ダーク・ファンタジー小説

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フリージアが忘れられない
日時: 2021/08/14 15:10
名前: シノ (ID: Bf1VKmv9)

一面が黄色の花でいっぱいだ。花特有の香りが漂ってくる。ここの花は年中枯れないらしい。一輪たりとも。何故枯れないかは誰にもわからない。その黄色の花畑の中にポツンと小さな建物がある。こじんまりとしているが、しっかりと手入れがしてある。レンガのところどころには花畑と同じ黄色の花がついている。全体的に黄色の花で装飾されたその建物は人の気配をまったく感じられない。そんな場所に一人の青年が訪れる。

Re: フリージアが忘れられない ( No.7 )
日時: 2021/09/22 12:36
名前: シノ (ID: W5lCT/7j)

その人は見たところ自分と同い年ぐらいだ。ワインレッド色の髪に月のように光る瞳。それに人懐っこい笑顔。あぁ、この人とは住む世界が違うなと感じた。対する自分は深い青色の髪に深い緑色の瞳。全体的にどんよりした色合いなのに、あまり人と関わることを嫌う。そんなことだから友人など一人もできず...考えるだけで虚しくなってくる。まぁそんなことで、コイツとは住む世界が違う、私とは正反対だ、関係無いと思って作業に戻った。目を合わせないように。なのにだ。気づいたんだ。あの人は。

Re: フリージアが忘れられない ( No.8 )
日時: 2021/09/24 07:51
名前: シノ (ID: SQ5s5iz7)

「ねぇ、君っていつもここにいるけどもしかして時計見に来てるの?あ、でも手に持ってる物からするともしかして修理頼まれた人?」
気づいた瞬間喋りかけてきたじゃないか。修理してるの見たらそっとしておいてほしかったね。
「あぁ、国から頼まれて。」
「へぇ~、じゃあ君は凄腕なんだね。ね、名前は?俺はユズ。気軽にユズって呼んでね!」
「私は、シズルです。」
「シズルね。良い名前じゃん。ってことでお互いの名前知ったから俺達はもう友達ね。なんだかシズルって面白そうだし。」
ん...?この人"俺達はもう友達ね"って言ったか?いやいや、名前知っただけで友達だったら私でも友達沢山いることになってしまうぞ。でも君の太陽のように屈託なく笑う顔をみたら何にも言えなくなってしまった。

Re: フリージアが忘れられない ( No.9 )
日時: 2021/09/27 12:39
名前: シノ (ID: tY8TK.KA)

「んでさ、今日暇だったりする?折角知り合ったんだかさ親睦を深めたいじゃん?」
「今日ですか...とりあえず今日のノルマを終わらせたら暇ですね。」
「マジで!?じゃあ飯食いに行かね?良い店知ってるんだ。」ぱぁっと笑顔になるユズ。そんなに嬉しいのか?私との食事は。
「わかりました。あと15分ほどで終わりそうなので、待っていただいても?」
「りょーかい。」
手元を動かしながら私は考える。何故食事を許してしまったのか。明るくて人懐っこそうだが、まだ会って1日もたっていない。故郷を離れて来たから人恋しいのか。

Re: フリージアが忘れられない ( No.10 )
日時: 2021/09/28 12:22
名前: シノ (ID: w7lzUlmG)

「お疲れ様ー。仕事が早いねぇ。もしかして俺との約束楽しみにしてたの?何それ、かわいー。」
「んなわけないに決まってるじゃないですか。」
「え?照れてる?照れちゃってます?かわいーねぇ。」
「だから違うって言ってるじゃないですか!それに可愛くない!!」
イタズラそうに笑いながらからかってくるユズに怒りをおぼえた。なんなんだ、この人は。
「はいはい。んじゃあ、飯食いに行こ。良い店知ってるんだよ。きっと美味しすぎて、シズル泣いちゃうかもねー。」
美味しすぎて泣いちゃうとは、どういうことなんだ。まったく...
「シズルーーーーー、早くしないとおいてっちゃうぞーーーーー。」
「今行きます。」
そう答えて、私はユズの背中を小走りで追いかけた。

Re: フリージアが忘れられない ( No.11 )
日時: 2021/09/30 07:50
名前: シノ (ID: UQpTapvN)

時計塔から歩いて15分ほどの場所にユズのオススメの店というのはあった。赤レンガに植物のツタで飾られておりなんだか童話の世界に入ったようだ。こんなに美しい外装の店があったとは。
「とーちゃく!ここだよ。俺が連れていきたかった店は。良い外装でしょ。俺のお気に入りなんだ。これでも俺、常連なんだぜ?」
「えぇ、素敵な外装ですね。童話の世界に入ったようです。こんな素敵な店が中央の国にあったなんて知りませんでした。」
私の言葉を聞くと嬉しそうにはにかんだ。
「でしょ~?シズルなら気に入ってくれると思ったんだよね。もちろん内装も素敵だし、料理も美味しいからね!ささっ、入っちゃって!」
そう言われてユズに背中を押された。ドアを開けると同時にドアに備え付けられているベルの音が優しく鳴った。


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