ダーク・ファンタジー小説
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- 霊障対策課24時!
- 日時: 2020/06/08 19:08
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
現代日本を舞台にオカルト警察が霊障を解決して回る。
霊障とはオカルト系事件の事である。霊障対策課の職員は全員、霊能力という謂わば
超能力のようなものだ。
若くして霊障対策課を任された柳水流愛瑠は周りからの人望が厚い。彼女は高い霊力を
持ちながら霊能力を持たず、しかし霊を視ることが出来るために所属している。
(※柳水流…読み:やなぎずる)
第一章「課長は走る!」>>01-34
霊障1「屋台、出血大サービス!」>>01-02
霊障2「鬼の結婚式・調査パート」>>3-10 「潜入パート」>>11-18
霊障3「幽霊船に揺られて」>>19-24
霊障4「鬼が住まう島」>>25-31
閑話「お疲れ様、課長」>>32
霊障5「Shall we dance?」>>33-34
第二章「課長は止まる」>>35-42
プロローグ「新たな面子」>>35
霊障6「怒れる鬼神」>>36-40
霊障7「人食いが二人」>>41-42
- Re: 霊障対策課24時! ( No.9 )
- 日時: 2020/04/20 18:07
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
五日目、調査は大きく動き出した。
霊障対策課とフェンリルの抗争。その時に関与した職員もいる。退職した者も少なからず
存在している。その中には敵に寝返った職員も存在する。こちらも可能な限り、小さな動きで
探っているが漏れている可能性も考えられる。一人の職員から霊的痕跡等が全くないと
報告を受けた。
「櫻井椿の義兄は15歳で消息不明になっています。彼女の母親と母親が結婚した二人の夫も
消息不明…」
憶人が呟くように言った。
昨日の最後、白亜は愛瑠を呼び止め囁いた。
「南井は止まりませんよ。だから…職員諸共大いに苦しみ絶望してくださいね、そして
恨んでください。それと南井が従わせている式神、あれはありとあらゆるものを削る…
ふふふ、楽しみにしていますね?貴方の絶望しきった顔を」
「舐めて貰っては困るよ。頼りになる仲間がいるからね。それとその言葉、そのまま返す!」
抗争時の被害者リストを見つけた。その中にある名前を見つけた。同じ苗字の男が職員として
今ここにいる。
「信慈君、少し良いかな?」
信慈を呼び止めた。名簿を見せると彼は顔をしかめる。
「自分の妹です。やっぱり柳水流さんには隠し事が出来ませんね…」
信慈の妹が抗争時に被害に遭い死亡してしまっていた。フェンリルとの抗争には色々と
彼は関わりが強いようだ。突然、愛瑠の携帯の着信音がして二人の視線は愛瑠の鞄に移った。
携帯を手に取り応答すると愛瑠は鞄を手に持って慌てた様子で近くの病院に向かった。
病院には既に数人の霊障対策課の職員がいた。
「みんな!」
「愛瑠さん!こっちです」
慧は愛瑠を呼んだ。部屋の白いベッドでは藤原宋一郎が眠っていた。いや、昏睡状態に近い。
「式場調査中に倒れたらしくて…」
「むぅ…これは、辛いわ。刺された様子は無い。それで確か飲み食いもしてないんだっけ?
ということは首謀者側にやられたって事か…」
愛瑠は目線を下げた。
「とりあえず病院を出よう。こっちは病院側に任せて私たちは今回の仕事を終わらせる。ね?」
職員たちは病院を出て行った。
<五日目・午前に分かったこと>
・フェンリルとの抗争で退職した中には敵側に寝返った者もいる
→今の職員の中にも抗争に関わった人間がいる(古井戸信慈等…)
・藤原宋一郎の昏睡状態
→首謀者側はこちらの動きに気付いている
- Re: 霊障対策課24時! ( No.10 )
- 日時: 2020/04/20 18:23
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
五日目の午後。霊障対策課にやってきた若い男は知念美弦と名乗った。そして屍鬼一族でも
あると言った。
「ほぉ、アンタが課長?珍しいねぇ若い女が課長とは…」
「あはは…では本題に入りますね。まず屍鬼一族についてお願いします。こちらには資料が無くて」
「あぁ、屍鬼一族は人肉を喰らう人間の一族。呪いみたいなもんだ。それと支配しようと
思って俺たちが噛み付いたらソイツは俺たちの思う通りだ。その能力は一族の人間の血が
混じってれば遺伝する。血液を与えれば感染時間も長引く。まぁここには霊力が強い奴が
わんさかいるから後者の効果は薄いだろうよ。で、他には?」
美弦は愛瑠の顔を見つめる。
2.北見について
「…久しぶりに聞いたな、その名前。なんか面倒くさい一家だった。奴らは昔から呪いを
他の人間に移すことが出来ないかと研究してたねぇ…ま、詳しいことは分からねえから勘弁してな」
男は愛嬌ある笑顔を見せた。
3.対峙した際に注意する点
「噛まれて感染したってんならここの奴らで解呪できる。問題は術で呪いを移された場合。
手遅れだからな、殺しちまえ。奴らは呪いを他人に移すことに特化している。血を流させるのは
禁手って奴さね。そういう類に弱い奴は触っただけで発狂するだろうし…」
「ありがとうございました。美弦さん」
美弦は立ち上がった。
「気にする必要はないさ。俺の代で本筋は最後さ。俺は死ぬまで迷惑をかけないように
森の奥でゆっくり生活させてもらう」
別の場所で宋一郎が残した占い結果のメモ。それは愛瑠の手元に入った。
櫻井椿→「屍鬼」
- Re: 霊障対策課24時! ( No.11 )
- 日時: 2020/04/20 19:12
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
招待客として潜入
・柳水流愛瑠(偽名:伊黒愛良)
青色の正装を着用して潜入。周りの潜入職員たちに目を配りながら警備をします。
・雛芥子累槻(偽名:咲丘累都)
正装を着て潜入。偽名は愛瑠が考えた。
・鹿平グエン
偽名は使わない。櫻井椿とは前に衣装デザイナーとしての仲があり正式に招待されている。
給仕として潜入
・灰崎憶人
・月足慧
警備員として潜入
・圓勺時哉
・古井戸信哉
古守恭一、目黒ヒヨは今回の事件では調査パートのみ。
- Re: 霊障対策課24時! ( No.12 )
- 日時: 2020/04/20 19:43
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
結婚式当日。
愛良(愛瑠)の肩を軽く叩く女性がいた。それは友人、霧矢ユキだった。愛瑠と呼ぼうとした
ユキの口を塞ぎ小声で言う。
「今は仕事中なの。愛良って名乗ってるから…ごめん!」
「うちこそゴメン。愛良、お仕事頑張れ!」
愛良は頷いた。新郎新婦の誓いも終わりアフターパーティが始まった。現在午後六時。
後3時間ほどで終わるが無事に終わる気配は無い。累都(累槻)はチラッと愛良のほうを見て
また目を逸らした。グエンもまた辺りを横目に見ていた。
給仕側もまた同じ。
「流石は大女優、いろんな人がいるね」
憶人は隣に立つ慧に声かけた。
「そうですね。少しキッカケを与えれば混乱させるのは簡単…か」
グラスにシャンパンを注いでいく。華やかなパーティはそのうち地獄へ変わる。
同時刻、警備側。
騒がしい声が外まで聞こえていた。
「今のところは問題なさそうだな」
「そうですね。一応、恭一さんから貰った火気厳禁テープ、立ち入り禁止テープを避難経路に
貼ってあるので大丈夫だと思います」
時哉の言葉に信慈は返した。張り詰めた空気を突き破るように鋭い悲鳴が聞こえた。
- Re: 霊障対策課24時! ( No.13 )
- 日時: 2020/04/20 19:57
- 名前: 枢木 (ID: xs5T8t9X)
「ひ、人が…人が人を、喰ってる!!」
慌てた口調で半べそをかきながら一人の男が叫んだ。新郎新婦は?愛良は辺りに目を向けるも
姿が無い。しまった!同時に一般警官が撃たれた。窓ガラスを突き破り複数の集団が
入ってきた。
「よぉ、犬ども!あのメガネは元気かな!?調べはついてたんだろ、こうなることも予測済み!
そうだろ?じゃあ問題ねェ…オカルト警官共、ここで死んじまえよ!!!今日は良い日だぜ!!!」
あの男が南井。確かに骨の蛇のようなものが彼を守るようにとぐろを巻いている。
「お前らは私から家族を奪った…だからお前らからも奪ってやる!何も救えず苦痛に
埋もれて死ね!!!」
そして幼げな少女が北見、能力なのか鬼のような角が生えている。ユキは愛良の腕をギュッと
握る。あっという間に地獄が出来た。テロリストの誰かが使役しているであろう火蜥蜴の
火が引火し始める。人を襲い始めた人だった客たち。銃を乱射する南井や北見、そして
他のテロリストたち。愛良は近くのマイク越しに叫んだ。
「皆さん!今、落ち着けと言っても落ち着けないのは分かっております!場内の避難経路を
使って外へ避難をしてください!今、その近くでは多くの警備員が控えています!彼らの指示に
従って非難してください!!!」
「愛良ちゃん…!」
ユキは心配そうに愛良を見つめる。
「わ、私も何か手伝いたいよ!何か手伝わせて!」
『貴方たち、聞こえるかしら!?全員の衣服に耐熱、耐火を付与したわ!大量の水を被らないように!』
グエンの声だ。
『オイ、全員聴こえるか!?小さい蜥蜴みたいなのコップの水で消滅する!既に客がひっくり
返した水で結構な量、潰せてるぞ!』
累都の声だ。
「ユキちゃん危ないから避難して。もし近くに水があって蜥蜴みたいなのを見つけらそれに
水をかけて。火を広げてるのはその蜥蜴だから」
「ッ!うん!!」