ダーク・ファンタジー小説
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- フリージアが忘れられない
- 日時: 2021/08/14 15:10
- 名前: シノ (ID: Bf1VKmv9)
一面が黄色の花でいっぱいだ。花特有の香りが漂ってくる。ここの花は年中枯れないらしい。一輪たりとも。何故枯れないかは誰にもわからない。その黄色の花畑の中にポツンと小さな建物がある。こじんまりとしているが、しっかりと手入れがしてある。レンガのところどころには花畑と同じ黄色の花がついている。全体的に黄色の花で装飾されたその建物は人の気配をまったく感じられない。そんな場所に一人の青年が訪れる。
- Re: フリージアが忘れられない ( No.12 )
- 日時: 2021/09/30 12:42
- 名前: シノ (ID: UQpTapvN)
「どーお?美味し?」
「えぇ、こちらのオムライスは絶品ですね。今までのオムライスの中で一番美味しいです。」
「マジで!?へぇ~そっか~、シズルが気に入ってよかった。」
今私達は赤レンガのお洒落な外装のお店"bel fiore"で食事を取っている。私がこのお店の看板メニューといわれる、オムライスとグレープジュースをユズがトマトパスタとグレープジュースをたのんだ。中央の国に来てから適当に食事をしていたため、とても美味しく感じる。(実際に美味しいが)私の食べる姿をニコニコしながら眺め時々ユズは美味しい?などと聞いてくる。その度にえぇ、美味しいですよと告げると凄く嬉しそうに、そっか~よかったと言う。普段ならちょっと黙ってくれないかと一蹴するとこだが、料理の美味しさに免じてゆるしてやろう。
- Re: フリージアが忘れられない ( No.13 )
- 日時: 2021/10/01 15:48
- 名前: シノ (ID: SgaRp269)
「何で私をこの店に連れてきたのです?失礼ながら貴女にはこの店のイメージがつきません。」
食後の珈琲が届いたところで私は問い掛けた。
「えぇ~、心外だな~。俺がどの店に入っても良くね?まぁ、こんな店絶対入らないけど。入るならさ、可愛い彼女と一緒が良いよね。男同士だとムッサイし。」
一瞬きょとんとし、意味を理解するとふざけたように笑いながら答えた。どうやら気分を害したようではなさそうだ。よかった。
「では何故?」
「んーとね、単刀直入に言うけど俺、花好きなんだよね。」
ん...?花......
「貴女は今花が好きと仰いましたね?花ですよね?美しく可憐な。」
「そーそ。その花。花良いよね。この店は花屋もやってるんだけど、俺はそっちメインでいつも来てるかな~。」
どうやら花が好きなのは事実のようだ...
- Re: フリージアが忘れられない ( No.14 )
- 日時: 2021/10/08 07:52
- 名前: シノ (ID: f3ScG69M)
「なぜ、私を連れてきたのです?いつもはお食事をなさらないのでしょう?仮に私を連れてきたとしても花だけ見て帰れば良かったのでは?」
「シズルったら冷た~い。そんなに俺と食事すんの嫌い?俺は好きなんだけどな~。」
そう言ってへらっと笑った。
「貴女のそういう女の子を口説くような口調といいますか、軽すぎる口調がイラッときますね。ですが、まぁ貴女との食事は悪くはないですね。美味しかったですし。」
「シズルって実はツンデレ?まぁシズルが良いならいいけど。んでさ、花が好きって言うと皆吃驚すんの。」
おかしいよなーと言って笑ってはいるが、少し悲しそうな目をしている。そんなユズの様子を見るとなんとも言えない気持ちになる。
- Re: フリージアが忘れられない ( No.15 )
- 日時: 2021/10/08 07:51
- 名前: シノ (ID: f3ScG69M)
「でもさ、お前なら、シズルなら理解してくれると思ったんだよね。」
「その根拠は?もし私が貴女を否定してしまったら?貴女は傷つくでしょう?」
「んー。その可能性は考えてなかったかな。だって今、シズルは否定してないでしょ?笑わなかったじゃん。真面目に聞いてくれた。それだけで俺は嬉しいよ。」
そう言ってユズは珈琲を一口飲んだ。
「そう言ってるといつか自滅しますよ、貴女。」
「んー。その時はその時だ。気にしてると人生楽しめないぞ~。」
この人を見ていると心配になる...そのなことを思っている私のことなんぞ考えず、何か良いことが思い付いた幼子ような表情でユズが提案をしてきた。
「ねぇ、シズル。俺、もう1ヵ所行きたいところあるんだけど。」
- Re: フリージアが忘れられない ( No.16 )
- 日時: 2021/10/11 07:47
- 名前: シノ (ID: 4.2P0hz.)
カフェから出て15分ほどたった頃。
「まだですか...?だいぶ歩いたような気がするのですが。」
自然が美しい、鳥の綺麗なさえずりが聞こえてくるなんて...ことはなく、ただの林を歩いているのである。普段から必要以上に外に出ないシズルにとっては過酷である。足元も少々悪く運動不足のシズルは肩で息をしながら一生懸命歩く。
「あとちょっとだから!シズル頑張れ~!」
対してユズは全く疲れた様子を見せない。疲れた様子のシズルを応援する(少し笑いながら)余裕まである。
「ほら!シズル!この先だよ!ここを抜けたら!」
あぁ、やっと到着点ですか。あと少しだと足に鞭をうってシズルは足を動かす。
「じゃじゃーん!!ここです!俺が見せたかった場所は!どうよ、どうよ。」