸水は軽微です」ひとまず安心だ。だがその後、想像を絶することを言われた。「舵が回復しません。このままだとずっと直進し、大島に座礁します」「な、何・・・」ダメだ、と思った。何か打開策はないかとCICを見渡す。皆、なんとか立ち上がっていた。ひとまず情報収集だ。「状況は?」そう聞くと菊池が「敵潜2撃沈されました。敵艦隊はまだ、」と、その時だ。怒りをぶつけるように大量のミサイルが撃ち放たれた。僚艦が飽和攻撃を開始したのだ。「ドカーン」ものすごい音が聞こえる。その時、レーダーから山東艦隊の反応が・・・消えた。
- Re: 神の盾イージス艦いしづち ( No.24 )
- 日時: 2019/10/22 19:06
- 名前: 坂本加賀 (ID: j24nS2D/)
早坂は艦長に意見を聞こうと艦橋への道を進んだ。敵艦隊は消滅し、さらに衝突まであと一時間はある。すると担架に乗せられて一人の人が運び込まれていた。彼は・・・館山だった。「艦長!」「ふ、副長・・・どうした?」「艦長・・・」早坂は絶句した。あの冷静沈着な艦長が今では弱りきっている。「艦長、舵が回復しません。意見は・・・ありませんか?」そう聞くと館山はこう言った。「総員、総員退艦だ」総員退艦・・・それは船乗りが最も嫌う言葉だ。「艦長・・・それでは『いしづち』を捨てろと?」「そうすれば乗員は助かるし衝突しても所詮誰もいない砂浜だ」「ですが・・・」「副長、これは・・・艦長命令だ、指揮を頼ん、だ」そう言うと館山は喋らなくなった。「意識レベル低下!脈が、止まってる」そしていしづちは・・・早坂の艦となった。
- Re: 神の盾イージス艦いしづち ( No.25 )
- 日時: 2019/10/22 22:48
- 名前: 坂本加賀 (ID: j24nS2D/)
「総員退艦せよ、繰り返す総員退艦せよ」早坂はダメコン室のマイクに向かってそう繰り返した。大島に衝突するまでのこり40分。まだ間に合う、そう自分に言い聞かせ、自分も甲板にでた。スピードがでているためカッターなどはだせないが浮き輪を使って退艦する。そしてすぐ近くにいる僚艦や救難ヘリ、救難飛行艇にすくってもらうのだ。17.50、中国軍は自衛隊が上陸する前に撤退した。そして18.06、制御不能のいしづちは大島に衝突した・・・。
中国軍は侵略行動を認め、日本人戦没者に対して謝罪した。幸い、中国軍の原子力推進艦艇からの放射能漏れは確認されなかった。一方で大島に衝突したいしづちは国民や早坂ら自衛官らの声によって修復が決定された。戦った自衛官らも戦死者は2階級特進、早坂は艦長職となる一等海佐となった。そして三年後の2046年、いしづちの再就役式が行われ、三年ぶりにあさひ、たかおなどの艦長をやっていた早坂が四代目いしづち艦長となった・・・。
〜第1章完〜